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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

日展の不正疑惑問題

2013年10月31日 | 【エッセイ・コラム】

日展の篆刻部門で、入選数を調整した問題が朝日のスクープで発覚しました。

このスクープは、芸術界のタブーに踏み込んだことで注目を浴びているように思います。美術に携わる者としては、誠しやかにささやかれたことで、特に日本一の公募団体である日展と言うことで衝撃的ではありますが、地方の美術展では、よくあることです。

懸賞付きの公募展の場合には、こうしたデキレースは、存在しないと思いますが、多くの公募展では、学閥、派閥により入選が決まることはよくあることです。

端的な例をだすと、芸能人の入選などは、個人の実力以上に師事する先生の力により決まると想像できます。

今回のスクープは、形骸化している日本の芸術界に一石を投じた点で評価できます。それは、美術品が売れなくなっている現状が一因しているように思います。

それは、時代を担うアーティストが、その聖域から飛び出し国際的な評価を得るようになって来ていることとで、既成の美術界が崩壊しつつあるからでしょう。

書の世界においても、それが端的に表れており、現在活躍する気鋭の書家は、団体に属さないフリーアーティストであり、相田みつを人気が発端となって遊字が生まれ、書の基本を習わずとも容易に生み出すことができる書家が数えきれないほどに生まれたことで、もっとも徒弟的な書の世界が崩壊しつつあることを現しているといえます。

しかしながら、絵画の世界では芸大の存在と共に、有名団体に所属する若手には人気と実力を兼ね備えた人材が多数存在するのも事実です。そうした人材をつぶさずに、美術界の改革がなされれば、日本の芸術が国際的な評価を受ける早道になると考えます。


響きあう芸術・奥田元宋・小由女特別展 名都美術館

2013年10月29日 | 【美術鑑賞・イベント】

名都美術館で開催中の「響きあう芸術 奥田元宋 小由女」特別展を観賞。

今回の展覧会は、日展の重鎮として活躍され、日本芸術院会員であり、文化勲章を受章された故・奥田元宋氏と妻で人形作家とし現在も日展で活躍され、日本芸術院会員で文化功労者でもある小由女氏二人による特別展です。

夫妻の故郷である広島県三次市の奥田元宋・小由女美術館の所蔵作品を中心に、元宋の赤と言われる風景画と優美な色香が漂う人形作品が仲睦まじく並んだ心和む空間となっています。

元宋の作品は、赤が最も美しく輝く秋に風景が多く、今の季節にふさわしい展示で、その大作には自然の奥深さを感じます。小由女の作品は、純白の清廉で造形的な女性像から、結婚を機に鮮やかな彩色が施され、氏が考案された樹脂による人形は、繊細かつ艶やかな優美さを漂わせ、元宋の赤に融合することで、より美しさを増しているように感じました。

二人の異なる芸術が豊かな音色を生み出し、華麗なハーモニーを奏でているような魅力的な展覧会でした。特に女性には、おすすめの展覧会です。

夫妻の共作「春陽清韻」


観世宗家展・松坂屋美術館

2013年10月28日 | 【美術鑑賞・イベント】

松坂屋美術館で開催中の「観世宗家展」を観賞。

能と言うと、格式の高い舞台芸術として、また、薪能などからは、闇の中で静かな舞われる幽玄な世界や高砂などの祝詞としての印象を持ちます。

舞台芸能としての古典芸能には、さまざまな種類があり、日本最古の雅楽に神楽、能と狂言による能楽、人形浄瑠璃にお文楽、歌舞伎などがあります。現代に置き換えると雅楽が現代舞踊、能がミュージカル、狂言が漫才、歌舞伎がストリートパフォーマンスと言えるでしょう。

今回の展覧会は、室町時代に観阿弥、世阿弥親子により創建された680年に及ぶ能楽を装束と能面にスポットをあて、視覚的に能の世界を表現しています。

能の世界は、猿楽と狂言を一にした現在の能楽とされているそうで、今回は、その猿楽の世界にあたります。今では、野村萬斎などの狂言師が注目されていますが、現在の能は、観阿弥、世阿弥により確立され、世阿弥は、風姿花伝により芸能を書物として初めて表しました。

