宇宙航空MBAブログ

Aerospace MBA(フランス・トゥールーズ)が考える宇宙航空マネジメントの進化系ブログ

MBAは後から効いてきた

2007年11月23日 | MBA
 
『MBAは後から効いてくる』というのは、僕がまだMBAの受験生だった頃にあるMBAホルダーから言われた言葉だ。実際にMBAを取得して日本に帰ってきて、今まさにこの言葉が正しかったということを実感している。先輩はウソをついていなかった。毎日の仕事の中で「あの時、あの授業の中でやったアレはこのことを言っていたんだ!」という場面に毎日のように遭遇している。

例えば、今ある人工衛星の調達方法を決めるのに2つの方法があったと仮定する。MBAに行く前の僕なら、単純に総額とか、スケジュールとか、技術的な難易度を基準にしてある程度の比較分析を行い、最終的な提案をしていたと思う。しかし、MBA的な考え方が体に染み込んでいる今の僕の頭では、さらに複数の考えるべき要素が自然とアタマの中に浮かんでくる。金銭の時間的価値はどうか、リスクプレミアムは?、リアル・オプション的な要素は他にないか?、限界効用は?、Break Even、NPV、IRR、、、数えあげたらキリがないほどのコンセプトが次から次へと出てくるのだ。

もちろん、全てを詳細に検討するのは単なる時間の無駄使いなので、これらの中からケースに応じて最も分析に適したコンセプトだけを選び、一つづつ丁寧に考えを深堀りしていく。結果として、意思決定のクオリティは以前では想像もつかなかったレベルにまで高まっていると感じることが多い。以前の僕の意思決定のクオリティが低すぎたからかもしれないが、最近は特にそう感じるのだ。知らず知らずのうちに、僕は想像以上の何かを手にしていたようだ。

それと、日本に戻ってきてからふと気づいたのだけど、この国はミーティングが多すぎる。コミュニケーションはとればとるほど効果があると思っているのだろうか。毎日朝から晩までミーティングの連続で、実際にアタマを振り絞って落ち着いて戦略を考えるような時間は、どうしても夕方以降になってしまうのが今の現実だ。

僕の考えでは、コミュニケーションというのは洗濯用の洗剤みたいなものだ。入れなければ汚れは落ちないが、入れすぎても溶けきらずに残るだけ。洗剤が溶けずに残った衣服なんて、もう一度洗濯し直さなければならないという意味で、ムダな作業以外の何ものでもない。

一般的に「効果」というものは、ある一定レベルまではどんどん上昇するものの、そのある一定のレベルに近づくにつれて「効果」の増加量はどんどん小さくなり、やがてそのある一定のレベルに到達すると「効果」の量は増えもせず減りもしない均衡した状態になる。さらにそのある一定のレベルを超えると、逆にどんなに一生懸命努力をしたとしても、「効果」の量は減っていってしまう。それが現実だ。Managerial Economics(経営管理経済学)で習ったMerginal Effect(限界効用)の考え方は、まさにこれを経済的なモデルで証明したものだ。

ということで、来週からはミーティングの1回あたりの時間を減らしていこうと思う。どんなに時間をかけてもいい成果が出ないものは、勇気をもって早めに切り上げよう。「選ぶこと」とは、「捨てる」こと。時には勇気を持って決断しなければならないこともある。

とにかく、「効果」が最大化されるような動き方をしていこう。
 

受け継がれる意志

2007年11月20日 | MBA
 
『宇宙航空MBAブログ』をご愛読の皆さんに、今日は耳寄りなお知らせです。

かねてこのブログでも何度か紹介し、現在トゥールーズ・ビジネススクールの宇宙航空MBAコースで学んでいるBrian氏が、晴れて2代目AerospaceMBAを襲名してくれることになりました。前から打診はしていたのですが、MBAの授業にもようやく慣れたらしく、今回新たにブログ開設の運びとなりました。

ということで、アメリカで大人気のTVドラマではありませんが、『宇宙航空MBAブログ』のシーズン2のスタートです!まだ日本語で文章が入力できる環境が整っていないらしく、しばらくは英語でのレポートになるようですが、フランス・トゥールーズでの宇宙航空MBAの最前線をリアルタイムに伝えてくれることと思います。

『宇宙航空MBAブログ』(2代目)はこちら

受け継がれる意志があるというのは、本当に嬉しいこと。一過性ではなく、日本の宇宙航空マネジメントに継続的な変化と進化をもたらしたい。その第一歩を今日踏み出せた気がします。

Brian、大変だと思うけど、頑張ってブログ継続してください!みんな楽しみにしてるから。そして、一人でも多くの日本人を、このAerospaceMBAへと導いていこう!

