朝鮮半島と中国と世界の動き

最新の週刊誌及び月刊誌などの拾い読み 朝鮮半島での出来事及び中国の政治経済などテレビ新聞が
報道しない記事を拾う

文大統領「南北経済共同体で大同江奇跡を起こそう」

2017-06-14 06:44:25 | 政治


文在寅(ムン・ジェイン)大統領は1日、「戦争の脅威が消えた韓半島(朝鮮半島)に経済が花を咲かせるようにする」とし「南北が一つになった経済共同体は、大韓民国が起こした『漢江(ハンガン)の奇跡』を『大同江(テドンガン)の奇跡』に拡張し、世界経済地図を変える『韓半島の奇跡』を生み出すだろう」と述べた。

文大統領はこの日、第12回平和と繁栄のための済州(チェジュ)フォーラムの開会式に送った映像基調演説でこのように述べ、「(南北経済共同体は)韓半島と北東アジアに恒久的平和体制を定着させる役割をするはずだ」と述べた。

文大統領は韓国が主導権を握り、対話を通じて北朝鮮の核問題を解決していくという意志も明確にした。文大統領は「米国・中国など関係国とともに北を説得し、圧力を加え、対話の場に導き、北核問題の解決と南北および朝米関係の改善を同時に実現する」とし「『外国役割論』に頼らず韓半島問題を大韓民国が主導していく」と主張した。

続いて「新政権は北東アジアの平和と共同繁栄のための責任と役割に全力投球する」とし「韓半島の永久的な平和と繁栄のための完全に新しい構想、大胆な実践を始める」と述べた。「私の任期内に韓半島の平和の画期的な転機をつくる」とも語った。

文大統領は北朝鮮の挑発には断固対応すると強調した。文大統領は「北の相次ぐミサイル発射は韓半島はもちろんで国際平和・安定に対する深刻な挑戦」とし「国際社会とともに強く対処する」と述べた。また「北が武力挑発を敢行すれば、強固な韓米同盟と大韓民国の防衛力で直ちに強力な報復をして平和を守るとはっきりと約束する」と述べた。

文大統領は北朝鮮の人権について「私は長期にわたり人権弁護士として国民の人権のために努力した」とし「人権は人類普遍の価値であるため、北の住民の人権改善のためにもためらうことなく努力する」と強調した。また「国際社会と連携し、北の当局の政策と制度の改善を誘導する」と述べた。
 
一方、青瓦台(チョンワデ、大統領府)はこの日、南北民間交流に関し、「対北制裁の枠を崩さない範囲内で柔軟に検討するという基本立場を堅持することにした」と明らかにした。

朴洙賢(パク・スヒョン)報道官はこの日、文大統領が主宰した首席・補佐官会議の結果を説明し、「民間団体の対北接触および北訪問申請の方向についてこのように議論した」と伝えた。

これに先立ち統一部は6・15共同宣言実践南側委員会の対北朝鮮接触申請を2008年以来9年ぶりに、対北朝鮮民間支援団体「わが民族助け合い運動」の北朝鮮住民接触申請を506日ぶりに承認している。

中央日報 からの引用記事

中国より日本のほうがマシなことに気づいたロシア

2017-06-12 04:41:28 | 政治


ロシアの独立系評論家イノゼムツェフが、4月24日付 Moskovsky Komsomolets紙掲載の論説で、ロシアにとって中国は頼りにならず日本の方がましであるとして、これまでの対中関係の見直しを提唱しています。論説の要旨は次の通りです。

これまで、ロシアは中国との提携を重視して米国に対抗してきた。しかし、今回の米中首脳会談では、中国にとってはロシアより米国の方がはるかに重要であることが明白となった。中国は、対米経済関係を守るためなら、米国の言うことでも聞くのだ。

中国はロシアを資源供給国と見下げ、製造業に投資しない。ロシアの企業の株を買い占めるだけである。

カラガーノフとその一派(代表的オピニオン・リーダー。政権に近い)は中ロの蜜月は不変だと繰り返しているが、中国はロシアを支えることに対して、いつも恩着せがましく対価を要求する。

日本はサハリンの石油ガス資源を開発してくれたし、トヨタ、日産は工場も建てた。日本は経済成長を支えている海洋諸国家への出口でもある。また「東」でありながら、西側の一部でもある。

