宇宙航空MBAブログ

Aerospace MBA(フランス・トゥールーズ)が考える宇宙航空マネジメントの進化系ブログ

インターンの探し方

2007年07月31日 | インターンシップ
 
以前にインターンシップの探し方に関する質問があったので、今日はその回答です。質問をされた方、そして、これからMBAを目指そうとされている方の参考になれば幸いです。

僕の個人的な経験では、MBAプログラムの中で最もストレスフルな時間、それがインターンシップ探しの時間だ。3時間ぶっつづけの英語での筆記試験も大変だったけど、精神的なプレッシャーという意味では、インターン探しが一番キツかったと思う。

まず、一番大事なのは、企業の人とのネットワーク作りだ。希望するインターンシップを得られるかどうかは、このネットワーク作りに始まってネットワーク作りに終わると言っても過言ではない。そのくらい大事だ。とにかく、あらゆる機会を見つけて企業の人と知り合いになり、自分に対して好印象を持ってもらうことが必要だ。

大事なのは、この「好印象を持ってもらう」という部分で、下手な鉄砲も数打ちゃ当たるでは、間違いなく本当のチャンスを逃す。アンテナは広く遠くまで広げつつも、自分が目指す本当の獲物(希望する企業)だけを見つめて、その対策を練る必要がある。

一番のチャンスは、その企業の人がビジネススクールに講師として来校した時だ。この瞬間を逃してはならない。しかし、同時にガツガツと攻めてもダメだ。なぜなら、人気のある企業の場合、クラスのほぼ全員が名刺を持って講師の前にならぶため、自己紹介のためだけに15分以上待たされることもあるからだ。

一度にそんなにたくさんの自己紹介をされた講師の側もたまったものではない。丁寧に名刺を返してくれるものの、きっと顔も名前も覚えてはくれないだろう。授業が終わった後の長~い列に並んでも、効果はほとんどない。

僕は日本にいるときに人事で採用担当をしていた時期があるので、このあたりの裏事情は知り尽くしている。企業の人間がどういう風に感じて、何をする学生が最も印象に残るか、実体験を通して学んだのだ。その経験が大いに役に立った。

一番の勝負時は、あくまで僕の個人的な経験に基づく考えなのだけど、ずばり授業中にある。授業の中でいかに企業側にとって“Added Value(付加価値)”を感じさせる発言ができるかどうか、それが勝負の分かれ目だ。すなわち、授業の中でその講師が抱えている業務上の課題を敏感に察知し(分からなかったら質問してもいい)、その課題に対して自分にしかできない情報提供の可能性を講師に感じてもらうのだ。

もちろん、その場で立派な解決策なんて思いつけるはずもないので、はっきりと断定的に答えを示すことなんてできない。それをやろうとすれば、逆に安易な考えになって、安っぽく思われてしまう可能性のほうが高い。ただ、その講師がまだ気づいていないであろう解決策の方向性だけでも感じてもらえれば十分なのだ。これに講師が興味を示して、授業を少し中断してでも話を発展させようとしはじめたらもう完璧だ。この講師は100%僕の顔と名前を覚えてくれている。

ということで、本当に意味のあるネットワークは、授業の前にも後にもなく、授業中にある。それが、僕の実体験に基づく結論だ。言い換えれば、授業の中で自分自身を差別化する、それが僕の戦略だった。フランス語も話せず、航空分野で働いたこともなく、マーティングの実務経験もない、日本人の僕が、ATR社でのインターンシップを獲得できたのはこの戦略の成果だと思う。

最後に、ちょっと長いのだけど、今年の11月からAerospace MBAに進学する日本人のMr.Bさんから、MBAの学校選びに関して的確なアドバイスと思われる情報を送ってもらったので、この場を借りて紹介したい。僕の考え方に極めてマッチしている。