なお、今日この瞬間から3代目AerospaceMBAとなってくれる方を大募集です。3代目の襲名披露まであと1年しかありません。

興味のある方は、aerospacemba@mail.goo.ne.jp まで。

(写真はJALの次世代中型航空機)
 

パネリスト出演

2007年11月17日 | その他
 
またまた一週間ぶりのAerospaceMBAです。

帰国してはや2週間。ややカウンターカルチャーショック気味ですが、元気に宇宙航空ビジネスの未来を考える毎日です。

さて、今日は僕がパネリストとして参加するイベントのご紹介。11月24日(土)に東京ビックサイトで開催される「宇宙就活2007」というイベントに出ます。主催者側からは、AerospaceMBAで学んだ経験を織り交ぜながら宇宙航空分野での就職をねらう学生の皆さんに僕からアドバイスを送ってほしいと頼まれています。月並みな就職アドバイスをしたのではAerospaceMBAのクオリティとして不十分なので、そこはThink Differentで斬新な何かを仕掛けようと思ってます。

なお、パネリストとしてお話をするのは約2時間弱ですが、当日はその前後にも会場にいる予定なので、もし僕と直接会って話をしてみたいという人がいれば、ぜひこのイベントに参加してみてください。会場の中のどこかでおいしそうにコーラを飲んでいるはずです。なお、僕が参加するのは24日(土)のみです。

【イベント概要】

 日時 11月24日(土) 13:00~18:00 11月25日(日) 12:30~17:30
 対象 学部生・院生・専門学校生…etc (すべての学生対象)
 場所 東京ビッグサイト
 りんかい線「国際展示場」駅下車 徒歩約7分
 ゆりかもめ「国際展示場正門」駅下車 徒歩約3分
 詳しくはこちらでご確認ください。
 定員 各日100名 ※定員に達し次第受け付け終了です
 参加費 500円

イベントのHPはこちら

以上、僕がパネリストとして参加するイベントの紹介でした。なお、トゥールーズ・ビジネススクールで「宇宙航空MBA」の取得を目指す方を対象とした進学説明会は別途開催する予定です。詳細が決まり次第、このブログ上でお知らせします。

(写真はイベントのポスター。イベントのHPより。)
 

応援キャンペーン!

2007年11月10日 | MBA
 
1週間のご無沙汰です。AerosapceMBAです。今日ようやくベッドを購入しました。でも、届くのは来週です。寝袋生活はまだまだ続きそうです。

さて、僕の通ったフランス・トゥールーズのAerospaceMBA(宇宙航空MBA)ですが、すでに僕の次の世代の授業がスタートしました。最初の授業は、僕の記憶が確からならば、Managerial Economics(経営管理経済学)。アメリカのWaltonビジネススクールから3名の教授陣がやってきて講義をしてくれました。とにかく、MBAで一番最初の授業ということもあって、クラスメート全員が真剣になって教授の一言一言を聞き洩らさないように集中していたのを覚えています。僕も本当に緊張していました。あの頃は、MBAについていけるかどうかが一番の不安でした。

そんな過去の振り返りはまた今度に譲るとして、今このAerospaceMBAに挑んでいる一人の日本人がいます。これまでは仮にBさんとしてきましたが、今後はBrianと呼ぶことにします。彼がフランスに到着したのは10月25日でしたから、ちょうど半月が経過したといったところでしょうか。Brian、頑張ってますか?

前にもこのブログに書きましたが、僕の今後の目標のひとつは「AerospaceMBA」に一人でも多くの日本人を自信を持って導き、そして、支援すること。これは僕自身の母校への思い入れ(すでに発生)という個人的なモチベーションもありますが、宇宙航空マネジメントの理論と経験を体系的に日本で確立させるための1ステップでもあります。そこで、まず二つのアクションを考えました。

 アクション1:『Brian応援キャンペーン!』

 アクション2:『AerospaceMBA進学説明会!』

どちらも本人や当局の了解をまだとっていませんが、ダメと言われてもこっそりやりたいと思います。

近々このブログ上でより詳細なプログラム発表をするので、ぜひ賛同していただける方や興味のある方は、ぜご一緒に活動していきましょう!