ウェッジからの引用記事

世論調査が示す「気になる兆候」

2017-06-11 21:07:21 | 政治


多くの共和党議員にとって、トランプ大統領の支持者は、自らの支持者でもある。言い換えれば、来年の議会選挙でトランプ大統領の支持者が投票してくれなければ、自らの再選が危うくなる。

地元で支持者の反応を体感してみるまでは、うかつに大統領批判に転じるわけにはいかない。

これまで波乱が多かったトランプ大統領の政権運営でも、共和党議員の多くが大統領に忠実に従ってきた。政治分析サイトのFiveThirtyEightは、議員の投票行動を分析し、どの程度の割合でトランプ大統領の方針に同調してきたかを分析している。

それによれば、下院では100人以上の共和党議員が、100%トランプ大統領の方針と同じ投票を行っている。すべての共和党下院議員を平均しても、トランプ大統領の方針に賛成した割合は、97%にまでしか下がらないという。

共和党議員にとっての最大の関心は、どこまでコアなトランプ支持者が大統領についていくかだ。

世論調査には、気になる兆候がある。「トランプ大統領を強く支持する」と答える割合が、低下傾向にあることだ。今年2月に30%前後の割合だった「強く支持する」との回答は、最近では20%強にまで低下している。

FiveThirtyEightの分析によれば、これは予備選挙の段階でトランプ大統領が得ていた支持者の割合とほぼ一致する。ほかの共和党候補から乗り換えてきた支持者が?落する一方で、予備選当時からの支持者だけが、いまだにトランプ大統領を熱烈に支持している様子がうかがえる。

もちろん、有権者の反応は、疑惑捜査の進展次第である。米議会では、5月24日に予定されていたジェームズ・コミー前米FBI長官の下院委員会での証言が、2日前になってメモリアルデー休会明けに延期された。

休会前に悪材料が出かねない場が設けられなかったことで、議員が地元で反乱を体感するリスクは小さくなったのかもしれない。

休会を終えた議会は、6月5日に再開される。その次に議会が休会に入るのは、7月4日の独立記念日を含む7月の第1週だ。1カ月の疑惑の進展をみたうえで、議員は再び地元に帰る。

来年の議会選挙が終わるまで、地元の反応を探りながら、トランプ大統領との距離を測る日々が続くことになる。

東洋経済新聞社からの引用記事
 

朝鮮人民軍偵察総局が抱えるハッカーは6000人以上

2017-06-11 17:15:24 | 政治
 

頻繁に繰り返されるミサイル発射実験、いつ実施されてもおかしくない核実験――とにかく北朝鮮をめぐって緊張状態が続いており、アメリカや中国、ロシアなども巻き込んで、今後も挑発行為は続くと見られる。

ただ筆者の取材では、少なくとも米政府側から見ると、まだ北朝鮮に対して武力行使を行うほどの切迫した状況にはなっていないようだ。
 

北朝鮮の瀬戸際外交は相変わらずといった印象だが、現在こうした問題と同じくらい北朝鮮が世界で注目されている事象がある。そう、サイバー攻撃である。
 
5月12日から、世界150カ国以上に「WannaCry」などと呼ばれるランサムウェアが拡散されたサイバー攻撃は記憶に新しい。欧米各国やセキュリティ企業は今、使われたランサムウェアの解析を進めているが、この攻撃に北朝鮮が関与しているのではないかという疑いが浮上している。

その理由は、「WannaCry」のソースコードに北朝鮮が過去に行ったサイバー攻撃で使われたマルウェア(不正プログラム)のソースコードとの類似点が見つかったからだ。
 
北朝鮮はインターネット後進国だと思われがちだが、実は、サイバー攻撃に関しては世界でも有数の実力を持っている。
 
北朝鮮でサイバー作戦を担っているのは、朝鮮人民軍偵察総局だ。中でも121局という組織が優秀なハッカーなど6000人以上を抱えているとされる。また偵察総局には91部隊という組織もあり、こちらはハッキングを専門に行っていると見られている。

今回のランサムウェアでも犯人として名前が挙がった謎のハッカー集団「ラザルス」は、この121局との関係が指摘されている。
 
ラザルスは2009年から活動しているとされているが、近年、北朝鮮のサイバー部隊はサイバー攻撃史に残るような事件をいくつも起こしてきた。2013年3月には「ダークソウル」という名のマルウェアを使って、韓国の主要放送局2社や金融機関などに対して一斉にサイバー攻撃を仕掛けている。