『留学先を決める際にグローバル企業が本社を置く都市にある大学を選ぶことをすすめたい。それもできればNYのような大都市ではなく、中都市くらいならばなおよい。なぜか。その町で勉強する間に、そのグローバル企業に勤める人と知り合いになるチャンスが訪れるからだ。(中略)米国アトランタに本社がある事で有名なコカ・コーラ社。アトランタにはエモリー大があるがあまり有名ではない。ただし、コカ・コーラとはゆかりの深い大学であり、同社と深く密接な関係を築いているのだ。(中略)そこで、私が自費留学をするならば、高額の授業料を払ってハーバードに行ったりはしない。マーケティングでキャリアのショートカットを図るならエモリー大学ゴイズエタ・ビジネススクールで学び、在学中にコカ・コーラのアトランタ本社に勤める人々との人脈を作る。』
~『役に立つMBA 役に立たないMBA』小松俊明著 より抜粋~

Mr.Bさん、情報提供どうもありがとう!

(写真はピレネー山脈の湖で撮ったもう一枚)
 

黒ワイン

2007年07月30日 | フランス

カオールの町でようやく駐車場を見つけた僕は、車を停めてしばらく町の中を散策することにした。町の中は思った以上に観光客が多い。皆ワイン目当てでこの地にやって来たのだろうか。それとも、美術館や博物館など、何か有名な展示施設でもあるのだろうか。

観光客風の人々中で特に目立つのが、大きなリュックに杖をついた年配の方々だ。彼らは、キリスト教の3大巡礼地の一つであるサンティアゴ・デ・コンポステーラまで、歩いて巡礼する途中の巡礼者達だ。こうやって巡礼路の通過点となっている町に数日ずつ滞在しながら、最終目的地であるスペインを目指している。このカオールの町からだと、まだまだ1000キロ以上もあるだろう。頑張ってほしい。

しばらく町の中を歩いたらお腹が空いてきたので、僕は地元のおいしそうなレストランに入ることにした。最近になって、ようやくフランスにおけるおいしいレストランを見分けるコツのようなものが分かってきた気がする。

フランスのおいしいレストランは、観光客用のものを除き、大体が裏路地にひっそりと佇んでいる。そして、裏路地にあって目立たないにもかかわらず、なぜか人で混んでいる。さらに、値段が高すぎもせず、安すぎもせず、ちょうど手頃な価格帯でMemu(ムニュ)と呼ばれるコース料理を提供している。こういうレストランを見つけたら、大体がおいしい。少なくともハズレはない。

僕はメニューを受け取ってしばらく考えた後、せっかくカオールに来たのだからこの地方のワインと名物料理を楽しむことにしようと決めた。それがこの日のチョイスであるセッブ茸のオムレツと黒ワインだ。(写真参照)

セッブ茸は日本では食べたことがないので良く分からないのだけど、フランスでは高級なキノコの部類に入るらしい。日本で言えばマツタケのような存在か。でも、形や味や匂いは全く違う。どちらかというと、舞茸のようなキノコだ。これをオムレツの中に入れてふわふわ卵と一緒に食べる。これはとてもおいしかった。

そして、カオールといえば忘れてはならないのが、深く黒みがかった赤色のワインだ。この色の特徴から、あえて「黒ワイン」と呼ばれている。僕はソムリエではないのでこの味をうまく言葉で表現できないのだけど、とにかく渋みが力強くて、舌にずっしりと重くのしかかってくる感じだ。人によっては好き嫌いが別れるかもしれない。僕にとってはこの黒ワインはイケる。

こんな感じでフランスの地元の料理と地元のワインで楽しむ週末。それもまた最高だ。

(写真は今日食べたセッブ茸のオムレツと黒ワイン)

カオールの町

2007年07月29日 | フランス

今週末はトゥールーズから車を1時間半ほど走らせてCahors(カオール)という町へ。ここはフランス国内でも有数の赤ワインの産地だ。

カオールの町に来た目的は2つ。一つ目の理由は、日本にいる時にある人から「カオール地区のワインを探索して、ワイナリーの人と友達になっておくように!」との指令を受けていたこと。もう一つの理由は、このカオールの町が、キリスト教の3大巡礼地であるサンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼路の通過点になっていることだ。