室町から江戸へと時の権力者に愛されてきた観世宗家の能楽の世界。一般的な印象として、能面に美しい装束を身に着け、静的な舞の印象があります。数々の能と装束を見ると、その幽玄な世界が伝わり、能の奥深さを感じました。


あいちトリエンナーレ閉幕

2013年10月27日 | 【美術鑑賞・イベント】

本日10月27日が最終日となるあいちトリエンナーレ。見逃してしまったエリアを観るために出かけました。

先ずは、愛知県美術館の前回見逃した8階のエリアへ。海外アーティストによるインスタレーション作品が多くみられ、現代美術を感じるゾーンでした。

彦坂尚嘉による復活の塔。ヤノベケンジと共に十分に今回のテーマがわかる作品

スピーカに近づくと共鳴するようにコーラスする空間。カナダの作家によるジャネット&ジョージによるインスタレーション。

そのまま、納屋橋エリアのリチャード・ウイルソンのボーリングレーンを見納めに。歩く途中で名古屋市美術館内の作品を。前回まったくスタッフや案内板が見当たらず、入口がわからず見落としたエリア。名古屋市美術館の裏で休憩していたら、そこが入り口を判明。

ボランティアスタッフの人員確保が難しく理解できる点もありますが、明快な案内表示があれば、補えるように思いました。その点は長者町エリアにも言えることで、来場者の増加が今後見込まれるイベントですから、人にやさしい案内板などの設置を望みます。



3年ごとに開催される「あいちトリエンナーレ」は、今後日本を代表するアートイベントになっていくと思います。

今回のテーマに関連して東日本大震災による原発事故に対するアンチテーゼ的意味合いの展示が並びます。今回のトリエンナーレは、特に反原発を明確に主張した作品が日本人アーティストを中心に見むけられました。

アーティストにとっては主張しやすい命題で、次の開催までにアートを通してどのような行動がなされていいくか注目されます。 


グルメサイトとグルメブロガーのもたらす弊害

2013年10月25日 | 【グルメ・名古屋めし】

最近、お米の産地偽装メニュー偽装などの事件により食品偽装問題が再燃しています。それらの事件に関連して、朝のワイドショーで面白い実験をしてました。

加工ハンバーグを、手ごねハンバーグと加工ハンバーグの2種類で表記して、どちらが美味しいか判断してもらうもので、なんと3対1で手ごねと表記したものに集中したことです。

この実験はだまし打ちのようなものですが、人の味覚の曖昧さを証明した実験としては適切に思います。そして何より、一部が表面化しただけで、産地偽装は氷山の一角のように思うのです。そして、グルメブームの中で、産地と言うブランドにより人は踊らされてはいないかと感じます。

そのブームを生み出したのは、グルメサイトやグルメブロガーのも事実で、それらの情報を鵜呑みしている現状があるのではと、個人的にも反省しています。

僕自身は、さまざまなジャンルの中で好奇心旺盛に、ブログで発信してきました。中でもグルメジャンルに関しては、自分の主観で美味しかったものだけを取り上げてきました。もちろん、グルメサイトやグルメブロガーの情報を得ています。ただ、僕のポリーシーとして、お店の味の批判はさけて、自分に舌に合わなかったものは紹介しないと決めています。

今もメディアで活躍するグルメ評論家の方々は、一様に本当においしいと思うものしか紹介してませんでした。そこには食を伝えることへのプライドと品格を感じます。

今ネットを賑わしている情報は、高評価と並んで聞くに堪えない批判が乱立し、それを楽しんでいるかのように感じます。

今日地元で、イタリアンをリーズナブルな価格で提供している、ご夫妻のお店に久しぶりに訪れました。会計の際に、グルメサイトの話になり、奥様はサイトの評価を見るのが怖いとおしゃっていました。このお店は僕にとってはお気に入りのお店で、連日地元のおお客様でにぎわっています。

