宇宙航空MBAブログ

Aerospace MBA(フランス・トゥールーズ)が考える宇宙航空マネジメントの進化系ブログ

最高のプレゼン

2006年09月30日 | 宇宙航空産業
 
最高のプレゼンテーションに巡り会えた。Avions de Transport Regional(ART)の副社長、Gianni Tritto氏のプレゼンだ。

話の内容が面白いだけでなく、聴衆とのインタラクション、的確な質疑応答、後に残る心地よさ、どれをとっても超一流だった。僕の人生の中でのBest of bestだ。

ATRという会社は、短距離航空輸送をターゲットにしたターボプロップ航空機(プロペラ機)の開発・製造メーカー。日本の航空機で言えば国産のYS-11みたいな感じの飛行機を作っている。(写真参照)

Tritto氏の話を聞く前はジェット機全盛の現代に今さらなぜプロペラ機?と疑問しか湧かなかったのだけど、彼のプレゼンが始まって5分もしないうちにプロペラ機のもつさらなる可能性にどんどん引き込まれていった。

そもそもなぜプロペラ機が敬遠されてきたかというと、プロペラが回転するためにジェット機に比べて機内での騒音、振動が大きく、乗客の快適性が損なわれるといった理由がある。さらにスピード面でもジェット機にはかなわない。

そんな欠点ばかりが目立つプロペラ機について、Tritto氏はまずデメリットについて近年の技術革新が快適性をジェット機以上のものにしたことを説明し、次にジェット機にはないメリットについて様々な数値を使って次々と説明し始めた。

例えば燃費。平均的なジェット機(RJ:Regeonal Jet)が約1,500kg/fuel・hourなのに対して、ART社のATR-42は約780kg/fuel・hour。年間フライト時間で換算すると、プロペラ機を使ったほうが72,000tonの燃料の節約になる。さらにこれを金額に直すと、5年間で5,000万USドルものコスト削減につながる。近年のオイル高騰を考慮すれば、これは航空会社の経営者にとってはかなり魅力的な数値だ。

コスト面だけではなく、Tritto氏はさらに京都議定書にまで言及した。二酸化炭素排出量の増加を危惧しているヨーロッパにとっては、燃料の消費は今最大の関心事のひとつなのだ。これもまた企業経営者の心に響くに違いない。

その他、ジェット機に比べて離着陸に必要な滑走路が短くてすむことや、着陸から次の離陸までの時間が最短で15分程度で済むこと、メンテナンスコストが安いこと、過去の実績で99.6%以上の運行可能率を維持していることなどを挙げて、いかにATR社のプロペラ機がジェット機に比べて優れているかを説得力をもって説明してくれた。

彼が用いた図や数値やグラフ、さらには言及した政治的・社会的背景まで、そのすべてが完璧なまでに彼の主張をサポートしていた。本当に見事としか言いようがなかった。

以前にMBAディレクターから“企業のCEOになるような人物はソフトスキルがケタ違いに高い!”と言われたことを思い出したが、あれはまさしく事実であり、真実なのだ。

ここまで感動するプレゼンを聞いて僕が黙っているわけはない。当然、彼の経営哲学や経営戦略を聞いてみたくなって、かなり深くっこんだ質問をしてみた。

その内容については明日また紹介したいと思います。

(写真はATR社のATR-72航空機)
 

夕食

2006年09月29日 | その他
 
しばらくカタイ内容の話が続いたので、今日は軽めの話題に。

以前に僕の朝食を紹介したところ、一部の方から予想外の反響があったので、今日は僕の夕食を紹介することにしたいと思います。「え、フレンチディナー?」と思った人は期待はずれだと思うので、読み飛ばしてください。完全に自炊レベルですから。

この日はなぜかシーフードが中心のメニューでした。白ワインではなくコーラを一緒に飲んでいるあたりが、まだフランス文化を自分のものに出来ていない証拠でしょうか。

先日ボルドー(メドック)まで行って買ってきた1997年ものの赤ワインが家にあったのですが、シーフードにはさすがに合わないだろうと思って今回は開けませんでした。

<夕食メニュー>
エビとシーチキンのパスタ(バジリコ風味)
スモークサーモンとオニオン
コカコーラ

とにかく、僕のこの世における大好物トップ5に入るであろう“スモークサーモン”を思う存分に堪能できた夕食でした。北欧が近いからなのか、スモークサーモンを日本よりもかなり安く、かつ、おいしく味わうことができます!素敵な国です。

 追伸:またいつか“昼食”を紹介します。お楽しみに!
 