別に僕はキリスト教徒ではないのだけど、MBAが始まってすぐの合宿がトゥールーズ郊外のMoissac(モワサック)という町であり、このモワサックの町もまたサンティアゴ・デ・コンポステーラへと向かう巡礼路の通過点であったことから興味を持ち始めた。巡礼路の通過点となっている町というのは、どの町も非常に歴史が古く、小さい街並の中にもいかにもヨーロッパらしい雰囲気が漂っていて、僕はとても好きなのだ。

しかし、カオールの町は僕が思っていたよりもはるかに都会だった。それもそのはずで、この地方Lot県の県庁所在地がこのカオールの町なのだ。人口も2万人以上いるらしい。町と表現するより市と表現したほうがふさわしいかもしれない。

ワインの産地と聞いていたのでフランスによくあるのどかなワイン畑の丘のようなイメージを想像していたのだけど、僕の予想は100%裏切られてしまった。カオールは四方を山と川に囲まれていて、日本で言えば鎌倉のようなイメージだ。もちろん、カオールはフランスの内陸部にあるので、鎌倉と違って海はない。

僕はまず車を停めようと駐車場を探していたのだけど、なかなか空いている場所が見つからない。停める場所を探して町の中を一周しているうちに、ある黄色い看板の存在に気づいた。ほとんどの駐車場に掲げられている。書かれていた内容は、「ツール・ド・フランス開催のため閉鎖中」。つまり、あの世界的な自転車ロードレース、ツール・ド・フランスが、今年はこのカオールの町を通過することになっていたのだ。

残念ながら僕が訪れたこの日には、もうツール・ド・フランスのレーサー達はカオールの町を通過してしまっていたのだけど、それでも町の中にはレースの名残らしきものが漂っていた。それがこの駐車場の看板であり、カラフルな自転車レースのコスチュームを着て町の中を颯爽と走るアマチュア・ライダー達だ。きっと本物のレーサー達が通ったのと同じ道を自分も走って、プロの気分を味わっているに違いない。その気持ち、僕にはすごく良く分かる。

そういえば、僕にも自転車ロードレーサーとしてフランス・デビューするという計画があったような、なかったような。。。

日本に帰るまで時間は3ヶ月もある。週末はやりたいことを、やりたいだけ楽しんでいこう。

仕事が2倍に

2007年07月28日 | インターンシップ
 
ART社での勤務をスタートさせてから、既に1ヶ月とちょっとが経過した。僕のプロジェクト自体は6月上旬にスタートさせたので、今のミッションに取り組んでからは約2ヶ月の経過となる。時間が経つのは本当に早い。ゴールまでの作業量と時間配分をしっかりと考えてから行動しなければといつも思う。

しかし、最近になってなぜか僕の仕事が2倍に増えてしまった。いや、3倍くらいに増えたといってもいいかもしれない。しかも、自分の本来のミッションではない範囲の仕事が増えてしまった。まあ、インターンの身分だから何を頼まれても文句は言えないのだけど、時間のマネジメントがより困難になったことだけは確かだ。

忙しくなった原因は、他のインターンの面倒を見てくれと頼まれてしまったからだ。ATR社には、僕以外にもインターンとして勤務する者がたくさんいるのだけど、その多くはフランスの大学やグランゼコールに通うマスターコースの学生達だ。2年間のマスターコースの中間にあたる1年目の夏休みに企業で実務を経験し、将来の就職活動の際のアピールポイントにするのが主な目的だ。

マスターの1年生ということもあって、みんな僕よりも小学校でいえば一回りくらい歳が若い。大体24歳から25歳くらいだ。これまで大学や大学院ではリサーチをした経験があるものの、会社の中で実際に働くのはこれが初めてという学生も多い。そんな学生インターン達がちゃんと価値ある成果を出せるように力を貸してやってほしい、というのが僕に課された新しいミッションだ。

事の発端は、僕が最近部内で行ったプレゼンにあるらしい。僕は、スーパーバイザーであるMarketing部門のFormica副社長の指示により、Commercial部門のTritto副社長、それに、Asia Pacificを担当するAlbertoセールスディレクター、たまたまトゥールーズ本社に戻ってきていた現在は中国駐在のDeaveuxディレクターの前で、これまでの分析結果をまとめたプレゼンを行った。

