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『親友・西郷隆盛』―伝承の日本史 単行本 – 2014/12

2017年10月03日 | 本と雑誌
親友・西郷隆盛―伝承の日本史 単行本 – 2014/12
斎木 雲州 (著)
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出雲出身の富村雄は明治維新の始めから、西郷隆盛の死後にいたるまで親友として、かれの近くで活動した。
その富村雄は出雲大社の筆頭上官であったが、筆者(この本の著者)の曾祖父にあたる。その村雄から聞いた西郷隆盛のの話をここに紹介する。
 
この前書きを押さえないで読むと、すべってしまうだろう。
維新史のツボが歯切れのいい文章で手際よくコンパクトにまとめられている。
知識の整理にも良いが、初めて聞くような事実の提示と解釈が、いくつもあって熟読しないと、浅い知識では誤読してしまいそうだ。勝者の書かない歴史というのだろうか。
 
明治維新は市民革命に似たものととらえ、西郷のあの「敬天愛人」の
「敬天」は尊王思想で、「人」は人民で「愛人」は「人民尊重」と示すという。
 
ここにはいままで聞いたキリスト教の影響は直接的には感じられない。
 
島津久光と、民本主義の社会を目ざす西郷、大久保、富村雄の3人と、それぞれに思惑が独自の視点でまとめられ、説得的だ。
 
例えば、鹿児島の異人館(旧鹿児島紡績所技師館)のイギリス人から
斉彬は、科学技術の知識だけでなく、西洋の政治組織を学んだ、という重要な指摘。それは斉彬を通して西郷も学ぶことができたと推測される。
 
西郷が斉彬に抜擢される契機となったあの西郷の農政に関する意見上申の投書も、名誉革命のような社会構造の変革のための手始めだったという理解は、新鮮で、維新の見方や西郷の行動を理解する上でも刺激的だ。
 
このような新鮮で意外な見方は、ほかにもいくつかあるが、
 
第十二章 明六の政変と大久保専制P116
 
海外視察の大久保が、
ドイツのビスマルクの「不平等条約は話し合いでは、解決しない。強国になることが必要だ。
(略)」という演説に感銘をうけ、急いで帰国し、そこで西郷政府の朝鮮使節派遣(いわゆる征韓論)に出くわす。
 
民本主義の社会を目ざし、かつて西郷、大久保、富村雄の3人で誓った「敬天愛人」の考えを大久保は改める。
愛国のために「専制君主」を理想とするというのだった。
「人民を甘やかしては、ならなぬ。重税政策で軍事力を強化せにゃならぬ」と大久保。
以前の「敬天愛人」は破棄せねばならない。西郷政治は許されない。
西郷と大久保の対立(戦争)がここに始まる。
「重税は悪策です。貿易で富を増やすのが良策でごわす」という
西郷の主張は征韓ではなく、韓国貿易実現のための開国要求のためだったのだ。なるほど。
と、ここはまだ「明治6年の政変」の前の話。
 
そうすると「西南戦争」の呼称からして、考えなおさねばならない。
後ろ向きの士族の反乱と違うものだった。
 
西郷の新政府要求行進、つまり、武器を持っていたとはいえ、今でいうデモ行進のようなつもりだったのだ。西郷は、熊本も早く通り過ぎるつもりでいたが、熊本城天守閣炎上というハプニングが、運命を変えた...。
地元では「南九州の変」と言われたらしい。
 
ここのところは、論理一貫し、圧巻だが誤読の恐れもあり、も一度丁寧に読みたい。

 
amazon 内容(「BOOK」データベースより)
西郷隆盛は誤解されている。親友が語る話。
amazon 登録情報
単行本: 144ページ
出版社: 大元出版 (2014/12)

ここのところ、維新史の本がつづいている。
 
ペリー来航で、大慌ての江戸幕府をからかった"太平の眠りを覚ます上喜撰たった4杯で夜も眠れず"という狂歌は、確か橋の欄干だかの落書きで、いわば今のSNSといったところだっただろうか。
当時の江戸の社会と、そこに暮らす庶民の成熟ぶりと、ある意味、維新の本質も垣間見えてくる、見事な表現に恐れ入る。ご政道批判とお縄にしようにも、ぺりーのぺの字もない。
上喜撰とは上流階級が飲む上等の宇治茶のことらしいのだが、
昨今、解散総選挙に向け、首相は北のロケットマンを黒船に見立てTVでワレワレの危機感をあおっているかのようだが、ネットでは、庶民の手軽な食べ物インスタンカップ麺「緑のたぬき」の話題でざわついている。
これは、黒いたぬきを中継するTV番組から、ひょんなことで飛び出したらしい。
いっぽうでは「赤いきつね」もかかせない。
選挙後、何年かたって"太平の眠りを覚ます上喜撰”に匹敵するような狂歌に
はってんするのだろうか?。
今日は少し書きすぎだ。

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