南米料理と音楽の店 ペーニャあまんかい

アルゼンチンから一番遠いペーニャ(南米の音楽酒場)へようこそ

パチャママ 母なる大地

2010-03-04 16:53:00 | 南米の映画Pelicula
ボリビアのウユニ塩湖にすむ先住民を描いた映画「パチャママの贈り物」を見てきました。

映画のほとんどがケチュア語、少しばかりアイマラ語、スペイン語はさらに少しのこだわり様。この作品を手がけたのは日本人の監督というのですから驚きとともに、アンデスの先住民への愛と思い入れを感じました。

映像も美しい。塩湖の白、澄み切った空の青、牧草と麦の穂の黄緑、キヌアの赤、色とりどりのポンチョ。
その色彩と同時に、そこに住む人々の生き生きした表情、特におばあちゃんやおじいちゃんの人生を映す刻まれたシワがなんとも素晴らしい。

音楽はルスミラ・カルピオ。彼女は何オクターブの声の持ち主でしょうか?
よくケーナのような声と例えられますが、ケーナを超えた美しい彼女の歌声がまた印象的でした。

リャマを連れて小さな村に塩を運ぶキャラバンに出掛けた親子が途中で2匹のリャマがいなくなっているのに気づいて、近くの村人達が夜を徹して一緒に探してくれるのだけれど、結局、その村人の一人が盗んだ事が判明します。村人は彼を糾弾、追放するんです。彼を裸でロバの背に後ろ向きに乗せて、村人みんなが叫びます。

「盗むな 怠けるな 嘘をつくな」

シルビオに聞いたらインディオの教訓でスペイン語で
「No Robar No Mentir,Trabajar」という言い回しになっているそうです。

ハイ、しっかりココロに刻みました。


「パチャママの贈り物」
EL REGALO DE LA PACHAMAMA

監督:松下俊文 音楽:ルスミラ・カルピオ
2009年 日本・アメリカ・ボリビア


「線路と娼婦とサッカーボール」

2008-02-28 19:02:28 | 南米の映画Pelicula
グアテマラを舞台にした映画「線路と娼婦とサッカーボール」を観てきました。
グアテマラのLineaと呼ばれる線路脇に連なる貧民街の娼婦たちが自分たちを取り巻く劣悪な環境や処遇を訴えるために「ただ主張しても誰も聴いてくれない」のでサッカーチームを設立するお話。
メンバーひとりひとりが壮絶な人生を語るドキュメンタリー映画でもあります。
社会の歪みはすべて弱い立場の人間に津波のように押し寄せる。彼女たちのムーブメントが知れ渡ると差別極まりない圧力がかかります。
サッカーチームを応援する18年前に娼婦を引退した老女マリナはいつも口ずさんでいる。いにしえのボレロを。
報われない人生と愛を。まるで彼女の人生そのものだ。
その歌を聴きながら、刑務所に拘留された夫を待ち続ける若い娼婦が涙ぐむ。
着飾った歌ではない匂ってくるようなリアルな歌を聴いた。

     「Estrellas de la Linea」2006年/スペイン

アルゼンチンのアニメーション

2007-12-21 23:21:18 | 南米の映画Pelicula
こちらで観ることができます

<script> var CFLwidth = "510"; var CFLheight = "320"; var CFLswfuri = "http://rd.yahoo.co.jp/streaming/blogparts_program/*http://i.yimg.jp/images/streaming/flash/blogparts/program.swf?proid=t/00344/v01593"; </script><script type="text/javascript" charset="euc-jp" src="http://i.yimg.jp/images/streaming/promo/blog_parts_plist/js/blogparts_program.js"></script>

<script> var CFLwidth = "510"; var CFLheight = "320"; var CFLswfuri = "http://rd.yahoo.co.jp/streaming/blogparts_program/*http://i.yimg.jp/images/streaming/flash/blogparts/program.swf?proid=t/00344/v01596"; </script><script type="text/javascript" charset="euc-jp" src="http://i.yimg.jp/images/streaming/promo/blog_parts_plist/js/blogparts_program.js"></script>

アルゼンチン映画への御招待

2007-04-18 08:26:40 | 南米の映画Pelicula
現在開催されている映画祭のこともあって、ここのところ南米を中心に映画ばかり見ています。


先週上映された映画は「HISTORIAS MINIMAS(小さな物語)」
目的は違うけれどアルゼンチンの南、パタゴニアに向かう3人が不思議に交差してゆくそんなストーリーです。
時々カメラが引いた時に映る地平線の美しい事。
地平線がこんなに出てくる映画は珍しいんではないですかね。
アニメでは、はじめ人間「ギャートルズ」がありますが・・・・


