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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

日本で洋画、どこまで洋画? 愛知県美術館

2016年11月30日 | 【美術鑑賞・イベント】



愛知県美術館で12月18日まで「日本で洋画、どこまで洋画?」が開催中です。

今回の企画展は、愛知県美術館のコレクションから洋画の世界にスポットをあて、日本の洋画の歴史を紐解いていく、日本美術史の基礎を学ぶ上でも、たいへん良い企画です。

洋画と言うと、先ず油絵を思い浮かべる人も多いかと思います。明治維新を境に西洋絵画が日本に入り、当時ヨーロッパの主流が油絵の具を用いた洋画であったことから、近代日本洋画の祖である高橋由一など、その作品は板の上に油絵の具を用いて描かれたことで、そうした固定概念が生まれたのではないかと思っています。

確かに明治、大正、昭和の洋画家は、いわゆる油彩画によるものが大半です。しかしながら、現在の洋画の世界は、その領域を目に見える形で広げています。その表現方法も多種彩々で、油彩にとどまらず、日本画材料やアクリル材料、さらに、それらの材料が混在する作品など、表題のどこまでが洋画?という疑問を持つのは、当然のことだと思います。

それは、日本だけのことではなく、日本での洋画は、西洋絵画の材料や表現方法の変遷によるところがあり、洋画の世界は、万国共通であることは確かです。

実は、今回の展示は、少なからず、日本で生まれた近代日本画にも徐々にその傾向が進んでいてジャンルという絵画の領域はボーダレス化しています。今回の展示で、洋画の歴史を学びながら、いつか20世紀以前の美術は、ピタゴラス化の道を歩んでいくような予感を持ちました。


DVD 二重生活

2016年11月29日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、小池真理子原作、門脇麦主演の映画「二重生活」です。

 

若手実力派女優の一人、門脇麦。二階堂ふみ、黒木華と並び、演技力のある女優として注目してますが、彼女のことは「謎めく普通女子」という代名詞がふさわしいと勝手に思ってます。

今回の役どころは、哲学専攻の大学院生で修士論文のテーマに教授より哲学的尾行を提案され、隣人の男性を追跡するというう内容です。

タイトルの二重生活にあるように、長谷川博己演じる隣人男性の二重生活に、恋人役の菅田将暉と教授役のリリーフランキーの二重生活を加わって、平坦な日常の中で徐々に沸き起こる刺激的な尾行を見るたびに、不思議な高揚を感じました。また、ラストへ向かうストーリー展開も絶妙で、ドキュメンタリー番組のプロデューサーでもある、岸善幸監督の映像美も主人公の尾行にリアリティーをもたせていました。

そして、何より主人公を演じた門脇の「謎めく普通さ」がこの作品のテーマにもっとも溶け込んでいるなと思う作品でした。


俺たちの国芳わたしの国貞 名古屋ボストン美術館

2016年11月28日 | 【美術鑑賞・イベント】



名古屋ボストン美術館で開催中の「俺たちの国芳わたしの国貞」が人気です。

江戸絵画に注目を集めている中で、人気浮世絵師であり、初代歌川豊国門下で兄弟弟子の関係でもある歌川国貞と国芳。その作品の全貌が披露される展示は、世界随一の浮世絵コレクションを誇るボストン美術館だから可能な企画、閉館が決定となった名古屋ボストン美術館の歴史を飾る上でも貴重な展覧会と言えます。

兄弟子の歌川国定は、歌舞伎役者に花魁や芸者などの美人画がずらりと並び、江戸のファッションショーともいえる艶やかさと華やかさがあります。その色彩感覚はまったく古さを感じません。また柔らかな描線が役者の浮世美人の色気を感じます。

弟子の国芳は、豪華絢爛にして勇壮な時代ものが特色。さらに大胆な構図や独自の発想力が魅力で、観ていて楽しくなる作品ばかりです。

江戸において浮世絵版画は、今でいえば、ブロマイドやグラフィックアートの世界。庶民の娯楽として扱われていました。長い年月を経て芸術的価値を持ちましたが、アメリカのポップアートに通ずるところがあります。そして江戸の庶民に愛された存在が、国貞や国芳であったのではと思います。

