Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

乾山見参!

2015年07月03日 06時44分29秒 | 美術館・博物館etc.
『着想のマエストロ 乾山見参!』
★サントリー美術館 サイト ※7月20日(月・祝)まで

今年は琳派400年ということで、
あちこちで乾山の器を拝見する機会が多い。

ん? 乾山といえば、昨秋の出光美術館『仁清と乾山』があったなぁ。
(出光ではそれ以前にも『光琳と乾山』を鑑賞したことがあった)

なので、サントリー美術館で乾山展~というのが少し意外な気がした。
(切り口というか角度はどう変わってくるのかなぁ。。。という期待も)

まずは乾山が登場するまでの背景。

中国の三彩に始まり、織部や志野、そして楽焼が並ぶ。
ノンコウの黒楽茶碗『山里』、光悦の赤楽茶碗『熟柿』は懐かしかった。

もちろん、時代そのものがわかる歌舞遊宴図屏風も。

そして光悦の謡本。
表紙の雲母文様が乾山の器の文様に使われているという。

2冊あるうちの1冊の文様が乾山の蓋物の器の内側に~。

「謡本と蓋物を並べておいてほしいよね」と言った同行のふくろうさんの言葉の意味が
後から図録を眺めて、やっと理解できた。

確かに。

でも、謡本の雲母文様って見えづらいから、現物みてもわからなかった~と思う。

そして、師匠の仁清の作品。

見上げるような首の角度の色絵鶴香合がたぶん初見。

サントリー美術館、いろいろ持ってるなぁ。


乾山までの流れを堪能した上で、やっと乾山が見参!

戦国の世が終わり、天下泰平の時代が成熟した中で
目の肥えた商人や大名を満足させるクオリティを目指したのねぇ。

乾山といえば、花鳥図12か月の各皿。

こんなに大量生産していたのか。。。

狩野派のと琳派の絵のタッチって、こんなに違うのかぁ。

そして、12か月の各月の景色は「定番」があるのねぇ。

酒井抱一も花鳥12か月をよく描いているけど、確かに「定番」の構図だわ。

と、今更ながら感心した。

朝日新聞の夕刊でも紹介されていた色絵の盃台。

2種類。
見事だけど、重そう。
陶器は落とすと割れちゃうからねぇ。今一つ実用的ではないかも。

さび絵も渋い。こういう乾山にスポットを当てた展覧会でもないと見る機会がないから貴重だなー。

鳴滝窯の出土品も。
(誰だっけ、発掘した人。どこかで発掘した時のことを絵にしたものを見たことあるけど、どこで見たかを忘れてしまった)

乾山が手掛けた写しの器の数々も面白かった。

向付はね、五島美術館とかほかでも拝見したものが多かった。

蓋付の向付(MIHO MUSEUM所蔵)は初めて見たなぁ。
乾山ぽいというよりはむしろ、構成の仁阿弥道八っぽかった。

終盤は乾山より後の時代。

道八や三浦乾也、そして井伊直弼。

あ、楽焼の方だ。湖東焼のほうじゃなくて。

直弼の陶芸も乾山の影響を受けていた、と言えるのかなぁ。
と、ちょっと違和感。

新しいメガネをかけて鑑賞したのだけど、
それをもってしても、もはや館内で展示リストは読めない。
字が小さすぎて。

メモが取れないと記憶もあやふやになってしまうから、迷わず図録を購入。

図録を読むと、乾山がどういう形で作陶に携わったのかは未だ解明されていないようだ。

自ら器を作成したのか。
デザインしただけ?
それとも、プロデュースだけなのか。

知りたいような、知りたくないような。

でも、少なくとも肉筆の絵があるしね。
意匠には関わっていたとは思うなぁ。


※今後のサントリー美術館
『藤田美術館コレクション―東洋美術の至宝―(仮称)』 ※8月5日(水)~9月27日(日)
『久隅守景(仮称)』 10月10日(土)~11月29日(日)


★サントリー美術館バックナンバーリスト
2015年1月『天才陶工 仁阿弥道八 のびのびと、まじめに。』
2014年7月『徒然草 美術で楽しむ古典文学』
2014年4月『のぞいて びっくり 江戸絵画 科学の眼、視覚のふしぎ』
2014年1月『天上の舞 飛天の美』
2013年8月『谷文晁』
2013年5月『「もののあはれ」と日本の美』

2012年8月『おもしろびじゅつワンダーランド展』 
2012年5月『毛利家の至宝 大名文化の精粋』
2012年2月『悠久の光彩 東洋陶磁の美』
2011年7月『不滅のシンボル 鳳凰と獅子』
2011年4月『美を結ぶ。美をひらく。』「夢に挑む コレクションの軌跡」
2011年4月 開館50周年記念『美を結ぶ。美をひらく。』
2010年9月『誇り高きデザイン鍋島』
2010年2月『おもてなしの美 宴のしつらい』
2009年4月『一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子』
2009年1月『japan蒔絵ー宮殿を飾る東洋の煌めく燦めき』
2008年4月『ガレとジャポニズム』
2007年12月『鳥獣戯画がやってきた』

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