最後に、AerosapceMBAは来週月曜日から早くも大阪出張。ゆっくり休む暇はもうないようです。
 

無限の感謝(エピロ-グ)

2007年11月04日 | その他
 
本日寝袋を購入したことにより、無事ネットカフェ難民を脱出したAerospaceMBAです。

昨年の8月14日から毎日書き続けてきたこの『宇宙航空MBAブログ』ですが、本日をもって定常運用モ-ドを終了とさせていただきます。理由は、明日から僕は新たなポジションで新たな仕事に就くためです。これまではヨ-ロッパのMBAに通う一人の日本人学生として、ヨ-ロッパ宇宙航空ビジネスの最前線をリアルタイムに日本に伝えることが僕のミッションだと認識してきました。

しかし、明日からは日本の宇宙航空ビジネスを活性化させ、世界と戦い、そして勝ち抜ける状態にもっていくことこそが僕のミッションだと認識しています。そして、そのために全力を注ぎたいと考えています。別な言葉で表現するならば、僕の使命は「伝えること」から「実際に結果を出すこと」へとシフトしたと思っています。

僕がフランスに滞在し、トゥ-ル-ズ・ビジネススク-ルで学び、そして、ヨ-ロッパの多国籍企業で勤務する中で学び得たものは、できる限りこのブログ上で皆さんと共有してきたつもりです。僕の文章力のなさのせいで100%正確に情報を伝えられたかどうかは自信がありませんが、僕なりの視点で見たものや聞いたこと、そして、実際に体験したことをレポ-トしてきたつもりです。全450話以上のブログの記事が、僕のフランスMBA留学のかなりの部分を記録してくれているという事実についてだけは、僕は自信を持ってそれを言うことができます。

MBAの授業やインタ-ン勤務を同時並行的にこなしながら毎日ブログを更新することは、正直言って大変でした。授業と授業の合間の休憩時間を使ってなんとかブログ執筆のための時間を捻出していたというのが実態です。それでも、今こうしてすべてを終えてみると、毎日ブログ記事として学びの記録を残し続けて正解だったなあ~と思います。ある人の言葉ですが、「本物の教育とは、学んだ後にすべてを忘れ、それでもなお残っているもの」だけらしいです。学びを忘れないように記録し、さらに、整理して皆で共有できる状態にする。それが僕がこの『宇宙航空MBAブログ』を書き続けてきた一番の理由でした。

しかし、『宇宙航空MBAブログ』を毎日書き続ける上で一番のモチベ-ションになったのは、やはり皆さんからの暖かいコメントの数々です。本当に励まされましたし、ブログ執筆のみならずフランスとうい異国の地で一人で戦っていくための元気をもらっていました。AerospaceMBAで困難な課題や激しい競争に直面している時、僕はいつも「一人で戦っているんじゃない」と自分に言い聞かせながら勝負してきました。結果として最高の賞を頂けたのも、皆さんからの精神的な支えがあってこそだと僕は思っています。本当に、本当にどうもありがとうございました。

『宇宙航空MBAブログ』の毎日の更新はこれで最終回となりますが、僕の中ではすでに次の企画が着々と進行しつつあります。僕がヨ-ロッパでその洗練された存在に気づき、そして、今の日本の宇宙航空分野に何か足りないと感じていたものをこの日本で確立するためのプロジェクトです。この新たなプロジェクトの最新情報については、公開できる状態になり次第このブログで継続的にお知らせしていきたいと思います。ただし、毎日の更新は無理です。仕事とは別に僕個人のライフワ-クとしてまずは取り組むつもりなので、週に1回から多くても2回程度の更新になると思います。これから目標とビジョンを共有できる新たな仲間を探し出し、共に協力して一歩一歩その実現に近づいていくつもりです。

それでは、『宇宙航空MBAブログ』を読み続けてくださった皆さん、今まで本当にどうもありがとうございました。辛抱強くお付き合いくださったことに心より感謝いたします。