フランス空軍基地

2006年09月28日 | 宇宙航空産業
 
行ってきました、フランス空軍基地。今日はその報告を少し。

2時間もかけてじっくり書いた基地立入申請書だったのでたぶん問題ないだろうと思いながらも、やはりドキドキしながらセキュリティチェックを受けた。といっても一人ひとり尋問と持物検査があるわけではなく、軍人さんがバスの中にやってきてパスポートの氏名と顔を照合するのだ。一応笑顔でボンジュールと言っておこう。“Bonjour~!”

しかし、あの申請書の質問項目は一体何だったのだろう。父親と母親の名前は何のため?趣味のスポーツ情報は何に使うの?政治家や宗教家の親戚を知ってどうするの?興味は尽きないのだけど、真顔の軍人さん相手にそんな質問をする空気ではなかった。う~ん、答えは永遠に謎のままだ。

基地内に入ってすぐにブリーフィングルームに案内された。いかにも軍隊っぽい感じの部屋だ。普段の業務でも使う部屋だそうだ。外側に面しているにもかかわらず、なぜか窓がない。う~ん、ミステリアス。

しばらくして基地の司令官(Commanding Officer)がやってきた。軍隊の偉い人は一体どんなことを話すのだろうと緊張して身構えていたのだけど、彼の第一声はこうだった。

「諸君、まあコーヒーでもどうかね?」

さすがカフェの国フランスだ。いきなりコーヒーブレイクから始めるとは。しかし、これで一気に緊張が解けた。そして、ありがたくコーヒーとクッキーを頂いた。(意外とおいしかった)

司令官の話によれば、この基地では主にC-160トランザール(Transal)という軍隊用の輸送機に関するオペレーションをしているらしい。戦時には戦車や車両を運ぶほか、パラシュート部隊を乗せて戦地の上空まで飛行するらしい。そんな輸送機の訓練が主なミッションだそうだ。

このC-160トランザールという飛行機(写真参照)、実はフランスとドイツの共同開発によるものだ。ほんの50数年前まで互いに戦争をしていた国同士が協力して軍隊用の飛行機を開発するなんて、少なくともアジア地域では考えられない。ここにもまたヨーロッパ独特の“競争のための協力”哲学を見た気がした。僕がこのヨーロッパで追い求めているテーマの一つだ。

司令官によるプレゼンが終わった後は、広報担当の士官(少尉)がこのトランザールの訓練用シミュレーターに案内してくれた。実際にコックピットに乗って、トランザールの離発着訓練を体験するためだ。

僕の番がやってきて機長席に座った。思った以上に狭い。こんな狭いスペースで何時間も操縦するのかと思うと、軍用機のパイロットがいかに重労働かが分かる。

僕は昔ニュージーランドでグライダーの操縦を習っていたことがあるので、飛行機の操縦に関しては一定の知識と経験がある。何をどうすればどう動くか大体は理解できているつもりだったので、2回警告音が鳴ったものの、なんとか無事テイクオフすることができた。この日体験した36人中、墜落せずに離陸できたのは僕を含めて3人だけだった。

シミュレーターによる離発着訓練体験が終わった後は、技術士官(大尉)がやってきて実際にトランザールが駐機してある場所へと案内してくれた。特別に実戦で用いている実物のトランザールに乗せてくれるらしい。

