TBSのドラマ「JIN -仁-」の評判がいい。原作は村上もとかの漫画で、好評連載中。最新号では、坂本竜馬暗殺3日前と、いよいよ大詰めに来ている感じだが、ドラマはともかく、漫画はどんな結末を迎えるだろう。ここでは大胆にそれを推理してみたい。
まず、冒頭に書いた疑問「南方仁はなぜ髭を生やしているか?」について考察しよう。
村上もとかの一連の作品で、髭を生やしている人物で真っ先に思いつくのは、「六三四の剣」の六三四の父、夏木栄一郎か。そういう意味では、南方仁に髭が生えてるのも別に不思議ではない。髭を生やしたお医者さんもいるし……。しかし実は、仁が髭を生やしてるのには大事な意味があるのだ。
主人公の南方仁は、身元不明の男性の開頭手術をする。彼の脳には畸形封入胎児があった。男は、そのホルマリン漬け標本と共に、手術道具などを持ち出して病室を抜け出す。仁は彼ともみ合ううちに階段から落ち、江戸時代へタイムスリップしてしまうのだ。
この身元不明の男が、どうやら南方仁本人だというのがすでに漫画の中で語られる。男が仁に向かって「お前は私だ」と叫んだのを仁が思い出すのだ。そう言われれば、眉毛や目が仁とよく似ている。しかし、髭はない。仁に髭を生やしたのは、「この2人が同一人物である」ことをできるだけ隠しておきたい、という作者の思惑によるものなのだ。
テレビドラマの仁先生は髭を生やしていない。その代わり、顔面をひどく怪我したために、包帯でぐるぐる巻きにしてある。さらに「戻るぜよ」という竜馬の台詞を重ね、包帯男は坂本竜馬では?という含みをも持たせている。
仁は、江戸時代から怪我をして現代に戻ってくるのだ。ではそれはいつか? 京都で竜馬暗殺に巻き込まれた時だろうか?
その可能性は薄いだろう。何故か? 仁が現代から江戸へタイムスリップした時、地理的にはほとんど同じ場所(お茶の水の神田川近辺)だった。とすれば、江戸から現代へ戻るときも、場所は同じ所となるだろう。
漫画の冒頭、救急隊員の連絡によれば、男性は錦糸公園で発見されている。これは墨田区に実際にある公園だ。つまり仁は、江戸(または東京市)でタイムスリップする筈だ。ではいつか?
ヒントの一つは、「この男性はどうみても40~50代」という医師の台詞。南方仁は34歳。その後、2年が経過しているので36歳。さらに、竜馬暗殺の日が仁の誕生日であることが最新号で語られているので、37歳となっている筈だ。医師の見立てが正しければ、タイムスリップまでまだ数年の猶予がある。
しかし、仁は江戸でコレラを病んで死にかけており、さらに牢内で殺されかけたり、拷問で石を抱かされたりと散々な目にあっている。そのために、すでに見た目で40代に見えてもおかしくはない。
ここで冒頭に挙げた「髭」が重要なヒントとなってくるのだ。現代に戻った仁には髭がなかった! とゆうことは、仁はどこかの段階で髭を剃らねばならない。では、何のために仁は髭を剃るのだろう?
戦国時代の武将は軒並み髭を生やしていたが、江戸時代では、特殊な職業を除いて、武士も町人も髭を剃っていた。その特殊な職業の一つが医師である。だから仁が幕末に髭を剃らなくても、決しておかしくはなかったのだ。これが明治の御世になると、西欧の影響か、人々はこぞって立派な髭を生やし始める。伊藤博文、大久保利通、板垣退助、乃木将軍、明治天皇など、みんなごっつい髭を生やしている。にもかかわらず、南方仁は髭を剃る羽目に陥るのだ。それは何故だろう?