本当にどうもありがとうございました。

2007年11月4日 無限の感謝を込めて

Aerospace MBA

ご質問・ご意見はコメント欄、又は、こちらまで:aerospacemba@mail.goo.ne.jp
 

ネットカフェ難民

2007年11月03日 | その他
 
日本に帰ってきて最初の夜はホテルに泊まったのだけど、2日目の今日からは新しい住居に入居することにした。荷物はフランスから持って帰ってきたス-ツケ-ス以外に何もない。つまり、布団も冷蔵庫もテレビも洗濯機も、生活に必要なものはまだ何も揃っていない。しかし、まだ11月で暖かいと思うし、フランスにはないコンビニだって24時間オ-プンしているし、まあ何とかなるだろうと軽く考えていた。電気とかガスとか水道とか、とにかく生活に最低限必要なインフラさえあれば僕は生きていけると信じていた。

しかし、考えが甘かった。僕が今度入居するマンションでは、本人立ち会いの下で専門業者の方を呼んで安全確認をしない限り、電気もガスも使うことができない規則になっているらしい。それを今日知らされた。しかも、その業者さんというのがしっかりと個別指定されていて、どうやらマンションのオ-ナ-さんと極めて関係が深い会社だけのようだ。

MBA的に分析すると、これは既存ビジネスにおいて参入障壁を高めるための戦略の一つで、相互に対するインセンティブがしっかり設計されている場合に特に機能する。つまり、専門業者にとっては「定常的な収入」の供給源というメリットがあり、マンションのオ-ナ-側にとっては「信頼できる」とか「事務処理に慣れていてラク」とか、あるいは、「キックバック」(未確認)といったメリットがある。とにかく、両者にとってWin-Winの関係が構築されているのだ。

ちょっとコレはどうかなあ~と思ったのはガスだ。僕のマンションのすぐ横には京葉ガスというガス会社のサ-ビスステ-ションがある。歩いてほんの5秒の距離だ。仕方がないので今日ここにガス開栓作業のお願いをしようと直接出向いたら、隣のマンションにも関わらず僕のマンションでは作業ができないのだという。業界の”なわばり”というものが存在するらしい。

すぐ横にビジネスチャンスがあるにも関わらず、彼らは決して手出しができない。低価格を打ち出して顧客を奪うことも、より良いサ-ビスを提供して新規顧客を開拓することもできない。とにかく、業界の秩序を壊さないために、たた指をくわえて見ているしかない。顧客の視点から見れば本当におかしな話なのだけど、彼らの立場からすれば長い目でみて自分たちの利益を最大化する戦略でもある。過剰な競争をあえて避けることによって、利幅は小さくても継続的に利益を得られる道を選んでいるのだ。

まあ、そんな分析はどうでもよくて、おかげで僕は今晩なぜかネットカフェで夜をしのぐハメになった。夜は寒くて新しい住居にはとてもじゃないけど住んでいられない。ホテルを今から予約するもの結構難しいだろう。友人だって突然押し掛けたら迷惑するはずだ。「家なき子」となった僕は、結論として一番手軽に朝まで過ごせる選択肢を選んだ。

ネットカフェでは、夜9時以降に入店して朝7時まで過ごせる「10時間パック」というコ-スが存在するらしい。僕は迷わずこれを選び、そして今ネットカフェの中からこのブログの記事を書いている。

う~ん、これじゃまるでニ-トだ。アルバイトで生計を立てる彼らの中には住むところがなくて、ネットカフェで暮らしている者もいるという。そんな彼らを総称して「ネットカフェ難民」と呼んでいるというニュ-スがフランスで流れたのを思い出した。僕は今まさにその「ネットカフェ難民」化している。

まあ、これも良い社会経験のひとつだと前向きに考えよう。そして、クセにならないように気をつけよう。これが意外と結構快適だったりするのだ。
 

ただいま、ニッポン!

2007年11月02日 | MBA
 
ついに日本に帰ってきた。1年3ヶ月ぶりの日本だ。周りの人はすべて日本語を話しているし、目に入る文字は全て日本語だ。今朝僕が見ていたものと、今まさに僕が見ているものがここまで違うことに、なぜか不思議なものを感じる。世界は本当に小さくなったと思う。

パリのシャルル・ド・ゴール空港を昨日の午後6時に出発した僕のフライトは、日付を一日またいで今日の午後2時30分に成田空港に到着した。飛行機を降りて荷物を受け取り、税関を済ませて出口の扉を出ようとした時、僕はあるビッグサプライズを経験することになった。会社の後輩が出迎えに来てくれていたのだ。全く聞いていなかったので、本当にビックリした。でも、嬉しかった。やはり日本に帰っても僕は一人きりじゃない。Merci beaucoup!

