文在寅(ムン・ジェイン)大統領が習近平中国国家主席と韓中首脳会談を行ない16日に帰国した。外交欠礼と「1人飯」議論から中国警護員による韓国記者暴行事件まで、言葉も多く不満も多かった中国訪問だった。
文大統領の今回の訪中は改めてさまざまな面で「韓国にとって中国は果たしてどんな隣人なのか」を問い質す契機になった。
21世紀の超強大国に浮上した中国は安保・経済・文化など、ある分野でも韓国だけでなく世界のすべての国に重要な存在であることを否定することはできない。だから文在寅政権も争って北京を訪ね習主席と主要懸案を話し合おうとしたのだ。
ところで訪中結果に対しては批判が多い。さらに「このタイミングでなぜ中国を訪問したのかわからない」とか「韓国が得たものはひとつもない」という酷評もあふれる。中身のない首脳会談と中国の無礼な外交的態度、さらに韓国の低姿勢外交が集まり総体的に屈辱的だったという自嘲も出てくる。「国賓訪問」の意味が果たしてこうしたものだったのかという反問も多い。
それにもかかわらず、われわれは決して中国の存在と意味を過小評価できない。われわれの好みに合わないからと無視することもできず、背を向けることはさらにできない。中国は依然として米国とともに北朝鮮の核問題を平和的に解決できるカギを握っている核心国だ。14億の人口の世界最大市場のひとつでもある。われわれの感情や気持ちを離れ冷徹に判断して対中戦略をもう一度整えなければならない。
ただこの機会に中国に対する依存度だけは確実に引き下げなければならないだろう。われわれが中国にばかり深く入れ込むなら差し迫った状況で抜け出すのが難しくなる。高高度防衛ミサイル(THAAD)問題の時にわれわれはすでにこれを骨にしみるほど感じた。中国の経済報復が続き観光産業をはじめ自動車や化粧品に至るまでさまざまな分野で大きな打撃を受けた。
幸いこうした経済報復にもかかわらず、今年7-9月期まで対中輸出は昨年よりむしろ13.4%増えたという。半導体と石油化学、情報技術など中国より競争力を備えている分野が輸出を主導したためだ。もし韓国がそうした経済的レバレッジを持っていなかったなら中国の要求に屈服するほかなかったという分析もある。
これとともに韓国は経済・安保・韓流など諸分野で多角化に邁進しなければならない。THAAD問題で教訓を得た通り、「ポストチャイナ戦略」もさらに具体化しなければならない。
そうした意味で先月文大統領が明らかにした韓国と東南アジア諸国連合(ASEAN)による未来共同体構想は積極的に推進すべきだろう。文大統領は先月13日にフィリピンのマニラで「私と韓国政府はASEANとさらに親しい友人になろうとしている」と話した。
ASEAN10カ国は人口6億3000万人、国内総生産(GDP)2兆6000億ドルで年5%の高度成長をしている潜在力が豊富な市場でもある。文大統領は「汎政府ASEAN企画団を設置しASEANとの協力を総合的に支援する。ASEAN駐在の在外公館の企業支援機能と組織も強化する」と話した。
韓国より早く中国に進出した日本は中国にオールインせず東南アジアなど他の市場を活発に開拓した。そのためいま東南アジアは日本の庭のようになっている。やや遅い感はあるが、われわれももっとASEANに力を入れなければならない。
単にASEANを中心にする新南方政策だけが重要なのではない。グローバル時代には中南米やアフリカのようにこれまで相対的に疎かにしてきた地域との交流をさらに拡大しなければならないだろう。そうしてこそ中国の幼稚なTHAAD報復にも耐え抜ける体力を育てることができる。
中国は今回われわれに素顔を残らずさらけだした。習近平主席はトランプ米大統領に「韓国はかつて事実上中国の一部だった」と話したりもした。力が支配する国際社会で生き残るには力を育てなければならない。何がわれわれの力を育てる道なのか本当に深く熟考しなければならない時だ。
「中華民族の偉大な復興時代を開く」という中国夢を掲げる隣人を持つ韓国だ。ワシントンに赴任した朴定陽(パク・チョンヤン)初代駐米朝鮮公使が1888年にわれわれを属邦と考える清の執拗な干渉に勝てず「無力な」朝鮮に召還された屈辱的な歴史を決して忘れてはならないだろう。
中央日報よりの引用記事
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