宇宙航空MBAブログ

Aerospace MBA(フランス・トゥールーズ)が考える宇宙航空マネジメントの進化系ブログ

Kingdom?

2006年10月23日 | その他
 
IASにある奨学生専用ラウンジでのんびり時間を過ごしていたときのこと。MBAのクラスメートの一人が、「NOBU(僕のこと)、日本のKingdom(王国)が崩壊したらしいっていう噂を友達から聞いたんだけど、本当なの?」と尋ねてきた。

もちろん日本はイギリスのようなUnited Kingdom(連合王国)でもなく、アメリカのようなUnited States(合衆国)でもない、国民主権の単一国家だ。その日本にKingdom(王国)なんてあるはずもなく、ましてや存在しないものが崩壊するはずもないので、「天皇は王様じゃないし、そんなの有り得ないよ」と回答しておいた。

しかし、クラスメート曰く、確かに日本の友人から“日本でKingdomが崩壊した”という情報を聞いたらしいのだ。もっと詳細を聞きたかったのだけど、残念ながら約束があるということで、クラスメートはその後すぐにクラブを出ていってしまった。

そこまで言われて不可解なのも気になる。当然、僕はネットで調べてみた。そして、やっとクラスメートの言っている“Kingdom"(王国)の意味を理解できた。クラスメートが話していたのは、なんと「ムツゴロウ動物“王国”」のことだったのだ。

確かに直訳すれば王国=Kingdomなのだけど、英語で“Kingdom"とだけ言われたので、僕はてっきり主権国家の話をしているのだと勘違いしてしまった。それが動物王国の話だったとは!

しかし、ニュースを読んでビックリしたのだけど、ムツゴロウ動物王国はいつの間にか東京に移転してきていた。しかも東京サマーランドの中にあったのだと言う。僕は北海道の雄大な大地に大自然を利用した“動物王国”として存在しているものとばかり思っていた。

いくらムツゴロウさんの掲げる理念が素晴らしいとは言っても、東京に動物の王国を作るというのは少し方向性を誤ったのではないだろうか。動物園なら都内に上野動物園があるし、郊外には東武動物公園だってある。ちょっと時間をかければ富士サファリパークだってある。さらには、動物と触れ合うだけの場所なら、都内のいたる所に“ふれあいパーク”のようなものが存在するし、川にアザラシが現れてくれることだってある。

そんな現実がある中で、理念だけが先行してプロジェクトを進め、しっかりしたマーケティングや経営体制の構築を実行しなかったことが、今回の“王国”崩壊の一因となったのではないかと僕は推測する。

理念のないプロジェクトはとても危険だ。誰の心も鼓舞しないし、何よりプロジェクトがスタートする前に頓挫してしまう可能性が高い。だけど、理念があってもそれだけが先行してしまうプロジェクトというのは、さらに危険だと僕は思っている。途中で突然空中分解する可能性が高いからだ。プロジェクトが途中まで進んでいる分、被害もより甚大なのだ。

とにかく今回の“Kingdom”の崩壊情報にはいろんな意味で驚かされてしまったのでした。


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2 コメント

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Unknown ()
2006-10-23 11:11:06
日本人は、理念と根性だけで商売しますからね。



「最後は理想を追い求める熱い情熱」とか良く言いますが、言っている本人も分かっているように、そういうメンタルなものは「最後」なんですよね。



用意周到な戦略と準備、圧倒的な物量・ロジ、そして最後に・・・だと思います。少数精鋭や例え装備は古くてもなんて格好つけたがりますが、負け惜しみだろう。



日本人同士でやる場合は、そういう美学があってもよいが、敵は狡猾なアングロサクソンや姑息なシナ人であるよ。



まったく、国が傾くほどの戦争をして何も学んでないんだな・・・・。とほほ。

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Strategy (AerospaceMBA)
2006-10-24 07:30:32
>つ さん

コメントありがとうございます。

理念と根性、ですか。価値を図る物差しが何かはっきりしさえすれば戦略も立てやすいのですが、日本人の場合、時々この“価値を計る物差し”がまるで見えないときがあります。何が彼らをそこまでさせるのか分からない、というやつです。



アメリカのように“力”、“お金”、“成功”など、尊敬される価値観がシンプルではっきりしているほうが返って行動しやすいでしょうね。勝つための戦略哲学を叩き込むMBAがアメリカで進化した理由も分かる気がします。
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