昨日の続きで「航海と経営」の話。
僕が感じた2つ目のポイントは「自然の流れを読む」ということ。未来を読むと言っていいかもしれない。ここで言う「自然」とは航海に影響を与える要素、すなわち、風、波、潮、雲などの自然現象ことで、人間の力でコントロールできないものを指す。
海図とコンパスは進むべき道を決める際には大きな助けとなるが、それは僕たちにとってあくまで過去と現在でしかない。航海者の過去の経験を1枚の紙に凝縮したものが海図であり、船の現在位置を知るためのツールがコンパスだ。従って、海図とコンパスだけでは未来のことは分からない。僕たちは他の何らかの手段を使って未来の情報を入手するしかないのだ。
風や波といった自然現象は毎日、毎時、毎分変わっていく。五感をフルに働かせて情報を収集し、過去の知識に基づいて類推・評価し、必要なアクションの意思決定を行わなければならない。正しい意思決定が行われれば安全な航海の先に目指すべき目的地が見えてくるが、一歩間違えれば命の危険さえ発生する。過去だけに依存する者は失敗し、果敢に未来を読み切る者だけが成功を手にするのだ。
経営学というのは、まさに海図とコンパスのような存在だと僕は思う。ビジネスにおいて進むべき道を選択する際の大きな助けとはなってくれるが、決して未来を教えてくれることはない。正しい意思決定を下すためには、未来を読む力を別途に身に付ける必要があるのだ。そして、この未来を読む力を身に付けるには、僕の考えでは繰り返しのトレーニングが必要で、MBAの価値はまさにここにあると思っている。
海図の読み方やコンパスの使い方のように、経営学のエッセンスだけなら本からでも十分に学べる。しかし、「未来を読む力」というのは決して本から学ぶことはできないのだ。
(明日へ続く)
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