島のまにまに~インドネシアの小径~

海洋国インドネシアのあちこちでで出会う、美しい村、美しいもの。自然とつながる暮らし。

食べる煮干し

2014-07-30 | 食べもの

日本では煮干しは、家庭ではほぼ9割がた(以上)、だしをとるのに使われると思う。
そうじゃなくて食べるのは、お正月の「たつくり」ぐらい。
たつくりも結局カタクチイワシだから、煮干しと本質的には同じ。
ただ品質とか大きさとか見た目とかでたつくり用に選別されているのだろう。

最近「食べる煮干し」というのをスーパーで見かけるようになったけど
みんなどうやって食べているのだろう?
ビールのおともにポリポリ?

あの煮干しは、野菜炒めの最後のほうに数匹パッと入れて炒めると
すごくだしが出ておいしいのです。(あまり早くから炒めると苦味が出ます。)

そういう料理での使用法を知ったのは、スラウェシ島のタナ・トラジャでだった。
お葬式を見に行ったとき、お料理の中にあったのです。
インドネシアらしく辛い味付けだったけど、おいしくて、
インドネシアにも煮干しがあることを初めて知った。

まあ、干し魚ですから、どの国にもあるでしょうけど。




これもカタクチイワシ? 日本の目刺しに煮ています。盛り付け方が面白い。
一番上の写真は、透明な器が計量カップになっている。

煮干しは保存もきくし、お料理に使うにはとてもよいです。

関連記事 ボゴールの干し魚

写真上・下/フローレス島バジャワで(2012年)
写真中/スラウェシ島タナ・トラジャで(2008年)


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ジャグンティティーの作り方

2014-07-29 | 食べもの

  *モスリムの皆さん、断食明け、おめでとうございます。(って言うのかな……?)

レンバタ島の、海を見下ろす傾斜地に、へばりついているような村。
戸数15~20軒ぐらいだったと思います。
全戸が親戚で、キリスト教徒です。



乾季で草一本生えてない村の中。子どもたちが駆け回っています。
このあたりの村には、決まって広場があります。



前の記事と関連します。
レンバタ島のソウルフード、ひしゃげポップコーン(ジャグンティティー)の作り方。

おばあさんの前に、ポップコーンをたたく石。
右の籠の中に、乾燥したとうもろこし。
左のざるの中に、粒々をばらしたとうもろこし。
石の前の籠には、できあがったジャグンティティー。

ばらしたとうもろこしの粒。


この地方は今も焼畑をしていて、9月の乾季にはあちこちで畑をやいていました。
11月ごろ、そこにとうもろこしを蒔き、12月から雨が降り始め、
その後収穫になるということ。
3月から11月までは乾季で、雨が1滴も降りません。

レンバタ島は、フローレス島の2つ東にある島で、
フローレスでも焼畑+とうもろこし栽培をしています。
が、フローレスでは乾季でもたまには雨が降ります。
レンバタ島の南半分では、乾季の乾燥が特に激しいようです。



ポップコーンをたたきながら、ときどき左手で、壺の中のとうもろこしをかきまぜます。
壺は火にかけられていて、とうもろこしを炒っているのです。
日本の博物館でみかける縄文式土器とよく似た形。





はぜてポップコーンができています。

この壺は、島の中で、造ってもいい村が決まっているそうです。
(江上幹幸さんの本による)
市場で物々交換をして壺を買ってくるのです。



そしてポップコーンをたたきます。



できたジャグンティティー。
「どうぞどうぞ、いっぱいお食べ」みたいな雰囲気でしたが、遠慮してちょっとだけいただきました。「こんなものがおいしいのかい?」みたいな顔されました。

籠はロンタール椰子の葉で作ったもので、この地域ではみんな使っています。

どうか、フローレスやレンバタのとうもろこしが、遺伝子組み換えに侵されませんように。

写真/レンバタ島(2012年)

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石器とひしゃげポップコーン

2014-07-28 | 村の暮らしと仕事

おお、これは!
岐阜県郡上市の「古今伝授の里」の民俗資料館の展示。
下の石は「石皿」、上の丸い石は「たたき石」と名付けている。

見にくいけれど、手前の石の右側にはドングリが載っている。
木の実をこの石の上でたたきつぶして加工したってことなんだろう。

要するに石器。縄文時代中期のものとされている。
左下に少しだけ写っているのは磨製石斧。

インドネシア、レンバタ島。





2つの写真は別の人のもの。嫁入り道具? 代々受け継いだ?
女性は誰でも持っていて、
ひまがあると、家の前や庭先で、カチーン、カチーンと、
とうもろこしの粒をたたいている。



この石は、レンバタの人のソウルフード、ひしゃげポップコーン(ジャグンティティー)を作る時に使われる。
炒ってはじけたポップコーンを、この石の上に乗せて、上から丸い石でカシンと叩くと
ポップコーンがぺしゃんこになる。そのひしゃげポップコーンを主食にしたり
おやつにしたりしている。
おいしいものでした。





写真/上 岐阜県郡上市 (2014年)
    下/レンバタ島(2012年)


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タナ・トラジャの石柱と種子島

2014-07-26 | 住まい・建物

独特の葬送で有名なスラウェシ島、タナ・トラジャには
大きな石柱の建つ円形葬儀場がある。

ボルというところのものが一番大規模で有名で、
観光客はみんなそこに見に行くけれど
小規模なものはあちこちで見られた。



この円形葬儀場のことをRante(ランテ)といい、石柱をSimbuang(シンブアン)という。
貴族がここで葬式をする。
上の写真の石柱の向こうにみえるのは、広場の中心で、水牛のいけにえを捧げる場所である。

石柱は、下層階級の人たちが、水牛の皮で結んで、コロ(丸太)を敷いて
大勢で、よいしょ、よいしょ、という感じでほかの村から何日もかけて運んでくるという。

この円形葬儀場はいまだ使われていて、新しい石もある。
ボルのランテは400年前から使われているというが
トラジャ人がこの地にやってきた1000年~2500年ぐらい前からあるだろうという話もある。


で、種子島の北部、北種子(きたたね)地方。種子島は日本です、念のため。

   むむむ……  :神社1

   むむ……   :神社2

  むむむむむ……

  入口はこんな感じ。

  脇の道。道の両横は石をずらりと並べて仕切ってある。

こんな巨石のある神社は1つではありません。北種子のどこの神社にも、こんな石が据えられているのです。  :神社3




種子島の南部の茎永というところにある赤米資料館(名前正確じゃない)に行ったら
米の来た道についての説明があった。
日本への米の伝播には2ルートある。1つは中国・台湾のほうから来たもの。雲南とか、そういうところ。
もう1つは、東南アジア、フィリピンを通じて来たもの。こちらの米は今の日本の短粒米でもなく、タイにある長粒米でもないその中間ぐらいの米ということで、インドネシアの今のお米ってそうだろうと思う。種子島へは、このルートで米が伝わってきているらしい、という展示内容であった。

そういう文化の伝播の道があるっていうのは、インドネシアに親しみが感じられて、嬉しい。

写真/スラウェシ島タナ・トラジャ(2008年)
   日本 種子島(2014年)


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