ぷよぷよライフ

爽快runを目指して

グロテスク

2007-01-10 22:28:19 | レビュー
 「グロテスク」

 なんとも、気味悪いタイトルと上下巻連続の派手な装丁。「誰よりも美しく醜い私の妹。」「光り輝く、夜のあたしを見てくれ。」といった派手な帯のコピー。

 思わず手に取り、一気に読んだ。
 そう、TDRに行った時の開演前の列の中でも、読んでいたヤツ。(TDRの底抜けの明るさとこの本のストーリーは全く場違いであったが・・・)

 主な登場人物は4人。それぞれの手記や独白といった形でストーリーが展開される。

 ハーフで、類まれな美しさを持ち、不特定の相手とのセックスを楽しむユリコ。卒業後も、売春を続け、やがては殺されてしまう。

 ユリコの姉で、幼い頃からユリコへのコンプレックスだけが生きるパワーのような性格の「わたし」。この小説の語り手。

 「わたし」の高校時代の同級生で、すべてをそつなくこなすミツル。卒業後は難関の医学部に入学するも、オウムを想像させる宗教団体のメンバーとなってしまう。

 同じく同級生で、一生懸命に生きながらも、すべてがうまくいかない和恵。和恵は、大手企業に勤めながら、夜は売春婦として生き、そして、殺されてしまう。97年に渋谷で起きた東電OL殺人事件がモデル。

 この4人に和恵を殺したチャンという中国人の話などが混じり、「わたし」とユリコの幼い時代から40歳までのお話。

 「わたし」以外の登場人物はすべて、普通に生活している私たちの周りには絶対にいないタイプ。

 4人の接点は女子高。幼稚園から大学までのエスカレータ式の大学に、中学から編入したミツルと、高校から編入した「わたし」と「和恵」。
 成績は悪かったが、その美しさから面接教員の実情入学となったユリコ。

 舞台となる女子高では、途中から編入した子(勉強ができる普通よりちょっと上の家庭の子)と、エスカレータ式に上がってきた子(卒業後も就職活動もしなくて済むような家庭の子)とのすざまじいばかりの格差社会が書いてある。

 普通の公立の学校にしか行っていない、そして、そういう学校に入った友達もいない、のほほんパパにとっては、驚きと好奇。小説だから、多少はデフォルメされているにせよ、きっと、そういう世界って絶対にあるんだろうし、生徒同士のヒエラルヒーもできているんだろう。
 そういえば、今話題の石原真理子は聖心出身だったなあ、なんて、変な想像をしてしまう。

 それは、余計なこととして、小説全体としては、まさに、グロテスク。

 コンプレックス、卑下、悪意、自虐・・・。
 私たちが、普段の生活では、絶対に人には見せたくない、だけども、みんなが持っているもの。
 時々、笑顔の下から、相手容赦なく、それは、家族に対しても、友達に対しても、無意識のうちに、攻撃的に吐き出してしまっている私たち。そして、それは、私たちの生きる力となっている。
 そうしたことを登場人物のそれぞれの個性に応じて描き出している。

 ラストでは、あれほど嫌ったり蔑んだりしていた和恵やユリコと同じ行動を主人公の「わたし」がやってしまう。それは読み手にとっては意外でもあり、納得するような面もあり、そして、普段から「普通」と思っている自分も、実はそうなのかとも重ねてしまうような感じ。

 久しぶりに手ごたえのある小説でした。
   


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4 コメント

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仮面 (だまこ)
2007-01-11 21:00:11
みんな仮面をかぶって生きているのではないでしょうか・・・?
全員がみんなの前で本性だすととんでもない事が起きてしまうのでは・・・?
と書いている私も本性だしたらとんでもない事が・・・おきてしまいます・・・。
私は仮面の下に何百枚もまた仮面かぶって生きてます・・・。



なぁ~んて小説みたいでしょ!
さぁ~て私はどんな女性でしょうか?
想像してみてください!
のほほんパパさんは・・・ん~・・・?
船越英一郎さんみたいなタイプかなぁ・・・?
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だまこさんへ (のほほんパパ)
2007-01-13 09:06:28
そうですね~え・・・

だまこさんは、(米倉涼子+室井佑月)÷2×セーラー服って感じですか???????


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当たり・・・? (だまこ)
2007-01-13 10:05:17
全部なんかエッチ系の人ばかりですね・・・!
やはりセーラー服ですね!
当たっているようないないような・・・?
のほほんパパさんはとっても家族思いなので雰囲気が船越英一郎さんかな・・・と思いました!
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だまこさんへ (のほほんパパ)
2007-01-13 14:03:27
船越英一郎ですか・・・
どうでしょうね、あたっているような、違うような・・・

どうしても、2時間ドラマをイメージしてしまって、のほほんパパはあんなには切れないよなあ、と思う反面、バラエティで松居さんが目立っている点は我が家で、のほほんママが幅を利かせている点と同じかなあという気もしますね。

でも、やっぱりあたっているのかなあ???????
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