今回の展覧会は12月11日で閉幕。とかく高尚な世界だと思われがちな芸術ですが、その敷居など取り払って、愉快にこの展覧会をより多くの人に楽しんでほしいなと思います。

 


追悼 フィデル・カストロ

2016年11月27日 | 【エッセイ・コラム】

昨日、キューバの英雄、フィデル・カストロ前議長が亡くなりました。自由主義、民主主義を支持する僕にとって、社会主義国家キューバ指導者であっても尊敬する人物の一人です。また、親日家でもあり、広島の慰霊碑に献花をし平和を思う気持ちが強い指導者としても親近感がわきます。

僕がカストロ氏を尊敬するのは、社会主義国家の指導者とは異なる人間性を持っていることです。理想を追い求め、教育と医療の無償化を行い、経済制裁の中で農業国家を推進し、人種差別のほとんどない国家を築きあげたことは、どの社会主義国家がなし得なかった功績です。また、国家体制を観れば、反体制との対立は当然ですが、亡命者への黙認も、ある意味でカストロ氏の人間性を物語っていると思います。

そして、逝去に対する遺言とて火葬での埋葬を望んでいることも、自らの力を知った上で、国家としての共同指導体制への移行だと思います。

今もなお時代を超えて若者のカリスマであるキューバ革命を成し遂げたひとりのチェ・ゲバラが革命の元で死んでいった英雄に対して、長年にわたり国を支え、富を分配し、革命の下で生きたカストロも英雄であることは、間違いないと感じます。


DVD さざなみ

2016年11月26日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、シャーロット・ランプリングとトム・コートネイ主演作品「さざなみ」です。

代表作「愛の嵐」など、スクリーンでも私生活でも奔放な女優として有名だったランプリング。そして、名作「長距離ランナーの孤独」でデビュー、共にイギリス代表する名優となった二人が、70歳と79歳の老夫婦を演じて話題となったのが本作。

氷河に閉じ込められた長き年月を経て再び再開する小説を基に、45年の結婚記念日を迎え、夫のもとに送られてきた手紙から揺れ動く妻の心模様を描かれています。また、夫婦の日常が、二人の過ごした想い出のヒット曲と共に流れ、その歌詞に少なからず意味を持って進むのも、その時代に生きた人には興味深いと思います。

手紙の内容は、二人が結婚する前の出来事で、夫の恋人が山岳事故で行方不明となった恋人が発見され身元確認の依頼。妻が、かつての恋人に思いをはせるようになる夫に不信感を抱き、亡き恋人に嫉妬心を募らせながら、無事に結婚記念パーティーを迎えるまでの7日間が描かれています。

亡き恋人への興味から、かつての思い出を聞き出す妻。無関心を装いながらも、日ごと恋人に思いを募らせ、妻に内緒で行動する夫。45年の夫婦の絆が時が止まった恋人が作った波紋となって静かに広がっていく様とラスト15秒の妻の姿に、男と女の恋愛感の違いが凝縮されていて興味深い作品となりました。

 


DVDF アンジェリカの微笑み

2016年11月25日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。ポルトガルの最高齢監督が描くファンタジックで狂喜に満ちた作品「アンジェリカの微笑み」です。

 

2015年に106歳で亡くなるまで、現役最高齢の監督だったポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ。今回の作品は第63回カンヌのある視点部門のオープニングを飾った作品で監督が101歳で撮ったもので、僕も本来なら劇場で観たかった作品です。

物語は、ポルトガル郊外の富豪の娘の突然に死に際して、写真を依頼された青年が、死んだ娘に魅了され恋に落ちていく様を現実と幻想を交えながら描かれています。

美しいドレスをまとった死装束のアンジェリカ。かすかな笑みをたたえる表情は、誰もが今にも目を覚ましそうで主人公の青年でなくとも、その美しさに魅了されます。事実、この映画を見たいと思ったのは、一枚の絵画のようなカットからでした。

今回の作品は、1952年の大戦下での迫害を逃れたユダヤ人青年が設定の後に、現代に書き下ろして撮られているそうです。過去の所在がわからない、何かに怯えながら暮らす主人公。死に人アンジェリカと出会い、狂喜の旅に導かれる姿に、感動と共に切ない儚さを感じました。

 


