インドネシアという言葉は、私にとっては「国家」を意味していない。
もちろんインドネシアという国家はあるが、
ミクロネシア、メラネシア、ポリネシア、そしてインドネシア……
海に浮かぶ島々の群れ。そんなイメージである。
あのように広大で、マレー半島に近いアジア的な要素から、オーストラリアやニューギニア的な要素まで含む場所を、1つのイメージで統一的に捉えることは所詮むなしいのだが、今はインドネシアという国家に統治されているから、あまり興味のない人にとっては単一のイメージで捉えられているかもしれない。インドネシアの国家のスローガンは「多様性の中の統一」だが、統一とは政治的な意味だけであって、文化的統一などはできない。このような多民族で多様な地域を一つの国にするということ自体、日本人にとってはなかなか実感しにくいことである。
だから旅行者としては、インドネシアという国に行くというよりインドネシアという地域に行く、という感じだ。けれども、中心となっているジャワ以外の島に行っても「国家の影」を意識せざるを得ないことも多々あり、そんなときは、「インドネシア国」と「伝統文化をいまだ維持し自然とともに暮らすアジアの島」という二層にはさまれた複雑な気持ちになる。まあこれはインドネシアに限らず日本の田舎でも同じことなのだろう。
ただ、国のおかげで、どの島に行ってもほぼインドネシア語が通じるのは、旅人にとっては有り難い。もしインドネシア語がなかったら、隣の島はおろか隣の村に行っただけで言葉が通じなくなってしまう。インドネシア人のほとんどは、地方の言語とインドネシア語のバイリンガルである。
写真は、ヌサ・トゥンガラ諸島 フローレス島の西のほう
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