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合間の博物館旅日記

博物館を回りながら日本各地を旅をする過程の壮絶な日記。(2005.4-9月)
旅終了後は適当に随時更新の予定。

私の選ぶ名作漫画ベスト3

2011-12-18 13:25:31 | Weblog
20代の頃、趣味でミニコミ誌を出していた。その時に「漫画」を特集したことがある。読者をはじめいろんな人にアンケートを募って、漫画のベスト10を選んで貰った。当然自分も書いた。あれから二十年以上経つが、ベスト3はほとんど変わっていない。


まずは第三位。

村上もとか「六三四の剣」

村上もとかといえばご存じ「JIN-仁-」の作者であり、代表作には戦前の日本や中国を舞台にした壮大な大河ロマン「龍-RON-」がある。本来ならこのどちらかを挙げるべきだろうが、敢えて「六三四の剣」を選んでみた。それは、主人公が一番身近に感じられる現代の少年だからだ。
小学生までの子供編と、高校生時代の青年編とで成立っている。ファンとしては、読み切りでいいから大人になった六三四(嵐子と結婚して子供もいる)と修羅の試合とか見たいものだが、「SLUM DUNK」の続編と同じで、作者にその気がないから実現は無理かもしれない。
名シーンもいろいろあるが、しいて挙げれば六三四の母が風戸美奈と全日本選手権の決勝で闘ったあと。優勝した風戸が佳代のところに来て「本当の勝者は夏木さんです」と言うところ。佳代はそれに答えず、にっこり笑って「生きるということは、どんな剣道の試合よりも厳しい戦い」だと伝えるのだ。
ある意味、剣道漫画を根本から否定するようなセリフで、村上もとかが本当に描きたかったのは「生きること」そのものなのだと思った。
世にはびこる凡百のエロ漫画・暴力漫画に比べ、なんと志の高い漫画であることだろう。



続いて第二位。

楳図かずお「漂流教室」

大和小学校の生徒全員が、校舎ごと人類が死滅し、砂漠化した未来の地球へタイムスリップするというSF作品である。
私は小学生の頃、ほぼリアルタイムで読んだ。
大人たちは早々にいなくなり、狂った挙げ句殺人鬼と化す若原先生や、暴力と略奪を繰り返す関谷など、子供の敵として登場する。
ただでさえ水や食糧が不足する上に、巨大な怪虫が現れたり、ペストが蔓延したり、未来人類が現れたり、挙げ句生徒同士が対立し殺し合いを始めたり……。作者は子供たちに過酷な環境を与え続ける。
それでも主人公たちは闘う。生きるために。その前向きさ、困難にあって協力し助け合う姿が素晴らしい。
さらには、現代に残された母の愛が奇跡を起こす。息子が死んでおらず未来に生きていると信ずる母親は、命をかけてわが子を救おうとするのだ。この漫画を見てこれに感動しない人間がいるだろいか!(それに比べて父親の愛情の何と希薄なことよ)

過去に何度か映画化・ドラマ化されているが、勿論原作の素晴らしさには遠く及ばない。
なお、アイドルのしょこたんこと中川翔子の芸名は、本作の主人公・高松翔に由来している。



いよいよ堂々の第一位は……。

飯森広一「ぼくの動物園日記」

70年代に週刊少年ジャンプに連載された。主人公はカバ園長として親しまれた西山としお。彼の上野動物園時代の飼育係の体験に基づいた作品である。基本的に一話完結だが、実話に基づいているせいか、感動的な物語に満ちている。

カバのザブ子が自分の命を犠牲にして子供を産むところ。初めて西山が担当したラクダのオヤジとの別れのシーン。ゾウのことを知ろうとして、ゾウに触れているうち、ゾウの背の上で眠ってしまった西山とそれを許したゾウ。わが子が死んだことが理解できず、いつまでも死んだ子猿を離さない母親。
人生を教えてくれる動物たちと、必死に頑張っている西山としおの両方がいい。

今の若者たちはその存在さえほとんど知らないだろう。実話化してほしい漫画でもあるが、大型の動物たちが多数必要なので、実際には難しいかもしれない。

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