プレゼン自体は30分もしないうちに終了したのだけど、その後聞いていた全員から鋭い指摘やさらなる追加調査の指令が山ほどあり、僕が行った分析もまだまだATRの幹部を満足させられるだけのレベルに達していないなあ~と正直感じていた。

しかし、実際には僕のプレゼンは予想外にも皆さんに好評だったらしく、僕の分析レポートがMarketing部門とCommercial部門の中で展開されることになってしまったらしい。そして、そのレポートを読んだ部門内の他の人達が、「よし、NOBUにお願いしよう!」ということで、自らがスーパーバイザーをしている学生の面倒をみてくれと、僕の部屋に頼みにくるようになったのだ。

という事情があって、結局僕はインターンの身分でありながら、4名もの学生さんのプロジェクトの面倒を見ることになってしまった。仕事が2倍にも3倍にも増えた一番の原因は、まさにこれだ。

面倒を見るといっても、別に僕が彼らの上司となって自分のプロジェクトのために彼らの時間を使ってもいいという意味ではなく、100%彼らのプロジェクトのお手伝いだ。自分のプロジェクトに取り組む時間がどんどん削られていく結果に落ち着く。これは困ったことだ。

でもまあ、毎回彼らから感謝してもらえるのは気持ちがいいし、将来の人的ネットワークで役に立つこともあるかもしれないし、何より、僕にとっての良いマネジメント経験の機会だと思って、今は全てをありのまま受け入れ100%全力で対応している。僕がこれまでの社会人経験で学んだことや、MBAで身につけた理論やテクニックなどを、少しでも彼らの役に立てることができれば幸いだ。僕にとっても自分の理解の深さを反省する良い機会になる。

しかし、僕にインターン学生の面倒を見てくれと頼んできたATR社の皆さんは、例外なく揃って長期バカンスに出かけていった。しまった、これが彼らの作戦なのか!と気づいた時にはもう遅かった。

ということで、この夏はATR社で思いっきり働こうと思います。

(写真は週末を利用して登ったピレネー山脈のLac d’Oo)
 

ティラミス

2007年07月27日 | MBA
 
会社でおやつが出るのは日本だけの習慣かと思っていたのだけど、僕が今勤務しているATR社では、極めて頻繁におやつが回ってくる。というより、会社内でのプチパーティーが一週間に必ず1回はある。

しかも、そのプチパーティーが開催されるのは、大体朝10時半とか11時といいった、午前中の比較的早い時間帯だ。そんな時間帯からお仕事を一休みし、イタリアン又はフレンチなおやつを楽しみながら30分程度歓談にふける。仕事のスタイルが優雅になるのも納得だ。もちろん、アペリティフと称してアルコールも当然入ってくる。

パーティが終了したら全員で片付けをして各自の部屋へと戻り、また黙々と仕事を始める。というのは冗談で、また騒がしい仕事の時間が始まる。何が一番騒がしいかというと、イタリア人の電話だ。自分の個室があるにも関わらず、自分の部屋で電話しないのだ。なぜか携帯を手にして廊下を歩きまわりながら電話の向こうの相手と話をしている。イタリア語だから話の内容までは分からないけど、きっと秘密の話ではない、ということだけは分かる。

話をおやつに戻すと、今日のおやつはイタリア名物のデザート、ティラミスだった。何度もブログで書いたと思うけど、基本的に僕は甘いものが苦手だ。ティラミスも名前は聞いたことがあるけど、本格的に食べるのは初めての経験だった。日本ではかなり値段が高い部類に入るケーキのような存在だったと記憶している。

同僚のイタリア人の説明によると、ティラミスはコーヒーとチーズのミックスケーキ、ということらしい。難しい説明は抜きにして早く一口食べてみろ!と言われたので、その通りに僕は一口ティラミスを食べてみた。

予想に反してチーズの味がしない。チョコというか、コーヒーの香ばしい香りが口全体にとろけるように広がっていく。これはおいしい!甘いものが苦手な僕でもこれならおいしくデザートを楽しめる。これは意外な結果だ。