この影響で、韓国内では大量のコンピューターのデータが消去されたり使用不可能となった。
 
また2014年には、米カリフォルニア州のソニー・ピクチャーズのオフィスをサイバー攻撃している。この攻撃は同社が公開予定だった、北朝鮮最高指導者の暗殺を題材にした映画『ザ・インタビュー』に対する抗議・妨害の意味があったようだ。

その結果、社外秘である映画の制作計画や俳優の内部評価、ギャラ、健康情報などが盗まれ、ネット上で公開されてしまう事態となった。筆者は当時、アメリカで取材にあたったが、米政府や米軍の関係者らは北朝鮮の犯行だと断定していた。

文春からの引用記事

トランプ大統領と「決別」するのは容易ではない

2017-06-11 11:17:15 | 政治


米国では、弾劾の手続きは議会で行われる。弾劾によって大統領を罷免するには、下院の過半数に加え、上院で3分の2の賛成が必要だ。共和党は上下両院で多数を占めている。党としての団結を保つことができさえすれば、弾劾は阻止できる。

議会のスケジュールを決めるのが、多数党の役割であることも見逃せない。ポール・ライアン下院議長などの共和党指導部は、党内から多少の造反が出たとしても、弾劾手続きの開始を妨害できる立場にある。

実際に、過去に米国議会が弾劾の審議に進んだ際には、最初に手続きを始める下院において、いずれも大統領とは異なる政党が多数党の座にあった。

トランプ大統領が公約を実現できるかどうかも、最後は共和党議員の判断に左右される。懸案である減税やオバマケアの廃止・修正に関する法律は、多数党に許された特権を最大限に利用すれば、共和党議員の賛成だけで可決できる。

上院で60票の賛成がなければ少数党による議事進行妨害を阻止できない通常の法律と違い、税制や医療保険に関する法律は上院の過半数で審議を進められる特例があるからだ。

選挙の観点では、共和党議員はトランプ大統領と一蓮托生(いちれんたくしょう)の関係にある。いくら状況が悪化しても、トランプ大統領と決別する決断を下すのは容易ではない。

米国では、支持政党の二分化が進んでいる。大統領選挙で共和党の候補を支持する有権者は、議会選挙でも共和党の支持者に投票するのが一般的である。

実際に、2016年の下院議員選挙では、全米で435ある選挙区のうち、大統領選挙で多数を獲得した政党の候補が落選した選挙区は、わずかに35を数えるだけだった。

かつての米国は、こうではなかった。1970年代や1980年代には、200近い下院の選挙区で、大統領選挙とは異なる政党の候補者が、議会選挙の勝者となることもあった。

「米国の有権者は、大統領選挙と議会選挙で支持政党を変えて、バランスを取っている」とも言われていたが、その面影はすっかり消え去った。

東洋経済新聞社からの引用記事
 

衝突の予感

2017-06-11 04:22:16 | 政治


米国について、文氏は、自分の家族を北朝鮮の興南から救った米国人への感謝を機会があるたびに述べている。

また、特戦司令部の優秀な兵士として訓練を成し遂げた彼は米国の安保・防衛システムを理解しているはずである。だから、政治家として、韓米同盟の重要性を否定したことはない。

だが、先に述べた「常識」という観点から韓国の米国への従属に抵抗があり、韓米同盟の互恵性について疑問をもっているだろう。

北朝鮮について、自身が親北主義者ではなく、「親同胞主義者」であると、文氏は述べる。だから、大統領選挙の候補者論争で、北朝鮮を主敵と定義する保守路線に同調しなかった。

対北においては、文氏が尊敬する金大中・盧武鉉ラインの融和政策に転じることは必至である。

このように、自らの「常識」に合致する国内統治と外交に文政権がこだわることになると、国内での意見や価値体系の衝突、そして他国のさまざまな「常識」との不整合が心配になる。

世の中には無数のバージョンの「常識体系」が存在するからだ。

現代ビジネス からの引用記事
 

原発が制御不能になる最悪のシナリオも

2017-06-10 20:52:48 | 政治


北朝鮮は2014年に韓国の原発事業者をサイバー攻撃している。韓国で23の原発を運営する韓国水力原子力発電に大規模なサイバー攻撃を仕掛けたのだ。

事業計画書や実験データなどが盗み出され、同時に原発3基を即時停止するよう要求したという。幸いなことに、韓国の電力の3分の1を担う原発そのものには被害が及ばなかったとされる。
 