もちろん空を飛んでくれるわけはなく、中を見学するだけだったのだけど、それでも軍用機に乗ったのは初めてなのでかなり興味深かった。トランザールは最大で約70人を乗せることができ、1000メートル程度の滑走路があれば世界中どこにでも着陸することができる。もちろん軍用機だけあって、空中での給油も可能だ。

ただ、お世辞にも快適とは言いがたい。トイレは簡易型で、カーテンで隠すだけのものだ。座席もキャンプ用の布&パイプ製の椅子に近く、長時間座っているのはつらそうだ。軍人さんはきっと不平不満を言うこともなく、じっとココに座ってパラシュートでの降下を待つのかと思うと、自分はそんな職業に就かなくて本当に良かった~と心の中で思ってしまった。

ということで今回のフランス空軍訪問、僕にとってはまた未知の世界が広がったのでした。

(写真はC-160 トランザール輸送機)
 

Galileo計画3

2006年09月27日 | 宇宙航空産業
 
今日はガリレオ(Galileo)計画に関するレポートの最終回。アメリカのGPSを凌駕するために今ヨーロッパが必死になって取り組んでいるガリレオシステム拡大のための世界戦略についてだ。

既に紹介したとおり、ガリレオは全世界を地球規模でカバーする測位システム。それだけに地球上のどの国であっても、ガリレオ計画への参加承認と必要な設備さえあれば、そのサービスの恩恵を受けることができる。

ヨーロッパとしても、計画への参加国が多ければ多いほど、自らが負担すべき開発コストを下げることができるし、標準サービスとして世界的に普及すること自体が測位情報システムとしてのガリレオの価値を高めることになるといえる。なので今はガリレオ計画に参加する国を増やすのに必死になっているのだ。

現時点でガリレオ計画への協力を表明した国は以下のとおり。アメリカ合衆国についてはまた別の議論をしなくてはならないのだけど(複雑な政治的背景があるので)、その他の国に関してはヨーロッパとしても順調にパートナーシップを拡大中と言える。

 ■既に署名済み:アメリカ、中国、イスラエル、ウクライナ
 ■署名プロセス:インド、モロッコ、韓国
 ■現在交渉中 :アルゼンチン、ロシア、ノルウェー
 ■交渉スタート:カナダ、ブラジル、チリ、メキシコ、サウジアラビア

そして今年からマレーシアとの新たな協力関係がスタートするらしい。ヨーロッパとしても、マレーシアにはガリレオシステムにおけるアジアの中心になってほしいとの期待があると講演者(Pole Star社)が言っていた。マレーシアに大規模な地上設備を作る予定があるらしい。その準備のためか、現在トゥールーズはマレーシア人の宇宙関係者であふれている。(僕のフランス語のクラスメート8人のうち3人がマレーシア人)

そんな説明が続いた後、すかさず中国から来た留学生のWangがすさまじい勢いで反論を開始した。大規模な人口と広大な国土を持ち、かつ、2008年の北京オリンピックを控えてますます世界に開かれようとしている中国こそが、まさにガリレオ計画が最も重視すべきパートナーだと言うのだ。う~ん、前半の根拠はまあ理解できるとして、後半の根拠は説得力に欠ける気がする。どこにいっても中国が一番だと言われなければ気が済まないらしい。

ここまで書いてきて一つ気づいたことがある。上記に挙げた国々は、カナダとノルウェーを除いて、その全てが僕が今奨学金をもらっている“FASIAプログラム”の奨学生の出身国だ。今年から航空分野に加え、宇宙分野出身の奨学生の数が格段に多くなったと聞いていたが、人材面においてもヨーロッパの世界戦略は着々に進行中ということなのだろうか。

ガリレオ計画に参加する気もなく、最新型のエアバスA380航空機を買う気配もない日本。そんな国から来た僕に対して、このヨーロッパは一体何を期待しているのだろうか。僕にこれほどまでの多額の教育投資をする価値は一体どこにあるのだろうか。その答えはまだ見えていない。

