Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

エミール・ガレ展

2016年08月15日 05時40分39秒 | 茶道具以外の展覧会
★サントリー美術館 サイト
 『エミール ガレ』 ※8月28日(日)まで

サントリー美術館はガレコレクションが充実して、8年前に見たガレ展も面白かった。→こちら
ただ、あの時のテーマは「日本に憧れたガレ」。
日本に憧れて、ガレなりに解釈した日本のイメージを作品に投影したけれど、
それは当時のフランスに流行したジャポニズムを象徴する芸術になった。

でも、ガレ自身は希望しつつも来日は果てせず、
日本人から「ん?」と思うジャポニズム~

という印象だった。

それだけに、本来のエミール・ガレ(1846-1904)について
どういうバックヤードを持った芸術家だったのかということに、思い至らなかった。

今回はそういう部分をじっくり見せてもらった。(生誕170年記念というだし)

ガレといれば、なんといってもガラス工芸
そもそも、実家がガラス工房だったから、家業を継いだのね。

家業を発展させるだけでなく、陶磁器(磁器)や絵画、彫刻、インテリア(=家具)と
器用さと感性を生かした広がりはすごい。

工房の経営者という立場は新鮮。
あのガラス作品も彼自身が作ったのではなく、彼がデザインして工房の職人に作らせていたわけ。

なるほど。
精緻なデザイン書に指示を書き入れてるところが、
作家じゃなくてインテリアデザイナーだったのだと改めて感動した。

それに植物学者としての一面も。

出身のフランス・ロレーヌ地方を象徴するアザミやロレーヌ菊をモチーフにした作品群。
描き方がリアル。写生がいい具合に反映されている。

お庭で様々な植物を育てて、デッサンをしていたらしい。
その中にはわざわざ日本から取り寄せた紫陽花も。
紫陽花をモチーフにした花器や鉢は実に独創的。
(そもそも、紫陽花は日本の花?)

日本人はこういう風に紫陽花をモチーフにしない。
おフランスならではの紫陽花の使い方で、すごい。
(耳の部分に小さいまん丸の紫陽花をあしらった器がステキだった)

植物には昆虫類も不可欠。
だから、トンボやバッタや蛾も気持ち悪いくらいにリアルに描かれている。

そして、ジャポニズムも少し。
ペリカンと龍(?)の対決。暗い色のガラスが不気味で面白い。

ガラスに蒔絵に施す手法は現代の漆芸作家がよく取り入れている。
100年以上も前のフランスで既にガレが手掛けていたとはね。(漆芸風?だけど)

磁器にも伊万里の模様を参考したデザインがあった。
面白かったのはバッタの置物。
バッタが着物を着ている~。着物の模様が有田焼でよくある文様。

あと、カッティングに堆朱倶利の渦巻きの部分に大きく施したガラスの器。
渦巻きが大きくすぎて、見落としてしまいそうだけど、ちゃんと倶利

あと、寄木細工と同じ技法のマルケトリという手法で作ったガラス作品も魅力的。

デザインだけでなく、技法も日本を反映させているところがすごいなぁ。

そういう日本と触れ合うきっかけはパリ万博。

おそらく1967年で出会ったのだろう。
たしか、徳川幕府と薩摩藩が出展したんだよね。(大河ドラマ『獅子の時代』が懐かしい)
白薩摩なんて、きっとガレを魅了したのだろうなぁ。

1889年の万博には深く関わったみたい。


家具もすてきだったなぁ。
そして、最後にキノコのランプ。

やっぱり、ガレはガラスよね。

今回、思い切ってメンバーズ会員になった。
これから1年、暇ができたら通うぞ~


★サントリー美術館バックナンバーリスト
2015年11月 『逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし』
2015年8月 『藤田美術館コレクション―東洋美術の至宝―』
2015年6月『乾山見参!』
2015年1月『天才陶工 仁阿弥道八 のびのびと、まじめに。』
2014年7月『徒然草 美術で楽しむ古典文学』
2014年4月『のぞいて びっくり 江戸絵画 科学の眼、視覚のふしぎ』
2014年1月『天上の舞 飛天の美』
2013年8月『谷文晁』
2013年5月『「もののあはれ」と日本の美』

2012年8月『おもしろびじゅつワンダーランド展』 
2012年5月『毛利家の至宝 大名文化の精粋』
2012年2月『悠久の光彩 東洋陶磁の美』
2011年7月『不滅のシンボル 鳳凰と獅子』
2011年4月『美を結ぶ。美をひらく。』「夢に挑む コレクションの軌跡」
2011年4月 開館50周年記念『美を結ぶ。美をひらく。』
2010年9月『誇り高きデザイン鍋島』
2010年2月『おもてなしの美 宴のしつらい』
2009年4月『一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子』
2009年1月『japan蒔絵ー宮殿を飾る東洋の煌めく燦めき』
2008年4月『ガレとジャポニズム』
2007年12月『鳥獣戯画がやってきた』


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