朝鮮半島と中国と世界の動き

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金正恩「斬首作戦」 実行ならば日本経済も打ち首に

2017-04-13 21:10:03 | 戦争


国内の目が「森友学園」に注がれている間、東アジアには、深刻な危機が訪れていた。核とミサイルをおもちゃにした「お坊ちゃま」の暴走に、トランプ大統領は怒髪天。

「金正恩」斬首作戦が実行されれば、日本経済も「打ち首」寸前で、逆風の大嵐が吹き荒れるというのだ。

426日未明の平壌。小雨の空模様に加え、この日は新月。辺りは墨を流したような闇が広がるだけだ。

前夜から、米韓空軍は平壌を大規模空爆。防空レーダーと防衛隊に壊滅的な打撃を与えていた。この闇と噴煙の中を縫うように、数台のヘリコプターが進んでいく。

いくつかは地上部隊をおろし、平壌の制圧に走らせるが、いくつかは意思を持ったように別の標的に急進していくのだ。

ブラックホーク。幾多の戦場で活躍した米軍のヘリは目標の建物の前に降りると、次々と隊員たちを吐き出した。米海軍の特殊部隊・シールズ。韓国の「北派工作員」。

先導するのは軍用犬だ。「精鋭部隊」は建物を取り囲むと、意を決したように四方八方から侵入を開始。数十分後、漆黒の闇に銃声、続けて歓声が響いた。

「彼をやったぞ!」――あとひと月も経たないうちにこうした光景が見られるとはにわかには信じがたいけれど、絵空事とは一笑に付せないほど、北朝鮮とアメリカの対立は深刻さを増している。

「オバマ政権の末期から、アメリカは北朝鮮への対応を変えてきました」と言うのは、産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏。

「それまでのオバマは戦略的忍耐の政策で、北の核やミサイル開発を事実上、放置してきた。その間に、北の脅威は飛躍的に高まってしまったのです」

核実験は5回を数え、ミサイル発射は日常茶飯事。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が言う。「技術の進展スピードには目を見張るものがあり、核弾頭は、ミサイルに搭載可能なほど、小型化に成功していると思われます。

ミサイルについても、昨年6月に中距離弾道ミサイル『ムスダン』の発射実験に成功。グアムは既に射程に入っています」

今年の正月、金正恩は、「(アメリカ本土に届く)大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発は最終段階に入った」と声明を出した。

これはハッタリとしても、「早晩、米本土に届くミサイルが開発され、そこに核弾頭を搭載することも可能」

2月には、マレーシアの空港で兄・金正男を化学兵器VXで暗殺したとされ、同月、翌月に日本海へ立て続けにミサイルを発射した。

これに激怒したのが、他方のトランプだ。3月、中国が猛反発していた韓国へのTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を実行。有事への体制を整えた。

「その後、ティラーソン国務長官は、北朝鮮にあらゆる選択肢を検討していると述べた。これは北朝鮮に対する軍事行動も含まれる。他の高官も同じようなことを口にしています」

こうした発言はこれまで決してなく、明らかに米国の変化をあらわしていると見られるのだ。実際、この4月には気になるタイミングがあるといわれている。

4月、北朝鮮では、金日成生誕105周年や、軍創設85周年などの記念日がある。得てして北はこうした時にアメリカに挑発的な軍事行動を起こしがち。さらに、5月頭には韓国で親北政権が誕生する見込みです。トランプが事を起こすなら、その前の方が障害は少ない」

では、彼が視野に入れているのはどんな行動だろうか。「現在のアメリカは、北朝鮮に対し、『5015』という作戦を立案し、米韓合同演習などの場で訓練を続けています」とは、元航空自衛官でジャーナリストの潮匡人氏である。

「『50』は太平洋地域を指します。これが以前の作戦と異なるのは、それまでは北からの攻撃を前提とし、それに反撃するものだったのが、『5015』は北の攻撃の兆候に対し、先手を打って攻めていく作戦である点です」

作戦の主軸は2つ。ひとつは、核ミサイルなどの大量破壊兵器の制圧。もうひとつは、「斬首作戦」と言われる、金正恩はじめ最高指導部の拘束、または暗殺だという。

元陸上自衛隊北部方面総監の志方俊之氏は言う。「大量破壊兵器については、特にアメリカに脅威となる核開発施設や長距離ミサイルの基地に限定し、集中して一気に空爆を行うでしょう。