そんなことは日本では起こらない、というのは楽観的すぎるだろう。すでに北朝鮮のマルウェアが各所のシステムに潜伏している可能性もある。

もしそうだとすれば、攻撃者の望むタイミングで、原発のオペレーションを不正操作するなどして日本に大きなダメージを与えることもできるはずだ。

欧州のあるサイバーセキュリティ専門家は、最悪の場合、サイバー攻撃によって原発の電源が喪失し、原子炉が制御不能になるといったシナリオも十分にあり得ると筆者に語っている。

またバングラデシュ中央銀行へのサイバー攻撃で、SWIFTのプログラムが悪用されたとしたら、ほとんどの大手銀行がSWIFTを利用している日本もまた、いつ被害に遭ってもおかしくない。

直接的に被害に遭わずとも、世界的に信用度の高い日本関連の組織などが知らぬ間にサイバー犯罪の片棒を担がされることもありえる。
 
サイバー攻撃の特性は、誰が攻撃を行ったのかが非常に分かりにくく、仮にある程度、推測できたとしても、攻撃元を確定して責任を取らせることが難しいということだ。

また低コストで大きな被害を起こすことができ、攻撃者が負うリスクも少ない。北朝鮮のような「ならず者国家」にとってはこれ以上ないくらい効果的な攻撃ツールなのである。
 
今回のランサムウェア事件についても、今後別のマルウェアが登場する可能性が示唆されている。この事件の犯人が北朝鮮かどうかの判断は今後の分析を待つしかないが、北朝鮮とラザルスが引き続き世界中を荒らしまわることは間違いない。
 
日本は年間1200億件以上のサイバー攻撃を受けており、その中にはもちろん、北朝鮮からの攻撃も含まれている。「飛翔体」発射のニュースばかりが注目されているが、北朝鮮が持つ危険な力は「核ミサイル」だけではない。

北朝鮮はミサイルを飛ばすことなく、相手を大きな混乱に陥れることができる「サイバー攻撃」という武器をすでに手にしているのだ。日本もその標的になっていることを忘れてはならない。

文春からの引用記事

ドナルド・トランプ大統領にとって恐怖の1週間が始まる。

2017-06-10 20:15:11 | 政治


メモリアルデー(戦没者追悼記念日)と呼ばれる米国の祝日である。その祝日に合わせ、米国議会は1週間の休会に入った。

ロシア疑惑の渦中にあるトランプ大統領にとっては、その命運を左右しかねない「恐怖の1週間」の始まりである。

ロシア疑惑に揺れる米国で、トランプ大統領の命運を左右するのは、上下両院で多数を占める共和党議員の動向だ。どこまでトランプ大統領を支えるべきなのか――。来年11月に中間選挙を控える議員たちには悩ましい問題だ。

地元の反応にさらされる議員たち 休会中は議員に責め立てられることもなく、トランプ大統領は安心して過ごせるかといえば、決してそうではない。議会の休会は、トランプ大統領に対する議員の態度が激変する機会になりうる。

議会が休会に入ると、議員たちは一斉に地元に帰る。そうした議員たちは、どこまで地元でトランプ大統領に対する批判が高まっているのかを、身をもって感じることになるからだ。

ロシア疑惑がトランプ大統領に与えるダメージを測るには、休会明けの首都ワシントンは格好の機会となる。来年中間選挙を控える議員たちは、2020年まで任期のあるトランプ大統領より先に有権者の審判を仰がなければならない。

自らの将来がかかった選挙を前にしているだけに、地元の反応は究極の判断基準である。

いまだに選出された地元がトランプ大統領に好意的な議員は、大統領批判を強める必要はない。しかし、地元でトランプ大統領への批判をさんざん聞かされた議員は、休会明けには大統領への批判に転じるだろう。

そうした議員が共和党の多くを占めるようであれば、トランプ大統領は窮地に追い込まれる。

ロシア疑惑によって「弾劾」に追い込まれる可能性がないわけではないし、弾劾ほど深刻な事態に発展しなくとも減税などの公約実現に関しては、疑惑の高まりが逆風になるとの見方が一般的だ。