僕はこれは、橘家のお母さんの希望ではないかと推理する。仁は咲に指輪を渡し、プロポーズしている。竜馬暗殺を阻止したら、祝言をあげる気でいることが、すでに作中で語られている。
おそらく、暗殺は阻止されるだろう。坂本竜馬は史実と異なり生き延びる。大政奉還は成り、仁たち一行は江戸へと戻る。世は明治となるが、徳川が実権を握っている状態に不満を持った薩長土は、錦の御旗を掲げて江戸へ向けて進軍を始める。
江戸の無血開城、上野での彰義隊の戦闘も漫画には描かれるだろう。大村益次郎や篤姫も登場し、仁と関わりを持つに違いない。(仁の命を狙う三隅という医師がいるが、罪が露見して捕らわれる筈である。)
そうして江戸(東京)に平和が訪れた後、ついに仁は咲と祝言を挙げる。その際に、咲の母えいが、仁に髭を剃るよう頼み込むのではないか。祝言には、仁と関わりの深い人々が(野風を除いて)一同に会するだろう。勿論、竜馬の姿もそこにはある。
その場で竜馬が何者かに斬られ、近くにいた仁も巻き添えを食う。そしてタイムスリップ--冒頭のシーンにつながるのだ。(この時、仁は祝言ということで、着物ではなく、洋服を着ていると思う。)
仁が現代から持ってきたホルマリン漬けの胎児--これを祝言の会場の料亭の主人がどこからか入手して持っており、仁に見せる(あるいは手渡す)シーンが挿入されるかもしれない。あの胎児はタイムスリップの案内人のような存在で、あいつがいないとタイムスリップができないのだ、きっと。
しかしこれだと咲と仁は、祝言は挙げたが、肉体的には結ばれていない、ということになる。それではあまりに悲しいので、どこかで深い仲にするのではないか、と僕は見ている。村上もとかはそうゆうシーンを書くのも実は得意なのだ。
現代に戻った仁は、そのまま脳外科医の南方仁として生きる。(警察の取調べ等はあるだろうが、指紋その他で本人であることは証明されてしまうし、現代の仁は江戸へ行っちゃったから特に不都合はないのだ。)
仁は過去の歴史を調べてみる。しかし歴史は変わっていなかった。ペニシリンの発明はおろか、江戸で南方という医師が驚異的な手術をした記録さえ残ってはいない。彼がいた江戸は、別の未来につながっていたのだ。
絶望感に襲われる仁。そうして日常は過ぎていく。しかし数ヵ月後、彼の目の前に、研修医として一人の女性が現れた。それはまさしく、橘咲その人だった。
--とこれが僕の妄想だが、如何だろう 本当の結末は、あと数ヶ月待つより他にないが。
まず、冒頭に書いた疑問「南方仁はなぜ髭を生やしているか?」について考察しよう。
村上もとかの一連の作品で、髭を生やしている人物で真っ先に思いつくのは、「六三四の剣」の六三四の父、夏木栄一郎か。そういう意味では、南方仁に髭が生えてるのも別に不思議ではない。髭を生やしたお医者さんもいるし……。しかし実は、仁が髭を生やしてるのには大事な意味があるのだ。
主人公の南方仁は、身元不明の男性の開頭手術をする。彼の脳には畸形封入胎児があった。男は、そのホルマリン漬け標本と共に、手術道具などを持ち出して病室を抜け出す。仁は彼ともみ合ううちに階段から落ち、江戸時代へタイムスリップしてしまうのだ。
この身元不明の男が、どうやら南方仁本人だというのがすでに漫画の中で語られる。男が仁に向かって「お前は私だ」と叫んだのを仁が思い出すのだ。そう言われれば、眉毛や目が仁とよく似ている。しかし、髭はない。仁に髭を生やしたのは、「この2人が同一人物である」ことをできるだけ隠しておきたい、という作者の思惑によるものなのだ。
テレビドラマの仁先生は髭を生やしていない。その代わり、顔面をひどく怪我したために、包帯でぐるぐる巻きにしてある。さらに「戻るぜよ」という竜馬の台詞を重ね、包帯男は坂本竜馬では?という含みをも持たせている。
仁は、江戸時代から怪我をして現代に戻ってくるのだ。ではそれはいつか? 京都で竜馬暗殺に巻き込まれた時だろうか?
その可能性は薄いだろう。何故か? 仁が現代から江戸へタイムスリップした時、地理的にはほとんど同じ場所(お茶の水の神田川近辺)だった。とすれば、江戸から現代へ戻るときも、場所は同じ所となるだろう。
漫画の冒頭、救急隊員の連絡によれば、男性は錦糸公園で発見されている。これは墨田区に実際にある公園だ。つまり仁は、江戸(または東京市)でタイムスリップする筈だ。ではいつか?
