宇宙航空MBAブログ

Aerospace MBA(フランス・トゥールーズ)が考える宇宙航空マネジメントの進化系ブログ

思いがけない体験

2006年10月31日 | フランス
 
IASの研修プログラムの一環で企業を訪問するときは、いつもチャーターバスに乗っているのだけど、先日ヨーロッパを代表する重工メーカーのLIEBHERRを訪問した時のバスはとにかくすごかった。

何がどうすごかったかと言うと、ここトゥールーズのプロサッカーチームであるToulouse F.C.の専用バスで移動したのだ。とにかく、普段はToulouse F.C.のプロサッカー選手を試合会場まで送るバスなので、サッカー好きの僕にはたまらなくラッキーな出来事だ。

Toulouse F.C.といえば、今年はフランスの1部リーグでプレーするフランス国内の強豪チームのひとつ。今日現在のリーグ戦の順位は4位だ。日本では知名度が無いかもしれないけど、結構強いチームだ。ここトゥールーズでの人気も高い。

参考までにバスの中がどんな感じだったかを表現すると、ファーストクラス、とまではいかないものの、ビジネスクラス並みの快適さが備わっていた。

とにかく、プロサッカー選手の気分を味わえた最高の体験だったのでした。
 

Certificate

2006年10月30日 | その他
 
IAS(Institut Aeronautique et Spatial)での3ヶ月間にわたるトレーニングを修了し、無事Certificate(修了証書)を手にすることができた。

最初は3ヶ月はちょっと長いかもと感じていたのだけど、終わってみれば本当にあっという間だった。毎日が充実していた証拠だと思う。IASのスタッフ、フランス語の先生、フランスの宇宙航空関係者の皆様、FASIA奨学生の仲間達、そして日本から僕の研修を支えてくれた全ての人々に心から感謝したい。Merci beaucoup!

そしてこの3ヶ月間で学び得たものは、僕のこれからのキャリアにとって大きな武器となる。新しい知識と経験、宇宙航空の最前線で生きる人々との交流、そして世界各地に広がった人脈、その全てが僕にとってかけがえのない財産だ。

以下は、僕が今回のIASトレーニングコースで修了したすべてのプログラムだ。来年以降にこのプログラムを目指す人の参考になれば幸いです。

■Intercultural Seminar
世界各国から集まった奨学生たちが自国の文化を紹介し、他国の文化への理解を深めるセミナー。プレゼンの訓練を行う他、ヨーロッパ企業で働く場合に備えて各国の労働習慣についても学んだ。

■Knowledge Transmission Seminar
自分が得た知識や情報を正確かつ効率的に他人に伝達するためのトレーニング。心理学やコーチング理論の他、マネージャーとしてチームを率いる際のリーダーシップについても学んだ。

■French Educational System Seminar
フランスの教育システムも含め、ヨーロッパの社会、文化、歴史等を俯瞰的に学び、世界で一流のビジネスパーソンとして活躍できるだけの教養を身に付けるためのセミナー。実際にフランス料理を食べながらテーブルマナーやワインの飲み方まで教わった。

■Aerospace Industrial Program
フランスの宇宙航空関係企業を中心に、ヨーロッパ宇宙航空産業の最前線を実際にこの目で確かめるセミナー。エアバス社、アルカテルアレニア社、ATR社、フランス宇宙機関(CNES)、フランス空軍など、本当に様々な組織の実情をこの体で体感した。

■French Language Course
フランス語の猛特訓(?)。おしゃべり大好きFedelique先生のおかげで、フランス語のみならず、フランスとは何かを考えさせられるきっかけとなった。Merci, Fedelique!

(写真は今回授与されたCertificate)
 

IKEA

2006年10月29日 | MBA
 
今日は朝早起きしてトゥールーズ郊外のIKEA(イケア)に行ってきた。日本でも最近人気が出ているスウェーデン系の大型家具ショップだ。

もちろんIKEAの人気はここフランスでもかなり高い。特に若者達に大人気だ。その秘密はIKEAの優れた経営戦略にある。MBAの授業でもよく模範例として取り上げられるほど評価の高い経営戦略だ。

IKEAがどんな戦略をとっているかというと、まず第一に、大量生産による低コスト戦略だ。商品の企画やデザインは本社のあるスウェーデンで行うものの、商品の製造は労働コストの安いアジア地域やインドで一括して大量に行っている。これにより、デザイン性の高い商品ながら見事に低コスト化を実現した。あまりお金を持っていない若者にとっては本当にありがたいことだ。