2本目は、「EL ABRAZO PARTIDO(僕と未来とブエノスアイレス)」というブエノスアイレスにあるガレリア(商店街)を舞台にした映画で、唯一日本でも公開された映画です。
ガレリア店主達も人種が様々でアルゼンチンの縮図のようです。
主人公のアリエルは長い間会わなかった父親を見かけた時、母から衝撃の告白をされた時、現実から逃げ出そうとするのですが、兎にも角にも走る。
ブエノスアイレスの街を疾走するんです。その時にかかるオーケストラ・タンゴがとーってもいい!
このCDを手に入れたいと切に思いました。
何の因果か、丁度この映画を始める時に機械の不備が見つかって、私も久茂地を疾走する事になってしまいました。往復4キロを全力失踪したのは何年ぶりでしょうか。笑
アリエルの母の恋人役のサロ・パティックさんはかつてシルビオと一緒に仕事をした古い友人なのだそうです。

今度の日曜日の一回目の映画は2004年制作の「ROMA」。
長い間一人でスペインに住む偏屈なアルゼンチン人作家ホワキン・ゴメスが自らの自叙伝を雇った助手と執筆する事になるのですが、ホワキン氏の一言一言に毒気があり、苦笑させられます。
そんな彼のブエノスアイレスでの幼青年期、出会った女性、そして母、ローマとの思い出が語られていくのですが、彼の人生にどんどん引き込まれていきます。
ホワキンが幼かった時、一緒に川釣りに来た父が言います。
「Las penas la tristeza la bronca por algo que te haya pasado,todo lo malo al rio.(心の)痛み、悲しみ、怒り、何かおまえに起こったら、悪い事は全て川へ流せばいいんだ」
本が完成し「もうここには戻ってこない」と言い残しホワキンが向かった先は・・・・


映画祭最後を飾るのは2003年制作
「Bar"El Chino"」
ブエノスアイレスのポンページャ地区に実際にある店、バー”エル・チーノ”が舞台になっています。
店の中ではタンゴやフォルクローレが演奏され、長年その店で歌ってきた歌手達のステージやインタビューと
その店に惚れ込んで記録を残していた編集者と映画の企画を持ち込んだ女性とのロマンスを交えながらアルゼンチンの抱える社会問題までも写していく、そんな作品です。
タンゴ、そしてフォルクローレファン必見の映画です。

日本語字幕がないと言うハンデにもかかわらず、毎回たくさんの方々がお越しになっています。
見ごたえありますよ。アルゼンチン映画祭に是非遊びにきてくださいね


マルビナス島

2007-02-16 04:31:14 | 南米の映画Pelicula
アルゼンチンの南東沖にぽっかり浮かぶマルビナス島、日本では新潟県の面積に相当する島。
この小さな島を巡り、82年に勃発した世界的にはフォークランド戦争、アルゼンチンではマルビナス戦争と呼ばれた戦争の帰還兵を描いた映画「ステイト・オブ・ウォー」を観ました。

以前、テレビでこの戦争のドキュメンタリーを放映していましたが、最新鋭の兵器を試すための戦争だったと位置づけられていました。
もう力の差は歴然、アルゼンチン対イギリスではなく、アルゼンチン対NATOというとんでもない戦争に突入し、夏服、運動靴のまま厳寒の島に送られ犠牲になった兵士たち。
戦争が終わって国民的英雄として祖国に迎えられるものと思っていたら、待っていたのは母親だけ。
帰還兵の自殺は後をたたなかったそうだ。シルビオの知人、親戚もマルビナスに送られたと聞きました。この戦争によって軍事政権への以前からの批判がさらに高まり、悪名高きアルゼンチンの軍事政権は終焉を迎えることになるのです。

印象に残ったシーンは、絶望し憔悴しきったアルゼンチン兵士が汚れたボールを見つけてサッカーをする場面。イギリスによってもたらされたサッカーによって、つかのまのあいだ、心が癒される アイロニーに満ちたシーンでした。

Viva la patria 祖国万歳。
いつも思う。誰のための戦争だろうと
声高らかに平和を唱える前に自分自身に問うてみる
果たして己の中に平和があるのだろうかと

「ステイト・オブ・ウォー」
Iluminados por el fuego
(2005年アルゼンチン/スペイン)