最後にそんなことを考えてしまったGalileo計画のプレゼンなのでした。
 

Galileo計画2

2006年09月26日 | 宇宙航空産業
 
昨日はガリレオ(Galileo)計画の概要について紹介したのだけど、今日はその具体的なサービスについて簡単に紹介します。

アメリカのGPS(Global Positioning System)が軍事目的で開発されたものであるのに対して、このガリレオ計画は当初から民生目的(Civil Purpose)のためのシステムと明確に定義されている。戦時にも安定してサービスが提供できることを売り物にして、完全にGPSと差別化を図っているのだ。

ただし、人道支援や災害救助目的、平和維持活動のために軍隊がガリレオシステムを用いることまでは否定していない。こうなると日本国憲法の第9条と同じで、解釈次第で何にでも使えてしまいはしないかと危惧してしまうところだが、そこはきっとシビリアンコントロールが働くのだろう。

そして、ガリレオ計画における測位の対象となるのは、GPSと同じく地球上のすべてだ。予定では30機の人工衛星を宇宙に配置し、以下の5分野をターゲットにしてサービスを提供することになっている。ただし、地域によってはサービスの程度に差があるらしい。コスト、効率、その他いろいろな事情を勘案すれば当然のことかもしれない。

 1.Open Access(自由なアクセス)・・・シンプルな位置特定サービスを一般の顧客に
 2.Commercial(商業利用)・・・より高精度かつ保障されたサービスを企業に
 3.Safety and Life(生命身体の安全確保)・・・より確度の高い情報を提供
 4.Search and Rescue(捜索と救助)・・・リアルタイムで正確な情報を提供
 5.Public Regulation(公的規制)・・・(なぜか説明してくれなかった)

その他このガリレオ計画では、2つのControl Centerと10のUplink Data Station、30のGround Detection Stationを世界中に配置する予定になっている。技術的なチャレンジももちろん大変だろうが、アメリカのGPSに対抗するための世界戦略もまたヨーロッパにとって大きな課題と言える。

明日はこのガリレオシステムの世界戦略について、現在の交渉プロセス及びアジア地域の現状を中心にレポートしたいと思います。
 

Galileo計画1

2006年09月25日 | 宇宙航空産業
 
前にも少し紹介した「Aerospace Safety Symposium(宇宙航空の安全に関するシンポジウム)」に参加してきたので、今日はその報告を少し。

シンポジウムでは、宇宙航空分野の活動においてどんな安全技術が用いられているかに加え、宇宙航空技術がどのような分野で安全の確保に利用されているかについても発表が行われた。

航空機の操縦、飛行管制、エンジンのメンテナンスからロケットによる衛星打ち上げまで、本当に様々な分野の発表が行われたのだけど、中でも一番印象に残った“ガリレオ計画”について少し紹介したい。

ガリレオと言えば「それでも地球はまわっている」のセリフで有名なイタリアの科学者ガリレオ・ガリレイを思い浮かべる人が多いと思う。

しかし今ヨーロッパでガリレオと言えば、アメリカのGPS(Global Positioning System)に対抗して構築が進められているヨーロッパ独自の全球測位システムのことだ。

全球測位システムというのは、アメリカのGPSシステムのように複数の人工衛星を使って地上にいる人や物体の位置を高精度に把握するシステムのことだ。カーナビゲーションや航空管制など、現在世の中にある便利なサービスの多くはこのアメリカのGPSシステムの恩恵を受けているのだ。

しかしこのアメリカのGPSシステム、全く問題がないというわけではない。元々攻撃目標を正確に捕捉するための軍事目的のシステムとして構築されたために、アメリカはこのGPSシステムの精度を戦時などに意図的にコントロールできるのだ。普段は位置を高精度に把握できても、ひとたび戦争などが始まれば精度が格段に落ちるようなシステムでは、とてもじゃないけど100%の信頼を置くことなどできない。