同時に、そのスイッチを押す金正恩の排除も狙う。普通なら、立ち回り先と見られる箇所をピンポイントで空爆するのが一番良いのですが、アメリカはリビアのカダフィ大佐を目標として爆撃を行い、失敗している。

より確実な方法として、特殊部隊を空から投入し、地上戦で確保するということもありえます」

そのシナリオのひとつが冒頭の場面だ。シールズは、ビンラディンの暗殺を担った部隊であり、韓国の「北派工作員」は映画「シルミド」でも話題になった特殊部隊。作戦は闇に乗じるが、4月で最もそれが濃くなるのは新月の26日。おおいに気になる日となるのである。

 

デイリー新潮 からの引用記事

 

 

 


決して特異ではない アメリカ政治思想の伝統

2017-04-13 20:03:49 | 政治


トランプが象徴しているのは、東部エスタブリシュメントに対する反エリート主義の大衆運動であろう。アメリカでは、独立時の13州の旧英領植民地のそれぞれの政治体制に大衆民主主義の熱情の弊害があるという考え方が伝統的だ。

独立後しばらくしてようやくつくられた合衆国憲法は、大衆民主主義を抑制する意図を持ったものだ。そこで「アンチ・フェデラリスト」と呼ばれるようになった人々は、合衆国憲法は反動的で独裁につながると主張し、各州での批准に反対した。

アンチ・フェデラリストの反エリート主義的性格は、ジェファソニアン・デモクラシー、ジャクソニアン・デモクラシー、南北戦争前後の人民主権論などに受け継がれた。

トクヴィルが有名な『アメリカのデモクラシー』の執筆に至るアメリカ旅行をしたのは、アンドリュー・ジャクソンが第7代合衆国大統領を務めていた、19世紀前半の「ジャクソニアン・デモクラシー」の時代であった。

ジャクソンは度重なる軍歴で英雄視され、大統領まで登りつめた人物である。彼の軍歴には米英戦争から始まるが、インディアン(ネイティブ・アメリカン)に対する常軌を逸した数々の大虐殺行為も含まれる。

大統領としても強権的なスタイルが特徴的であったが、旧来の東部エスタブリシュメント層の政治家とは異なることそれ自体を売りにして、19世紀に新たに合衆国に加わった西部・南部の入植者層から圧倒的な支持を受けた。

私のみならず、米国内のコメンテーターの中にも、トランプ大統領の政治スタイルを見て、ジャクソンの伝統に思いをはせたものはいた。

 

トランプ大統領に結び付けて、19世紀末の「人民党」による「ポピュリズム」運動が言及されることもある。そもそも「ポピュリズム」という言葉が最初に用いられるようになったのは、19世紀末のアメリカで「人民党(People’s party)が第三党として台頭してきたときだったと言われる。

この新しい政党運動は、独立自営農民が多かった移住者の「農本主義的ポピュリズム」が基盤であった。ただし人民党は、連邦議会で存在感を示すことができないまま、埋没していった。人民党の大統領候補だったウィリアム・ブライアンが民主党に取り込まれたからだ。

ブライアンは二度の大統領職への挑戦で、共和党のウィリアム・マッキンリーに敗れた。マッキンリーは57%という高率輸入関税を導入して国内産業の保護に努めながら、対外的には米西戦争を行ってフィリピンを併合し、ハワイ諸島も併合した大統領である。

マッキンリーが暗殺されたため、副大統領から昇格して大統領に就任したのが、ニューヨーク出身のセオドア・ローズベルトである。

カウボーイ・スタイルと「棍棒外交」と呼ばれた威圧的な外交政策で有名なT・ローズベルトは、内政面では1000回以上の大統領令を出しながら、巨大資本を統制し、国民の福祉を進めるために連邦政府の強化に努めた「進歩」を掲げた大統領であった。「人民党」が夢見た大衆支持は、T・ローズベルトによって果たされたと言える。