だがこれだけでは大したことはない。大量生産による低コスト化なんて、実際にどの企業も普通にやっていることだし、規模の経済性を追求して競争優位を確立することは経営の王道でもある。

そして第二の戦略は、大型店舗による独特の販売システムだ。僕はアメリカのIKEAとフランスのIKEAしか行ったことはないのだけれど、聞くところによると、世界中のどの店舗でもほぼ同じような販売システムを導入しているらしい。

広大な敷地に2階建ての店舗を建設し、2階はショールームとしてIKEAの提案するスタイリッシュなライフスタイルを展示する。顧客はまず2階に上がってショールームを一回り見学した後、1階に降りてきて自分の気に入った商品を購入する仕組みになっている。

そしてこの1階部分にIKEAの大きな秘密がある。実際に客に販売する商品の陳列と在庫としての商品の管理を、この1階スペースで一括して同時に行っているのだ。言い換えれば、商品を保管するためだけの倉庫をIKEAは持っていない。これにより全体としてオペレーションコストを大幅に削減している。

第3の戦略は、SympleかつStylishなデザインによる差別化戦略だ。スウェーデンは元々デンマークと並ぶ北欧系家具の雄だ。数々の有名な家具デザイナーを輩出してきた伝統と歴史がある。

そのスウェーデンの家具デザイナーによってデザインされた家具や食器、そして生活用品が、豊富な品揃えとともにIKEAの店舗には並んでいる。この分野ではスウェーデンを前面に押し出すことが強力なブランド力となり、差別化要因となるのだ。

IKEAは、通常は相対立するはずの低コスト化戦略と差別化戦略を同時に実現した。やはりMBAの授業で経営の模範例となるには、これくらいの離れ業をやってのけなければならないのだと僕は思う。もちろん、悪い例として取り上げられる企業もある。

いい例も悪い例も、できる限りこの目でしっかりと見て、本質を吸収していきたいと思う。

(写真はIKEAの1階部分。もうクリスマスツリーが売られていた。)
 

Nations Dinner

2006年10月28日 | その他
 
今日はフランスに来て2度目のNations Dinnerが開催された。ここIASに住む留学生がそれぞれの国の料理を持ち寄って楽しむパーティーだ。

前回はフランスに到着して3日目だったので僕は何も作ることができなかったのだけれど、今回は頑張って“ちらし寿司”を作ってみた。僕の人生の中で初めてのチャレンジだ。

味付けのベースとなるのはもちろん“すし太郎”。これなくして料理初心者の僕がちらし寿司なんて作るのは不可能だ。説明どおり“あったかごはんに混ぜるだけ”で出来てしまった。北島のサブちゃんはウソをついていなかった。

でもそれだけだと見た目が少しさびしいので、カルフールで買ってきたサーモンをごはんに混ぜ、さらに上からイクラをのせてみた。もちろん“錦糸卵もどき”も頑張って自分で作った。緑色の野菜が入っていないので色彩が少し物足りないけど、初めて作ったにしては上出来な見た目に仕上がったと思う。

そして肝心の味については、Nations Dinnerの結果から言うと、なんと僕が作った“ちらし寿司”が一番最初に全部無くなってしまった。ごはん4合分作ったにもかかわらず、10分もしないうちに全部みんなに食べられてしまった。

このブログによく出てくるおしゃべり大好きFedelique先生なんて、美味しくて3回もおかわりしちゃったと言ってくれた。少しだけでも日頃の恩返しが出来て嬉しい。

ということで、とても嬉しい結果になったのだけど、できれば僕の分も残しておいて欲しかったと思うNations Dinnerだったのでした。(僕は一口も食べてません)

ではお腹が空いてきたのでこれから今夜の夕食を作りたいと思います。
 
(写真は僕が作った“ちらし寿司”)
 

レッスン終了

2006年10月27日 | フランス
 
今日の午後の授業をもって約3ヶ月に渡るフランス語のレッスンが全て終了した。『TAXI』という教科書を使って基礎から初中級くらいまでを学習したのだけど、自分でもよく短期間でここまでやったなあ~と思う。

思い返せば、レッスンが始った当初はクラスの中で僕が一番のハンディを負っていたと思う。コロンビアから来たAlvaroはスペイン語が母国語なので、彼にとってフランス語は勉強しなくてもなんとなく理解できる言語らしい。文法も単語も結構似通っていて、あとは発音だけが問題だと言っていた。