もっとも、実際にそうした展開に発展するかどうかは、ひとえに共和党議員の決断にかかっている。たとえば、多くの共和党議員がトランプ大統領に反旗を翻さなければ、弾劾の手続きは進まない。

東洋経済新聞社からの引用記事

日本との諸協定には見直し要求

2017-06-10 13:48:44 | 政治


文氏の「常識の追求」は外交にも影響を及ぼすだろう。就任直後に日本の安倍晋三首相と行った電話会談で、2015年に朴恵槿政権と結んだ慰安婦に関する日韓合意を「受容することができない」と宣言したことはこうした文脈からである。

「不可逆的」という文言が入っている合意を「罪悪」と呼んだ文政権は、その合意の再交渉を要求することになる。

だが、こうした姿勢は単なる「反日」とは片付けられない。
現下の政策案件の以外に文氏が日本について言及したほぼ唯一の事例は、彼が中学生の時に結ばれた1965年の日韓正常化合意を彼の父親が「悪である」といったということだ。

この影響で、文氏は、高校2年生の時、李承晩大統領の「3選改憲」の反対デモに参加したという。

もう1つあげれば、2004年に制定された「親日反民族行為真相究明に関する特別法」を盧武鉉政権の大きな功績としてあげることだ。

なお、李明博政権について非常に厳しい評価を持つ文氏は、その政権で結ばれた包括的軍事情報保護協定(GSOMIA)について、日韓の間の軍事情報の共有が日本に有利な形であるという認識をもっている。だから、GSOMIAの再交渉も卓上に挙げられるだろう。

中国の古典『三国誌』を複数のバージョンですべて読んだという文在寅は、中国について突出な発言をしたことがない。だが、中国・ロシアと協力し、「一帯一路」システムへの編入を構想している可能性が高い。

文氏には、韓国の運命を左右するのは、米国ではなく中国であるという認識が底辺にある。ならば、彼の任期の中で、北朝鮮とロシアと協力し、中国主導のユーラシア構想への参加することがありうる。

現代ビジネス からの引用記事

北朝鮮は バングラデシュ中央銀行から92億円を盗む

2017-06-10 07:10:26 | 政治


政治的な目的の妨害行為とは別に、北朝鮮は2015年末から、世界各国の銀行を狙ったサイバー攻撃を実施している。

その多くでラザルスの関与が指摘されているのだが、これまで、インド、ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシア、イラク、ケニア、ナイジェリア、ガボン、ウルグアイ、コスタリカなどの中央銀行が攻撃された。

こうした攻撃は、攻撃元をわからなくするために、フランスや韓国、台湾といった他国のサーバーを幾重にも経由して行っている。

またラザルスがブラジルやエストニア、ベネズエラの中央銀行など、世界中の150カ所以上の銀行をリストアップしていたことも判明しており、今後も銀行への攻撃は継続される可能性が高い。
 
北朝鮮による経済的な犯罪行為で最も大規模なケースは、バングラデシュ中央銀行を襲ったサイバー攻撃だ。2016年2月に、バングラデシュ中央銀行がニューヨーク連邦準備銀行に所有していた銀行口座から、8100万ドル(約92億円)が不正に送金されて盗まれた。

犯人はラザルスだと見られ、筆者の取材によれば、犯行グループはフィリピンや香港などで金を引き出し、その際、日本のJICA(国際協力機構)などを名乗るといった偽装工作もしていた。
 
筆者が話を聞いたある当局者は、「バングラデシュ中央銀行のセキュリティはお粗末すぎて話にならなかった。ファイアウォールすら設定していないような状況だった」と言う。

だが、そのことで北朝鮮のサイバー能力を低く見積もってはいけない。当局者は、同時に国際銀行間通信協会(SWIFT)の国際送金用のシステムもハッキングされた可能性を指摘していた。
 
こうした事件は日本には関係のない「対岸の火事」のようにも思えるが、決してそんなことはない。

米政府は、北朝鮮が米太平洋軍のシステムをダウンさせるくらいの実力をもっていると警戒し、米国内の重要インフラも攻撃できる能力をもっていると指摘している。

北朝鮮は私たちが想像している以上のサイバー兵力をもっており、それは日本の10倍にもなるとの分析もある。その攻撃力が日本へと向いたとき、何が起こり得るのだろうか。

文春からの引用記事