第44代アメリカ合衆国大統領にバラク・フセイン・オバマ氏が就任した。首都ワシントンで開催された就任式には全米から200万人以上の人が訪れたというから、米国における彼の人気の高さが伺える。日本で言えば政令指定都市2つ分の人口が、全て一人の人間のためだけに一箇所に集まってきたのだ。これは奇跡に近い出来事だと思う。
オバマ氏についてはいろんな人が様々な角度でコメントしているけれど、僕が一番感心させられるのは彼の「チーム・オブ・ライバル」のマネジメント能力だ。ライバル、すなわち、自分にとって競争相手である人物まで彼は味方にしてしまう能力を持っている。民主党大統領候補者の座を争ったクリントン女史をホワイトハウスの国務長官に迎え入れたのが良い例だ。クリントン女史は確か、「オバマよ、恥を知れ!」とまで言い切って彼を非難した人物だ。
トップの座に就く者はライバルさえもマネジメントしなければならない。逆に言えば、それができないような者にトップの座に就く資格などない。彼の態度はそんなことを物語っているように僕の目には映る。かつてのライバル達さえも必ず上手くマネジメントし、成果を出せるチームに仕上げてみせる、そんな自信を彼の態度に感じるのだ。
今の僕にはそんな能力があるとはとても言い切れないけれど、オバマ氏と僕との間には一つだけ共通点がある。それは、学生時代を同じ大学の同じキャンパスで過ごした経験があるということだ。米国カリフォルニア州Los AngelesにあるOccidental大学といって、彼は2年間、僕は1年間をこのリベラルアーツ・カレッジで過ごした。憲法から哲学、生命倫理学から音楽まで、人生の中で本当に大切にすべきことを僕はこのキャンパスで学んだような気がする。今振り返ってみても、本当に貴重な1年間だった。
彼の自伝によると、オバマ氏はこのキャンパスでパーティー三昧で遊びまくっていたらしい。一方の僕は、あり得ないくらいの量の英語のリーディングとレポートに追われながら、同時に、所属していた大学テニス部の練習と試合に明け暮れる生活を送っていた。週末は友人やチームメイトと本当によく遊んだし、アメリカを去る際にチームメイトから貰ったメッセージ入りのユニフォームを僕は今でも大切にしている。良い思い出はいつまで経っても色褪せない。
青春時代を同じキャンパスで過ごした者として、彼にはぜひ歴史に残るリーダーの一人になって欲しい。本当に困難な道のりはこれから始まるのだろうけれど、困難だからこそ敢えて挑戦する価値があるのだ。
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(写真はOccidental大学のキャンパスにあるThorne Hall。大学のHPより。)