創世記23章6節である。「ご主人、お聞きください。あなたは、わたしどもの中で神に選ばれた方です。どうぞ、わたしどもの最も良い墓地を選んで、亡くなられた
方を葬ってください。わたしどもの中には墓地の提供を拒んで、亡くなられた方を葬らせない者など、一人もいません。」という。これは「泣く人と共に泣く」(ロマ
12:15)という人々の誠心誠意の答え方である。サラの生涯は127年という。
アブラハムは、その父テラ70歳のときに生まれ、この彼が75歳のときに145歳の父テラを残し、意を決してハランを発った。そのとき、10歳年下65歳の妻サラ
イと、5~6歳(推定)の少年の甥のロトとを連れていた (12:4)。辛苦を共に62年間の人生の旅路の別れ。これをいって、カナンの地、ヘブロンでの、大いなる悲
しみという。
7節である。「アブラハムは改めて国の民であるヘトの人々に挨拶をし、」という。4節でアブラハムは、「墓地を譲ってください」と頼んだはずである。6節をよく読ん
でみると、ヘト人の言い分は、「~わたしどもの中には墓地の提供を拒んで、亡くなられた方を葬らせない者など、一人もいません。」という。あくまでもそれは「土
地の提供」であって、売り渡すとは、いってもいない。恐らく、売り渡す意思はまったくなかったと観るのが普通である。厳しく感じ取ったのはアブラハムであった。
これがいつに時代にも通じる土地と人間との関係である。アブラハムは慎重に受けかつ一層積極的に話を進めねばならないと考えたようである。7節の「挨拶を
し、」というのは、直訳すると、「立ち上がってひれ伏す」という言葉である。挨拶上の駆け引きが始まった。人間ヘトの言い分をごく当然のように受け対応しようと
した。
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