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山村の道で、どしゃ降りになった。農園で仕事をしていた娘さんたちが、急いで家に向かっていた。毎日この時間に降ってくる雨。バナナの葉が笠になる。
籠のひもを頭にかけて運ぶのは、日本では南方の島のごく一部の地域でしか見られないそうだ(農文協の本による)。
籠を持つ娘さんに惹かれて後を追って、家に着いた。そしてなぜかとっさにシャッターを切った。
家の色と、娘さんの服の色、葉っぱの色が同じだ。そのことは後から写真を見て気付いた。
この家、日本人としてはありえない、あるいは思いつかない配色だろう。日本でこんな家を作ると、完全にご近所の中で浮いてしまうし、趣味が悪く見える可能性大。けれどインドネシアの風景の中ではかわいく見える。
日本でも着物の配色に補色(いわゆる反対色)使いがたくさんある。昔の人にとっては補色の組み合わせは珍しくはなかっただろう。けれど着物を捨てたせいなのかどうなのか、最近はあまり補色使いをしなくなっている気がする。
以前、高村智恵子(智恵子抄の主人公というのか)の切り絵を見たとき、補色を大胆に配しているのがなんと斬新なことかと衝撃を受けたが、今思うと、昔は着物だったからあんな配色が自然にできる土壌があったということなのかもしれない。
家の話から少々脱線したけれど。壁の前に並ぶ植木鉢も、等間隔で大きさもそろっている。シンプルな線と色使い。だんだん熊谷守一の絵のようにも見えてきた。
窓が3枚に分かれているのも、ちょっと珍しい。
参考記事 キャッサバを摘みに
写真/フローレス島ルーテン近郊(2012年)
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