フランスでFormula 1(フォーミュラ・ワン)と言った場合、そこには2つの意味がある可能性がある。一つは、オペレーションが限界まで自動化されたフランスのホテルチェーン『Formula 1』を意味する場合で、もう一つは、自動車レース最高峰のあの『F1(エフワン)』を意味する場合だ。
ホテルチェーンの『Formula 1』は、日本では全く知られていないと思うけれど、本当にすごい。僕が住んでいるトゥールーズにも数軒あって、従業員による直接のサービスを極力排したローコスト経営で今注目を浴びている。その評価は非常に高く、今やオペレーション戦略のお手本としてMBAの教科書に載っているほどだ。
具体的にホテルでどんなオペレーションが行われているかというと、特定の時間帯を除き、チェックインとチェックアウトは全て機械によって自動的に処理されている。さらに、各部屋に設置されているシャワーは毎使用後に自動洗浄され、毎日の清掃に必要な時間とコストを大幅に削減している。
ホテル自体の作りもかなりシンプルで、コンテナのようなボックスをいくつか積み重ねたようなプレハブ構造になっている。このボックスは工場で大量生産され、その中に全く同じ家具を、全く同じレイアウトで配置していくのだそうだ。しかも、滞在客の快適さを一番に考えたレイアウトではなく、掃除のし易さを一番に考えたレイアウトらしい。
話は変わって、なぜ今日突然にF1の話を書くことにしたかと言うと、たまたまインターネットのニュースでHonda(ホンダ)の最新F1マシン(写真参照)に関する記事を発見したからだ。なんと、Hondaの今年の最新モデルは、ボディーデザインに人工衛星から撮影した地球の画像を使っているのだ。
記事によれば、青は海を、緑は大地を、黒は宇宙を表しているとのこと。昨年までF1の大口スポンサーだったタバコ産業が全て姿を消し、今年から複数の企業で共同してEcology(エコロジー)をアピールするキャンペーンを組むことになったのだそうだ。F1レースへの参戦に必要な莫大な資金を確保し続けるための、新たなマーケティング戦略だ。
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目的はどうあれ、AeroDynamics(空気力学)以外の分野で宇宙航空とF1とのコラボレーションが始まったような気がして、僕はなんだかとても嬉しかった。技術のポテンシャルを限界まで引き出そうとする者同士、デザイン以外にも絶対に何か強力なコラボレーションが実現できるはずだ。
宇宙航空とF1、もっともっと追求していきたいテーマだ。
(写真はHondaのホームページより)