島のまにまに~インドネシアの小径~

海洋国インドネシアのあちこちでで出会う、美しい村、美しいもの。自然とつながる暮らし。

島のまにまに インドネシア

2012-05-04 | はじめに

インドネシアという言葉は、私にとっては「国家」を意味していない。
もちろんインドネシアという国家はあるが、
ミクロネシア、メラネシア、ポリネシア、そしてインドネシア……
海に浮かぶ島々の群れ。そんなイメージである。

あのように広大で、マレー半島に近いアジア的な要素から、オーストラリアやニューギニア的な要素まで含む場所を、1つのイメージで統一的に捉えることは所詮むなしいのだが、今はインドネシアという国家に統治されているから、あまり興味のない人にとっては単一のイメージで捉えられているかもしれない。インドネシアの国家のスローガンは「多様性の中の統一」だが、統一とは政治的な意味だけであって、文化的統一などはできない。このような多民族で多様な地域を一つの国にするということ自体、日本人にとってはなかなか実感しにくいことである。

だから旅行者としては、インドネシアという国に行くというよりインドネシアという地域に行く、という感じだ。けれども、中心となっているジャワ以外の島に行っても「国家の影」を意識せざるを得ないことも多々あり、そんなときは、「インドネシア国」と「伝統文化をいまだ維持し自然とともに暮らすアジアの島」という二層にはさまれた複雑な気持ちになる。まあこれはインドネシアに限らず日本の田舎でも同じことなのだろう。

ただ、国のおかげで、どの島に行ってもほぼインドネシア語が通じるのは、旅人にとっては有り難い。もしインドネシア語がなかったら、隣の島はおろか隣の村に行っただけで言葉が通じなくなってしまう。インドネシア人のほとんどは、地方の言語とインドネシア語のバイリンガルである。

写真は、ヌサ・トゥンガラ諸島 フローレス島の西のほう

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好きじゃないけど インドネシア

2012-05-04 | はじめに


インドネシアが好きなのか、と聞かれれば、好きではない。と思う。
インドネシア人が好きなのか、と聞かれれば、もっと好きではない。と思う。
インドネシアを何度も旅しているのは、よほど楽しいからだろうと思われるだろうけど、正直言って、旅の最中、いいことより面白くないことのほうが多い。全くもう……、とか、何なのコレ、とか、早く帰りたい、と思っている時間のほうが長い気がする。今日はいい一日だった、と思うことは稀である。だから出発前には憂鬱になり、行くのをやめたくなる。

それでもまたインドネシアに出かけていこうとしているのはなぜなのだろう。
それは、あまりにも広大で、未知だから。好奇心がかきたてられるから。知れば知るほどもっと知りたい、もっと見たい、という気持ちが高まるから。
その山、その平原、その海には、豊かという言葉でもすくいきれないほどの自然がある。イヤなことばかり見えてしまうインドネシアだが、それは表面だけなのではないか。もしかすると、最近になって醸成されてしまったものなのではないか。根底には、長い年月の間、自然を基として積み上げられ育て上げられた暮らしがあり、そこに根ざしている人の考え方や哲学は、尊敬すべきものであるはず。それを心のどこかで感じずにいられないからである。なぜなら、世界中のどこの土地であろうと、その地の自然に根ざして生きる人たちは、現代のわれわれの真似のできない知恵と哲学を持っているからである。
先進国日本のわれわれは、先祖が大切にしてきた知恵と哲学を、惜しげもなく捨て、踏みつけ、背後に置き去りにしてきた。そうやって、振り返らず懸命に生きてきた。けれどももう、目指すところはなくなってしまったのではないか。われわれが置き去りにしてきたものは、大きな大きな落し物なのではないか。

かつて、日本では冷害があり飢饉があり、怠けていては生きていけなかったが、この南国の恵まれた自然の中では、食料は豊かで日本よりははるかに容易に生きることができたはずだ。それゆえ、がむしゃらに働く必要はなくのんびりしている、というのは、俗説でもあるだろうが、真理でもあると思う。
しかし、今、なぜだかその境遇は逆転しているようである。今、インドネシアの人たちは、日本やアメリカやヨーロッパを山の頂のように見つめ、懸命に上ろうとしている。あるいは、貧困から這い出そうとしている。彼らには目指すものがある。そしてその途上で捨てていくものもたくさんあるのだろう。

これから、インドネシアで出会ったモノや人、出来事を、
断片的になるかもしれないけど、写真とともに伝えていきたい。
中心となるテーマは自然と人のかかわり、土地の人の暮らし。
いろいろな町や村、交通のことなど。

写真は、フローレス島の田んぼ

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