僕は出迎えに来てくれた後輩と一緒に成田エクスプレスに乗って東京駅へと向かった。僕が今度勤務するオフィスは丸の内にあって、東京駅の目の前だ。僕達は到着するまでの1時間ほどの時間を使って、今後僕が担当することになる業務についていろいろな情報交換をした。彼とは今後数年間一緒に仕事をすることになると思う。こうして時間を有効に使ってコミュニケーションできるあたりが素晴らしいと思う。

東京駅に着いた後、僕は予約していた東京駅八重洲口のホテルに直行した。スーツケースを持ったまたオフィスに行くのは面倒だし、昨日トゥールーズのIASキャンパスを出発してから既に24時間近くが経過している。シャワーを浴びて、顔も洗って、シャキッとしてから元気な姿を皆に見せたい。僕はホテルにチェックインして30分ほど休んだ後、東京駅の真向かいにあるオフィスへと向かった。

オフィスでは元同僚やこれからの新しい同僚が、僕が到着するのを首を長くして待ってくれていたようだ。夕方までには顔を出します、と伝えていたのだけど、結果として就業時間の間際になってしまった。僕はまず、お世話になった方々に挨拶をして回った。時間がなかったのでやや駆け足気味になってしまったかもしれない。また来週改めて丁寧にお礼を言って回ろうと思う。

僕は午後8時過ぎまでオフィスに滞在した後、ホテルへと戻った。日本時間ではもう夜だけど、フランス時間では今がちょうどお昼の12時だ。つまり、日本では夜ご飯の時間で日本ではランチタイムということになる。当然、お腹が空いてきた。

僕は迷わずある場所へ直行した。『吉野屋』だ。もう1年3ヶ月間、牛丼を食べていない。日本に帰ったらまず一番に吉野家の牛丼を食べに行こうと心に決めていた。学生時代からの僕の食生活においてかなり重要なウェイトを占めている最重要食文化だ。やはり、うまい!しかも、安い!ユーロの貨幣価値の感覚がまだ頭に残っているので余計にそう感じるのかもしれないが、2ユーロ程度でこんなにおいしい食事ができることに感動してしまった。思わず涙が出そうになってしまった。フランスの2ツ星レストランも最高においしかったが、それとはまた別の次元の“最高のおいしさ”がこの牛丼の中にはある。

そして、今はまたホテルに戻ってこのブログを書いている。11階にあるホテルの部屋の窓からは、東京駅のキレイな夜景が見える。僕が日本にいた頃にはなかった新しい高層ビルが林立し、この辺りの様子もかなり変わってしまったようだ。僕の知らない変化がまだまだたくさん起きていることだろうと思う。そのあたりは時間をかけてゆっくりとキャッチアップしていきたいと思う。

とにかく、日本に無事帰ってくることができた。正直言うと、フランスを去るときには本当に寂しくて、シャルル・ド・ゴール空港で一人感傷的になってしまった。だが、今は日本に帰国できたことにほっと一安心している。大きなケガにも、深刻な病気にも一切悩まされることなく、僕はフランスMBA留学のフィナーレを今日迎えることができたのだ。

それでは日本での最初の夜、ほんの少しだけゆっくりと休みたいと思います。

(写真は僕がパリから飛んできたBoeing 747-400型機)
 

フランスを去る日

2007年11月01日 | MBA
 
いよいよ今日が僕のフランスMBA留学最後の日。昨日の夜はフランスで出会った友人達が僕のために最後の晩餐をセットしてくれ、おいしい料理においしいワインにおいしいデザートと、心ゆくまでフランス生活最後の夜を満喫することができた。全ての時間が本当に楽しかったし、いろいろな思い出を作ることができたと思う。僕がここトゥールーズで得たものは、MBAという学位以上のものであることは間違いない。改めて僕のフランス留学を支えてくれたあらゆる人に感謝したいと思う。Merci beaucoup!

