Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

仁阿弥道八!

2015年01月26日 07時42分03秒 | 美術館・博物館etc.
★サントリー美術館 サイト
 『天才陶工 仁阿弥道八 のびのびと、まじめに。』
 ※2015年3月1日(日)まで

少し御無沙汰しちゃったサントリー美術館。

それだけに今回はとても楽しみに出かけた。

仁阿弥道八を認識したのいつ頃だったろうか。

たぶん、トーハクかもしれない。

東京国立博物館の本館で「陶磁器」や江戸時代の「暮らしの調度」に
よく展示されているから、自然と覚えてしまった。


トーハク以外でもよく見かけたからね。

永楽和全や青木木米と3点セットで京焼を代表する陶工として
紹介されることが多いようだけど、
ワタシ的には別格かなぁ。

今回はほぼ全部が「道八」の世界。

これほどまでに器用で、そして先人の技術の模倣も上手で
幅広い守備範囲を持っていたとは

よくよく考えてみれば、いろんな仁阿弥道八をみてきてから
当然なのはよくわかるけど、
改めてまとめて一堂に並べられると、もう感動の域に達した感があった。

(一つ一つ見ると、「あ、トーハクだ」とか「湯木で見たワ」という
 目新しさよりも懐かしい思いの方が強い)

そして、ユニークなこと。

特に動物や人物の表情のユーモラスなことと言ったら

暗い気持ちもパッと明るくしてしまう、ものすごいパワー。


展示室に入って、いきなり目が合ってしまった狸の置物。

置物ではない色絵狸の炉蓋。

「炉蓋」という用途が聞き慣れなくて、しばらく考える。

 そっか。

炉の蓋だぁ。

現代だと、行灯みたいなものを被せるけど、
道八は陶器の置物を造って、炉の蓋にしたらしい。

アイデア商品。

座布団の上に和尚さんの袈裟を着たタヌキが座っている。

分福茶釜の1シーンのよう。
後ろを見たら、しっぽまである。

思わず化けの皮が剥がれて「しまった~」というところか。


奥は父の初代・高橋道八の作品。

繊細で上品な京焼の数々。

月文黒茶碗の美しさ。
さび絵芋頭水指のやわらかいクリーム色で優美なフォルムにため息。

そして、主役の二代・高橋道八、つまり仁阿弥道八。(以下、道八)

まずは「写し」の技量を存分に。

やはり、仁清と乾山を相当写したようだ。

仁清に至っては隠し印まで入れる念の入れよう。
「写し」ではなく、模造品としていたのでは?という疑いさえ出てくるほどに。

筋の入った筒型の茶碗もね。お見事!としか言い様のないコピーっぷり。

楽茶碗。道入の釉薬と形まで写していたのか。言われなければノンコウだと思ってしまう精緻さ。

「本物」と並べて展示されている。
見比べても、どっちが本物でどっちが道八なのか区別がつかない。

利休七種はやはり写しっぽかったナ。

国焼に留まらず、青磁象嵌などや御本、絵高麗の写しもあった。

これは驚いた。
見慣れてないなぁ。

あれ? 所蔵は建仁寺が多い。

よくよく見ると、建仁寺(=本体?)や両足院、正伝永源院。


清水坂に近いせいかなー。と思いつつ、繋がりについて、今は図録を読んでいる。


煎茶道具の感想は飛ばして、懐石道具。

なんといっても、手鉢ですヨ。

湯木美術館や逸翁美術館からの出品多し。

そうそう。同じようなものをそれぞれで見た。
これらが集合すると、やっぱりすごい。

桜と紅葉、雪竹系は「乾山写し」の域を超えて、
パッと見て「仁阿弥ダ」って、わかるようななったなぁ。
いつの間にか。

道八の方がよりダイナミックて派手は気がする。

紫陽花の手鉢は珍しいなと思った。現代的なモダンな感じ。
(個人蔵。道理で見慣れてないワケだ)

階段を降りたら、大きな寿老人像(寿星立像)がお出迎え。

大きい。

そもそも所蔵している野崎家塩業歴史館って?

野崎家は倉敷の製塩業者。

地方の豪商にも道八ブランドは人気だったみたい。
(いかにも豪商が好みそうだしね)

そういえば、京焼といえば滴翠美術館だけあり、いっぱい出品があった。

滴翠美術館は図録を出さないから、これはオイシイ。←てなことで、図録購入は必須なのでした。


でもやっぱり、気になるのは炉蓋。

飴釉薬のぽんぽこ狸さん、兎が2羽互い違いになったの。よいわぁ。

炉蓋じゃないけど、小猿の置物は妙にリアル。
とてもユーモラスな宇須女像。見えないそこも手と膝足まで細工して。


御庭焼の指導も熱心だったようで。

そして、その腕とワザは次代へと引き継がれていく~。

三代の道八も好きだなぁ。

狸が目をひんむいた像の炉蓋。いいわぁ。

当代は9代めかぁ。女性だったのね。

繊細な、でも道八テイストの作風がいい。


「サントリー美術館は頻繁に展示替をする」と先入観があり、
自分用の切符は2枚確保しておいた。

でも、一部に1月19日までの限定展示があったのみ。
ほとんど会期内通して拝見できる。


よし、図録を見たら、また再訪しよう。

金・土は20:00まで開館しているしね。



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2014年4月『のぞいて びっくり 江戸絵画 科学の眼、視覚のふしぎ』
2014年1月『天上の舞 飛天の美』
2013年8月『谷文晁』
2013年5月『「もののあはれ」と日本の美』

2012年8月『おもしろびじゅつワンダーランド展』 
2012年5月『毛利家の至宝 大名文化の精粋』
2012年2月『悠久の光彩 東洋陶磁の美』
2011年7月『不滅のシンボル 鳳凰と獅子』
2011年4月『美を結ぶ。美をひらく。』「夢に挑む コレクションの軌跡」
2011年4月 開館50周年記念『美を結ぶ。美をひらく。』
2010年9月『誇り高きデザイン鍋島』
2010年2月『おもてなしの美 宴のしつらい』
2009年4月『一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子』
2009年1月『japan蒔絵ー宮殿を飾る東洋の煌めく燦めき』
2008年4月『ガレとジャポニズム』
2007年12月『鳥獣戯画がやってきた』

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