五、「教会とわたしたち」(409)
5.近代から現代へ(宗教改革とその後)
はじめに、近代への萌芽としてアウグスチヌス著「神の国」(1968.教団出版)(その49)
30.キリスト教の影響について不平を述べ立てる者は、実は恥ずべき快楽の機会を求めているにす
ぎな い。
そうして、実際彼の判断は誤っていなかった。そののち起こったことは、彼が真実を語っていたことを証明した。
カルタゴが潰滅(かいめつ)したとき、ローマ共和国は深い不安から解放され、恐れは取り除かれた。しかし万
事が好調に進んでいる状態から途方もない悪が生じ始めた。(前回はここまで)その結果、まず調和の精神
が、野蛮で残酷な反乱によって損われ・失われてしまった。さらに打ち続く反乱は内戦にまで発展し、大量虐殺
や流血が行なわれ、貪欲や強奪、追放に示されるような恐るべき非人道的行為が現われた。かくして、国が安
全であった時代には、ただ敵の手による害だけを心配していたローマ人は、今や平和が失われると、同国人の
手によっていっそう残酷な運命を味わわなければならなくなった。人類に共通の悪徳のなかでもことにローマ
人の特質である支配欲は、小数の有力者に特に明らかに示されたのち、残りの国民をそのとりことした。彼ら
はすでにうみ疲れ果てている。
31.どのような邪悪な過程を経て、支配欲がローマ人民の間に生長したか。
32.舞台劇の導入。
……あの恥ずべき見世物、放逸な虚栄心の現われである舞台は、初めは人々の邪悪さによってではなく、あ
なたがたの神の命令によって創始された。(つづく) (「神の国」出村彰訳)