安呑演る落語

音源などを元に、起こした台本を中心に、覚え書きとして、徒然書きます。

味噌豆

2010年04月24日 | 小噺
味噌豆

主人: 定吉、定吉!
定吉: へ~い。 お呼びでございますか?
主人: ん、おまえな、台床へ行って味噌豆が煮えたかどうか見ておいで
定吉: へ~い。 ・・・・(台床へ行き、鍋のフタを取り) うーわ (扇をしゃもじ様に広げ右手に持ち、左手に器を持ち、味噌豆をよそい、鍋にフタをする) ふ、ふ、ふー (と豆をさまし何粒か食べる) 
主人: 定吉!
定吉: ん、 (呼ばれて驚きながら、器をさしだしながら) おいしく煮えております
主人: なァにが おいしく煮えておりますだ。あー? だれがつまみ食いをしろと言った。ばか。煮えたかどうだか見ておいでって、そう言ったんだ。それちゃんと仕舞って、なァ、(懐から手拭いを出しながら) おまえにはまだまだ、いろいろとな、やってもらわなくちゃいけない事がある。 (手拭いを差し出し) これをな、お向かいの三河屋さんに持ってきな。(目で定吉が行くのを追いながら) 急いで持っけ、はい。
まったくまー、泥棒猫飼ってるようなもんだ、ま。・・・・・とは言いながら、うまそうだったね、ひとつあたしも食べてみよ。
(フタを取り、覗き込み、器によそいフタをし、何粒か食べながら) うまい、うまいね、味噌豆ってのはいいね。え、おまんまのおかずにもなるし、酒のつまみにもなるしね。
・・・(定吉が行ったほうを見て) 待てよ、戻って来んね、あいつね。
“あ、旦那もつまみ食いをしてなさる” なんてことを言われるとあとで小言が利かなくなる
・・・どっか隠れて食べよう、ね、隠れて食べよう・・・どこがいいかな・・・
(下手 斜め上を見) 二階・・・二階はな、子供はタタタタっと上がって来るんだよ、ふつうにね。
えー (下手やや後方を見て) 押入れ、押入れは暗くて味気ないしね。
(あたりを見渡し) どっかないかね、一人でいっぱいになるところで、だれも入ってこられない所・・・・・
はばかり、(と気が付きニヤリとし) あすこがいい (歩きながら) あすこだったら誰も入って来られない 
(扉を開け、中へ入り後ろ手に閉め) よっこらしょっと(しゃがむ態) あー、不思議だね、ここは、その気がないのにしゃがむね (数粒食べ) あー、うまい、どこで食べてもうまいね・・・
(食べながら、あたりの臭いを嗅ぎ) ちょいと臭い、(と食べ続け) ま、いいや・・あーうまい
定吉: 旦那! 只今戻りました、旦那ー。 (あたりを見ながら) 只今戻りました、旦那ー。
旦那どっかへ出かけちゃったのかな・・・・・は、味噌豆、味噌豆 (と台床へ行き、フタを開け、豆をよそいふたを閉め、フーフーし数粒食べる・・・あたりを気にして) あ、旦那戻って来ンな、戻って来るよ、ん
“あ、おまえ、またつまみ食いしてんのか” なんてコツンて今度ァなぐられちゃう。どっか隠れて食べよう、ね、隠れて食べよう。どこがいいかな。 二階? 二階旦那昼寝してるとやだしな・・・押入れ、押入れ暗くて味気ないしな・・・どっかないかなー、一人で一杯ンなるところで、誰も入って来らんないところ・・・・・
ァは、はばかり、ァは、あすこならいい・・・・ん~・・・よいしょ(扉を開け) あ! 旦那!
主人: あ、定吉! 何しに来た!
定吉: (器を差し出し) お替り持って来ました
コメント
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