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映画『ソウルの春」と映画『小説吉田学校』を見て考える「なぜ韓国では軍政が続き、日本では政党政治が定着したのか?」

2025年06月17日 | 映画

韓国の戦後の政治について、映画『ソウルの春』のほか評価の高いいくつかの映画をみた。

1983年の映画『小説吉田学校』(原作:小説吉田学校)は、戦後日本の政治史を知る上で貴重な作品。『日本のいちばん長い日』の新・旧作など

そこで「なぜ韓国では軍政が続き、日本では政党政治が定着したのか?を考える。映画を見て調べてみると、日韓両国の対照的な違いが、いくつか浮き彫りになった。

 はじめに:『ソウルの春』から浮かぶ問い
韓国映画『ソウルの春』は、1979年の「12.12軍事クーデター」を描いた作品である。朴正熙暗殺後、民主化を求める声が高まる中、保安司令官・全斗煥が軍を動かし政権を掌握していく様子が描かれる。
この作品を観た時、ふと疑問が湧いた。なぜ日本では戦後すぐに政党政治へと移行し、韓国では軍政が繰り返されたのか?

↑ 写真 韓国12.12粛軍クーデター パブリックドメイン 著作権フリー

 戦後政治:日韓のスタートラインの違い

★日本:GHQ統治と「官僚+政党」の混成政治
敗戦により、軍部は完全に解体され、GHQが実質的な統治者となった。


旧内務官僚や財界人が公職追放される中でも、官僚機構そのものは温存され、占領統治に活用された。

政党は再建され、保守と革新の対立が始まるが、最終的には自由民主党が安定政権を築いていく(いわゆる「55年体制」)。

☆ 韓国は、独立=即混乱、軍の政治関与が常態化

解放後はアメリカ軍政下に置かれ、初代大統領・李承晩は米国支援で就任。

朝鮮戦争(1950〜53)により、「反共の砦」として軍が国家の柱に。

1961年、朴正熙による軍事クーデターが成功し、その後18年間の軍事主導体制が続く。

日韓はともに戦後の混乱期を迎えたが、日本は「再出発」、韓国は「ゼロからの国家建設」だったという根本的な違いがある。

それ以前の両国の統治の伝統


★日本の「支配者=天皇/武士」体制の特徴
統治の正統性が血統と神話に裏打ちされた天皇制に依存。

幕府・藩などが「法よりも忠誠」を重視する武士階層社会。

明治維新では、既存の武士エリートが「官僚」となり、中央集権国家を築いた。

☆ 朝鮮の統治の正統性は儒教的徳治と文官的知性(=科挙)に依拠。

両班支配層は軍事よりも学識・道徳を重視し、軍の独立性は弱かった。

しかし日韓併合でこの体制は消失し、独立後の韓国には「継承すべき統治者の系譜」が存在しなかった。

日本は「伝統の延長線で近代国家を編成」できたのに対し、韓国は「近代国家をゼロから作らざるをえなかった」。この歴史的差異は大きい。

結論:韓国の軍政と「国家の正統性」不在の問題

韓国で軍政が繰り返された理由は単なる権力欲ではない。そこには、

南北分断という恒常的な国家危機

建国神話や王統を持たないことによる国家の正統性不在。

独立直後に生じた政治的混乱と制度未整備

といった背景がある。軍がその空白を埋める「秩序の執行者」として支持を得た面もある。

一方の日本は、敗戦で軍が失墜したとはいえ、官僚機構の継続性と象徴天皇制による正統性によって、「実務」と「儀式」の両面で国家の柱を維持することができた。

 


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