一度の来店だけで辛辣な評価をする。そして、そのことが店を愛する人々にまで影響してしまう。紹介するものは、その責任を自覚すべきではと思う今日この頃です。


日本映画に見るネオトレンディドラマ化現象

2013年10月24日 | 【エッセイ・コラム】

日本映画が好調です。かつては、ハリウッド映画に押され沈滞化(ただし、興行的に)していた日本映画も、多種多様のラインナップです。

なかでも、その好調を支えているのが、恋愛小説の映画化でしょう。記憶をたどるとこの流れは、世界の中心で愛を叫ぶから、今日まで続いていて、ティーンネージの支持を集めています。

かつての人気俳優をキャスティングして一世を風靡したトレンディドラマ全盛時にこの傾向は似ているように感じます。ひょっとすると、ドラマの低視聴率の原因もそこにあるのかなと思うのです。

趣味嗜好が多様化して、その中に映画と見ると言うアイコンが加わり、2時間余りで完結して、世代の共感を得る。恋愛映画は、ドラマに変わるものに確実になっているのです。

今、一部のシネコンでは、そうした高校生をターゲットにして高校生1000円で鑑賞できるようになっています。これは、実にタイムリーで映画を愛するものとしては、喜ばしいことです。

映画ファンにとっては、日本映画のこうした傾向に大いなるマンネリを感じる人も少なくないと思います。しかしながら、今、日本の映画人口は、キャリア女性とシニアが中心ですが、そうした中でティーンの心を掴む映画戦略は、決して間違いではなく、そうした映画が入り口となって、新しい世代の映画人口が増えるのは良いことだと思います。

それは、今ヒットしている「そして父になる」や良質な作品がロングランヒットを続けている傾向につながっています。それは、かつてのトレンディドラマとは異なる何かが恋愛映画にあるのではと感じるのです。


プロ野球クライマックスシリーズの功罪

2013年10月22日 | 【スポーツ】

昨日、楽天ゴールデンイーグルスがクライマックスシリーズを制し、日本シリーズは、リーグ優勝チーム同士の戦いとなりました。

このクライマックスシリーズが導入されて6年。数々のドラマが新た生まれました。ファイナルステージでは、過去に巨人とソフトバンクがリーグ優勝しながら、日本シリーズ進出を逃しました。

皮肉にも、日本シリーズを逃した年に、中日とロッテが日本一となり、ロッテは3位からの日本一で史上最大の下剋上となりました。その年の対戦相手が、下剋上の経験者である中日ですから、不思議な巡り合わせだなと思います。

今回は、セ、パ共にファイナルステージを勝ち取ったのは、3位チームの広島とロッテ。日本シリーズが史上最高の下剋上対決の可能性もあったわけです。

今回、パリーグは2、3位争いが最終戦までもつれ大いに盛り上がりました。セは、広島が初の3位となりましたが、負け数が上回る借金が抱えたチームが3位となりました。現在の状況では、リーグ優勝チームに、1勝のハンデが与えられているため、2、3位チームに日本シリーズ進出の可能性は低いですが、広島ファンには、申し訳ないですが、最低でも勝ち数が上回らなければ、挑戦者としての資格があるか疑問を感じます。

クライマックスの功罪を検証しながら、新たな日本シリーズへの布石を打つ必要があるのではと感じます。


オディロン・ルドン夢の起源 岐阜県美術館

2013年10月21日 | 【美術鑑賞・イベント】

岐阜県美術館で開催中の「オディロン・ルドン夢の起源」展を鑑賞。

オディロン・ルドンは、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの画家です。今回の展覧会は、故郷ボルドー美術館や当館を含む国内の美術館の所蔵品150点からなる、ルドンの芸術の軌跡をたどる展覧会です。

