音信

小池純代の手帖から

日々の微々 220809

2022-08-17 | 歌帖

***220817
   説明不足につき画像追加しました。
   百聞不如一見。一目瞭然。***

大正の終わり頃、
寺田寅彦、松根東洋城、小宮豊隆らが変則的な歌仙を
試みていた。

たとえば、
短句から始めて短句で終わる六、七韻。
長句から始めて長句で終わる六、七韻。
切れ切れのそれらを“Torso”と名づけた。

 
  「TORSO」(『寺田寅彦全集』第十一巻)

そのほか、
前句だけでなく発句にも旨く付いている、つまり
後戻りOKの一連を“Rondo”と名づけた。

 
  「RONDO」(『寺田寅彦全集』第十一巻)

五七五と七七の連なりという以外にどの程度歌仙の規範に
則ったものだったかは知らない。

横紙破りの傍若無人なこれらの試みは
「俳諧の形式を、西洋音楽の形式とパラレルなものに考へよう
とする」(小宮豊隆『漱石 寅彦 三重吉』より)

考え方の萌芽だったという。

ところで、
短句ばっかりで六韻続けるとどんな感じだろう。
すでに誰かが試みていると思うが、自分では初めての試み。

  ・BACH独吟・

 バッハつくづく切なかりけり

  パシオの藻塩胸にきりきり

 パティオ人影フーガ始まる

  ぬけ道のないカノン迫り来

 手をたづさへてロンド・ア・ロンド

  暮れゆくほどにエヴァンジェリスト

   †

ちょうど聞いていた西洋音楽がバッハだったから、
バッハを発句に。
ゆるくバッハシバリで、ついでにロンドっぽく。

・七七の短句のみ
・歳時記なし
・バッハ関連のカタカナ語が季語代わり

しかし、このままだとただの独り言に見える。
後付けのシバリとして、韻文の証拠、

・脚韻





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