蝸牛の歩み

「お話」を作ってみたくなりました。理由はそれだけです。やってみたら結構面白く、「やりたいこと」の一つになっています。

キンモクセイ

2015-10-26 18:37:48 | 日記
 キンモクセイの花が咲いている。二本並んだ木のうちで左側の木は半ば散っている。小さな花が道に散り敷き、風に弄ばれている。その真ん中を一筋の血が流れている。

 ここまで追い詰められてきた落ち武者が、それを狩る百姓たちに首を取られたばかりだった。人間の体の中にはこれほど大量の血があるのかと改めて驚かされるほどの量の血が、流れていく。今散ったばかりのキンモクセイの小さな花も血の川に乗って流れていく。

 右側の木はこれから盛りを迎えるだろう。花の香りは、血の匂い、そして避けがたく訪れる腐臭を消すことは出来まい。

 キンモクセイの香りを愛でることができるような、平和な世の中はいつ来るのだろうか。