初期の木炭画やリトグラフに後期の油彩画などが並びます。ルドンは、モローと並ぶ象徴主義の画家として有名ですが、初期の木炭画では自然主義的作品が並び、リトグラフなどのモノクロームの作品では、神話に題材をとる作品がめだち、堕天使や擬人化した生物などに自然と幻想が融合した作品が多くみられました。

晩年の作品では、さらにその幻想的な作品が色彩豊かな油彩画へと昇華され、観る者をルドンの夢の世界へと導いていくように感じました。

今日、ルドンコレクションと言えば岐阜県美術館と言われるほど、所蔵作品は群を抜いており、こうして他のコレクションが一堂に並ぶと、一段とその価値が増すように思います。

岐阜県美術館は、個人的にも好きな美術館です。その理由は、美しい庭園と館内にあるパイプオルガンや訪れた時にも、チェロのコンサートが行われていて、クラシックの定期演奏会も行われています。

また、学芸員や美術館スタッフも積極的にコミュニケーションを持たれ、館長自ら案内をされている光景も見られます。

歴史ある美術館にぜひ足を運んでいただきたいと思います。

 


映画そして父になる

2013年10月20日 | 【映画・ドラマ・演劇】

ようやく、映画「そして父になる」を観賞。もうほとんどの映画ファンなら鑑賞すみだと思います。ハリウッドリメイクも決定して、是枝監督作品としては、最大かつメジャーヒットとなりました。作品の内容は、今更語ることもないと思いますから、省略します。

日常の中で、身近に起こりうる社会的的な問題を、人間の心の部分に深く入り込む印象が強い是枝作品ですが、今回の作品は、子供の取り違えと言う、今では考えられない問題を福山雅治演じるエリート会社員とリーリー・フランキー演じる貧しい小売店主の二人の父性を通して、絆と血筋の対立のなかで家族の在り様を淡々と描いた作品でした。

今回のテーマである父性を、本来的に備わっている母性と比較していくと、二人の異なる父性が環境や性格などにより、形成されていることが如実に現れているのを感じました。


追悼やなせたかし氏とアンパンマンの詞

2013年10月18日 | 【エッセイ・コラム】

10月13日に94歳で天寿を全うされたやなせたかしさん、アンパンマンでたくさんの人々に勇気と希望を届けてくれました。6月に岐阜県美術館で開催された「やなせたかしと『詩とメルヘン』のすばらしき仲間たち」を観賞して、やなせさんのイラストと共に詩の世界を堪能したばかりでした。

テレビで流れるアンパンマンのマーチは、実は2番で1番はあまりないそうです。

その1番の詞の冒頭

そうだうれしいんだ  生きるよろこび たとえ 胸の傷がいたんでも

なんのために 生まれて なにをして生きるのか

このフルコーラスのアンパンマンが被災地のラジオから流れて、被災者の方々を勇気づけたそうです。

やなせさんは、アンパンマンで生きる喜びと勇気を与え続けてくれました。その心は永遠に尽きないと思います。

 


DVDムーンライズ・キングダム

2013年10月17日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、ブルース・ウイリス、エドワード・のノートンなど、ハリウッドの名優が脇を固め、12歳の男女のひと夏の冒険を描いたコメディー作品「ムーンライズ・キングダム」です。

内容は、アメリカニューイングランドで地方の小さな島。厳格な両親とわがままな弟たちに悩む少女スージーとボーイスカウトの問題児サムが駆け落ち、島民やボーイスカウトの隊員たちは、二人を探して島中を駆け巡るドタバタ劇です。

ボーイスカウトの隊長にエドワード・ノートン。島の警官にブルース・ウイリスが演じています。この二人のコミカルな演技と駆け落ちする12歳のカップルを演じる子役の二人の演技が秀逸です。

監督は、アメリカ若手監督の注目株、ウエス・アンダーソン。随所にある平面的に撮影された場面が、紙芝居や絵本のページをめくるように、小さな恋人の駆け落ち劇をファンタジックに演出しているようです。

