このトマホークの攻撃を北朝鮮は防げない。
このトマホークの攻撃を北朝鮮は防げない。
国内の目が「森友学園」に注がれている間、東アジアには、深刻な危機が訪れていた。核とミサイルをおもちゃにした「お坊ちゃま」の暴走に、トランプ大統領は怒髪天。
「金正恩」斬首作戦が実行されれば、日本経済も「打ち首」寸前で、逆風の大嵐が吹き荒れるというのだ。
4月26日未明の平壌。小雨の空模様に加え、この日は新月。辺りは墨を流したような闇が広がるだけだ。
前夜から、米韓空軍は平壌を大規模空爆。防空レーダーと防衛隊に壊滅的な打撃を与えていた。この闇と噴煙の中を縫うように、数台のヘリコプターが進んでいく。
いくつかは地上部隊をおろし、平壌の制圧に走らせるが、いくつかは意思を持ったように別の“標的”に急進していくのだ。
ブラックホーク。幾多の戦場で活躍した米軍のヘリは“目標”の建物の前に降りると、次々と隊員たちを吐き出した。米海軍の特殊部隊・シールズ。韓国の「北派工作員」。
先導するのは軍用犬だ。「精鋭部隊」は建物を取り囲むと、意を決したように四方八方から侵入を開始。数十分後、漆黒の闇に銃声、続けて歓声が響いた。
「彼をやったぞ!」――。あとひと月も経たないうちにこうした光景が見られるとはにわかには信じがたいけれど、絵空事とは一笑に付せないほど、北朝鮮とアメリカの対立は深刻さを増している。
「オバマ政権の末期から、アメリカは北朝鮮への対応を変えてきました」と言うのは、産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏。
「それまでのオバマは“戦略的忍耐”の政策で、北の核やミサイル開発を事実上、放置してきた。その間に、北の脅威は飛躍的に高まってしまったのです」
核実験は5回を数え、ミサイル発射は日常茶飯事。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が言う。「技術の進展スピードには目を見張るものがあり、核弾頭は、ミサイルに搭載可能なほど、小型化に成功していると思われます。
ミサイルについても、昨年6月に中距離弾道ミサイル『ムスダン』の発射実験に成功。グアムは既に射程に入っています」
今年の正月、金正恩は、「(アメリカ本土に届く)大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発は最終段階に入った」と声明を出した。
これはハッタリとしても、「早晩、米本土に届くミサイルが開発され、そこに核弾頭を搭載することも可能」
2月には、マレーシアの空港で兄・金正男を化学兵器VXで暗殺したとされ、同月、翌月に日本海へ立て続けにミサイルを発射した。
これに激怒したのが、他方のトランプだ。3月、中国が猛反発していた韓国へのTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を実行。有事への体制を整えた。
「その後、ティラーソン国務長官は、“北朝鮮にあらゆる選択肢を検討している”と述べた。これは北朝鮮に対する軍事行動も含まれる。他の高官も同じようなことを口にしています」
こうした発言はこれまで決してなく、明らかに米国の“変化”をあらわしていると見られるのだ。実際、この4月には気になるタイミングがあるといわれている。
「4月、北朝鮮では、金日成生誕105周年や、軍創設85周年などの記念日がある。得てして北はこうした時にアメリカに挑発的な軍事行動を起こしがち。さらに、5月頭には韓国で親北政権が誕生する見込みです。トランプが事を起こすなら、その前の方が障害は少ない」
では、彼が視野に入れているのはどんな行動だろうか。「現在のアメリカは、北朝鮮に対し、『5015』という作戦を立案し、米韓合同演習などの場で訓練を続けています」とは、元航空自衛官でジャーナリストの潮匡人氏である。
「『50』は太平洋地域を指します。これが以前の作戦と異なるのは、それまでは北からの攻撃を前提とし、それに反撃するものだったのが、『5015』は北の攻撃の兆候に対し、先手を打って攻めていく作戦である点です」
作戦の主軸は2つ。ひとつは、核ミサイルなどの大量破壊兵器の制圧。もうひとつは、「斬首作戦」と言われる、金正恩はじめ最高指導部の拘束、または暗殺だという。
元陸上自衛隊北部方面総監の志方俊之氏は言う。「大量破壊兵器については、特にアメリカに脅威となる核開発施設や長距離ミサイルの基地に限定し、集中して一気に空爆を行うでしょう。
同時に、そのスイッチを押す金正恩の排除も狙う。普通なら、立ち回り先と見られる箇所をピンポイントで空爆するのが一番良いのですが、アメリカはリビアのカダフィ大佐を目標として爆撃を行い、失敗している。
より確実な方法として、特殊部隊を空から投入し、地上戦で確保するということもありえます」
そのシナリオのひとつが冒頭の場面だ。シールズは、ビンラディンの暗殺を担った部隊であり、韓国の「北派工作員」は映画「シルミド」でも話題になった特殊部隊。作戦は闇に乗じるが、4月で最もそれが濃くなるのは新月の26日。おおいに気になる日となるのである。
デイリー新潮 からの引用記事
中国にとっては、まさに「神風」が吹いたような米中首脳会談だった。ある北京の中国人に聞くと、喝采して言った。
「小事は智によって為し、大事は徳によって為すが、最大事は運によって為すという。まさに習近平主席が大運を持っていることが、またしても証明された。
2年前の『トルコの再来』だよ」「神風」とか「トルコの再来」とか、冒頭から不可思議な言葉を並べてしまったが、順に説明しよう。
まずトルコについてだが、2015年11月15日と16日に、トルコのアンタルヤで、G20(主要国・地域)サミットが開かれた。この時のG20は当初、いわば「中国非難大会」になることが予想されていた。
中国の無様な経済失速によって、世界的な金融危機が起きるのではないか、中国は南シナ海を軍事要塞化し、「海賊国家」と化すのではないか……世界中が中国に対して疑心暗鬼になっていて、習近平主席は批判の矢面に立たされるはずだった。
ところが、開幕二日前の11月13日夜、パリで同時多発テロが発生し、死者130人、負傷者300人超という大惨事になった。そのことでG20は冒頭、テロの犠牲者への追悼で始まり、以後2日間、議題はテロ問題一色となった。
それによって、中国批判は雲散霧消してしまったのである。同様のことが、4月6日と7日に開かれた米中首脳会談でも起こった。
中国側としては当初、貿易不均衡、北朝鮮、南シナ海という「3大問題」に関して、トランプ大統領から手ひどく叱責されることを覚悟していた。
実際、トランプ大統領は事前に、中国に対して強硬な発言を繰り返していた。にもかかわらず、なぜ習近平主席は訪米したのか。主な理由は二つだった。
第一に、今年後半の第19回共産党大会前に、アメリカとの協調路線を打ち出して、国内の政権基盤を固めること。第二に、「米ロ蜜月」を断ち切ることである。
いずれにしても、何をやり出すか知れないトランプ政権を敵に回さないことが、訪米の最大の目的と言えた。
現代ビジネス からの引用記事