島のまにまに~インドネシアの小径~

海洋国インドネシアのあちこちでで出会う、美しい村、美しいもの。自然とつながる暮らし。

ビーズ刺繍をまとう

2015-02-01 | 工芸

最近無性にビーズ刺繍がしたくて仕方ない。
インドネシアでビーズ刺繍を見ていたのが知らないうちに刷り込まれていたのかも、と、ふと思った。

バリの女性たちはお供え用の籠を頭上で運ぶとき、頭の上に輪っかを載せる。
その輪っかがビーズ刺繍されている。中にはビジューのものもあった。

籠は女性たちの手作りだけど、輪っかのほうは手作りではない。
いろいろな柄があって、籠だけでなくこっちもカラフル。こういうきれいなものを身に着けるのは気分が華やいでいいだろう。

きれいな籠を持ち、きれいな服をまとって歩く女性たちが、絵具となり絵柄となってバリの風景を描いているよう。

ビーズ細工はスラウェシ島の山岳地帯でも見た。→オレンジ色のビーズで装う
世界中でビーズ細工は手芸の中の大きな位置を占めている。西アジアや中近東、エジプトの方でも。日本では聞かないけど。






Photo/上の2枚 バリ島(2014) 下 スラウェシ島(2008)

ブログランキング参加中
にほんブログ村 海外生活ブログ インドネシア情報へにほんブログ村 海外生活ブログ バリ島情報へにほんブログ村へ


オレンジ色のビーズで装う

2014-11-16 | 工芸

スラウェシ島タナ・トラジャのお葬式。
会場にランタンと呼ばれるビーズ飾りが立てられています。
遺体安置棟(ラキエン)の横と、参列者の受付棟(ランタン・カランポアン)の横に。
前にも書いたことがあります。
お葬式でも結婚式でも同じように使われます。

女性の衣装のビーズ飾りはカンダオレっていう名前で、京の着倒れみたいです。
歩くと下に垂れた紐が揺れてとても華やか。
胸にかけるところが逆三角になっているのと、丸いヨーク型になっているものの両方があります。
これも結婚式でも同じ。服の上から身に着ける。
下に着ている服も赤でもOKのよう。結婚式では黒はNGとのことですが。
日本では小物ですらお葬式に赤はタブー。ところ変われば品変わる。ちなみに、日本のお葬式は昔は参列者も白い着物。黒になったのは西洋文化の影響。

ランタンもカンダオレもオレンジ色が基調になってます。ただし、タナ・トラジャの彫刻に使われる基本4色にオレンジ色は入っていません。
カンダオレは本来は各家で持っているのですが、最近は美容院で借りられるそうです。ビーズは昔は石、今はプラスティック。こんなのが石だったら重くてへろへろ、肩こり腰痛でしばらく動けないでしょう。とても微笑んでなんかいられません。
カンダオレを付けて正装しているのは孫娘たちだといいます。
確かにおばさんはつけてないので、未婚女性だけなのでしょうか。
振袖みたいなものでしょうか。


上のほうには何かの動物の模様が編み出されています。スンバのイカット(先染模様の織物)にもあるような模様です。


緻密。


美しすぎる。。 庇から垂れている縁飾りもビーズ。頭につけているバンドもかっこいい。イアリングも。髪の毛を独特の結い方をしています。インドネシアの女性は都市の人以外は髪を伸ばしています。


ブレスレットもすてき。ほしいかも。首飾りまでつけて、フル装備です。


お子ちゃまも。ブレスも、ビーズじゃないけどイアリング(ピアス)もしています。
すでに髪が結えます。


背中凝りそう。水色も必須の色のよう。


お葬式がこんなド派手でいいのか……。


写真再掲。受付棟から出てくる娘たち。

お葬式にこの娘たちがいなかったら、かなりつまらないと思う。

Photo/Tana Toraja, Sulawesi, Indonesia(2008年)
スラウェシ島タナ・トラジャ


ブログランキング参加中
にほんブログ村 旅行ブログ アジア旅行へにほんブログ村 ライフスタイルブログ スローライフへにほんブログ村 海外生活ブログ インドネシア情報へにほんブログ村へ


鉈(なた)の粋

2013-01-21 | 工芸

フローレス島の山里で、これから山仕事に行く人に会った。何人かに会ったけど、みんな腰に鉈を差している。そして、鉈のさやに彫刻を施したりきれいな紐を巻いたりして、思い思いの飾りをほどこしている。男のお洒落のしどころなんだろうか。