古典的にはアンドリュー・ジャクソン、そうでなければセオドア・ローズベルトの伝統との比較で、トランプを論じるのが妥当ではないか。

自由貿易の万能性を否定し、マイノリティを差別的に扱い、人権規範の普及などには興味を示さず、なお「テロとの戦争」だけは徹底的に遂行するつもりで軍拡に乗り出す大統領は、20世紀後半の大統領たちと比べれば、異常に見える。

だがそれはアメリカの政治思想史の中で「ジャクソン」や「T・ローズベルト」などの大統領が象徴する伝統と比せば、決して特異ではないものとして見えてくるだろう。

現代ビジネス からの引用記事


水面下では、すでに戦いが激化している 発射する前に爆破する

2017-04-13 19:05:27 | 政治


一体どんなサイバー攻撃なのか。そのコンセプトは「Left-of-launch(発射寸前)」作戦と呼ばれているもので、ごく単純化して言えば、ミサイルの発射前と発射直後にミサイルを破壊するというものだ。

ミサイル発射時を中心として、左から右に時間軸の線を書くと、左側(Left)が発射前になるのでこう呼ばれている。

具体的には、ミサイルをコントロールするコンピューターシステム、センサー、そのほかのミサイル発射に必要となるネットワークに対してサイバー攻撃を仕掛ける。

あるいは発射装置のコントロールをマルウェア(遠隔操作などを可能にする不正プログラム)などで妨害したり無効化したり、発射台を破壊する工作もある。

ミサイルのプログラムを不正に書き換えたのか、ミサイルが発射前に爆破されるケースもあるというし、さらにはミサイルシステムの指示系統や制御を発射前に電磁パルス(EMP)によって機能不全に陥らせる方法もある、と伝わっている。

またサイバー攻撃によって不正操作が可能となり、ミサイルが海に落ちたり、軌道を大きく外れたり、空中分解してしまったケースもあった。も

ちろん北のミサイル発射実験の失敗例の中には、サイバー攻撃と関係のないケースもあるようだが、間違いなく米軍はサイバー攻撃によってミサイル破壊工作を成功させているのである。

こうした手法は、著者が米国で『ゼロデイ』の取材を進める中で耳にしたことがあった。2014年のことだ。その時、さらにもうひとつ米軍関係者からこんな話も聞いている。

2010年ごろ、オバマ政権が北朝鮮の核開発施設に対してサイバー攻撃を仕掛けようとしてうまくいかなかった、という話だ。

米軍は2009年にイランの核燃料施設に「スタックスネット」と呼ばれるマルウェア(不正なコンピュータープログラム)を感染させて破壊することに成功している。

この時と似たようなマルウェアを北朝鮮にも送り込んで核開発を阻止しようと試みたのだ。北朝鮮がその少し前の2009525日に、2度目となる核実験を実施して米国を挑発していたことも背景にはあった。

しかし、米軍はこれを断念せざるを得なかった。北朝鮮のあまりの「閉鎖性」とデジタル化の遅れが原因だ。かの国にはインターネットも普及していないし、国外ネットワークとの繋がりも極めて少ない。

では、なぜ最近になってミサイル妨害作戦が実施できるようになったのか。どうやって侵入できたのだろうか。

ここにアメリカのサイバー攻撃の重要な役割を担うNSA(国国家安全保障局)の極秘工作が生きていると見られている。「サプライチェーン妨害」と呼ばれるテクニックだ。

この工作は、北朝鮮がミサイルのシステムやネットワークなどで使う機器を、北朝鮮に輸入される前に把握して、機器自体にマルウェアを埋め込む手法だ。当然、機器を受け取った側はそのことに気がつかない。

NSAはこの作戦で敵国へのサイバー攻撃やハッキングを成功させている(その事実はリークされた機密文書で暴露されている)

現代ビジネス からの引用記事

 


韓国大統領選、1か月前は、32対9だったのが…

2017-04-13 17:11:49 | 政治


2017年3月(7-9日)の調査でも、文在寅氏32%、安哲秀氏9%だった。この頃韓国メディアでは、「文在寅大勢論」が盛んに報じられていた。

文在寅氏は前回の大統領選挙でも、朴槿恵氏に迫った実績がある。候補者としての検証も受けている。「準備が出来た候補」だ。

ところが、3月末(28-30日)の調査では、文在寅氏31%、安哲秀19%となり、4月初め(4-6日)の調査では、文在寅氏38%、安哲秀氏35%になった。いずれも有力候補がすべて出馬した場合を仮定しての調査だ。

「文在寅、安哲秀逆転」の調査も相次いで出ている。4月9日に発表になった、KBS、聨合ニュースの共同世論調査では、有力5候補が出馬した場合、安哲秀氏36.8%、文在寅氏32.7%となった。

「5者対決で安哲秀氏初めて逆転」という結果になった。他の世論調査でも似たような結果が続々と出ているのだ。どうしてこんなことになったのか?

