去る3月下旬、熱狂的トランプ・シンパで米下院情報委員会委員長を務めるデビン・ヌネス議員(共和、カリフォルニア)がとった奇怪な行動が、その後もいまだに大きな話題になっている。
彼は21日夜に突然、単独でホワイトハウス構内の機密室に案内され、内部秘密資料を見せられると同時に、米情報機関が大統領選挙期間中に、トランプ陣営関係者(複数)の会話内容を“予期せず”入手していたことなどを知らされていた。
翌22日にはヌネス議員は、“ロシアゲート”疑惑を調査中の情報委の他のメンバーの誰にも知らせることなく再びホワイトハウスを訪れ、わざわざトランプ大統領に自分が受けた秘密ブリーフィングの内容を耳打ちした。
その直後、大統領執務室を出た同議員は、ホワイトハウス構内で待ち受ける報道陣に「トランプ新政権関係者たちに関する詳細な情報が米情報機関の内部資料で広く出回っていることを確認したが、ロシア関連ではない」と念押したという。
しかしその後、本来、秘密であるべき内容を情報委員会の他のメンバーとの事前相談もなく、トランプ大統領にいち早く通報したこと、その一部を報道陣にもらしたことなどから、上下両院の有力議員などから非難のやり玉にあがり、今後は委員長のポストにはとどまるものの、“ロシアゲート”関連の調査活動からは外されるという異常事態となっている。
今のところ、ヌネス委員長が極秘に知らされた実際の中身は何だったのか、なぜこの時期に彼だけに通報されたのか、それをなぜ急遽大統領に単独で報告に行ったのかなど、ミステリーだらけだ。ただ、ひとつだけ判明していることがある。それは、この時の通報者が誰だったか、という点だ。
ニューヨーク・タイムズのスクープによると、ヌネス委員長をわざわざホワイトハウスにひそかに招き入れたのは実は、トランプ政権下で右翼的な過激な発言を繰り返してきたスティーブン・バノン首席戦略担当官の側近エズラ・コーエン・ワズニック国家安全保障会議(NSC)情報担当官、ヌネス議員と以前から親しい関係にあるホワイトハウス担当弁護士のマイケル・エリス氏の二人だったのだ。
そしてその後、連邦捜査局(FBI)、中央情報局(CIA)などの各情報機関が、ロシア・コネクション関連でマークしてきたトランプ側近グループの実体が少しずつ明らかになりつつある。そのうちの一人は、トランプ氏の前顧問カーター・ページ氏だ。
4月11日付ワシントン・ポスト報道によると、FBIは昨年来、「外国政府の代理人」として暗躍してきたページ氏の行動を捜査するため、裁判所から秘密令状を得た上で本人の電話盗聴などを行ってきたことが判明した。
ページ氏は2004年から2007年まで証券会社メリルリンチ社モスクワ所長を務め、この間、ロシア国営エネルギー・コングロマリット「ガスプロム」顧問の立場でロシア政財界に幅広い人脈を築いた後、昨年3月からトランプ選対本部外交担当顧問として活躍。
同年6月には、当時のトランプ選対部長だったコリー・レワンドウスキー氏の了解を得てモスクワを訪れ、プーチン大統領側近の一人でエネルギー会社重役イゴール・セチンと密談したほか、ロシアのセルゲイ・キズリャク駐米大使らとも数回会ったことなどが確認されている。
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