日本の山里のおじいちゃんたちも、ちょっとそこまで、って感じで山へ行くとき、必ず鉈を差していく。鉈を差さないとどうも落ち着かないのか、スイッチが入らないのだろう。
けれど鉈のさやに彫刻をほどこして飾っているのは見たことがない。鉈と鋸と2本セットで入るように工夫したり、多少の違いはあるのだけど。
昔サムライは刀の鞘をかざったり鍔(つば)の模様に凝ったりしていた。お百姓さんにはそんな余裕なかったってことなのだろうか。

いずれにしても、山仕事にもお洒落ってのは粋なもの。パサールに行くとこんな鉈をずらりと並べて売っている。

フローレス島バジャワ近郊(2012年)

◆気に入ったらクリックを!ほかのブログも見られます→にほんブログ村 ライフスタイルブログ 田舎暮らしへにほんブログ村へ

トンコナンの彫刻 その2

2013-01-12 | 工芸

 2日前の記事の続き

この家は、タナ・トラジャの中でも高いところにある観光地にあり、どこかから移築されてきたのか、新しく造られたのかは分からないが、欧米人の所有であるように聞いた。かつてホテルとして使われていたとかいないとか、はっきりしない。少なくとも伝統集落の中の誰かが使っている家ではなかった。

唐草模様の曲線と、ひし形になった部分の直線のバランス、赤い背景色に黒い水牛のある部分のアクセント。彫刻の技もすばらしいが、デザインもすばらしい。
この家は木造で、木を組んで建築されている。鉄釘など使っていないかもしれない。

模様は、壁を作っている板の1枚1枚を単位として描かれているようだ。この板を取り外したものを、タナ・トラジャの中心の街ランテパオの土産屋さんで見かける。日本人は決して買っていかないそうだ。日本人の死に対する考え方ゆえに買わないのだろうと現地の人に言われてしばし考えた。
つまり、この家の中でしばらくミイラが安置されていたかもしれないということを考えて買わないということが言いたいのか。確かに、そう考えると買わないだろうけど、そこまで考える日本人観光客がそんなにいるだろうか。

写真/スラウェシ島タナ・トラジャ(2009年)
◆気に入ったらクリックを!ほかのブログも見られます→にほんブログ村 ライフスタイルブログ 田舎暮らしへにほんブログ村へ


タナ・トラジャ トンコナンの彫刻

2013-01-10 | 工芸

スラウェシ島、タナ・トラジャ地方にはトンコナンと呼ばれる様式の伝統的な建築が多数ある。トンコナンハウスは数棟で1グループになって小さな集落を作っていて、田んぼと森の合間に見え隠れするそのムラの様子はなんとなく日本の合掌造り集落をイメージさせられる。よって、私はトンコナンをひそかにスラウェシ合掌造りと呼んでいる。

ただ合掌造りと違うのは色が原色でメリハリがあることだ。
家の切妻の正面には見事な彫刻がほどこされ、彩色されている。使われる色は、黒、赤、黄、白の4色に決まっていてそれぞれの色に意味がある。黒は死、赤は血、黄色は神の祝福、白は純潔である。
模様は動植物をモチーフとしていて、例えばこの写真の、一番目立つ黒が使ってある部分は水牛、うずまきになっているのは草のつる。それは人間が動植物とともに生きているからであるという。
右上にちらりと見えている屋根は、本来竹だが、今は竹の形にしたプラスティックを使っていることが多い。

このような手の込んだ装飾は廃れていいっていて重要文化財的な扱いになっているのかというと、全くそういうことではなく、今なお盛んにこの家が作られているのだからすごい。職人達がのみを使って上手にカーブを刻んでいく様子に見とれてしまう。
タナ・トラジャでは、有名な派手なお葬式が、年々派手になっていっているというから、家の建築もまだまだ派手なままであるのかもしれない。
ただ、この家に住んでいるのはムラの長のような一部の上層階級の人だけで、一般の人は家に彫刻を施すことは許されていないというのが伝統である。