最も一般的な解説は、有力政党の大統領候補が続々と決まり、有権者が「自分が投票するのは誰か」を考え始めた。特に、態度を鮮明にしてこなかった保守、中道層が、安哲秀氏に結集しつつあるということだ。

JBpressからの引用記事


アメリカ対北朝鮮 水面下では、すでに戦いが激化している

2017-04-13 15:43:42 | 政治


対イラン核施設や米大統領選で実行されたサイバー攻撃から、世界の紛争で繰り広げられるデジタル戦やサイバースパイ工作まで。

世界のサイバー戦争の歴史と最新分析をまとめた『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』の著者である国際ジャーナリストの山田敏弘氏が、北朝鮮と米軍をめぐるサイバー戦の最前線をリポートする。

朝鮮半島に世界の目が注がれている。413日、ドナルド・トランプ政権は、シリア政府が反体制派の拠点を化学兵器で攻撃したとして、シリア軍に対してミサイル攻撃を実施した。

そしてこの攻撃が北朝鮮を念頭に置いたものだったと指摘されており、トランプ政権がミサイル実験などで挑発を続ける北朝鮮に対しても先制攻撃に乗り出すかどうかが話題になっている。

ただアメリカの当局関係者らを取材したところ、現時点ではトランプ政権が北朝鮮を攻撃する可能性は低いと言えるのではないか。

北朝鮮を攻撃すれば同盟国である韓国のソウルが北朝鮮の反撃によって壊滅的な打撃を受けるのは明白で、米政府もそれは受け入れられないと考えている。

さらに、中国は北朝鮮崩壊後の朝鮮半島をアメリカが支配下に置くことを何としても阻止しようとするだろう。となれば、米中衝突という最も危険な事態を招きかねない。そこまでのリスクを負って先制攻撃することはない、という見方が強い。

そもそもトランプ大統領は、軍事作戦が前もって敵に知られることに繰り返し嫌悪感を示しており、今、メディアが大きく取り上げているような先制攻撃や金正恩委員長を殺害する「斬首作戦」を実施するとは考えにくい、という見方もある。

それでも朝鮮半島情勢の緊迫度が増しているのは間違いない。実は、これまで水面下で米軍と北朝鮮が「サイバー空間」を舞台にせめぎあいを続けていることはあまり知られていない。その実態に迫りたい。

ミサイル発射失敗の裏に「サイバー攻撃」201745日、北朝鮮は東部のハムギョン南道シンポ付近から、弾道ミサイル1発を発射した。アメリカ太平洋軍によれば、このミサイルは9分以下の飛行で、40マイル(64キロ)ほどの所に落下しており、この発射実験は「失敗」に終わったと見られている。

北朝鮮は20173月にも、中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられるミサイル1発を発射したが、失敗。ミサイルは発射から数秒後に大破したと、米軍は発表している。

実はこれらの失敗は、単なる偶然ではない。北朝鮮のミサイル実験は、2016年にも2015年にも失敗しているが、これらも含めて、失敗の原因は「アメリカが実施したサイバー攻撃にあるようだ」と、米ニューヨーク・タイムズ紙や英テレグラフ紙といった欧米の有力メディアが報じている。

ニューヨーク・タイムズ紙の当該記事を執筆したデービッド・サンガー記者は、ある番組に出演した際に「ムスダンの発射実験の失敗率は88%と非常に高い……その原因のひとつに、当時のバラク・オバマ大統領が命じたサイバー攻撃作戦があったのです」と語っている。

現代ビジネス からの引用記事

 


韓国への反撃は確実、おそらく日本にも核爆弾

2017-04-13 14:33:26 | 政治


そして何よりも決定的な問題点(米国にとっての)は、北朝鮮に対する軍事攻撃は確実に韓国(とりわけソウルとその周辺)に対する激烈な報復攻撃と、おそらくは日本に対する報復攻撃も引き起こしてしまうことである。

