タナ・トラジャの伝統建築、トンコナンハウスの窓はとても小さい。
その窓の向こうに親族のミイラが横たわっていることもある。
というのは、トラジャ族の人たちは、家族が亡くなってからお葬式をするまでに
何年も間をあけることが多々あり、その間、遺体をミイラにして保存しているからである。
ということは、結構な確率でミイラがいるんだと思う。
暑い国で窓の小さい家は住み心地が悪いと思うが
ミイラを風化させないためにはそのほうがいいのかもしれない。
少なくとも光は遮断できる。
家の中に炉、つまり台所があるのもこの家の特徴。
インドネシアやほかの熱帯の国では、台所を屋外の東屋や、家にさしかけた半屋外の小屋に作っているところが多い。
炉は3つの石を置くだけの基本形である。
炉の煙もミイラの保管に一役買っていただろう。
窓から私をのぞき見してる人。
家の正面には水牛の角をたくさん飾って力を誇示する。これまでにお葬式で捧げられた水牛の角である。昨日の記事の写真でもよく分かる。
ここに昔は人間の頭がい骨なんか飾ってなかったのか?と
勝手に素人の想像をめぐらせたりしている。トラジャ人は首狩り族なので。
首狩り族というと恐ろしい気がするが、日本人はもっと首狩り族なのだから驚くには値しない。
戦国時代の日本の戦のことを本で読むと、その首狩り度はトラジャ族の比ではないようだ。
お百姓などでも、落武者の死体が山の中に転がっていれば何でもいいので首をとって大将のところに持っていくとほうびがもらえたようなことが本に書いてある。
ただし見たわけではないので本当かどうかは知らない。
歌舞伎の一場面で、主への忠誠を示すために自分の子どもの首を箱に入れて差し出すのは有名である。菅原伝授手習鑑???だったっけ。
スラウェシの首狩りの風習はオランダ領になったときオランダがやめさせたのだそうだ。
屋根は伝統的には竹葺。割った竹をたくさん重ねてあるのだ。
トラジャ族の竹利用はすごい。
私のタナ・トラジャの一番の印象は、「竹の国」である。
最近は本当の竹じゃなくてプラスティックの竹もどきだったり、トタンだったりする。
日本の茅葺、藁ぶきの家も屋根から変わっていくから
やはり屋根というのはそれだけ造ったりメンテしたりするのが大変なのだろうと実感する。
写真/スラウェシ島タナ・トラジャ(2008年)
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