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宇宙航空MBAブログ

Aerospace MBA(フランス・トゥールーズ)が考える宇宙航空マネジメントの進化系ブログ

MBAは後から効いてきた

2007年11月23日 | MBA
 
『MBAは後から効いてくる』というのは、僕がまだMBAの受験生だった頃にあるMBAホルダーから言われた言葉だ。実際にMBAを取得して日本に帰ってきて、今まさにこの言葉が正しかったということを実感している。先輩はウソをついていなかった。毎日の仕事の中で「あの時、あの授業の中でやったアレはこのことを言っていたんだ!」という場面に毎日のように遭遇している。

例えば、今ある人工衛星の調達方法を決めるのに2つの方法があったと仮定する。MBAに行く前の僕なら、単純に総額とか、スケジュールとか、技術的な難易度を基準にしてある程度の比較分析を行い、最終的な提案をしていたと思う。しかし、MBA的な考え方が体に染み込んでいる今の僕の頭では、さらに複数の考えるべき要素が自然とアタマの中に浮かんでくる。金銭の時間的価値はどうか、リスクプレミアムは?、リアル・オプション的な要素は他にないか?、限界効用は?、Break Even、NPV、IRR、、、数えあげたらキリがないほどのコンセプトが次から次へと出てくるのだ。

もちろん、全てを詳細に検討するのは単なる時間の無駄使いなので、これらの中からケースに応じて最も分析に適したコンセプトだけを選び、一つづつ丁寧に考えを深堀りしていく。結果として、意思決定のクオリティは以前では想像もつかなかったレベルにまで高まっていると感じることが多い。以前の僕の意思決定のクオリティが低すぎたからかもしれないが、最近は特にそう感じるのだ。知らず知らずのうちに、僕は想像以上の何かを手にしていたようだ。

それと、日本に戻ってきてからふと気づいたのだけど、この国はミーティングが多すぎる。コミュニケーションはとればとるほど効果があると思っているのだろうか。毎日朝から晩までミーティングの連続で、実際にアタマを振り絞って落ち着いて戦略を考えるような時間は、どうしても夕方以降になってしまうのが今の現実だ。

僕の考えでは、コミュニケーションというのは洗濯用の洗剤みたいなものだ。入れなければ汚れは落ちないが、入れすぎても溶けきらずに残るだけ。洗剤が溶けずに残った衣服なんて、もう一度洗濯し直さなければならないという意味で、ムダな作業以外の何ものでもない。

一般的に「効果」というものは、ある一定レベルまではどんどん上昇するものの、そのある一定のレベルに近づくにつれて「効果」の増加量はどんどん小さくなり、やがてそのある一定のレベルに到達すると「効果」の量は増えもせず減りもしない均衡した状態になる。さらにそのある一定のレベルを超えると、逆にどんなに一生懸命努力をしたとしても、「効果」の量は減っていってしまう。それが現実だ。Managerial Economics(経営管理経済学)で習ったMerginal Effect(限界効用)の考え方は、まさにこれを経済的なモデルで証明したものだ。

ということで、来週からはミーティングの1回あたりの時間を減らしていこうと思う。どんなに時間をかけてもいい成果が出ないものは、勇気をもって早めに切り上げよう。「選ぶこと」とは、「捨てる」こと。時には勇気を持って決断しなければならないこともある。

とにかく、「効果」が最大化されるような動き方をしていこう。
 

受け継がれる意志

2007年11月20日 | MBA
 
『宇宙航空MBAブログ』をご愛読の皆さんに、今日は耳寄りなお知らせです。

かねてこのブログでも何度か紹介し、現在トゥールーズ・ビジネススクールの宇宙航空MBAコースで学んでいるBrian氏が、晴れて2代目AerospaceMBAを襲名してくれることになりました。前から打診はしていたのですが、MBAの授業にもようやく慣れたらしく、今回新たにブログ開設の運びとなりました。

ということで、アメリカで大人気のTVドラマではありませんが、『宇宙航空MBAブログ』のシーズン2のスタートです!まだ日本語で文章が入力できる環境が整っていないらしく、しばらくは英語でのレポートになるようですが、フランス・トゥールーズでの宇宙航空MBAの最前線をリアルタイムに伝えてくれることと思います。

『宇宙航空MBAブログ』(2代目)はこちら

受け継がれる意志があるというのは、本当に嬉しいこと。一過性ではなく、日本の宇宙航空マネジメントに継続的な変化と進化をもたらしたい。その第一歩を今日踏み出せた気がします。

Brian、大変だと思うけど、頑張ってブログ継続してください!みんな楽しみにしてるから。そして、一人でも多くの日本人を、このAerospaceMBAへと導いていこう!

なお、今日この瞬間から3代目AerospaceMBAとなってくれる方を大募集です。3代目の襲名披露まであと1年しかありません。

興味のある方は、aerospacemba@mail.goo.ne.jp まで。

(写真はJALの次世代中型航空機)
 

応援キャンペーン!

2007年11月10日 | MBA
 
1週間のご無沙汰です。AerosapceMBAです。今日ようやくベッドを購入しました。でも、届くのは来週です。寝袋生活はまだまだ続きそうです。

さて、僕の通ったフランス・トゥールーズのAerospaceMBA(宇宙航空MBA)ですが、すでに僕の次の世代の授業がスタートしました。最初の授業は、僕の記憶が確からならば、Managerial Economics(経営管理経済学)。アメリカのWaltonビジネススクールから3名の教授陣がやってきて講義をしてくれました。とにかく、MBAで一番最初の授業ということもあって、クラスメート全員が真剣になって教授の一言一言を聞き洩らさないように集中していたのを覚えています。僕も本当に緊張していました。あの頃は、MBAについていけるかどうかが一番の不安でした。

そんな過去の振り返りはまた今度に譲るとして、今このAerospaceMBAに挑んでいる一人の日本人がいます。これまでは仮にBさんとしてきましたが、今後はBrianと呼ぶことにします。彼がフランスに到着したのは10月25日でしたから、ちょうど半月が経過したといったところでしょうか。Brian、頑張ってますか?