そこでヨーロッパは自分達で独自の全球測位システムを構築しようと考えた。それがGalileo計画だ。

このGalileo計画、2010年の完成を目指して現在急ピッチで構築が進められている。今日を含めて全3回シリーズでその具体的サービス内容や戦略について、もう少し詳しくレポートしたいと思います。

(写真はGPSのイメージ図)
 

トゥールーズ市長のレセプション

2006年09月24日 | フランス
 
行ってきました!トゥールーズ市長主催の歓迎レセプション。

おいしいワインに豪華なフルコースのフレンチディナーを期待して、食べる気満々で会場に到着したのですが、絢爛豪華な会場(日本の天皇も昔ここで食事をしたらしい)とは対照的に、用意されていたのはなんとシャンパンとおつまみのみ。

せっかくバス一台借り切ってまでシティーホールに駆けつけたのに、市長主催のウェルカムがこの程度のものなのか~!とちょっとみんなキレ気味。

しかもなぜか市長が現れない。大事な用事ができた(本当か?)らしく、代理の人がやって来て市長からのメッセージを代読してくれた。

フランス語だったので全部は理解できなかったのだけど、「あなた方はトゥールーズ市にとって極めて重要だ。あなた方のようなとても有望かつ優秀な人材をこの市に迎えることができ、市長として大変光栄に思っている。」という部分はなぜか理解できた。と同時に“本当にそう思っているのならここまでやって来いっ!市長!”と思わずツッコまずにはいられなかった。

ということで、完全に肩すかしをくらってしまったトゥールーズ市長による歓迎レセプション。フルコースのフレンチディナーはまたの機会におあずけとなったのでした。

(写真は同じくFASIA奨学生のRATA。彼女は今後3年間トゥールーズのポール・サバティエ大学で勉強する予定。)
 

ヨーロッパの宇宙航空産業

2006年09月23日 | 宇宙航空産業
 
ある産業がその国や地域の中でどれだけ盛んに行われているかを知るにはいくつかの方法がある。GDP(国内総生産)に占めるその産業の貢献割合を調べてもよいし、産業別の総売上高を比較してみてもよい。

そんないくつかの指標がある中で僕が一番注目するのは、その産業に従事する人の数、すなわち、産業別従事者数だ。他のお金が絡む指標に比べて短期的な経済変動の影響を受けにくく、時代の大きな流れを掴むにはベストな指標だと考えている。レイオフ(不景気時のリストラ)が一般的でないヨーロッパにおいては、特にあてはまるのではないだろうか。

そんな考えもあって、ヨーロッパにおける宇宙航空産業の従事者数を調べてみた。総計すると、414,500人だそうだ。

これをさらに国別に分類すると、ヨーロッパの中でもどのあたりで宇宙航空産業が盛んなのかが大体見えてくる。

 1位 :United Kingdom(イギリス)
 2位 :France(フランス)
 3位 :Germany(ドイツ)
 4位 :Italy(イタリア)
 5位 :Spain(スペイン)
 6位 :Sweden(スウェーデン)
 7位 :Netherland(オランダ)
 8位 :Belgium(ベルギー)
 9位 :Ireland(アイルランド)
 10位:Greece(ギリシャ)
 11位:Portgue(ポルトガル)
 12位:Austria(オーストリア)
 13位:Denmark(デンマーク)
 14位:Finland(フィンランド)
 15位:Luxenburg(ルクセンブルク)

やはり上位にくるのはヨーロッパの主要工業国だ。しかも上位5カ国(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン)だけで、数字上では全体の約8割を占めていた。

僕はてっきりフランスが1位だと思っていたのだけど、産業従事者数という意味ではイギリスが1位だった。イギリスには航空機関係の部品工場が多いと聞いていたが、それが影響しているのだろうか。

ちょっと予想外な結果なのだけど、今日は時間がないのでさらなる追求はまた後日。

今日はこれからトゥールーズ市長主催のレセプションに招待されているので、それに行ってきます。どんなフランス料理がでるのか本当に楽しみです!

