『海から来た植物』―黒潮が運んだ花たち (単行本)
中西 弘樹 (著) google
2008年6月25日初版弟一刷発行
===
奄美へ旅するもの、
人のほかに、渡り鳥やチョウ、回遊魚など。
そして忘れてはならないのは、植物。
海岸には漂着物に混じって、さまざまな植物たちが名も知らない遠くの場所からやってくる。
海岸は、高等植物の生存には厳しい環境である。塩分、強い日差し、風によって吹き付ける砂。
こうした環境で分布域をひろげる海流散布植物には、内陸の植物にはない特徴的な構造をもち、植生や生態にも環境に適応した興味深い特徴が見られる。
黒潮の流れにのって北上する海流散布植物ハマユウ(ハマオモト)を追って、
植物生態学者にして漂着物学の第一人者である著者は各地を旅し、そして万葉集、源氏物語、枕草子などの文献にあたって時間の旅をする。
ハマユウは平安時代から鎌倉時代まで、多くの文献に登場し、あれほどよく知られたにも関わらず、江戸時代になると園芸家によって呼び名がいつの間にかハマオモトに変えられてしまったと共に、その存在が忘れられていった。p 171
それはナゼか?
日本人として、いやヒトとして、自然との関わりが薄れつつある現代人の生活観にも一石を投ずる。
ほかに、ハマボウ 日本のハイビスカスふよう、グンバイヒルガオなど。
===
内容(「BOOK」データベースより)
海辺に咲く花の名前を知っていますか?万葉集に詠われて以来、源氏物語、枕草子にも登場する、日本人に最も親しみ深い海流散布植物ハマユウ(ハマオモト)を主な題材に、黒潮が運んだ海岸植物に秘められたふしぎの数々を、植物生態学者にして漂着物学の第一人者である著者が丹念に読み解く。