すでに本コラム(2017330日「米国で北朝鮮攻撃が議論の的に、日本は備えを急げ」)で指摘したように、米国による北朝鮮軍事攻撃の直後に、ソウルとその周辺に対しては無数の砲弾とロケット弾が雨あられと降り注ぐことになる。

その事態をどのように考えるのかが、米国軍関係者の間では議論の焦点になっている。

いずれにせよ、トランプ政権が北朝鮮への軍事攻撃を決断するには、広島・長崎に原爆を投下した際と類似した理論を持ち出さざるを得つまり、「韓国や日本における一般市民の犠牲は、米国本土がICBM攻撃された場合に生ずる損害を防ぐためにはやむを得ない犠牲と考えざるを得ない。

また、北朝鮮が核兵器を手にした場合、韓国や日本自身でもさらに多くの人々が犠牲になりかねない。そのような悲惨な事態を抑止するための軍事攻撃であり、そのための犠牲は甘受せざるを得ない」──といった正当化理論である。

米国第一主義を掲げるトランプ大統領にとっても極めてハードルが高い決断にならざるを得ないだろう。

今回の米国によるシリア攻撃に対して、日本政府は「化学兵器拡散を抑止するための正しい決断であった」とトランプ大統領の決断を高く評価し、支持を表明した。

しかし、米国による北朝鮮攻撃に対して日本政府はこれまで通りに「イエスマン」であり続けるわけにはいかない。

「大量兵器拡散を抑止するための北朝鮮軍事攻撃」がトランプ政権のテーブルの上にあがっている現在、日本政府は「報復攻撃の結果生ずる在韓邦人の犠牲や、日本への弾道ミサイル着弾による惨状」を避けつつ北朝鮮の暴発を抑止しなければならないという、極度に困難な立場に立たされているのだ。

JBpressからの引用記事


「孤立・保護主義」に見える理由 トランプは孤立主義者ではない

2017-04-13 13:37:01 | 政治


トランプ政権の政策的態度を「孤立主義」という言葉で描写しようとするコメンテーターが多いように感じる。

トランプはグローバル化に取り残された白人層を支持基盤としたグローバル化に抵抗している大統領だ、というイメージが、「孤立主義」とか「保護貿易」といった言葉のイメージに合致するのだろう。

しかしこれらの言葉を使ってトランプ政権の政策的方向性を描写するのは、あまり妥当なこととは思えない。むしろこれらの概念は、かえってわれわれのトランプ政権の理解を阻害するように思われる。

「孤立主義」という日本の学校教科書などで19世紀アメリカ外交の描写として使われている概念は、20世紀になってから用いられるようになった概念であり、しかも極めて「ヨーロッパ中心主義的」な概念である。

第一次世界大戦の後、議会の反対で国際連盟に加入しなかったアメリカの外交政策を「孤立主義」と形容したのは、失望したヨーロッパ人たちであった。アメリカ人が「孤立」した状態を望んだということではない。

そもそも19世紀の「モンロー・ドクトリン」の場合ですら、「孤立」はアメリカ人自身が目指した理念ではない。19世紀前半にアメリカ合衆国は、ヨーロッパ列強が繰り広げていた「勢力均衡」の権力政治には加担しないことを宣言した。

その「錯綜関係回避」の原則は、「新世界」に作り上げた「共和主義」の独立国を維持するためには、汚れた「旧世界」の権力闘争から隔絶させておくことが必要だという洞察にもとづいた政策であった。

しかしそれはアメリカ合衆国を国際社会から本当に「孤立」させることを目指した政策などではなかった。そもそも当時のアメリカ合衆国はすでに、いわゆる「明白な運命」論にしたがって、領土を拡大させ続けた「拡張主義」国家であった。

トランプ大統領が「孤立主義」的に見えるのは、「アメリカ第一」を唱え、TPP脱退などの政策によって国際協調を軽視しているというイメージがあるからであろう。だがTPPから離脱するだけで「保護主義」者や「孤立主義」者になるかは、疑問である。

 