そもそも、なぜ今日ティラミスだったのかというと、同僚の一人の奥様が手作りでティラミスを作ったので、会社に持ってきてみんなで食べよう!という企画だったらしい。僕はプチパーティー開催の趣旨も全く理解することなく、おいしいイタリアンデザートのみ堪能してしまった。

そのうち日本の食べ物を作って持って来い!とボスに言われてしまったので、何を作ろうかと今から悩んでいるのでした。
 

システムダイナミクス

2007年07月26日 | インターンシップ
 
ビジネス開発における戦略オプションを検討する時、少なくとも現時点でどんな要素が既存マーケットを構成し、どの要素とどの要素が相互に絡み合っているかを理解しておくことは非常に大切だ。分析の結果最も勝つ可能性が高いと思われる戦略オプションを実行してみたところ、見落としていた第3の要素に予想外のインパクトを及ぼしてしまい、何もしないという選択肢よりも悪い結果をもたらすことだってある。

僕が今担当しているのは、ATR社の航空機ビジネスを新たなマーケットに投入するための市場戦略立案なのだけど、やはりどこをどう動かしたらこのマーケットの中で何がどう動くのかをしっかりと見極めてからオプションの優劣を決めたいと思っている。そのためのツールとして、今回System Dynamics(システム・ダイナミクス)という手法を採用することにした。

システム・ダイナミクスは、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)が開発した分析ツールで、主に複雑に絡み合うシステムの構造を理解するために用いられる。僕はこの分野の専門家ではないため、今ちょうどMITで学ぶBigakiraさんにメールを送り、教えを請うことにした。

メールでのお願いにも関わらず、24時間も経たないうちにBigakiraさんはシステムダイナミクスに関する資料を僕に送ってきてくれた。大学院の授業で多忙を極めるにも関わらず、僕の基本的な質問に対応してくれて本当に感謝だ。Merci!

送ってもらった資料を読み込んだ僕は、さっそくシステム・ダイナミクスの手法を使ってATR社の航空機に関する分析をしてみた。50席~70席クラスのターボプロップ機市場に関しては、今世界で2社しかプレーヤーがいない。カナダのボンバルディア社と“我が”ATR社だ。

以前はスウェーデンのSAAB社やオランダのFokker社もあったのだけど、この50席~70席クラスのターボプロップ市場は、Regional Jet(リージョナル・ジェット)と呼ばれる小型ジェット機に押されて、今後数年間で姿を消す運命にあると言われていた。SAAB社とFokker社が生産を中止してしまったのはそのためだ。

しかし現在、原油高に伴う航空燃料費高騰を受け、極めて低燃費かつ環境に優しいターボプロップ機の良さが見直されつつある。元々、ターボプロップ機は離着陸に必要な滑走路が短くて済み、ジェット機よりも低い高度を飛ぶのでフライト中の眺めが素晴らしいという良い点もあった。スピードさえ我慢すれば、ターボプロップ機のほうが優れている点はたくさんあるのだ。

そんなことを考えながら、僕はシステム・ダイナミクスの手法を使ってATR社の航空機がマーケットにもたらすインパクトを図(写真参照)のように考えてみた。たぶん、画像が小さすぎて読めないと思うけれど、これは非常に優れたツールだと実感した。このシステムの中に何をインプットすれば、どこが影響を受けて、その影響を受けた部分が次にどこに影響を与えるかまで、しっかりと一枚の紙の上で再現してくれる。使いこなせるようになれば、本当に強力なツールだと思う。

システム・ダイナミクスに興味のある方は、ぜひBigakiraさんのブログを覗いてみてください。専門家の立場から非常に分かりやすく説明してくれています。

より詳しく知りたい人はこちら
 
(写真は僕が行ったATR社のシステム・ダイナミクス分析)
 

インドの航空需要

2007年07月25日 | 宇宙航空産業
 
今India(インド)が熱い。といっても、気候の話ではなく、航空業界の盛り上がりの話だ。とにかく、あらゆる航空機メーカーが今必死になってインドへの進出を図ろうとしている。僕が勤務しているATR社も例外ではない。

