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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 侍タイムスリッパー:シンプルな笑い話が心地よい

2025年02月27日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で映画を観る人が減ってきている昨今。洋画全盛から日本映画中心の時代となったとは言え、ほとんどの作品が若者向け恋愛映画にアニメが人気です。そんな時代に牙を向いているのが、時折上映される時代劇ですが、過去のチャンバラ活劇と違ってシリアスなドラマ仕立てが多いように思います。

そんな時代に逆行するがごとく生まれた本作。自主映画ながら、東映京都撮影所の粋な計らいで実現した作品です。

物語は、長州藩士を打とうとした会津藩主の侍が刃を交えた瞬間、落雷に合い京都太秦撮影所にタイムスリップ。斬られ役として生計を立てようと悪戦苦闘するもの。大役を得るまでに成長した彼に思わぬ展開が待ち受けます。

キャストも時代劇にふさわしい面々で、主人公の会津藩士にはテレビでもおなじみの脇役、山口馬木也に個性的な俳優陣が顔を揃え、さらに斬られ役のベテラン、峰蘭太郎が出演、殺陣に一段とリアリティが増してます。内容はとてもシンプルな人情笑いで、笑いとちょっぴり涙を誘うシーンもあって飽きさせない演出でした。

3月21日にはアマゾンプライムで見放題配信されますが、待ちきれない方は、ぜひ劇場で時代劇の臨場感を味わってみてください。

いや、いいもの見せてくれました。

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2月美術展レビュー:円空大賞展・加藤孝造展・中谷ミユキ展

2025年02月25日 | 【美術鑑賞・イベント】


今回は、2月に鑑賞した展覧会3件のレビューをお届けします。

先ずは岐阜県美術展で3月6日まで開催中の「円空大賞展」を。円空大賞展は、岐阜県ゆかりの円空の独創性と慈愛に注目し、幅広い芸術分野の著名人などの推薦を経て選出される展覧会で、今回が12回目となり円空大賞1名、円空賞4名が選出されました。

今回の展覧会は布と映像を用いた女性作家、マレーシアのイー・イランが大賞を受賞。土着性の高い色彩豊かな作品が印象的でした。円空賞の坂茂は段ボールなどの再生品を住宅にした建築のパネル写真でで紹介され紙の可能性を感じる展示でした。鴨池朋子は、刺繍された布による郷愁漂う作品が、どこか懐かしくまた造形物が自然と同化するように思えます。陶芸作品が並べられた吉田善彦は並べれた陶器に土の香りを感じ、こうした展示から陶芸の新たな可能性を感じます。これらの作品は撮影可能でしたが、唯一撮影不可となっていたのは池内晶子作品、会場に張り詰められた赤い絹糸は円空仏から着想されたもので、作家の意図が当世のSNS発信から歪められることを恐れてのことだとか。このことについては賛否がありますが、個人的には意図を理解し写真と共に発信許可を出した方が良かったのではと思います。

次は岐阜県現代陶芸美術館で3月16日まで開催中の「加藤孝造・追悼展」は2023年に亡くなられた人間国宝で志野や黄瀬戸でなどの作品で知られています。

今回は陶芸の世界に入る以前に18歳で日展入選の快挙を成し遂げた油彩画の作品などが紹介され、加藤幸兵衛の助言で陶芸の道に転向した氏が、師である荒川豊蔵の出会いにより瀬戸黒や志野、黄瀬戸を追求した作品がずらりを並ぶ追悼展にふさわしい展示と代表作はもとより画家としての片鱗を感じさせる作品など多彩な一面を感じさせる展覧会でした。

最後は、一宮市三岸節子記念美術館で3月16日まで開催中の「中谷ミユキ展」は、三岸節子と共に、戦中の女流美術家奉公隊や戦後の女流画家協会の創設など戦後の洋画界で活躍した女性画家の展覧会で、三岸の鮮やかな色彩と力強い表現とは異なり、マチエールに共通項がみられるものの繊細で抽象的な表現と淡い色調に違いを感じ、普段から常設展示で三岸節子作品を鑑賞している方には、同時代を生きた中谷ミユキに新鮮な気持ちを持つと思います。

まだまだ寒さが強いですが、徐々に穏やかな時期が近付いてくる3月。お近くの方はぜひ鑑賞してみてください。

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パウル・クレー展 愛知県美術館

2025年02月20日 | 【美術鑑賞・イベント】

現在、愛知県美術館で「パウル・クレー展 創造をめぐる星座」が開催中です。

1879年音楽一家の子としてスイスで生まれたパウル・クレー。画家になるべくドイツに・ミュンヘンに移り、カンディンスキーらの青騎士会に参加、後にバウハウスの教官となり第二次大戦下ではナチス政権の退廃芸術展の中心人物とされ迫害を受けた画家。しかしながら、クレーの芸術に対し、あまり知識がない美術ファンも多いかと思います。


僕自身も親交のあったカンディンスキーと同じく、抽象画のイメージが強く作品に対する印象も薄かったのですが、今回の展覧会でその印象は一気に覆ることとなりました。その作品は多岐にわたり、写実的な表現から、音楽一家で育ったルーツを感じるメロディあすな表現。ピカソやブラックなどのキュビスムをクレーらしい色彩とキューブで表現した作品、さらに戦争の悲劇や破壊、そして希望へと向かう作品に、シュルレアリスムの先駆者として作品など実に多彩です。

ナチスから敵視され、退廃芸術展で一番多く展示されたクレー作品。孤高の画家の描く多彩な作品は生と死、破壊と希望と過去と未来をつなぐものではないかと感じます。

愛知での開催は3月16日まで、その後3月29日より兵庫県立美術館で開催れます。ぜひ未知なる巨匠の世界をぜひ覗き見て下さい。

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映画 Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり:心打つ衝撃のラスト

2025年02月19日 | 【映画・ドラマ・演劇】

たまたまNHKの映画紹介で知った本作。台湾の金場奨や海外の映画祭でも数々の賞を取り、マレーシア、台湾で100万人の動員の大ヒットなり、今回オスカーの国際長編映画マレーシア代表作品(残念ながらノミネートされず)に選ばれています。

現代は富都兄弟。マレーシアのスラム街で暮らす不法移民の兄と身分証明書のない弟。兄は警察から逃れながら真面目に働く聾者で弟は裏社会と繋がり、その日暮らしの生活をする正反対の兄弟ですが、心の奥底で固い絆を感じます。そんな中で二人の絆を揺るがす事件が発生します。

事件のカギを握るのは弟の元に届けられた出生証明書。事件を境に兄弟の過去が少しずつ明らかになり、事件の真相も二転三転していきます。そしてラストに控える衝撃。貧しくも明るく過ごす兄弟の絆を象徴するゆで卵に兄弟の性格がもたらす紆余曲折する人生、ヒューマンドラマとサスペンスと国内事情も相まって、興味をそそる作り方となっています。

機会があればぜひ鑑賞してみてください。衝撃のラストに心打たれることと思います。

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映画 バグダッド・カフェ 4Kレストア:蘇る希望の架け橋

2025年02月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

※写真よりも美しい映像で蘇ってます。

今回の映画レビューは、公開から35年。4Kでスクリーンで蘇ったロードムービーの傑作「バグダッド・カフェ」です。

ミニシアターの火付け役として知られ、リバイバル上映やDVDでの鑑賞でファンの多い名作バグダッド・カフェ。僕もずいぶん前にDVDで鑑賞してたのですが、すっかり記憶の片隅に追いやられてました。そんな矢先のタイミングで鑑賞できたのが4Kでレストアされ未公開部分も含めた本作です。

舞台はアメリカ西部の砂漠地帯に佇む寂れたカフェに場違いのドイツ人旅行者が訪れます。彼女の名はヤスミン(ジャスミン)夫婦喧嘩の末に置き去りにされた彼女の登場でカフェは活気付いていきます。

常に家族の行動や態度に不機嫌な女主人ブレンダ。やる気のない従業員、ボーイハントで遊びほうけている娘に幼い子を抱えながらピアノに夢中な息子、トレラーハウスに住む正体不明の老画家、カフェの私有地に住み着いたバックパッカーに、無口なタトゥーイストなど個性的な面々ときれい好きで朗らかなヤスミンとのふれあいがユーモラスに展開され、ほのぼのとする作品です。

また、原色が巧みに使われた映像美に数多くのアーチストがカバーする「コーリング・ユー」の名曲が流れ乾燥無味な舞台に独特な色味にメロディーを奏でています。

昨年3月に亡くなったパーシー・アドロン監督はより美しさを加えた本作を「あらゆる肌の色、バックグラウンド、信条の違いを理解し受け入れる温かさを描いた。この物語は、現代における癒しの源になるのだと感じたんだ」とメッセージを残しています。

どこか殺伐として未来の見えない世界にこの一石を投じるような希望の映画ではないかと僕は思うのです。

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映画 アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方:世界を呑み込むビジネスマン

2025年02月07日 | 【映画・ドラマ・演劇】

今回の映画レビューは、アメリカ大統領になったトランプのルーツ的映画「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」です。

再び大統領となったドナルド・トランプ。今トランプ大統領の一挙手一投足に注目が集まっています。巨大な権力を持つアメリカ大統領の中でも類まれな存在であることは誰もが認めるところでしょう。それは、これほどまでに予測不能な大統領はいなかったと思います。そして、今回の映画は大統領就任を予測するように作られ、公開された事実に、本人は当然ながら批判してますが、アメリカの懐の深さを感じます。

物語は、人種差別により政府から訴えられ不動産業を営む父の会社が倒産の危機にさらされる二十代のトランプからスタートします。父から受け継いだ仕事をまじめにこなすトランプに高級クラブの会員である悪名高い辣腕弁護士、ロイ・コーンが手を差し伸べます。酒も呑めないナイーブで金持ちお坊ちゃまが、ロイにより仕立て上げられ、やがてロイが手に負えないほどの怪物へと成長する過程を描いてます。

前半はロイを中心に描かれるのですが、当時のニューヨークを中心にした時代背景とロイとトランプの性的嗜好や元夫人イヴァナとの出会いと関係など、かなり詳細に描かれ、しかも反トランプ、親トランプ両方にも共感を得られそうな作りに仕上がっていて、なかなか面白い作品でした。

世界が戦々恐々となっている今、この映画はある意味でトランプと付き合う上でひょっとしたら良いヒントなるのではないかと思います

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映画 トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦:復活の香港カンフーアクション

2025年02月04日 | 【映画・ドラマ・演劇】

かつてカンフーアクションや香港ノワールで栄華を極めた香港アクション。ジャキー・チェンをはじめ国際的に活躍する時代がありました。今やアクション作品も減り、日本でも上映館が少なくなる中で今密かに注目を集めているのが本作です。しかも舞台が、かつて香港象徴の存在だった九龍城砦ですから、香港アクションファンなら見逃せない作品です。

物語は香港に密入国してきた若者チャン・ログワンが黒社会の掟に逆らったことで組織に追われ、九龍城砦に逃げ込みます。そこには訳ありの住人たちに城砦を仕切るボスと訳ありの住人達。彼らと絆を深め同世代の仲間もでき平穏な日々を過ごすなか、中国返還に絡む城砦取り壊しの利権抗争が勃発します。

サモハン・キンポーにルイス・クー、アーロン・クォックなどベテラン俳優陣と若手俳優陣が集結、ドラゴンマッハのソイ・チェン監督がメガホンを取り巨大な九龍城砦を9億円をかけ制作、また、るろうに剣心の谷垣健治がアクション監督に音楽をイップマンシリーズの川井憲次が担当となれば、香港だけでなく日本でもヒットさせるしかないでしょう。

香港アクションと香港ノワールが融合するアクションと香港ならではの暗黒史も加えた痛快かつ壮大な香港アクションを復活劇を作りあげていきましょう。

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布施知子ORIGAMI紙の鼓動 ヤマザキマザック美術館

2025年02月01日 | 【美術鑑賞・イベント】

日本の伝統的な遊びとして誰もが慣れ親しんだ折り紙。幼少の頃に日本人なら一度は鶴を折った経験があると思います。そんな身近な折り紙の世界を芸術の分野に進化させたユニット折り紙の女王が布施知子氏です。

今回の展覧会では近年制作している数多くの作品の中から、「ユニット折り」をはじめ、「スパイラル らせん 折り」、「平折り」、「無限折り」、「ノット(結び目)による造形」など、多種多様な折り方によって無限の形と美しさを見せる折り紙の数々が展示されています。

先ず会場入り口から白い折り紙の枯山水の紙の庭がお迎え、ガラスケースには一枚の紙を巧みに折りながら作られた立体作品の数々が展示され、美術館が誇るアールヌーボ期の調度品の床を赤や金銀のジャバラに折られた蛇が床を覆うように這い、巳年の今を祝福しています。世紀末美術の中に点在する折り紙の数々は、時空を超えた無限の時間を感じさせます。

壮大な創造力を駆使して巧みな計算で折られる作品を目にすると氏の頭の中を覗いてみたい衝動に駆られます。明治の名工により世界に広まった超絶技巧のDNAを持ちながら、未来に続く豊かな発想力を兼ね備えた氏の作品にただただ感嘆した展覧会でした。

会期は3月23日まで、無限の形と美しさを見せる折り紙の世界をぜひ鑑賞してみてください。

 

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