そもそもTPPは太平洋地域の一部の諸国が加入するだけの地域的自由貿易協定にすぎず、全く「グローバル」なものではない。中国包囲網としての性格も自明であったので、アメリカを中心とする太平洋地域自由主義諸国による関税同盟としての政治的性格が強かったと言える。

トランプ政権は、TPP脱退やNAFTA再交渉の代替策として、カナダ、イギリス、日本などとの二国間貿易協定を結ぶことへの関心を表明している。為替の自由化を求めてWTOを活用する方法も模索しているトランプ政権が、根本的に反自由貿易主義的だと言えるかは疑問だ。

安全保障面では、トランプ政権は、NATO構成諸国にいっそうの防衛費拡大の努力を促している。日本を含む他の同盟諸国にも同じような態度をとっている。

だがそれは「テロとの戦争」などをふまえて同盟ネットワークのさらなる活性化を狙っているからであり、決して「孤立」したいからではないことは言うまでもない。

移民受け入れの制限についても、論争を呼んだ7ヵ国対象の入国禁止の大統領令は、「テロとの戦争」を遂行するという安全保障上の意図に従って行った措置だ。類似の措置は、すでにオバマ政権時代から導入されていた。

メキシコとの国境における「壁」の建設についても、移民制限管理を目的にしたものであり、「孤立」を目指したものではない。不法移民問題への対応策として妥当であるかどうかは議論の余地はあるだろうが、それはあくまでもアメリカ国内における不法移民問題の深刻さの認識に関する問題である。

現代ビジネス からの引用記事


北朝鮮軍事攻撃に立ちはだかるハードル

2017-04-13 12:47:37 | 政治


シリアと北朝鮮では数々の相違点がある。まず、シリアも北朝鮮もそれぞれ大量破壊兵器を保有しているが、北朝鮮の場合は米国本土に届くICBM(大陸間弾道ミサイル)を手にする秒読み段階にまで達している。

また、シリアには米国本土や米国の前進拠点に対する反撃能力はないが、北朝鮮には韓国や日本の米軍諸施設はもとよりグアムの米軍基地にすら反撃を実施する弾道ミサイル戦力が存在する。

したがって、北朝鮮が米国にとっての「レッドライン」を超えた場合、米国すらも直接被害を被りかねない。シリアをミサイル攻撃する場合は米軍の損害を考える必要はないが、北朝鮮の場合は韓国や日本に展開する米軍も損害を被ることを織り込まねばならないのだ。

それだけではない。シリアの軍事攻撃目標は、今回のミサイル攻撃の状況を映し出したロシアのドローンの映像でも明らかなように、地上にむき出しの航空施設や建造物がほとんどである。

それに対して、北朝鮮の軍事攻撃目標の多くは地下施設や山腹の洞窟施設である。

それらの地下式施設を、今回のシリア攻撃で用いたトマホーク巡航ミサイルで破壊することは不可能に近い。そうした強固な軍事施設を破壊するには、どうしても大型貫通爆弾(GBU-57 MOP)が必要である。

これは巡航ミサイルには装着できず、B-2ステルス爆撃機(一機に2発搭載可能)で攻撃する必要が生ずる。

さらには、シリア軍の軍事施設や化学兵器関連(と米国がみなす)施設の所在はおおかた判明しているのに反して、北朝鮮の大量破壊兵器や弾道ミサイルに関連した地下施設の大半は位置すら判明していない状態だ。

いくらステルス爆撃機で接近可能であっても、また、大量の巡航ミサイルを精確に撃ち込むことが可能であっても、攻撃目標の正確な位置が判明していなければ攻撃できない。

JBpressからの引用記事

 

 

 


中国国内でも深刻化する“韓国イジメ”

2017-04-13 11:23:07 | 政治


韓国料理店で働く中国人が韓国を批判するという若干ややこしい展開だが、「THAAD脅威論」が中国の庶民にも浸透していることは理解できた。取材の道中、50代のタクシー運転手にもこんな話を聞かされた。

THAADのレーダーは中国東北部を含む領土の大半を見渡すことができる。配備には断固反対だ。韓国は中国を見下しているが、核を2発も撃ち込めば降参するだろう」

話が物騒になってきたところで、車は運転手が「二度と行くか!」と言っていたロッテマート(ロッテグループが展開するディスカウントストア)に到着。

現在、中国人の集中砲火を浴びているロッテマートの入り口付近には警察車両が横付けされ、10人近い警察官が周囲を巡回している。2012年の反日デモで起きた放火や略奪などが再発せぬよう、警戒しているのだ。