理由は簡単で、インドが航空需要に関して驚異的な潜在成長率を有しているとされるからだ。同じく高い経済成長率を有するとされる中国と比較しても、インドの航空分野における潜在成長率は、はるかに高い。

Center for Asia-Pacific Civil Aviation(CAPA)のデータによると、現在約14億人とされる中国の総人口のうち、航空輸送サービスの利用者となりうるミドルクラスの人口は約4億人。さらに、このうち実際に航空機を利用しているのは約1億4千万人で、ミドルクラス人口の約35%が航空機に乗っている計算になる。

これに対して、インドの人口は約11億人。中国よりも“やや”少ない。このうちミドルクラスの人口は約3億人とされ、さらに実際に航空機を利用しているミドルクラスはわずかに約2千万人と推算されている。比率に直せば、全ミドルクラス人口のわずか約6%のみが現時点における航空機の利用者なのだ。裏をかえせば、残りの約94%が全て今後の潜在的な顧客というわけだ。

日本での現状と比べてみるとどうだろうか。総人口約1億3千万人に対して、ミドルクラスの人口は一体どれくらいいるだろうか。仮に7千万人から8千万人いたとして、そのうち航空機を一度も利用したことがない人というのは、ほとんどいないのではないだろうか。そう考えれば、潜在的な航空輸送需要の伸びが中国やインドほど高くないという意見にも納得できる。

しかし、インドの伸びはすごい。国連の推算によれば、インドの人口は今後数十年のうちに約15億人に達し、中国を抜いて世界第1位になると言われている。それだけの人口増加率をキープしながら、現在インドで運用されている旅客機の数はわずかに215機しかないのだ。

という理由から、僕の興味は中国からインドへとシフトしつつある。インドという国がこの成長をどこまで支えきれるか、その戦略をしっかりと見極めていきたい。

(写真はJet Airways航空)
 

決戦は10月16日

2007年07月24日 | MBA
 
自宅のあるIASキャンパスの電気は復活したものの、相変わらずインターネットはつながらない。つながる瞬間も1時間に数分程度あるのだけど、とにかく今の状況は不便で仕方がない。インターネットがいかに僕の生活の中で既に必要不可欠なインフラとして機能しているかが分かる。電気や水道と同じようなものだ。ただし、無くても死ぬことはない。

こんな不安定な状況の中でも、このブログだけは最優先で記事を書き、なんとか更新できるように心がけている。一時間に数分あるかないかの微妙なウィンドウを狙って、つながったら即のタイミングでアップロードするのだ。ブログ記事以外の個人的なメールに関しては、正常復帰するまでは会社のパソコンから英語で書くことが多くなると思うので、友人の皆様どうぞよろしくお願いします。

さて、今日はビジネススクールから1通の大切なメールを受け取った。MBA取得のための最終関門となるプレゼン審査の期日指定だ。僕の発表は10月16日火曜日の午前11時から12時までの1時間に決まったらしい。計算するとあと84日、どうやら3ヶ月もないようだ。確実にターゲットに間に合うように作業量の見極めをしていかなければならない。

さあ、気を引き締めて頑張ろう!と思っていたところ、ATR社での僕のスーパーバイザーの一人であるGianni副社長が僕の部屋にやって来た。え、今日はミーティングのアポイントも入れてないし、何よりGianni副社長が自ら僕の部屋まで足を運んでくれるなんて、一体何事だろう?と思ってしまったのだけど、理由は恥ずかしくなるような僕のミスだった。

僕が冒してしまったミスというのは、他でもない「スペルミス」だ。僕の英語力がまだ完璧ではないという証拠でもあるのけど、僕は「グループ」という単語を「Groupe」と表現してしまっていた。これはフランス語で書く場合の「グループ」であって、英語で書く場合は「Group」となる。最後に一つ「e」が付くか付かないかのわずかな違いだ。