DVD グランドフィナーレ

2016年11月22日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、イタリアの奇才、パオロ・ソレンティーノ監督の最新作「グランドフィナーレ」です。

 

前作のグレートビューティ/追憶のロ―マでアカデミー賞外国語作品賞に輝き、カンヌをはじめ世界の映画祭で愛される監督の最新作は、スイスのリゾートホテルを舞台に、そこに集うセレブと妻を亡くした世界的な音楽家を主人公に、人生の悲哀を美しい映像で展開する歌劇です。

リゾートホテルに集まった個性的な人々は、どこか現実のセレブと重なり、その言動や行動が時に滑稽に感じられながらも、その内なる苦悩や憂鬱が仔細に描かれ閑静なリゾート地と相反して躍動感を持ちます。

個人的な理由で封印した「シンプルソング」が理由と共に解き放たれるラストシーンは、この映画の美しさの集大成とも言える感動のフィナーレでした。


DVD ジョーのあした-辰吉丈一郎との20年-

2016年11月19日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回はボクサー、辰吉丈一郎の20年を記録したドキュメンタリー作品「ジョーのあした-辰吉丈一郎との20年-」です。

 

1990年代において、人気と実力を兼ね備えた稀有のボクサーと言えば、辰吉丈一郎をあげるボクシングファンは多いと思います。

僕自身も、日本のボクシング史上ベストバウトのひとつである辰吉対薬師寺の世界戦は、印象に強く残っています。

今回の作品は、40半ばを過ぎ、日本でのライセンスを失効してもなお、現役であり続ける辰吉丈一郎。その魅力を一年ごとにインタビューのみで構成されています。インタビューの合間に流れるナレーションを俳優の豊川悦司が担当しています。

インタビューをするのは、どついたるねんで赤井英和を役者として起用した阪本順治監督が1995年からの20年を費やし、デビュー当時から親交があった監督との信頼の上にたった、未だかつて見たこのない辰吉の真実の声で淡々と進み、彼のボクシングに対する姿勢や亡き父への愛や家族への愛、さらに彼の人生観までも内包し、辰吉丈一郎の人間としての魅力にあふれた作品となっています。

このドキュメンタリーを観た人は、辰吉丈一郎を好きになるに違いないと思います。


映画 ミュージアム

2016年11月18日 | 【映画・ドラマ・演劇】

小栗旬、妻夫木聡、競演のサイコサスペンス映画「ミュージアム」を観賞

以前は、コミック原作に対して否定的だった僕ですが、最近は、サスペンスに良質な作品が多く、改めて日本の漫画のレベルの高さに感服してます。

そして、今回のミュージアムは、その中でも、秀逸のレベルを持った作品だと思います。原作は、全3巻からなる巴亮介の同名漫画。監督は、るろうに剣心の大友啓史。原作の世界を踏襲しながら、ラストで映画らしいエンディングで締めくくってます。

物語は、仕事に没頭するあまり妻と子供に家を出てしまった、小栗演じる沢村が謎のメモが残された猟奇連続殺人事件を追う中で、その事件がある事件と結びつき、妻夫木演じる犯人のカエル男と対決するという内容です。

目を覆うような猟奇的な犯行と緻密な計画。点が線で結びつき徐々に明らかになる犯人像。原作の濃密な内容とキャラクターを見事に再現し実写化。ストーリー展開と言い、アクションを含めたカメラワークなど、文句なしの作品です。特殊メイクを施し狂気を演じた妻夫木聡と小栗旬の殺気漂う迫力の演技も好感がもてました。

恋愛作品が、数多く公開される日本映画の軟な現状を打破し、恐怖さえも感じる衝撃作を、ぜひ劇場で観てほしいと思います。


映画 ジャック・リーチャー NEVER GO BACK

2016年11月17日 | 【映画・ドラマ・演劇】

トム・クルーズ主演のサスペンス・アクション作品「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」を観賞

 

前作のアウトローで、渋さが漂うジャック・リーチャーを好演したトム・クルーズ。今回は、その続編として再始動。日本映画に人気を抑えられている現状から、少々評価も低いようですが、トム・クルーズファンにとっては、好感度の内容です。もちろん、僕も好評価です。