この彫刻はパッと見どの家も同じような感じなのだが、よく見るとちょっとずつ違っていて、あちこちの家を探訪すればどれだけ見ても見飽きなくて、キリがないのだ。
村ごとに職人がいて、敬意をもたれている仕事だという。現地の人に、家の彫刻の模様は誰が決めるのかと聞いたら、職人だと言っていた。確かに村ごとに特徴が似ていると感じることもある。自分で考えて彫れるならやりがいのある仕事だと思う。

お土産屋さんでこの彫刻のミニチュアの壁飾りを売っていて、息をのむほど精細でその器用さには感動する。それもとても安価だ。小さいものなら部屋に飾ってもきれいで、いい思い出になる。

トラジャ地方の木彫り職人の青年

写真/スラウェシ島タナ・トラジャ(2009年)

◆気に入ったらクリックを!ほかのブログも見られます→にほんブログ村 ライフスタイルブログ 田舎暮らしへにほんブログ村へ

タナ・トラジャ 女の子の盛装

2013-01-01 | 工芸

スラウェシ島タナ・トラジャのお葬式に来ていた女の子。これぐらいの年の子が10人ぐらいいて、みんなこの衣装を着ていた。
男の子も赤、女の子も同じ赤。ビーズの飾りが豪華だ。式場の飾りに使うランタンと同じようなビーズ細工。

まだ4歳ぐらいだけど、小さな大人のよう。けれど、もらったお水を飲むときの顔、退屈して脚をぶらぶらさせる様子などは、やっぱり幼子だった。

衣装は、昔は自分で持っていたが、今は美容院で借りることが多いそうだ。いずこも同じだ。

タナトラジャ・男の子の盛装
ビーズ細工(ランタン)

写真/スラウェシ島タナ・トラジャ(2008年)

◆気に入ったらクリックを!ほかのブログも見られます→にほんブログ村 ライフスタイルブログ 田舎暮らしへにほんブログ村へ

タナ・トラジャのビーズ細工

2012-12-13 | 工芸

ランタンと呼ばれている飾り。
ビーズでできている。
スラウェシ島タナ・トラジャ地方のお葬式や結婚式で見られる。
ハイクラスの人の祭典ではこういうものが見られる。

タナ・トラジャでは、今もカーストがあって、貴族と平民が分かれている。
もとは、貴族・平民・奴隷 に分かれていて、
それが現在、貴族・貴族と平民の中間・平民・奴隷 に分かれているといわれる。
現実には社会が開けてきてもうその階層間での結婚もかなり自由になってきているようだ。
都市の暮らしの中ではその区別はほとんど分からないが
農村部に行くと、住んでいる家が違っていたり、仕事が違っていたりする。
そして、冠婚葬祭の式典で、貴族と平民の違いははっきりするのだろうと思う。


写真/スラウェシ島タナ・トラジャ(2008年)

◆気に入ったらクリックを!ほかのブログも見られます→にほんブログ村 ライフスタイルブログ 田舎暮らしへにほんブログ村へ




トラジャ地方の木彫り職人の青年

2012-12-01 | 工芸

このひとは、高いところに座っている。トラジャ地方の伝統様式の家トンコナンの2階の壁に、彫刻をほどこしている。

4人組で、3人は若者、1人は親方のようだった。熱心に、黙って壁に向かって掘り続けていた。
トンコナンの彫刻はとても繊細だ。そして美しい。花や植物のつる、太陽や水牛の角を表すカーブを、器用にのみで刻んでいく。
根気のいる仕事だ。

極めて装飾的なトンコナンハウスが今も新築され続けていることにも驚いたけれど、こんな若い人達がその彫刻の仕事をしていることに心打たれた。彼らにとってこの仕事のステイタスはどれぐらいなのだろう。私から見れば、すばらしい仕事だが、彼らは決して芸術家気取りではない。ごく普通の若者だ。

カメラを向けても、いやな顔もせず仕事を続け、ときどきこちらを見て、シャッターを切らせてくれた。
やがて休憩時間が来て地上に降りてくると、親方を中心にコーヒータイムとなり、私も招き入れてくれたのだった。


写真/スラウェシ島タナ・トラジャ(2008年)

◆気に入ったらクリックを!ほかのブログも見られます→にほんブログ村 ライフスタイルブログ 田舎暮らしへにほんブログ村へ



 

  

このブログはリンクフリーです。転載・引用の場合は出所を明記してください。なお、商用目的での無断転載はご遠慮ください。お問い合わせ・ご連絡はコメント欄へ