言い訳になってしまうのだけど、フランス語を勉強しはじめてからというもの、フランス語と英語とで、どっちがどっちの正しいつづりだったか、僕の中の記憶が混乱することが非常に多くなってしまった。これは僕の記憶力と外国語習得センスの無さからきていると思うのだけど、「外国語を使いこなすこと」と「正しい外国語を使えるようになること」との間には、実は大きな開きがあるのだと改めて実感してしまう。

しかし、それ以上に今回の事件に僕は驚かされてしまった。理由は3つあって、一つ目は、副社長自らが英単語のスペルミスを指摘するためにわざわざインターンの部屋にやって来たこと。そして2つめは、イタリア人もこういう細かい点に気を配る繊細さがあるのだと改めて気付いたこと。そして3つ目は、ATR社の幹部は超多忙な業務の中でもちゃんと一言一句僕のレポートに目を通しているのだということ。

きっと、Gianni副社長は最後のポイントを僕に伝えるためにあえて僕の部屋までさりげなくやってきたに違いない。ちゃんと見ているから最後まで気を引き締めて全力投球してくれ!という強いメッセージだと思う。

プレゼンまであと84日、頑張っていこう。見てくれている人は必ずいる。

(写真は武田信玄の「風林火山」。決戦の日が決まったというこことで。)
 

久々のビジネススクール

2007年07月23日 | MBA
 
今日はMBAでStrategy(経営戦略)の授業を担当してくれたSveinn教授との打ち合わせのため、ATR社での勤務を少しだけ早めに切り上げて久々にビジネススクールへやって来た。なので、自宅が停電でインターネットも電化製品も全く使えない状況にも関わらず、こうしてビジネススクールのWIFIを使って日本語でブログを更新することができる。

ビジネススクールに来るのは、最後の授業が終了してからほぼ一ヶ月ぶりになる。本当に久しぶりだ。今日の一番の目的は、僕が今ATR社で進めているプロジェクトについてSveinn教授と議論することだ。実は、教授にはずっと前から僕のアカデミックアドバイザーをお願いしている。多忙にも関わらず快く引き受けてくれた教授に感謝だ。Merci!

僕が進めているプロジェクトの大枠については、既にATR社の複数の副社長と調整をして合意を得ているので、計画自体が大きく変更される可能性は少ない。後はこの計画を十分なクオリティで期限内に遂行し、最終的に顧客であるART社に満足してもらえるだけのレポートに仕上げるだけだ。

しかし、MBAの授業で一通り経営学の基礎を叩き込んだとはいっても、僕はまだ駆け出しレベルのコンサルタントでしかない。大事なポイントを見逃していたり、より経験を積んだ者の目から見ればロジックが破綻しているような分析をしてしまっているかもしれない。そういったミスやヌケをプロの目から指摘してもらうために、僕は今回Sveinn教授にサポートをお願いしている。自信を持つことは大事だが、自信過剰には決してなってはいけないのだ。

Sveinn教授との打ち合わせは、結局、夕方6時から7時30分まで続いてしまった。予定は30分で切り上げる予定だったのだけど、途中で日本の航空ビジネスの話で盛り上がったり、より発展的な議論をしたりしていたら、互いに気付いた時にはもう1時間30分にもなっていた。Sveinn教授はアイスランド出身なので、フランス人的な労働感覚の持ち主ではない。しかし、ここまで一生徒の一プロジェクトに真剣に付き合ってくれたことには、心から感謝しなければならないと思う。

いろんな人が僕を応援してくれている。本当にありがたいと思う。

(写真はToulouse Business Schoolの場所。フランスの地図だと大体このあたり。)
 

Blackout!

2007年07月22日 | その他

This is the first time to write this blog only in English. You surprised?

The problem is that there has been a blackout since last night and I cannot use internet nor any electronic devices at home right now. I am writting this at ATR office during the lunch break and that's why this is all in English.

Sorry for your inconvenience to read but please do not worry too much for not renewing my blog as often as I usually do. I just cannot upload the files in Japanese at home. (I mean, Japanese language environment is totally out of my life right now)

Thanks for your understanding and have a nice day!

Aerospace MBA