正確に計算してみると、昨年の7月にトゥールーズにやってきてから既に465日が経過している。この間、きっと日本でもいろいろな変化が起こっていると思う。友人からのメールでいろんな話を聞く限りでは、僕が相当なレベルで浦島太郎になっていることは間違いないようだ。最初の数日間はどうか暖かい目で見守ってほしい。

僕としても最近は注意して日本のメディアにも目を通し、最新の情報をキャッチアップするように心がけていた。日本帰国後に所属する部署での仕事に関しても、後輩から資料を送ってもらうなどして出来る限りの準備はしてある。465日という長~い間ずっと職場を離れていたため、同僚達に少なからず負担をかけているのは事実だ。今後少しずつになるかもしれないけれど、必ずその恩返しをしていきたいと思っている。もちろん、スピード感をもってAerospace MBAのクオリティでだ。

新たな目標もいくつか見つかった。以前にこのブログで書いた日本における航空宇宙マネジメント学の体系的な確立はその一つだ。技術で勝ってもビジネスでなかなか勝てない日本の航空宇宙分野に大きな変化を起こしたい。そのためには、僕がヨーロッパで得た新しい知識や経験も必要かもしれないけれど、それ以上に多くの仲間の賛同と協力を得ることがまず一番に重要だ。僕一人でそんな大きな変化を実現できるほど世の中は甘くない。僕にない知識と才能、そして日本の航空宇宙を変えていこうという情熱を持った仲間を探し出し、進むべき方向を共有して協力し合い、僕はその目標に一歩一歩近づいていくつもりだ。

宇宙航空の新しい使い方を考え出し、それを実行可能なビジネスプランに落とし込む作業もどんどん進めていきたいと思っている。アイデアだけで勝負できるほどこの世界は甘くない。いいアイデアが思い浮かんだら、僕はそのビジネスとしての成立可能性の検討を全力でサポートするつもりだ。僕がAerospace MBAで得た知識と経験がきっと役に立ってくれるはずだ。

100の良いアイデアがあるとするならば、その中で本当にビジネスとして実現可能なアイデアはおそらく10個くらいで、さらに、ビジネスプランとして投資家にアピールできるレベルにまで完成度が高められるのは、多くても1つか2つくらいだろう。自分とは異質なものと積極的に出会い、新しい考え方に触れ、これからもどんどんクリエイティブな仕事をしていきたいと思っている。

MBAを無事終えて、僕個人としての人生の目標も新たに一つ加わった。僕はいつの日か必ずビジネススクールで教壇に立ちたい。ここトゥールーズ・ビジネススクールで僕がSveinn教授から受けた以上の講義を、僕は将来の宇宙航空の担い手のために提供していきたい。まだまだ僕自身が未完成なのでいつの日になるかは分からないが、必ず将来はそうなっていたいと僕は自分自身の心に誓った。Aerospace MBAの授業を受ければ受けるほど、この気持ちはどんどん大きくなっていった。意志あるところに道はできる。どんな形でもいいから将来は必ずビジネススクールでStrategy(経営戦略)の講義をしたい。それが僕の新たな目標の一つだ。

他にもまだまだやりたいことはたくさんある。担当業務だって僕が今想像する以上のボリュームで待ち受けているだろうし、僕に課せられる新たなミッションだってあるだろう。多忙になるのは覚悟しているし、そんなことを言い訳にはしたくない。とにかく前を向いて、多くの仲間の協力を得て、そして、僕はやるべきことを着実にやって結果を出していこうと思っている。僕にできることはそれだけだ。

ヨーロッパ宇宙航空産業の中心地、フランスのトゥールーズで学んだAerospace MBA。僕は、やりたいことも、できることも、やるべきことも、全てに全力を出してこの465日を走ってきたつもりだ。今の僕の胸の中には、一片の後悔のカケラもない。本当に全てが楽しかったし、今この場所にこんなにも充実した気持ちで立っていられることが何よりも幸せだ。

まもなくあと数分でIASキャンパスを出発してトゥールーズ空港へと向かう。最後に、僕のフランスMBA留学を支えてくださった皆様、そして、辛抱強く『宇宙航空MBAブログ』を読み続けてくださった皆様、本当にどうもありがとうございました。今、心の底から感謝の気持ちでいっぱいです。

そして最後に、大学時代のアメリカ留学に始まって今回のフランスMBA留学まで、僕の無謀ともいえる海外進出をずっと暖かく見守り続けてくれた広島の両親に、このブログの場を借りて感謝!ありがとう!

皆さん、本当にどうもありがとうございました。次は元気な姿を日本で見せたいと思います。

2007年11月1日 フランス、トゥールーズの自宅にて
Aerospace MBA

(写真はトゥールーズのブラニャック空港。さよなら、トゥールーズ!Au revoir France!)