ヒントの一つは、「この男性はどうみても40~50代」という医師の台詞。南方仁は34歳。その後、2年が経過しているので36歳。さらに、竜馬暗殺の日が仁の誕生日であることが最新号で語られているので、37歳となっている筈だ。医師の見立てが正しければ、タイムスリップまでまだ数年の猶予がある。
しかし、仁は江戸でコレラを病んで死にかけており、さらに牢内で殺されかけたり、拷問で石を抱かされたりと散々な目にあっている。そのために、すでに見た目で40代に見えてもおかしくはない。
ここで冒頭に挙げた「髭」が重要なヒントとなってくるのだ。現代に戻った仁には髭がなかった! とゆうことは、仁はどこかの段階で髭を剃らねばならない。では、何のために仁は髭を剃るのだろう?
戦国時代の武将は軒並み髭を生やしていたが、江戸時代では、特殊な職業を除いて、武士も町人も髭を剃っていた。その特殊な職業の一つが医師である。だから仁が幕末に髭を剃らなくても、決しておかしくはなかったのだ。これが明治の御世になると、西欧の影響か、人々はこぞって立派な髭を生やし始める。伊藤博文、大久保利通、板垣退助、乃木将軍、明治天皇など、みんなごっつい髭を生やしている。にもかかわらず、南方仁は髭を剃る羽目に陥るのだ。それは何故だろう?
僕はこれは、橘家のお母さんの希望ではないかと推理する。仁は咲に指輪を渡し、プロポーズしている。竜馬暗殺を阻止したら、祝言をあげる気でいることが、すでに作中で語られている。
おそらく、暗殺は阻止されるだろう。坂本竜馬は史実と異なり生き延びる。大政奉還は成り、仁たち一行は江戸へと戻る。世は明治となるが、徳川が実権を握っている状態に不満を持った薩長土は、錦の御旗を掲げて江戸へ向けて進軍を始める。
江戸の無血開城、上野での彰義隊の戦闘も漫画には描かれるだろう。大村益次郎や篤姫も登場し、仁と関わりを持つに違いない。(仁の命を狙う三隅という医師がいるが、罪が露見して捕らわれる筈である。)
そうして江戸(東京)に平和が訪れた後、ついに仁は咲と祝言を挙げる。その際に、咲の母えいが、仁に髭を剃るよう頼み込むのではないか。祝言には、仁と関わりの深い人々が(野風を除いて)一同に会するだろう。勿論、竜馬の姿もそこにはある。
その場で竜馬が何者かに斬られ、近くにいた仁も巻き添えを食う。そしてタイムスリップ--冒頭のシーンにつながるのだ。(この時、仁は祝言ということで、着物ではなく、洋服を着ていると思う。)
仁が現代から持ってきたホルマリン漬けの胎児--これを祝言の会場の料亭の主人がどこからか入手して持っており、仁に見せる(あるいは手渡す)シーンが挿入されるかもしれない。あの胎児はタイムスリップの案内人のような存在で、あいつがいないとタイムスリップができないのだ、きっと。
しかしこれだと咲と仁は、祝言は挙げたが、肉体的には結ばれていない、ということになる。それではあまりに悲しいので、どこかで深い仲にするのではないか、と僕は見ている。村上もとかはそうゆうシーンを書くのも実は得意なのだ。
現代に戻った仁は、そのまま脳外科医の南方仁として生きる。(警察の取調べ等はあるだろうが、指紋その他で本人であることは証明されてしまうし、現代の仁は江戸へ行っちゃったから特に不都合はないのだ。)
仁は過去の歴史を調べてみる。しかし歴史は変わっていなかった。ペニシリンの発明はおろか、江戸で南方という医師が驚異的な手術をした記録さえ残ってはいない。彼がいた江戸は、別の未来につながっていたのだ。
絶望感に襲われる仁。そうして日常は過ぎていく。しかし数ヵ月後、彼の目の前に、研修医として一人の女性が現れた。それはまさしく、橘咲その人だった。
--とこれが僕の妄想だが、如何だろう 本当の結末は、あと数ヶ月待つより他にないが。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます