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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 SEOBOK/ソボク

2021年07月23日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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イ・ヨンジュ監督による永遠の命を与えられたクローン青年と彼を護衛する元情報局を巡る韓国発SFエンターテーメント映画「SEOBOK/ソボク」を観てきました。

当日は休日でしかもパク・ゴボムとコン・ユの韓国を代表する美男子俳優の共演とあってか、女性ファンが多くいてコロナ禍にも関わらず8割上限いっぱいの入場者数でした。

物語は、韓国初の極秘プロジェクトにより生まれたパク・ゴボム演じる死なないクローン青年ソボク。脳腫瘍により余命僅かな元情報局員コン・ユ演じるギホンは、テロリストから彼を守る任務を与えられます。彼を奪おうとするテロリストや敵か味方かわからないエージェントたち。危機的状況の中で、二人は心を通わせていきます。無事に彼を研究所に送り届けた時二人には新たな危機が迫ります。

作品の内容としてはスリリングなアクションシーンが続き、新感染ファイナルエクスプレスでのコン・ユ同様にサバイバルな逃走劇は迫力満点。さらにソボクの特殊能力が伏線となってラストシーンまでスピーディーに展開されていくのですが、ここに重きを置くと作品を軽く感じてしまいます。

実は女性研究者を母に持つソボク誕生の秘密やソボクの感情の変化が作品の核となっています。永遠の命を与えられ生きる喜びを持たないソボクと余命僅かな時間を彼と過ごすことで生きる希望を持ち始めるギホンの兄弟のような心の交流を通してヒューマンドラマとして味わった方がこの作品は楽しめるのかなと思います。


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映画 プロミシング・ヤング・ウーマン

2021年07月21日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回は、アカデミー賞脚本賞受賞の話題作「プロミシング・ヤング・ウーマン」がようやく日本公開となりましたので鑑賞してきました。

 

本作は、俳優でもあるエメラルド・フェネルが監督、脚本を手掛け、マーゴット・ロビーが共同製作者に加わっています。主演は華麗なるギャツビーのキャリー・マリガン。今回の作品はキャリア最高の演技と評判の高い作品でもあります。

物語は、昼間はカフェで働き、夜ごとナイトクラブで男を誘惑するキャリー。実は彼女は約束された将来をある出来事により失った過去を持っています。前半は、昼間はカフェで働きキュートなキャシーと一変して酔いつぶれながら男を誘惑し陥れる妖艶でセクシーなキャシーの異なる昼と夜の日常が描かれてます。唯一彼女の生活が垣間見れるのでは、実家で両親と共に生活すること。

中盤は、彼女の大学生時代の同級生との再会で彼女の抱える闇が少しずつ明らかになっていきます。その過去がタイトルの「プロミシング・ヤング・ウーマン」につながっていきますが、そこにカフェに訪れた同級生の男子医師の出現により、事態は二転、三転、ラストでついに彼女の目的が明らかになります。そこからヒートアップするクライマックスと捻りを加えたラストがこれまた面白い。

さすが、脚本でオスカーを獲得しただけあってフェネル監督のユーモアを取り入れた小気味の良い演出で特に女性には何度も頷く場面が多いかと思います。男性にとっても、ハードにクールにそしてエキサイティングが混じりあうキャリー・マリガンの男を手玉に取りながら、どこかキュートな彼女にうっとりしてしまうこと請け合いです。

しかし、女性は怖い。そして美しい。

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映画 1秒先の彼女

2021年07月13日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回の映画は、映画好きがイチオシする本年度最高の映画です。ワンテンポ早い彼女とワンテンポ遅い彼が織り成すファンタジックなラブストーリー。「1秒先の彼女」です。

今回の作品は、台湾アカデミー賞で最多5部門を受賞したチェン・ユーシュン監督の最新作です。劇場公開も限られていたのですがSNSで映画ファンの間で大絶賛でしたので、久しぶりに名駅の映画館で鑑賞しました。

物語は、郵便局で働く彼氏なしのアラサー女子シャオチー。何もするにもワンテンポ早い彼女は写真撮影では目をつむってしまい、映画で笑いタイミングも人よりワンテンポ早い、そんな彼女に公園で出会ったダンス講師とバレンタインデートにこぎつけます。デート当日、目が覚めると何と翌日に。バレンタインの一日が消失してしまい彼もいなくなります。シャオチーは失った一日を探しますが、どうやら、毎日窓口に来るワンテンポ遅いバス運転手グアタイがその鍵を握っているらしい。実はグアタイにもある秘密が。

前半は彼女シャオチーの幼き頃からのワンテンポ早いエピソードとダンス講師とのデートまでがおもしろおかしく進み、失ったバレンタインデートの一日を探す旅に。後半は彼女が失った一日の発端としてバス運転手の彼グアタイファンタジックな体験でスタート。彼女と彼を繋ぐエピソードで進みます二人の距離を徐々に近づけていきます。

先ずは物語の構成とファンタジックな事象のつじつま合わせが見事です。そして、キーワードのワンテンポの差が物語の重要な肝に肝となってます。そして迎えるラストは涙なしでは観れません。とにかく素敵すぎる、そして誰もが温かく幸せな気分に包まれます。

アジア映画の中で、隠れた名作を生み出してきた台湾映画。今回の映画は本年度最高傑作と語れること間違いなしの映画です。観ないと絶対損します。

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ドラマ 全裸監督 シーズン2 - Netflix

2021年07月10日 | 【映画・ドラマ・演劇】

先週、今週にわたって鑑賞した話題のNetflixドラマを紹介。今回は、山田孝之主演のAV界の帝王村西とおるの誕生から転落を描き話題となった「全裸監督 シーズン2」です。

 

日本のアダルトビデオ界の先駆者であり革命児といわれた村西とおる。前回のドラマでは、村西とおるの誕生から黒木香のデビュー、帝王として君臨するまでの波乱万丈の半生を描いたました。村西とおるや黒木香が乗り移ったかのような山田孝之に森田望智の物本演技に驚いた方も多いかと思います。僕もその一人で、改めてエロの分岐点であるあの時代をリアルに経験した一人として、あの時代のエロ熱を再認識しました。

今回のシーズン2では、黒木香のメディア露出、全日本ナイス党の結成など、マスコミの注目を浴びながらビデオ販売も日の出の勢いの後期クリスタル映像から衛星放送参入による過剰出資や詐欺事件にバブル崩壊も重なり転落し倒産の憂き目にあう転落のダイヤモンド映像時代を描いています。

登場人物も前回にも増して豪華ですが、中でもピエール瀧の再起用と財閥令嬢で出演した宮沢りえ。成功と転落、玉山鉄二が演じた川田やヤクザ役の親友、満島慎之介が演じたトシを見守りながらエロ業界を牽引する重要な役どころとして欠かさない存在だと言うことがよくわかります。後半ではヘアーヌード解禁で話題となった宮沢りえの大ヒット写真集「サンタフェ」の登場。今回のドラマはエロ歴史を目で見て楽しむことができます。

黒木香やスタッフとの確執に、今回はニューヒロインで後の妻となる常松祐里が演じる乃木真梨子との出会いが印象的でした。ドラマとは無関係ですが、朝ドラ「おかえりモネ」に常松と森田が出演していて、そのギャップに萌えです。また規模が大きくなるにつれ、拡大へのタイミングほど重要ですが持つ者と持たざる者の不公平も感じる社会派ドラマの一面も作品の肝だと思ってます。

レンタルビデオから動画配信サービスなど今やあたり前のように日常生活に根差している時代。日本にもそう言う時代の先駆けとして挑戦した男がいて彼を中心にエロに人生をかけた熱い集団がいたことを忘れてはならない。そんな情熱あふれるドラマ。それが「全裸監督」です。


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韓国ドラマ ヴィンチェンツォ Netflix

2021年07月08日 | 【映画・ドラマ・演劇】

Netflix「ヴィンチェンツォ」人気の理由 ポスト「愛の不時着」と話題!|シネマトゥデイ

まだまだコロナ禍で、劇場での鑑賞もままならない地域も多いと思います。今回はそんなあなたに、先週、今週にわたって話題のNetflixドラマを紹介します。先ずは昨年話題となった「愛の不時着」や「梨泰院クラス」に並ぶ上半期イチオシ人気ドラマ「ヴィンチェンツォ」です。

韓国系イタリア人ヴィンチェンチォ・カサノはイタリアマフィアの顧問弁護士だったんのですが、ボスの死を機に韓国に渡ります。彼の目的は取り壊し寸前の雑居ビルの地下に眠る金塊と母の消息。そこで立ち退き計画を実行しようとしますが、人権派弁護士と大手弁護士事務所に勤める娘のホン・チャヨンとの出会いをきっかけに数々の悪事を働いている巨大企業バベルグループとの法廷闘争に巻き込まれてしまいます。ヴィンチェンチォは、ハベルグループの謀略の数々をマフィアの手法で次々と解決に導いていくというものです。

今回のドラマの見どころの一つは、正義が悪をさばくのではなく、悪が悪をさばくダークヒーローが主役。実際によく耳にする韓国の政官財の癒着をベースに法で裁けない事件をマフィアの流儀で次々と解決にしていくところ。次から次へ送り出されるバベルグループの陰謀を跳ね返していく彼の姿がとてもカッコいいです。さらに、ヴィンチェンチォのイタリアファッション。高級テーラー仕立てのスーツを身に纏い悪をさばく弁護士の出で立ちに加え、エレガントなカジュアルファッションにも注目。その色気を十二分に演出し、女性もうっとり、男性も参考にしたいスタイルです。

二つ目は、梨泰院クラスに共通するシリアスな復讐劇に愛の不時着にも似たラブロマンス。実際ヒロインのホンチャヨンの父役には梨泰院クラスでの主人公の復讐相手役となったユ・ジェミョンが演じていて、そのギャップが面白い。また、ハベルグループの若き総帥を演じるのは2PMのオク・テギョンが甘いルックの裏にある狂気を演じきってます。他にも韓国ドラマでは常連の面々が顔を揃え、毎回人気俳優がゲストで登場します。

三つめは、彼を陰でサポートする住人たちとヒロイン役のチョン・ヨビンのキュートでコミカルな演技。暗く重い印象になりがちなマフィアの弁護士と巨悪の対立のドラマに程よくスパイスが加わり、彼らの彼女らの存在が感度的なドラマを生み出していきます。

韓国ドラマのヒットの要素を完璧に詰め込みながら、決してくどさを感じないドラマ「ヴィンチェンチォ」ドラマファンなら外せない作品です。

 

ソン・ジュンギのイタリア語決めゼリフ集 | ヴィンチェンツォ | Netflix Japan


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映画 クワイエット・プレイス 破られた沈黙

2021年06月29日 | 【映画・ドラマ・演劇】

音を立てたら終わりのクワイエット・プレイスの続編「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」を鑑賞してきました。

2018年の大ヒットから3年。コロナ禍で公開が伸びていた本作が日本公開となりました。前作を観た方は、ご存知かと思いますが「けっこう音立ててるのに死なないじゃん」と突っ込みを入れた方も多かったと思いますが、その正体がエイリアンとわかりSFサバイバルホラーとわかってからは、なるほどねと納得された方もいたかと思います。僕もその一人、今回は前作からのその後を描きながらも、前作では描かれなかった発端の一日目でスタートしました。

物語は、最愛の夫を亡くしたエヴリン一家。新しい避難地を求め静かに歩みを進めていきます。エイリアンの襲撃に遭い、廃工場に逃げ込んだ家族は、一人で暮らす男と出会います。

彼との関係は冒頭で明らかになりますが、今回の肝はエイリアンから逃れた謎の集団の存在。成長したエブリン一家の姉と弟を中心にドラマは展開していきます。今回は明らかになったエイリアンの存在から逃れ避難地を目指すサバイバルゲームが、ハラハラドキドキの展開でとても面白かった。

そしてラストで明らかになる次の展開です。後でわかったのすがすでに三作目は用意されています。明確な時間経過で進む本作を考えると三作目がどのように展開されるのか、果たして完結となるのか興味深いところです。


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映画 キャラクター

2021年06月21日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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劇場予告編で観たいなと思った菅田将暉&Fukase共演のダークエンターテーメント「キャラクター」を鑑賞してきました。

 

物語は菅田将暉演じる作家デビューを夢見るアシスタントの漫画家山城圭吾が一家惨殺事件の現場に遭遇してしまったことをきっかけに、Fukase演じるサイコパスキラー両角により自らが描いた漫画を再現する事態に陥っていくと言うものです。

漫画を原作にする日本映画が多い昨今ですが、今回の作品は20世紀少年の映画脚本で知られる長崎尚志の完全オリジナルを永井聡監督により映画化されている逆コミック的作品で、実際異なるラストでコミック化されています。

悪人が描けずデビューを絶たれた主人公が、一家惨殺の現場に遭遇したことで彼の中に眠っていた悪の部分が噴出し、両角と言う怪物に油を注いでしまった結果エスカレートしていく様が凄く、犯罪現場だけがクローズアップされる連続が返って恐怖を増長していきます。そしてクライマックスへ。一人犯罪者の核心に迫っていく小栗旬演じる清田俊介と自らの成功と引き換えに事件に終止符を打つ山城と両角との対決が見ものです。

しかし、小栗旬や中村獅童、そして主人公の菅田将暉に妻役の高畑充希など個性派俳優を向こうにし、今回の作品が俳優デビューとなるセカオワのFukaseの演技がとにかく凄かった。今後どんな作品を演じるか期待が膨らみます。

そして、今回の最優秀俳優は、一家惨殺事件の死体となった4人の家族たちで観る方がトラウマになってしまわないかと心配するほどのむごさです。この4人も事件のカギとなっています。番宣で使われた「ダークエンターテーメント」と共にハラハラドキドキの展開を楽しんでみください。

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両角の部屋に描かれた壁画はFukaseによるもの。彼の才能が映画に恐怖を増してます。


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映画 はるヲうるひと

2021年06月09日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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佐藤二朗監督&山田孝之主演の映画「はるヲうるひと」を鑑賞しました。

今回の作品は、コロナで公開が先延ばしになりようやく公開となったもので、佐藤さんが主宰する演劇ユニットで2009年に上演、絶賛された舞台を映画化したもので、新たなキャスティングと脚本で5年の歳月をかけた力作だそうです。

舞台はある島にある売春宿を営む兄弟妹とそこで働く娼婦の日常を描いていますが、兄役の佐藤演じる哲雄の妾の子として生まれた山田演じる得太への容赦なき憎悪の暴力に対して妹の仲里依紗演じる病弱ないぶきを庇いながら、絶望感にさいなめながらも生き続ける得太を中心に進みます。そんな重苦しさが漂い続ける中で、それぞれに事情を抱えながら春を売る女たちの熱情が生き生きと描かれていて、作品の良い味付けとなっています。

主題は、本妻の子の哲雄と妾の子の得太といぶきの間にある確執が過去を出来事を日常の中に溶けこませ、徐々に明らかになっていきますが予想だにしない真実がラストで露呈します。哲雄を演じた佐藤二朗も得太を演じた山田孝之も見たことのない二人の演技に魅了されることと思います。

余談ですが、山田孝之がテレビの初耳学でのインタビューを観ていたことで改めて俳優山田孝之の凄さを感じていました。今回の作品のオファーを佐藤から受けた際に脚本が関西弁だったことで得太に入り込むことが出来ないとの理由で断ったそうです。今回の舞台のような島が実際、三重県に存在することを耳にしていた僕は当初佐藤が関西弁にこだわっていたことに合点がいきました。

しかし、山田の出演を熱望していた佐藤は、脚本を標準語に書き直し本作の映画を作り上げました。まさにこの映画は山田孝之なしに語ることが出来ない傑作となったのです。インタビューでは、このエピソードと共に主人公の得太に寄り添うあまり、撮影中うつ状態だったそうです。俳優山田孝之の凄みを感じます。

島の置屋を舞台に人間の業があふれ出す情念を、ぜひ感じてほしい映画です。


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映画 名も無い日

2021年06月03日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回は地元名古屋を舞台にした日比遊一監督の新作「名も無い日」を先行上映で鑑賞してきましたのでご紹介します。

日比遊一監督は、高倉健の美学に迫ったドキュメンタリ「健さん」でモントリオール映画祭のドキュメンタリー部門で最優秀賞を、また、樹木希林企画、浅田美代子主演の「エリカ36」で監督を務めています。今回の作品は、日本公開の作品しては3作目となります。

今回の作品は、日比遊一監督の故郷でもある名古屋市熱田区を舞台に二男の死により帰郷したカメラマンの長男が弟の死の真相を叙情的に辿っていくヒューマンサスペンスのような感じがしました。彼自身もほぼ私小説と述べていますがその内容を衝撃的なものでした。また、タイトルの名も無い日は二男の命日を指しているのではと思います。

長男のカメラマン小野達也を永瀬正敏が、死んだ二男、章人をオダギリジョー、三男、隆史を金子ノブアキが演じ、他にも真木よう子、今井美樹など豪華な顔ぶれです。他にも個性的な面々が顔を揃てていますが、それぞれの役柄を生き生きと演じていました。特に二男を演じたオダギリの演技は強烈な印象を受けました。また、カメラマン監督らしい独特なカメラワークも、舞台である熱田の杜の空気と相まって独特な空気が漂っていました。

ニューヨークで活躍している達也は、上辺では弟の不慮の死もお構いなく生まれ育った町を徘徊しながらカメラのシャッターを切ろうとしますが切ることが出来ません。そこには二男の幻影が憑りついているようです。二男の幻影を打ち消すように達也は、弟との幼き頃の思い出と自宅に一人残った弟の知られざる過去とを探っていきます。その光景が断片的に死の真相へと辿り着きます。また、久しぶりの帰郷により同級生や知人たちの交流の中で、大切な人を亡くしたことへの悔恨が散りばめられています。それでも人は死に向かって生き続ける。ラストは達也の章人の生きた証と達也の生きる意志を感じました。

映画は6月11日より全国ロードショー。また名古屋市美術館では7月10日より「日比遊一写真展」が開催されます。

公式】名古屋市観光情報 (@nagoyainfojp) | Twitter


映画 アオラレ

2021年06月02日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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ラッセル・クロウが凶悪なあおり運転男を演じて話題の「アオラレ」を観てきました。

 

テレビでの予告編でご存知の方も多いかと思いますが、オスカー俳優のラッセル・クロウが凶暴なアオリ犯を演じる本作。あのラッセル・クロウがB級映画にしかも強面の太っちょおじさん風の出で立ちで登場するのと我が目を疑いましたが、とりあえず見てみようって感じで挑みました。

物語は、離婚係争中の主人公レイチェルが、息子を学校に送る途中で信号待ちをしていたラッセル・クロウ演じる男の車にクラクションしたことがきっかけで、担当弁護士や居候中の甥と恋人まで巻き込んだ衝撃的なアオリを受ける内容です。

映画の冒頭から、アオリ運転から始まると思いきや想像だにしない展開に度肝を抜かれ何が起こるのかと胸がざわざわ。そこから突如として起こるアオリ運転トラブル発生。ようやく逃げ延びたかと思えば、スマホを取られて脅迫。アオリを越えて男の嫌がらせはエスカレートしていきます。とにかく、こんなラッセル・クロウ観たことがないというのが率直な感想です。結末はご想像通りですが男と女の戦いは壮絶の極みです。

急いでいても長めのクラクションだけは要注意ですよ。


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映画 ファーザー

2021年05月26日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本年度アカデミー賞主演男優賞受賞のアンソニー・ホプキンス主演の「ファーザー」を鑑賞してきました。

コロナ禍で首都圏や大阪、名古屋でも土日休業の映画館が増える状況でなかなか映画鑑賞できる状況ではないかと思います。僕の地域では辛うじて今回の作品をいち早く鑑賞できましたので紹介したいと思います。

ノマドランドがアカデミー賞で話題を独占する中で、主演男優賞はアンソニー・ホプキンスが下馬評通り受賞。あの「羊たちの沈黙」以来の受賞となりました。今回の役柄は認知症を患っている父親役で、一言でいえば見事な怪演でした。また助演女優賞にノミネートされたアン役のオリヴィア・コールマンの父に対する愛ある苦悩を感じる演技も良かったです。

物語はロンドンで一人暮らしをする81歳のアンソニー。彼は認知症を患ってますが娘のアンが手配した介護人を拒むが、アンが恋人とパリで暮らすことを告げられショックを受けます。その後、アンソニーの自宅に突然見ず知らずの男が現れたり、アンが紹介した新しい介護人が違っていたり、妹が突然消息不明になるなど、次々と不可解な出来事が襲ってきます。

映画は認知症を患ったアンソニーと視点で、さらに彼の家の中で進んでいきます。アンソニーの中にある現実と幻想の世界に寄り添うようにアンの言動だけが確かなものとして感じるのですが、アンソニーの中にある不可解な記憶が最後までつきまとい、二転三転する事象に何が真実であるのか観る者を最後まで戸惑わせるミステリアスな展開となっています。ラストまで彼の真実に辿り着くことはおそらくできないでしょう。

本作は世界中で上演された舞台劇をフロリアン・ゼレールが初監督し、クリストファー・ハンプトンと共に自ら脚本、アカデミー賞脚色賞も受賞しています。認知症を患った老紳士が見せる新感覚のミステリー映画をぜひ堪能してみてください。


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映画 茜色に焼かれる

2021年05月24日 | 【映画・ドラマ・演劇】

茜色に焼かれる : 作品情報 - 映画.com

昨日は、岐阜の2館をハシゴして観たいと思っていた日本映画と洋画を鑑賞しました、今回は石井裕也監督、尾野真千子主演の「茜色に焼かれる」をご紹介します。

舞台はコロナ禍の日本。不慮の交通事故で夫を亡くした田中良子は中一の息子、純平と団地で暮らし昼はパート、夜は性風俗店で働いている。彼女が昼夜働く理由は彼女がとった決断と夫の残した負の遺産が要因となってますが物語の中で徐々に明かされていきます。

今回の作品は、記憶に新しいある事件をモデルとし、社会における弱者に対する不条理さを良子を通して描かれているのですが、良子の支出する生活費の場面投影と息子との日常会話の中で明らかにさせていくのですが、それがとてもリアルでした。

ひとつの家族に様々な問題を凝縮させるゆえに、良子に襲いかかる社会の不条理さは凄まじく、良子は「頑張ろう」の言葉で内なる怒りを抑えながらも徐々にその怒りがエスカレート。良子の社会への復讐が始まっていきます。久々の主演ながら尾野真千子存在感ある演技が光り、息子役の和田庵、風俗店仲間の片山友希、マネージャーの永瀬正敏など彼女を取り巻く人々の内なる叫びが響く良い映画した。

コロナ禍の中で、さらに浮き彫りとなった弱者に対する不条理。この映画を通じて社会の在り様が見直されていけばと切に願っています。今年の日本映画を代表する一本だと確信します。


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映画 宮本から君へ&表現の自由

2021年05月21日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は2019年劇場公開の映画「宮本から君へ」です。

ネットフリックスをチェックしてみたら、以前から観るつもりでいた本作が視聴できたので鑑賞してみました。映画は2019年テレビ東京でのドラマの続編的な作品で、池松壮亮演じる熱血サラリーマン宮本と取引先の年上OL蒼井優演じる中野靖子との恋の行方の中で突然起こるレイプ事件と中野の元恋人の井浦新演じる風間との間で起こる妊娠実子騒動を描いた熱血ドラマです。

とにかく熱い宮本と中野との関係が心揺さぶられる内容ですが、監督はディストラクションベイビーズで若手俳優たちのバイオレンス青春ドラマを作り上げた真理子哲也だけあって、宮本と取引先のラガーマンの息子との壮絶な復讐劇をベースに愛する人への熱情を描いてます。

実はこのドラマ、もうひとつ注目された事件がありました。愛知トリエンナーレで起こった表現の不自由展に端を発し、河村名古屋市長が名古屋市のトリエンナーレの助成金を拒否、その後、大村愛知県知事リコール署名にまで至り現在不正署名により事務局長や関係者の逮捕にまで発展してますが、この映画は、文化庁所轄の芸術文化振興会からの助成金不交付を受けてしまい現在提訴中です。

不交付の理由は、出演俳優のピエール瀧被告のコカイン使用所持で有罪判決によるものでした。皮肉にもピエール瀧の役柄はレイプ事件の息子の父親役でした。そんな負の状況下にあって本作は映画.comの「いつ観ても素晴らしい、時代を超えた名作映画1200本のひとつに選ばれています。

憲法で定められいる「表現の自由」が一部の狭義な考えで歪められ権力の傘の中で圧力を増す今、この作品の持つ意味合いは強いと改めて感じます。


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映画 マ・レイニーのブラックボトム

2021年05月13日 | 【映画・ドラマ・演劇】

ブルースの醸造所『マ・レイニーのブラックボトム』ネタバレ解説・考察!名セリフやを演技に隠された悲哀の感想 - CineMag☆映画や海外ドラマを斬る!

ネットフリックスオリジナル作品で、本年度アカデミー賞の衣装デザイン賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞の2部門でオスカーを獲得した「マ・レイニーのブラックボトム」を鑑賞しました。 

今回の作品は、1920年代のシカゴを舞台にブルースの母と言われた実在の歌手「マ・レイニー」と彼女を取り巻く人々を描いた舞台群像劇です。主人公のマ・レイニー役には「ヘルプ心をつなぐストーリー」で黒人メイドを演じたビオラ・デイビスが、もう一人の主人公のバンドの若きメンバー、レヴィーを「ブラックパンサー」やジャッキー・ロビンソンやジェームス・ブラウンなどの実在の人物を描いた映画で知られ、昨年43歳の若さで大腸がんによりこの世を去った、チャドウイック・ボーズマンが演じています。今回の作品はチャドウイックの遺作になっています。

物語の大部分がスタジオ録音での時間を中心に描かれているのですが、ブルースの女王として君臨しながら、マネージャーやレコーディング会社の白人オーナーと真正面から渡り合い、黒人差別の中で生まれたブルースを自らの信念で貫こうとするマ・レイニーと壮絶な差別の過去を持ちながら新しい音楽スタイルで渡り合おうとするレヴィー。好対照な二人と彼女を支えながらレヴィーの傍若無人な態度に対立するベテランバンドメンバー。表向きは彼女に従いながら差別意識を持つ白人スタッフ。小気味よく進むスタジオ内の会話に黒人差別の歴史を噛み合わせる展開は重いテーマをうまく表してます。

本作では二人の主人公がそれぞれ主演俳優賞にノミネートされたいましたが、フランシス・マクドーマンとアンソニーホプキンスがいなかったらオスカーを獲得した思います。それほどまでに迫真の演技で舞台を観ているような強い説得力を感じました。

今回のアカデミー賞も人種差別をテーマにした作品が多数ノミネートされ、各部門でオスカーを獲得しています。「マ・レイニーブラックボトム」は華やかで技術的な2部門受賞とは別に、深い内容をもった作品です。会話劇と共にブルースの悲哀を感じてほしいです。

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風景画のはじまり コローから印象派へ 名古屋市美術館

2021年05月08日 | 【映画・ドラマ・演劇】

名古屋市美術館で開催中のランス美術館コレクションによる「風景画のはじまり コローから印象派へ」を鑑賞して来ましたのでご紹介します。

バルビゾン派の画家のひとりカミーユ・コロー。新古典主義と印象派を繋いだ画家でもあり歴史画や宗教画などが全盛期の時代に市井の人々を風景画の中に取り入れた画家として、その後の印象派はの画家たちに影響を与えた画家と言われています。

今回はランス美術館の長期改装に伴い実現した美術館所蔵のコレクションによるもので、その中には今回の展覧会のポスターを飾った「イタリアのダンス」や「湖畔の木々の下のふたりの姉妹」など27点のコローコレクションの内、円熟期の作品が16点が集結しています。また、コローの師匠であるミシャロンやフランソワ・ドービニー、テオドール・ルソーなどバルビゾン派初期の風景画家の作品がずらりと並び、さらにクロード・モネの師匠であるウジューヌ・ブータンの作品に加え、ルノワール、モネ、ピサロ、シスレーなど印象派の画家たちへと続き、まさに風景画の醍醐味を味わえる展覧会になっています。

コローは、バルビゾン派の画家に数えられるのですが、実際には旅の中で描いたデッサン風景画を基に彼の想像力を基に人物を構成したもので、空と雲、山や森などが深みのある色調で描かれた世界はとても深淵な世界を感じます。今回紹介された画家たちの作品と比較しても、その奥行きのある風景に魅了されました。

会期は6月6日まで。コロナ感染対策を十分にとった美術館で密を避け芸術の世界に身を置いて観るのも良いのではと思います。非日常の中で静かな絵画世界を楽しんでみてはどうでしょうか。