宇宙航空MBAブログ

Aerospace MBA(フランス・トゥールーズ)が考える宇宙航空マネジメントの進化系ブログ

IKEA

2006年10月29日 | MBA
 
今日は朝早起きしてトゥールーズ郊外のIKEA(イケア)に行ってきた。日本でも最近人気が出ているスウェーデン系の大型家具ショップだ。

もちろんIKEAの人気はここフランスでもかなり高い。特に若者達に大人気だ。その秘密はIKEAの優れた経営戦略にある。MBAの授業でもよく模範例として取り上げられるほど評価の高い経営戦略だ。

IKEAがどんな戦略をとっているかというと、まず第一に、大量生産による低コスト戦略だ。商品の企画やデザインは本社のあるスウェーデンで行うものの、商品の製造は労働コストの安いアジア地域やインドで一括して大量に行っている。これにより、デザイン性の高い商品ながら見事に低コスト化を実現した。あまりお金を持っていない若者にとっては本当にありがたいことだ。

だがこれだけでは大したことはない。大量生産による低コスト化なんて、実際にどの企業も普通にやっていることだし、規模の経済性を追求して競争優位を確立することは経営の王道でもある。

そして第二の戦略は、大型店舗による独特の販売システムだ。僕はアメリカのIKEAとフランスのIKEAしか行ったことはないのだけれど、聞くところによると、世界中のどの店舗でもほぼ同じような販売システムを導入しているらしい。

広大な敷地に2階建ての店舗を建設し、2階はショールームとしてIKEAの提案するスタイリッシュなライフスタイルを展示する。顧客はまず2階に上がってショールームを一回り見学した後、1階に降りてきて自分の気に入った商品を購入する仕組みになっている。

そしてこの1階部分にIKEAの大きな秘密がある。実際に客に販売する商品の陳列と在庫としての商品の管理を、この1階スペースで一括して同時に行っているのだ。言い換えれば、商品を保管するためだけの倉庫をIKEAは持っていない。これにより全体としてオペレーションコストを大幅に削減している。

第3の戦略は、SympleかつStylishなデザインによる差別化戦略だ。スウェーデンは元々デンマークと並ぶ北欧系家具の雄だ。数々の有名な家具デザイナーを輩出してきた伝統と歴史がある。

そのスウェーデンの家具デザイナーによってデザインされた家具や食器、そして生活用品が、豊富な品揃えとともにIKEAの店舗には並んでいる。この分野ではスウェーデンを前面に押し出すことが強力なブランド力となり、差別化要因となるのだ。

IKEAは、通常は相対立するはずの低コスト化戦略と差別化戦略を同時に実現した。やはりMBAの授業で経営の模範例となるには、これくらいの離れ業をやってのけなければならないのだと僕は思う。もちろん、悪い例として取り上げられる企業もある。

いい例も悪い例も、できる限りこの目でしっかりと見て、本質を吸収していきたいと思う。

(写真はIKEAの1階部分。もうクリスマスツリーが売られていた。)
 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いってきます (ikeda)
2006-10-29 06:24:55
私もIKEAがいいといわれて今週末行ってきます。家のトラブルや故障がいろいろあるし、少しでも快適に過ごすためにやらなきゃいけないことがたくさんあるので楽しみです。



語学は努力とセンスとモチベーションですか・・NOBUさんの話をきいてると自分がはずかしいんですが、そろそろ私も学校を検討してみようかな・・
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素敵な家具を! (AerospaceMBA)
2006-10-30 05:01:25
>ikeda さん

コメントありがとうございます。ロサンゼルス生活は順調ですか?

僕がアメリカで行ったIKEAもロサンゼルスにある店舗です。ここトゥールーズにある店舗よりもはるかに大きい巨大店舗だったような記憶があります。ぜひ素敵な家具を見つけて快適なカリフォルニアライフをエンジョイしてください。
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