広い店内に買い物客はごくわずか。平日の昼間とはいえ、閑散としすぎなのだ。商品の入荷が途絶え、空になったままの棚もある。

店員によれば、ロッテのボイコットが中国全土に拡大した2月下旬から、来店客は遠くに行けない近所の老人などに限られるようになり「日に数える程度」まで落ち込んでいるという。

筆者はこのあと北京市内や郊外で複数のロッテマートを取材したが、建物を警察が囲む物々しさ、店内の閑散とした様子はどの店舗も一緒だった。

100店舗近い中国のロッテマートは、3月中旬までに半数の55店舗が営業停止に追い込まれている。当局から「不当な価格設定」を理由に行政処分を受けたり、「消防設備の不備」を指摘され強制封鎖されたりした店舗もある。実に分かりやすい「嫌がらせ」だ。

ポストセブン からの引用記事


在韓邦人は守れるか?北朝鮮の反撃でソウルは火の海

2017-04-13 10:14:46 | 政治


トランプ政権がシリア軍事施設へのトマホーク巡航ミサイルによる攻撃を実施した。日本のメディアの間では、「次は北朝鮮核兵器関連施設への空爆か?」あるいは「いよいよ斬首作戦(米国軍と韓国軍による金正恩排除作戦の名称)実施か?」といった憶測が飛び交っている。

たしかに「シリアのアサド政権と米国」「北朝鮮の金正恩政権と米国」という2つの対決軸には構造的に類似した点も少なくない。

シリアも北朝鮮も、米国が忌み嫌う「大量破壊兵器(核兵器、生物化学兵器)拡散」の直接当事者である。そして米国に言わせると、シリアも北朝鮮も、アサド政権と金正恩政権という独裁者政権であり国民を抑圧している。

米国ではかつてオバマ政権が「化学兵器の使用はレッドラインを越えることを意味する」と強い警告を発していた。同様に「北朝鮮によるICBM(米国本土に届く核弾頭搭載大陸間弾道ミサイル)の完成はレッドラインを越える」という警告も発している。

 また、アサド政権の背後にはロシアの存在があり、北朝鮮の背後には(表面的には金正恩政権非難を強めているが)中国が存在する。

ロシアはウクライナを侵攻し、東ヨーロッパ諸国に対する軍事的脅威を強めつつある。同様に中国も南沙諸島に軍事拠点を建設し、南シナ海そして東シナ海沿岸諸国に対する軍事的脅威を高めつつある。

だからといって、「シリア+ロシア」ならびに「北朝鮮+中国」をひとくくりにして米国に対する敵勢力とみなすこともできない。米国には、ロシアとも中国とも協調しなければならないというジレンマが存在している。

現在戦闘中の対IS戦争では、アサド政権もロシアも、ISと戦っている。とりわけロシアの攻撃力はISを崩壊させるために極めて重要である。したがって、トランプ政権としても、プーチン政権によるアサド支援やウクライナ情勢などにはある程度目をつぶっても、ロシアとの協調を望んでいた。

また、中国に対しても、中国が国連決議に従い対北朝鮮経済制裁を実施すると言いつつも、北朝鮮と中国の間を石炭運搬船や貨物船が行き来している状況を米国が把握していないわけではない。

北朝鮮軍情報機関が満州内のとある施設で人民解放軍情報機関と同居し活動していることも米軍情報機関は承知している。つまり、中国と北朝鮮がある意味で仲間になっていることは暗黙の事実だ。

にもかかわらず、金正恩政権の暴走を少しでも制御するには中国共産党の力が必要なことも、トランプ政権としては認めざるを得ない。したがって、北朝鮮を押さえるには、中国による南シナ海や東シナ海での覇権主義的な動きにはあえて触れずに、中国に協力を求めるしかないことになる。

米国はこのようなジレンマを抱えつつ、「レッドラインを越えた」アサド政権に対して直接的軍事攻撃を仕掛けた。この攻撃を北朝鮮および背後の中国に対する脅しと考えることは可能である。

JBpressからの引用記事