(写真はクラスメートのアルバロ中佐と)
 

Graduation

2006年09月22日 | フランス
 
今日は僕が今参加しているFASIA奨学生プログラムの卒業セレモニーの日。

といっても僕が卒業するわけではなく、これまで1年数ヶ月に渡ってフランス中の様々なグランゼコールや宇宙航空企業で知識と経験を磨いてきた一世代前の奨学生達が、今日めでたく全てのプログラムを修了し、ここトゥールーズから巣立っていくのだ。

単なる一組織の卒業セレモニーといっても来賓が結構すごい。フランスの宇宙航空企業のCEOがスピーチをしたり、奨学生の出身国の大使がわざわざパリからかけつけて壇上でお祝いを言ったりする。大使館勤務の武官(その国の軍人さん)なども多数参加していた。人材を送り込む側も、受け入れる側も、それだけこのFASIAプログラムに大きな期待を寄せているという高い評価の表れなのだろう。

卒業セレモニーでは、来賓のスピーチに続き、一世代前の奨学生達が一人ずつ名前を呼ばれ、壇上に上がって来賓のCEOから修了書を受け取る。みんな自信と誇りに満ちた、本当に爽やかな笑顔をしている。この1年数ヶ月間、慣れない異国の地で一生懸命頑張って成果を出したという達成感で胸が一杯なのだろう。僕も精一杯の拍手と笑顔で彼らを祝福した。

そして明日から彼らはそれぞれの国へと旅立っていく。フランスで学び得たものを今度は祖国にフィードバックする時がきたのだ。

世界中のどこにいても宇宙航空のために頑張っていこう!

そう堅い握手を交わして彼らの門出を見送ったのでした。

Toutes mes felicitations pour votre succes et bon voyage!
 

ミステリアス フランス

2006年09月21日 | フランス
 
来週の月曜日に授業でフランス空軍を訪問する予定なのだけど、その関係で今「基地内立入申請書」みたいなものを書いている。フランス語で記入しなきゃいけない上に、ひとつでもミスがあると問い詰められる可能性があるとのことなので、辞書を使いながら慎重に慎重を重ねて記入しているのだ。

フランスというお国は日本と同じくらい役人主義で書類や手続きが多いことで有名だけど、今回申請書を書いていて、“お前らここまでやるか!”と笑ってしまうことがいくつかあった。

彼らが僕(外国人)に求めた情報は、氏名から始まって、性別、生年月日、住所、電話番号など、とりあえず当然聞くべきものからスタートした。そして、なぜか両親に質問が及ぶ。父親・母親の名前、現住所、生年月日、出生地などだ。母親に至っては結婚前の旧姓まで書かされた。こんな情報を取得したところで、一体どうやって彼らはその正誤を確かめるというのだろうか。

もっと驚いた質問:「あなたが普段やるスポーツは?」。

もちろん「テニス」と回答したけど、こんな情報知って何かの役に立つのだろうか。柔道とか空手とか書くと、危険な人物と見なされて中に入れてもらえないのだろうか。それとも、見学の合間にテニスコートを使わせてくれるとでも言うのだろうか。不思議な質問項目だ。

さらに笑ってしまった質問:「あなたの家族や親戚の中に、著名な政治家、軍人、宗教家はいますか?」

ここまでくると、全く意味が分からない。そんなもの調べてどうするんだろう。僕の家族に有名な政治家や軍人がいたら、赤絨毯でも敷いて出迎えてくれて、さらに高級シャンパンで乾杯でもしてくれるのだろうか?政治家、軍人までは百歩譲って理解できるけど、宗教家って一体…???

ということで、たった3ページの書類なのだけど、フランス語がまだまだ発展途上の僕には、全部完璧に(慎重に!)書き終えるまでに2時間もかかってしまいました。う~ん、なんか時間をロスした気分。

でもそのぶん、フランスという国のミステリアスな側面をまた一つ発見できたのでした。

(写真はフランス空軍の戦闘機“ミラージュ”)