マレーシアから来たAnneは、お母さんが旧宗主国のポルトガル人なので、ポルトガル語が理解できる。幼い頃ドイツに住んでいた関係でドイツ語も少し理解できるらしい。フランス語を学ぶには圧倒的に有利だ。

中国から来たZhangはフランス語の学習経験こそないものの、フランスの大学を卒業してフランス語がペラペラな奥さんと一緒に住んでいる。日常生活には全く困らないらしい。それに先生(おしゃべり大好きFedelique)曰く、元々中国語にはフランス語に似た発音が多くあり、日本人の僕にとっては難しい“R”や“Y”の発音も、彼にとってはごくごく簡単なことらしい。これもまた有利だ。

という感じでレッスン開始当初は僕が一番最後尾からスタートしたのだけど、3ヶ月経った今、完全にその順序は逆転してしまった。Alvaroは「読む」と「聞く」はできるけど、「話す」ときの発音が未だにスペイン語のままだ。Anneは元々おしゃべりなので「話す」のはそれなりに流暢になったのだけど、文法がメチャクチャで何かを「書く」となるととたんにペンが止まってしまう。Zhangにいたっては奥さんがいつも助けてくれるので、途中から学習意欲を失ってクラスにあまり来なくなってしまった。

そんな状況の中で、「読む」・「書く」・「話す」・「聞く」のすべてを一番バランスよく身に付けたのが僕らしい。Fedeliqueだけでなく、他のクラスの先生にも同じことを言われたので、たぶん本当なのだと思う。確かに演習や課題やテストをやると必ず僕が最高得点をマークするようになったし、みんなが授業の前に僕の宿題の答えを覗きにくるようになった。やはり努力は嘘をつかない。

これで僕が学んだ外国語は3つになった。小学校から始めた英語、大学で始めた中国語、そして今回始めたフランス語だ。

なんとなく伸びてきた僕のフランス語力、あと1年間のフランス滞在でどこまでいけるか本当に楽しみだ!
 

病院へ行く

2006年10月26日 | フランス
 
先日フランスに来て初めて病院へ行ってきた。といっても僕が病気になったわけではなく、Carte de Sejour(滞在許可書)を取得するために必要な健康診断を受診するためだ。

すべてフランス語で行われるとの噂を聞いていたので僕も少し緊張して行ったのだけれど、とりあえずなんとか乗り切れたのはここ3ヶ月のフランス語特訓の成果だと思う。それだけは素直に喜こんでおこう。

しかし、正直フランスの健康診断のいい加減さには驚いてしまった。もちろん健康診断に限ったことではないのかもしれないけれど。

まず身長測定と体重測定。計る単位がとにかく大雑把。身長は5cm単位、体重は5kg単位で計測しているのではないかと思うほどだ。記憶では僕の身長と体重はそんなにキリのよい数字ではなかったはずだ。でも結果は。。。。まあ、いい。身長も体重も健康にはそんなに関係ないし。計測結果をちゃんと見ることなく“大体このくらいかな?”で次々と数値を用紙に記入していくフレンチスタイルを許そう。

そして視力検査。ちゃんと計測機器は置いてあるのだけど、なぜか視力を測ろうとしない。なぜだ?その代わりに「最近視力を測ったのはいつ?」と質問された。フランスに来る直前に日本で海外赴任前健康診断を受診したので、「7月だ」と答えると、「じゃあ、3ヶ月も経ってないし、やらなくていい。」との返答が。僕は一体何をしにここに来たんだと言いたい。

次はX線検査。一応これは撮った。でも、日本では放射線防護のために測定者は必ず別の部屋で機器を操作するのが普通だけど、フランスでは同じ部屋でそのまま撮影。キミ毎日こんなやり方で仕事してて放射線被爆量大丈夫なの?と逆に心配になってしまった。

そして最後はドクターによる問診。待ち時間30分、問診時間1分。出来上がったばかりの僕のX線写真を見て彼が一言。「キミ、タバコ吸う人?」。僕が「Non, ju ne fume pas.(いいえ、吸いません)」と答えると、「あ、そう。ならキミ大丈夫。問題なし。以上です。」って、ドクターあんた本気で診る気あるのか!と言いたくなる程の短い時間ですべての健康診断が終了となったのでした。

健康診断のために割いた時間4時間、診察にかかった時間5分。このアンバランスさを「う~ん、フレンチスタイル!」と感じてしまう程、僕もフランスというものに慣れてしまった。

ということで、良好だという診断結果をどこまで信じて良いのか分からないフランスの健康診断だったのでした。

エアバスフランスCEO

2006年10月25日 | 宇宙航空産業
エアバスフランスCEO(最高経営責任者)、Jean-Marc Thomas氏にお会いした。昨夜行われたMBA卒業生のパーティーでのことだ。