あの名作「小さな恋のメロディー」を、今の時代に再現すると、こんなコミカルで、キュート、そしてスイートな作品に生まれ変わるのかなと思ってしまうほどの素敵な映画でした。


映画トランス

2013年10月16日 | 【映画・ドラマ・演劇】

スラムドッグ$ミリオネアで2009年のオスカーを総なめにしたダニー・ボイル監督の最新作「トランス」を観賞。

今回の作品はタイトル通りトランス(催眠療法)によるミステリー。40億円のゴヤの名画にが強奪。共犯者のオークショニア(競売人)のサイモンが、リーダーのフランクに殴られたことで、絵画の隠し場所の記憶が消え失せてしまいます。その記憶をたどるために、女性催眠療法士のエリザベスを雇うことに。

サイモンの記憶をたどると、彼の人格やゴヤの名画の謎などが浮かび上がり、隠し場所をたどるほどに記憶の奥底に現れたは消え、名画の行方の真相が判別できないほどに、観るものも、トランス状態に陥らせます。また、少々不快感を与えるだろうエログロな世界も、この作品には必要不可欠なエッセンス存在と言えるでしょう。

この事件の真相は、催眠療法によるフラッシュバックの手法がとられています。サイモンとフランク、エリザベスの三人が複雑に絡み、この事件の真相がどこにあるのか、その謎解きがスリリングかつスタイリッシュでラストまで飽きさせない作品でした。


横尾忠則 肖像図鑑展に

2013年10月13日 | 【美術鑑賞・イベント】

ブルータスCASAの、いま行くべき美術館はどこだ?にも選ばれた横尾忠則現代美術館。横尾忠則氏の美術館はm、瀬戸内豊島と神戸にあり、神戸の横尾忠則美術館は、かつては、兵庫県立美術館の西館でした。就職、新婚時には、この施設の近くで暮らしていたそうで、神戸の震災を機に、兵庫県立美術館が新設され、当施設は、横尾作品300点を収蔵する横尾忠則現代美術館として新たに生まれ変わりました。

僕にとって、ポップアートに興味を始めた頃に、日本のイラストレーターにも関心があり、横尾忠則は重要なアイコンの一人でした。そんな彼が、1080年に画家宣言したと時、かつてのイラストレーション作品に感銘をしていた僕は、横尾さんはどこに向かうのか不安を抱え、画家横尾忠則には、しばらく興味が失せていました。30年の歳月を迎え、神戸に行く機会が増えたことで、横尾忠則ともう一度対峙してみようと思いました。

未だ、画家作品には、好き嫌いが多いのですが、今回の「横尾忠則・肖像図鑑」は、嫌悪感なく鑑賞できました。俳優、作家、ミュージシャンなど、時代、時代で彩られる人物像。さらに、肖像画を描きながら、プライベートでも交流を重ねています。

横尾忠則は、三宅一生のコレクションのための招待状から壇一雄のエッセイの挿絵、瀬戸内寂聴との挿絵などの仕事があり、その中でも、瀬戸内寂聴との交流により生まれた、日本経済新聞社の連載「奇縁まんだら」の挿絵原画は、今回の肖像画図鑑の主要作品をなしています。それは、寂聴と横尾の関係により新たなコラボレーションにより、横尾忠則の画業の重要なアイティムとして存在しているように思います。

最も共感を得たのは、192点に及ぶ日本近大文学者の肖像。寂聴との出会いにより、横尾の肖像画は過去にさかのぼって寂聴の体を通じて過去にタイムスリップして現代の姿に投影しているかのようでした。


映画アンコール

2013年10月12日 | 【映画・ドラマ・演劇】

先回の記事でご案内した「江坂清作自選展」に出かける前に、会場からほど近いミニシアター伏見ミリオン座で早朝映画を観賞してきました。

この早朝映画は、おはようミリオン座と言う企画で、平日の朝8時半から、少し前に上映された作品を、1000円プラス無料でコーヒーがサービスされる、とっても素敵な企画です。

