五、「教会とわたしたち」(433)
5.近代から現代へ(宗教改革とその後)
はじめに、近代への萌芽としてアウグスチヌス著「神の国」(1968.教団出版)(その73)
最終篇に入ります。
第二十二篇 神の国の永遠の浄福に 7.この世がキリストを信じるに至ったのは、人間的な説得の結果ではなく、神の力の結果である。8.この世をキリストの信仰へと獲得するためになしとげられ、世界が信ずるに至った今でもなされている奇跡について。
さて、復活節の日が来た。その聖日の朝に、大会衆の集まっているところで、若者は殉教者の聖道物の前で祈り、聖堂の柵につかまっていた。突然彼は地に倒れ伏し、眠っている人のように彼は横になった。しかし、もはやいつものように震えてはいなかった。そこにいた人はみな驚いた。ある者は恐ろしくなり、他の者は同情した。人々が彼を持ち上げようとしたとき、ある者らはこれを止め、いったい何が起こったのか待ってみよ(前回はここまで)うと言った。突如として彼は起き上がったが、しかも依然として震えてはいなかった。彼は癒されたのであった。彼は健康になってそこに立ち、驚きあきれた人々を眺め返していた。
いったいだれが神をほめたたえずにおれようか。全教会は隅々まで喜びと感謝とに涌き返った。ある人が走って来て、まさに始まろうとする行列を待って座していたわたしにこれを告げてくれた。それから、次々とやって来ては、別の人が前に述べたことをそれぞれ教えてくれた。わたしも喜びに加わり、神に対し静かに感謝をささげていたところへ、若者も大勢の他の人々と一緒に(つづく)(「神の国」出村彰訳)