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合間の博物館旅日記

博物館を回りながら日本各地を旅をする過程の壮絶な日記。(2005.4-9月)
旅終了後は適当に随時更新の予定。

孔子暗黒伝と暗黒神話

2011-02-05 03:46:37 | Weblog
山本周五郎「栄花物語」と「柳橋物語」「むかしも今も」を読み終える。

「栄花物語」は賄賂政治の親玉とされる田沼意次を、清廉潔白で革新的な政治家として描いた野心作。が、主人公ともいえる二人の侍が、いずれも身の破滅を迎える暗い終わり方となっている。

「柳橋物語」「むかしも今も」は江戸の庶民を主人公とし、それぞれおせん、まきという女性が様々な試練の末、真の愛に気付くという筋立てで、読後爽やかな印象が残る、いかにも周五郎らしい作品だ。


前回ここで書いたように、休日に神田の書店街に行って彼の本ばかし11冊ほど入手した。一冊100円だったから儲け物なのだが、同時に、半ば衝動買いで漫画を大量に買ってしまった。

まずは楳図かずお「漂流教室」の完全版三冊。一つ1700円だからこれだけで5400円もかかった。
完全版は単行本収録時にカットしたページを復活したもの。連続した作品として読む場合にはむしろ不要だが、私のような漂流教室マニアには是非欲しい内容だったのだ。
ただ、差別用語などを置き換えてあるのはやや残念。「きちがい」や「狂う」といった表現が置き換えてあるのだが、かえってそれが作品の本質を隠しており、その意味でも最初のSSC(少年サンデーコミックス)版を一般にはオススメしたい。

次に買ったのが諸星大二郎の諸作品。文庫の「妖怪ハンター」三冊に「暗黒神話」「孔子暗黒伝」。後の二作は二十年以上前に読んでるのだが、スッカリ忘れていたので入手したかったのだ。
他にもユリイカの諸星特集と、「鶯の夜」も購入した。漫画だけで一万円も使ってしまった。


今「孔子暗黒伝」と「暗黒神話」、初期の「妖怪ハンター」を読むと、若さゆえの物語の粗さが目立ってしまうが、それは何ら作品の評価を落とすものではない。
逆にいえば当時よくこれだけのものが書けたなと感心することしきりだ。

あれから三十年近い年月が経過している。漫画作品を取り巻く状況もスッカリ変わってしまった。
そんな中一人諸星さんだけが今もモーニングなどに作品を連載してるのはすごいことだ。
まあもっと長期にわたって一線で活躍している驚異的作家もいるにはいるのだが……。