流浪の旅をおくる、元軍人のジャック。今回は、かつての彼が所属していた陸軍内部調査部の女性少佐ターナーが、いわれのない国家反逆罪で逮捕されたことを知り、彼女ともに真犯人を暴いていくという内容です。

ジャックとターナーの活躍に加え、ジャックの隠し事される少女も事件に巻き込まれ、陸軍内部に渦巻く悪を徹底的に暴き、クールな風貌と悪に対する容赦なき暴力のギャップは、トムの代名詞となったミッションインのイーサン・ハントとは対称的なキャラクター。

二人の異なるキャラクターを使いこなしながら、ジャック・リーチャーシリーズへと、うまく移管していくような予感がします。また、鍛えあげられた肉体は、若き肉体とはまた異なるものの50歳を過ぎた彼が追及するアクション俳優としての信念は揺るぎないものに感じます。


永遠の手塚治虫

2016年11月15日 | 【エッセイ・コラム】

手塚治虫が漫画家デビューして今年で70年を迎えるそうだ。僕の手元にも、火の鳥の他、愛蔵版として手元に置いています。

手塚治虫という存在は、僕も含めて漫画界において別格の存在で、その後の漫画家に多大な影響を及ぼした巨人と誰もが断言すると思う。

先日、NHKのBSの100分de名著スペシャルで「100分de手塚治虫」が放映されました。手塚を愛する四人の論客が、それぞれの視点で手塚ワールドの魅力を語り、たいへん興味深く観ることが出来ました。観ていない方は、11月19日午前0時よりEテレにて再放送されますので、ぜひ観てほしいです。

生前のインタビューなども交えた4人の論客と進行役の伊集院光の手塚への敬愛を感じる内容は、少年少女漫画では、鉄腕アトム、リボンの騎士。青年漫画としてMWや奇子、火の鳥などを通じて、手塚文学(もはや漫画を超える存在)を解説、ジェンダーフリーや犯罪や事件、その先見性とタブーへの挑戦、円で構成された独自のエロティスズム。キャラクターの中にある多声性を持った長編ストーリー。輪廻による生命讃歌など、手塚作品は、すべてが名著に値し、改めて手塚治虫の偉大さを再認識できました。

今や日本を代表するサブカルチャーとして世界で認められる存在の漫画。その中で、時代を超えて読み継がれる漫画が手塚治虫であり、手塚治虫を読まずして、日本の漫画を語るなかれと強く感じます。

時代を超え、読む者に時空を超える手塚治虫は永遠です。


映画 ぼくのおじさん

2016年11月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

北杜夫の小説を映画し松田龍平が、だめおじさんを演じた映画「ぼくのおじさん」を観賞

 

先日DVDで観た「モヒカン故郷に帰る」に続き、今回も松田龍平主演のコメディ映画「ぼくのおじさん」です。

物語は、松田龍平演じる大学で哲学を教える非常勤講師のおじさんが主人公。金もなく、兄の家に居候をするダメおじさんの日常から、一目ぼれした真木よう子演じる日系ハワイ人の女性に、甥っ子と共にハワイに住む彼女に会いに行く珍道中が描かれています。

監督は、味園ユニバースの山下敦弘、脚本は探偵はBARにいるシリーズの春山ユキオ。甥っ子役名で参加し、日記を基に進む展開。甥と姪、さらに二人の母親演じる寺島しのぶのおじさんに向けられる視線や言葉がダメおじさんの言葉と行動にうまくかみ合って終始笑いが絶えず、その独特なテンポがたまらない作品でした。

今回は、松田龍平が演じているキャラクターの集大成的な作品になっているように思いますが、こう書いたのも、危険な香りが漂う役柄も、ファンの一人としてぼちぼち観てみたいと期待があるわけで、今回の作品で思い切り笑って次回作を待ちたいと思います。

 


DVD・モヒカン故郷に帰る

2016年11月11日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、松田龍平、柄本明共演のホームコメディ「モヒカン故郷に帰る」です。

 

すっかり、ほんわかなキャラクターが定着しつつある松田龍平。これも、朝ドラ「あまちゃん」の影響があるのか、今回のキャラクターも髪型がモヒカンのインディーズパンクバンドながら、末期がんのオヤジの面倒を看るお互いが素直になれない親子を柄本明と演じてます。

