Akatsuki庵

日々と向き合って

毛利家の茶道具

2012年05月08日 00時00分30秒 | 美術館・博物館etc.
『毛利家の至宝 大名文化の精粋』
サントリー美術館 ※5月27日(日)まで サイト

この展覧会を鑑賞する上で欠かせないのが、毛利家に関する予備知識。
戦国武将の毛利元就、および「三本の矢」はもちろんのこと、さらに遡ると先祖は大江広元
知らなかった~
(だから、肖像画も展示されていた)

かの御仁といえば、大河ドラマ『草燃える』の印象が強い。
(源頼朝の秘書官的な立場として、強烈な存在感を残していた)
番組も興味を持って見ていて、永井路子の原作2冊とも読んで毎週楽しみにしていたっけ。(『北条政子』『炎環』)

その永井作品原作の大河ドラマがもう一つ。
それが『毛利元就』。(原作名『山霧 毛利元就の妻』)
これも「時代背景がわからないから」と早々に読んで、その上で見ていたっけ。

もう十数年前のことゆえ、かなり忘れちゃったけそ、それが鑑賞の上でかなり役立った。

茶道具以外で印象に残ったもの。
毛利隆元自画像(下絵) 元就の長男でわりに早く亡くなったため影が薄いけど、しっかりしたタッチがいい。
彼が描いた白鷺像も展示してあって、絵師ほどではなかったけど、わりと上手? ちょっとデブな鷺だけど

毛利元就、吉川元春、小早川隆景の短冊和歌もよかった。

円山応挙の鯉魚図。三幅あって、真ん中の「鯉のぼり」がとても迫力があった。(5/14まで)

元就が実際に使っていたと伝わる出陣膳椀具。
朱塗りで大きさのことなる4つの椀がお膳(足がなかったかな?)にのっていた。
いずれも蓋がない。それが戦場の非常事態で使われたということが伝わってくるよう。

漆器といえば、江戸時代に入っての調度品がすばらしかった。
特に印象に残ったのが、蒔絵の刀掛。 刀の拵え(?)も見事な蒔絵だし、ホント装飾品。

雛道具も注目。
解説によると「当時の大名の婚礼道具がわかる」とあった。
なるほど
婚礼道具のミニチュア版であると同時に、「目で見る婚礼カタログ」というわけか。

書道の道具に香道具、そして茶道の台子一式。(←そっか。婚礼道具だったのかー)
なかには糸切りハサミや化粧道具もあって、かなり豪華だった。

そして、嫁入り道具でもあったのか、絢爛な衣装。
火事装束(頭巾や袴、羽織など。鮮やかな赤で女性用)が興味深かったなぁ。

そして、茶道具。
まず目を引いたのが黒い禾目の天目(黒釉兔毫文碗)。
黒っぽくなった銀の覆輪がさらに渋い。
たぶん、これを載せたと思われる天目台が2つ。(場所が離れていたのが残念)
尼崎台と螺鈿の天目台。螺鈿の細工が精巧ですごかった。

元就の孫で隆元の子で関ヶ原の戦いでは西軍の大将だった毛利輝元は利休さんに師事していた、らしい。
利休作の竹茶杓「一松」はその由緒が伝わってくるような雰囲気。

萩茶碗は意外に少なく、古萩茶碗が一つだけ。形が塩筍っぽいというのか、ちょっと変わった感じ。
他には出雲茶碗も出ていた。(確かに、領地だった時代もあったわねー)

高麗系の茶碗は3つ。
「毛利井戸」は天下の3井戸のような重厚感があった。
大井戸茶碗「常磐」は口造りのところが朱漆でたくさん補修してあって、使い込まれた感ありあり。
もう一つ、高麗茶碗は人工的な歪みがあって、倭館窯あたりかな。

唐物茶入は丸壺と文琳。屈輪香合も立派。
もしかしたら滅ぼした大内氏から引き継いだものかしら?

などと、想像力も駆使しながら楽しんで見ていた。

サントリー美術館の3階の展示進路というかレイアウトが若干変更されていた。
こちらの方が好きだな。
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2012年2月『悠久の光彩 東洋陶磁の美』

2011年7月「不滅のシンボル 鳳凰と獅子」

2011年4月 『美を結ぶ。美をひらく。』「夢に挑む コレクションの軌跡」
2011年4月 開館50周年記念『美を結ぶ。美をひらく。』
2010年9月『誇り高きデザイン鍋島』
2010年2月『おもてなしの美 宴のしつらい』
2009年4月『一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子』
2009年1月『japan蒔絵ー宮殿を飾る東洋の煌めく燦めき』
2008年4月『ガレとジャポニズム』
2007年12月『鳥獣戯画がやってきた』

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