Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

琉球 美の宝庫

2018年08月17日 11時44分47秒 | 茶道具以外の展覧会
『琉球 美の宝庫』 サントリー美術館 ※9月2日(日)まで 

 サントリー美術館のメンバーズ・クラブになって、3年前に入った。
 今のところ、モトは充分に取れていると思う。

 仕事帰りにふらっと立ち寄ったり、友だちを誘って一緒に訪れたり。
 展示替えの有無にかかわらず、同じ展示であっても寄ってみることもあった。

 こういう場所が都心に1か所あるのは有難い。

 また、以前だったら足を運ばなかったジャンルの展覧会も年間パスがあるか訪れるようになったことで、
 今まで知らなかった世界を知るようになったりね。

 いくつになっても、未知の世界と出会う楽しみは同じだということを、最近やっとわかるようになった。
 人間、幾つになっても成長できる。

 今回の琉球はまさに、それ。
 数年前、紅型の展覧会がかかったことがあった。

 興味なくはなかったけれど、招待券が入手できなかったので、「わざわざお金出して観るのはなぁ。」と思って見にいなかった。

 年間パスは5,000円。当日券は1,300円。

 目の前の、ぶらっと訪れて1,300円は「高い!」と思ってしまうこの金銭感覚って

 映画1本より安い。もっとも映画は1,100円に時しか観ないけど。
 ランチもだいたい1,000円前後。たまに1,300円くらいかかる時もあるけど、それは奮発の部類に入る。

 だけど、パスを買って以降、年間あたり同行者の分も含めるとワンコインを切るペースで訪れているから

 贅沢なランチがスタバの珈琲になったくらいの感覚。

 まぁ、そういうわけで今回の琉球展も既に2回訪れている。うち1回は同伴者あり。

 琉球美術については、まったく興味がなかった。
 沖縄へも2か月前に初めて訪れたくらいだ。しかも、たった6時間。観光したのは首里城だけ。→こちら

 だけど、たったそれだけで、今回の展覧会を鑑賞するのに役立ったなぁ。

 今回の展覧会は4つのパートから構成されている。

 染織と絵画、国王・尚家の調度品や美術工芸、そして漆芸だ。

 染織は紅型に代表されう型物、アジアっぽい色彩や色合いやモチーフ、舞踊の折りに装うものから、王族の衣装、庶民の日常着まで
 バリエーションに富んでいて、見てるだけで面白い。

 龍とか鳳凰も中国っぽいのが、やっぱりねぇとか思う。

 琉球絵画は本当に不思議。
 中国画のような、いやいや日本画のような。
 どちらのテイストを生かし、想像しながら描いてあろう日本の景色とかね。

 逆に葛飾北斎による琉球八景図とか。
 北斎といえば、観察眼があって、実際に見たものしか描かないのかと思っていた。

 別の琉球八景図を見て、それを基に描いたようだ。

 実際に見た風景ではないことで、絵のたっちからは戸惑いのような不思議な空気が流れてくるような。


 琉球の成り立ちは実はよくわかってなかったけれど、今回は事前に別室で解説を聴くことができた。
 
 中山王の「中山」って何? だったけど、他に「北山家」と「南山家」があって、その中で「中山家」が統一したわけね。
(あの狭い島を3勢力で争うって、すごい)

 もっとも、王家の工芸品は6月に首里城で見たものの方がよかった。

 沖縄で見た王冠は本物だった。(あれ? 来月、サントリー美術館に来るのだ~と思った)

 再会だねと思ったら、復元品だった。

 本物の展示は8月22日~9月2日まで。

 もう1回、行かないとっ。

 漆芸は沖縄で見た時も圧倒されたけど、やはり見事。
 夜光貝が大きいというか、施されている面積が広いから、ダイナミックなんだよね。
 それでいて繊細だし。

 朱漆はもともと剥がれにくいのか、年数が経ってくると残念なことになってしまうけれど、
 保管環境がよほどよかったのか、現役で使えそうなクオリティの高さだった。

 面白かったのは王家のところに朱漆系に模様が施された馬上杯。

 最初見た時は台に載った椀にしか見えなかった。

 ん? と思いつつスルーしたけど、2度目に訪れた時に「あ!」と思い側面に目線を合わせてみた。
 台には穴があって、手で握る棒が差し込めるようになっていた。

 台はだたのホルダーだった。

 なるど台から引き出せば、馬上杯だ。

 もっとも、用途の工夫あっても、実際にどれくらいの頻度で馬上で飲んだのか、アヤシイ。

 こういう琉球の美術工芸に特化した展覧会の機会は少ないから、楽しい。

 戦災で焼ける前の首里城や守礼門の写真パネルも見た。
 白黒(というかセピア色)だったこともあり、けっこーボロボロに見えた。

 潮風で風化するからねぇ。
 もし、あれがそのまま遺っていたら、また別の展開があったのだろうなぁ。

 次は醍醐寺だ。それもちょこっと愉しみ

 ★サントリー美術館バックナンバーリスト
2018年5月 『清朝皇帝のガラス』
2018年4月 『寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽』(後期)
2018年3月 『寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽』(前期)
2017年11月 『狩野元信』(再訪)
2017年9月 『天下を治めた絵師 狩野元信』
2017年8月 『おもしろびじゅつワンダーランド2017』
2017年6月 『神の宝 玉手箱』
2017年4月 『絵巻物マニア列伝』
2017年3月 『コレクターの眼 ヨーロッパ陶磁と世界のガラス』
2016年9月 『KIITSU 鈴木其一 江戸琳派の旗手』 
2016年8月 『エミール ガレ』
2015年11月 『逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし』
2015年8月 『藤田美術館コレクション―東洋美術の至宝―』
2015年6月『乾山見参!』
2015年1月『天才陶工 仁阿弥道八 のびのびと、まじめに。』
2014年7月『徒然草 美術で楽しむ古典文学』
2014年4月『のぞいて びっくり 江戸絵画 科学の眼、視覚のふしぎ』
2014年1月『天上の舞 飛天の美』
2013年8月『谷文晁』
2013年5月『「もののあはれ」と日本の美』

2012年8月『おもしろびじゅつワンダーランド展』 
2012年5月『毛利家の至宝 大名文化の精粋』
2012年2月『悠久の光彩 東洋陶磁の美』
2011年7月『不滅のシンボル 鳳凰と獅子』
2011年4月『美を結ぶ。美をひらく。』「夢に挑む コレクションの軌跡」
2011年4月 開館50周年記念『美を結ぶ。美をひらく。』
2010年9月『誇り高きデザイン鍋島』
2010年2月『おもてなしの美 宴のしつらい』
2009年4月『一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子』
2009年1月『japan蒔絵ー宮殿を飾る東洋の煌めく燦めき』
2008年4月『ガレとジャポニズム』
2007年12月『鳥獣戯画がやってきた』

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