今回の作品、南極料理人や横道世之介などのヒューマン作品を手掛ける沖田修一監督。広島の離島を舞台に繰り広げられる親子とその周りを取り巻く人々の個性が輝く、笑いと感動が詰まった作品です。

こうした作品には、欠かせない存在のもたいまさこが、柄本の妻役を今や脇役を演じることで、評価が高くなってきた前田敦子が、松田の恋人役を演じてます。

モヒカンの息子に永吉の名前をつけるほど矢沢永吉をリスペクトしているオヤジと息子の共通項は音楽。父が指導し、息子も一員だった中学の吹奏楽のメンバーや島の仲間、かつての教え子と小さな島のコミュニケーションがエネルギッシュで人情味豊か。どこを切っても、あたたかい笑いにあふれてます。

ほんわかな気分になりたい時にぜひ鑑賞してほしい作品です。


DVD・リップヴァンウィンクルの花嫁

2016年11月10日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、岩井俊二監督の最新作、「リップヴァンウィンクルの花嫁」です。

 

今なお、名作の呼び声高い「スワロウテイル」により、一躍人気監督に昇りつめた岩井俊二監督。すべての作品は、観ていませんが、その独特の映像美は、誰も真似できないのは確かです。そして、どこかアンニュイな空気が漂い徐々に岩井俊二ワールドに入り込む不思議さをいつも感じてます。

物語は、黒木華演じる七海と便利屋安室を綾野剛、そして、七海が影響を受けていく後の同居人の真白にはシンガーソングライターのCocco。その三人を主役に不思議な時間が流れていきます。ただ、その時間は、SNSでの恋愛や結婚式の代理出席、不登校生徒とのネット家庭教師など、現在の日本で経験する事柄により形成されています。

そして、静かに流れるクラシックな音色と毒を持つ美しい生き物たち、西洋風の豪邸など、岩井俊二の美意識が散りばめられ、それが、現代社会の抱える様々な問題とパズルをはめるように進んでいき、3時間の長編ながら時間を感じさせない魅力にあふれてました。

黒木華の透明さと浮遊感。綾野剛の静寂の中にある感情。Coccoの悲哀の中の熱情。三者の個性が強く引きだされたところも魅力です。その点で、スワロウテイルの出演者の引き立て方に相通ずるものがあるなと思いました。

日常の生活の中では、感情を素直に出すことが出来ず息苦しさを感じる時がある。そんんな、あなたは、この映画で静かに佇みながら奥底にある感情を揺さぶられていくと思います。

 


トランプ米大統領がもたらすもの

2016年11月09日 | 【エッセイ・コラム】

今日は、午前中からアメリカ大統領選挙の行方を注視してましたが、前日の世論調査の結果を覆し、トランプ氏が終始先行して勝利をしました。

勝利宣言での彼の言葉は、ヒラリー氏の健闘を称え、選挙戦の激しい舌戦とは打って変わった静かな勝利宣言でした。

その言葉を信ずるなら、トランプ勝利で円高、株価の下落も徐々に回復しそうな感じがします。できることなら、内向きな政策に終始することなく、今まで顔を出さなかったリベラル?な顔を見せてほしいと期待します。

そのためにも、トランプを大統領候補にした共和党の責任は、素人の眼から見ても明らかで各州で勝利した支持者の中に白人以外の支持者あっての勝利を肝に銘じてほしいです。

思えば、英国のEU離脱とヨーロッパに広がるナショナリズムの台頭の中で、若者たちの力により、均衡が保たれ、世界恐慌の危機と平和的な安定は何とか保たれていると思います。今回の大統領選は、嫌われ者対決と言われ、ある意味で悪党対決のように思いました。トランプの過激が発言とヒラリーのメール問題や財団の不正事を比較した場合、トランプ勝利は深刻な問題ではないかもしれません。その意味でも、アメリカのリベラルな若者たちのエネルギーに期待をしてます。

僕が、もっとも恐れるのはナショナリズムの台頭です。トランプの勝利でナショナリズムの波が世界に広がることです。アメリカの正義の是非はともかく、トランプ大統領の一連の主張が虚妄となることを祈りつつ、今後も注視していくしかない。