本来は現エアバス社CEOであるルイ・ガロワ氏が参加する予定だったのだけど、エアバス社全体が経営危機とも言うべき状況に直面している今、彼は超多忙で来られなくなったらしい。残念だけど当然といえば当然だ。代わりにエアバスフランスのCEOであるThomas氏が来てくれたのだ。

前から予告していたとおり、カクテルタイムに例のA380問題について質問をしようと思っていたのだけど、僕から質問をする前にThomas氏は自らスピーチの中で現在のA380に関する最新状況の説明をしてくれた。

Thomas氏の説明によれば、エアバス社はこれからルイ・ガロワCEOの下で、構造改革を断行するらしい。それも現在問題となっている製造部門だけでなく、開発部門の仕事の有り方もガラッと見直すとのこと。

その鍵となるのはデジタル技術の導入による人員削減と開発期間の短縮だ。エアバスA380の開発には、約3,000人のエアバス社員が開発に従事していたが、現在開発中の次期中型旅客機エアバスA350 XWB(Xtra Wide Body)においては、デジタル技術の活用により開発従事者数を大幅に減らす方針らしい(具体的な数値にへ言及せず)。

もちろんこのデジタル技術の導入は新型機の開発期間をも短縮する。そして、コストも時間もスリムになったエアバス社は、ライバルである米ボーイング社よりも性能のよい旅客機をより安く提供できる体質へと生まれ変わるのだそうだ。

そして肝心のエアバスA380の将来については、Thomas氏からは楽観的な発言が相次いだ。きっと地元メディアを意識しての発言だと思う。現時点の見通しとして、2007年には25機、2008年には45機の納入が可能であり、それ以降はどんどん納入機数が増えていくのだという。

コスト削減のために人員を減らす一方で、開発・製造の両面において今まで以上に作業をスピードアップする。もちろん命を預かる製品を作っているのだから、品質は落とすわけにはいかないだろう。果たしてそんなことが実際に可能なのだろうか。しかし、これを見事にやってのけなければ顧客の信頼は取り戻せない。

構造改革の具体的プランはまだ発表されていないけれど、ぜひガロワCEOの経営手腕と強力なリーダーシップで最後までやり切って欲しい。
 

今日の出来事

2006年10月24日 | 自己紹介
 
今日の出来事。

07:30 起床
07:35 シャワーを浴びる
07:50 朝食(シリアル、ミルク、アップルパイ)
08:15 フランス語の自習
08:55 IASキャンパス内の教室へ向けて出発
09:00 フランス語の授業Ⅰ(もちろん先生はFedelique)
10:30 休憩(クラスメートとコーヒーブレイク)
11:00 フランス語の授業Ⅱ(やっぱり先生はFedelique)
12:15 お昼休み(チキンナゲット、ポテト、コーラ)
13:20 健康診断を受けに町へ行く(フランス語でなんとか乗り切る)
14:30 帰ろうと思ったら車が故障(エンジンがかからない!)
15:30 やさしいフランス人のおじさんに助けられて無事IASキャンパスに戻る
17:30 MBA卒業生のパーティーに出席(エアバスフランスの社長に会う)
20:15 パーティーを満喫しキャンパスへ戻る(シャンパンとワインでほろ酔い気分)
20:45 夕食(昨日の残りのパスタを温めて食べる)
21:30 フランス語の宿題(E-mailを書く練習)
23:00 奨学生専用クラブでクラスメートと歓談(ビリヤードでロシアのYuriに大敗)
23:30 ブログ更新(今日一日を振り返ってみる)
24:00 シャワーを浴びる
00:15 最後にコーラで乾杯!
00:30 就寝(Bonne nuit!)

と言う感じで、今日一日の僕の行動をすべて書き出してみました。こうして振り返ってみると、意外とたくさんのアクティビティを一日の中で実行したんだなあ~と改めて実感してしまいます。

それでは明日もまた頑張っていきましょう~!

※ブログの新しい形を模索してみました。
 

Kingdom?