今回はそこで観た、ヒューマン、コメディー作品「アンコール」(来週15日~18日まで公開)をご紹介します。

ロンドン郊外で高齢者年金を受けながら暮らす夫婦。夫は、頑固で偏屈な老人ですが、妻の趣味のコーラスグループ年金ズの練習会場に送り迎えをする愛妻家です。一方で過去にがんを患い、彼女の体を気づかうあまりコーラスの練習には反対で、コーラス仲間を毛嫌いしています。夫婦にはシングルファーザーの息子がいて、父とは折り合いが悪く、会えば喧嘩を繰り返すばかり、そんな時に、妻のがんの再発が、余命僅かの宣告をうけた妻は、夫の心配を振り切り、コーラスコンクールに挑みます。

最初から、笑いと涙を誘い、ラストに近づくほどに、ハンカチを離せないほど泣けました。実在するコーラスグループをベースに脚本されたもの。老人たちの歌う曲は、ロック、ポップス、ソウルの名曲で、シンディー・ローパー、ビリージョエル、スティビー・ワンダー、モーターヘッドなど、パワフルでチャーミングなコーラスを随所に披露しています。

主役の夫婦を演じるのは、イギリスを代表する名優。テレンス・スタンプとヴァネッサ・レッドグレイヴで、時に軽やかに時にユーモア豊かに、そして寄り添うような愛情が印象的で、物語の前半部と後半部には、いぶし銀の演技により大きな感動の渦が巻き起こります。

老いを感じ、死を見つめながら、慎ましい生活を送る日常に、音楽と言うスパイスで楽しく、元気に過ごす老人たちのパワフルな姿を見ていると、老いることも素敵なことだと感じる、人生はすばらしさが伝わる名作です。

 

 

 


江坂清作自選展・電気文化会館ギャラリー

2013年10月11日 | 【美術鑑賞・イベント】

アートにかかわる仕事をするなかで、さまざまな画家と出会ってきました。以前「間違いだらけの絵画選び」のタイトルでコラムを書きました。かなり辛口のコラムで、好評を得ましたが、中央の画壇を離れた地方の画家の場合には、その制作活動に疑問を抱く画家が多いのですが、今回ご紹介する江坂清作先生は、そんな画家とは真逆の尊敬する画家の一人でした。

米寿を迎え、中部地方で活躍する教え子(中堅、ベテランの画家の方々)の支援で、今回の個展が実現しました。その個展を前に、9月10日に永眠されました。

江坂清作先生は、1924年愛知県安城市生まれ。二紀会、光風会で活躍され、椙山女学園、中部大学講師などを務められ、教育者として多くの作家を輩出されました。今回の尽力された賛助出品の画家の皆様は、中央画壇で活躍された方々ばかりです。

作品は、パステル画を中心に61点が展示され、賛助出品も30点となる氏の偉業を称える展覧会です。

生前、ベレー帽をかぶり颯爽と自転車のペダルを踏み、道すがら店を訪れて、教え子の活躍を笑顔で話されていた姿が今も鮮明に残っています。

今回の作品の中に、僕が額装した作品が多数あり、先生と作品に合う額を話し合ったことが懐かしく感じました。

孤高の中で自らの芸術を対峙し生涯芸術を極めようとする人、自らの芸術に対する姿勢と思想を通じて、後進の指導に心血を注ぐ人。僕にとって、前者も後者も芸術家として、最も尊敬できる人です。

その意味で、江坂先生は後者の人であったと思います。そして最も身近に芸術家を感じる人でした。

今回の展覧会は10月14日まで、名古屋伏見の電気文化会館5階西ギャラリーで開催中です。僕のつたないメッセージで今回の展覧会を鑑賞いただけれる気持ちになられたら幸いです。


先生のパステル画は、風景、花、静物と多彩で、その色とモチーフは、優しさにあふれた作品が数多いです。また、円空仏に魅了され、今回の自選展にも登場します。