2006年10月23日 | その他
 
IASにある奨学生専用ラウンジでのんびり時間を過ごしていたときのこと。MBAのクラスメートの一人が、「NOBU(僕のこと)、日本のKingdom(王国)が崩壊したらしいっていう噂を友達から聞いたんだけど、本当なの?」と尋ねてきた。

もちろん日本はイギリスのようなUnited Kingdom(連合王国)でもなく、アメリカのようなUnited States(合衆国)でもない、国民主権の単一国家だ。その日本にKingdom(王国)なんてあるはずもなく、ましてや存在しないものが崩壊するはずもないので、「天皇は王様じゃないし、そんなの有り得ないよ」と回答しておいた。

しかし、クラスメート曰く、確かに日本の友人から“日本でKingdomが崩壊した”という情報を聞いたらしいのだ。もっと詳細を聞きたかったのだけど、残念ながら約束があるということで、クラスメートはその後すぐにクラブを出ていってしまった。

そこまで言われて不可解なのも気になる。当然、僕はネットで調べてみた。そして、やっとクラスメートの言っている“Kingdom"(王国)の意味を理解できた。クラスメートが話していたのは、なんと「ムツゴロウ動物“王国”」のことだったのだ。

確かに直訳すれば王国=Kingdomなのだけど、英語で“Kingdom"とだけ言われたので、僕はてっきり主権国家の話をしているのだと勘違いしてしまった。それが動物王国の話だったとは!

しかし、ニュースを読んでビックリしたのだけど、ムツゴロウ動物王国はいつの間にか東京に移転してきていた。しかも東京サマーランドの中にあったのだと言う。僕は北海道の雄大な大地に大自然を利用した“動物王国”として存在しているものとばかり思っていた。

いくらムツゴロウさんの掲げる理念が素晴らしいとは言っても、東京に動物の王国を作るというのは少し方向性を誤ったのではないだろうか。動物園なら都内に上野動物園があるし、郊外には東武動物公園だってある。ちょっと時間をかければ富士サファリパークだってある。さらには、動物と触れ合うだけの場所なら、都内のいたる所に“ふれあいパーク”のようなものが存在するし、川にアザラシが現れてくれることだってある。

そんな現実がある中で、理念だけが先行してプロジェクトを進め、しっかりしたマーケティングや経営体制の構築を実行しなかったことが、今回の“王国”崩壊の一因となったのではないかと僕は推測する。

理念のないプロジェクトはとても危険だ。誰の心も鼓舞しないし、何よりプロジェクトがスタートする前に頓挫してしまう可能性が高い。だけど、理念があってもそれだけが先行してしまうプロジェクトというのは、さらに危険だと僕は思っている。途中で突然空中分解する可能性が高いからだ。プロジェクトが途中まで進んでいる分、被害もより甚大なのだ。

とにかく今回の“Kingdom”の崩壊情報にはいろんな意味で驚かされてしまったのでした。

フレンチジョーク

2006年10月22日 | その他
 
ジョークだと思っていたことが実は本当だったという経験をしたことがあるだろうか?

大分前の話なのだけど、フランス語の授業で食文化の話になって、例のおしゃべり大好きFedelique先生がマシンガントークでいろいろ説明してくれた時のことだ。

フランスの食文化では“うさぎ”を食べるのはごく普通のことらしい。日本人の僕からするとペットを食べるみたいで「信じられない!」と発言したら、Fedeliqueは「中国はもっとすごいのよ!」と、フランスで有名なあるジョークを紹介してくれた。その内容はこんなものだった。

“中国では、翼があって空を飛ぶものを全て食べる。ただし、飛行機以外。”

“中国では、四つ足で地面に立つものを全て食べる。ただし、椅子以外。”

もちろん、この日は中国からの留学生のZhangがたまたま休んでいたので言えたジョークだと思うけど、さすがに冗談だろうと思ってこの日は適当に笑って聞き流しておいた。

ところがところが先日ONERAに行ったとのこと。このジョークが単なる冗談ではなく、ひょっとしたら真実かもしれないと思い込みかねない場面に遭遇した。

建物から建物へと敷地内を移動していた時なのだけど、途中の芝生の上に古い切り株があって、よく見るとその切り株の表面を何か黒い影が動いている。近寄って見てみると、なんとトカゲ(イモリかヤモリの可能性もあり)の群れだった。もちろんフランス産だと思う。

驚いたのはこの後すぐ。中国から来た留学生がそれを見て、『Oh! Fresh food!』(うわ~、おいしそ~!)と言ったのだ。その顔は冗談ではなく、間違いなく真顔だった。

これにはさすがに驚いた。信じられない!という表情で、その場にいたロシア人のユーリやブラジル人のリリアンと思わず顔を見合わせてしまった。いくらなんでも研究機関の敷地内で生きているトカゲを見てそれを食べ物だと認識するだろうか?

ジョークが限りなく真実に近づいた瞬間だったのでした。