前にもこのブログに書きましたが、僕の今後の目標のひとつは「AerospaceMBA」に一人でも多くの日本人を自信を持って導き、そして、支援すること。これは僕自身の母校への思い入れ(すでに発生)という個人的なモチベーションもありますが、宇宙航空マネジメントの理論と経験を体系的に日本で確立させるための1ステップでもあります。そこで、まず二つのアクションを考えました。

 アクション1:『Brian応援キャンペーン!』

 アクション2:『AerospaceMBA進学説明会!』

どちらも本人や当局の了解をまだとっていませんが、ダメと言われてもこっそりやりたいと思います。

近々このブログ上でより詳細なプログラム発表をするので、ぜひ賛同していただける方や興味のある方は、ぜご一緒に活動していきましょう!

最後に、AerosapceMBAは来週月曜日から早くも大阪出張。ゆっくり休む暇はもうないようです。
 

ただいま、ニッポン!

2007年11月02日 | MBA
 
ついに日本に帰ってきた。1年3ヶ月ぶりの日本だ。周りの人はすべて日本語を話しているし、目に入る文字は全て日本語だ。今朝僕が見ていたものと、今まさに僕が見ているものがここまで違うことに、なぜか不思議なものを感じる。世界は本当に小さくなったと思う。

パリのシャルル・ド・ゴール空港を昨日の午後6時に出発した僕のフライトは、日付を一日またいで今日の午後2時30分に成田空港に到着した。飛行機を降りて荷物を受け取り、税関を済ませて出口の扉を出ようとした時、僕はあるビッグサプライズを経験することになった。会社の後輩が出迎えに来てくれていたのだ。全く聞いていなかったので、本当にビックリした。でも、嬉しかった。やはり日本に帰っても僕は一人きりじゃない。Merci beaucoup!

僕は出迎えに来てくれた後輩と一緒に成田エクスプレスに乗って東京駅へと向かった。僕が今度勤務するオフィスは丸の内にあって、東京駅の目の前だ。僕達は到着するまでの1時間ほどの時間を使って、今後僕が担当することになる業務についていろいろな情報交換をした。彼とは今後数年間一緒に仕事をすることになると思う。こうして時間を有効に使ってコミュニケーションできるあたりが素晴らしいと思う。

東京駅に着いた後、僕は予約していた東京駅八重洲口のホテルに直行した。スーツケースを持ったまたオフィスに行くのは面倒だし、昨日トゥールーズのIASキャンパスを出発してから既に24時間近くが経過している。シャワーを浴びて、顔も洗って、シャキッとしてから元気な姿を皆に見せたい。僕はホテルにチェックインして30分ほど休んだ後、東京駅の真向かいにあるオフィスへと向かった。

オフィスでは元同僚やこれからの新しい同僚が、僕が到着するのを首を長くして待ってくれていたようだ。夕方までには顔を出します、と伝えていたのだけど、結果として就業時間の間際になってしまった。僕はまず、お世話になった方々に挨拶をして回った。時間がなかったのでやや駆け足気味になってしまったかもしれない。また来週改めて丁寧にお礼を言って回ろうと思う。

僕は午後8時過ぎまでオフィスに滞在した後、ホテルへと戻った。日本時間ではもう夜だけど、フランス時間では今がちょうどお昼の12時だ。つまり、日本では夜ご飯の時間で日本ではランチタイムということになる。当然、お腹が空いてきた。

僕は迷わずある場所へ直行した。『吉野屋』だ。もう1年3ヶ月間、牛丼を食べていない。日本に帰ったらまず一番に吉野家の牛丼を食べに行こうと心に決めていた。学生時代からの僕の食生活においてかなり重要なウェイトを占めている最重要食文化だ。やはり、うまい!しかも、安い!ユーロの貨幣価値の感覚がまだ頭に残っているので余計にそう感じるのかもしれないが、2ユーロ程度でこんなにおいしい食事ができることに感動してしまった。思わず涙が出そうになってしまった。フランスの2ツ星レストランも最高においしかったが、それとはまた別の次元の“最高のおいしさ”がこの牛丼の中にはある。

そして、今はまたホテルに戻ってこのブログを書いている。11階にあるホテルの部屋の窓からは、東京駅のキレイな夜景が見える。僕が日本にいた頃にはなかった新しい高層ビルが林立し、この辺りの様子もかなり変わってしまったようだ。僕の知らない変化がまだまだたくさん起きていることだろうと思う。そのあたりは時間をかけてゆっくりとキャッチアップしていきたいと思う。

とにかく、日本に無事帰ってくることができた。正直言うと、フランスを去るときには本当に寂しくて、シャルル・ド・ゴール空港で一人感傷的になってしまった。だが、今は日本に帰国できたことにほっと一安心している。大きなケガにも、深刻な病気にも一切悩まされることなく、僕はフランスMBA留学のフィナーレを今日迎えることができたのだ。

それでは日本での最初の夜、ほんの少しだけゆっくりと休みたいと思います。

(写真は僕がパリから飛んできたBoeing 747-400型機)
 

フランスを去る日

2007年11月01日 | MBA
 
いよいよ今日が僕のフランスMBA留学最後の日。昨日の夜はフランスで出会った友人達が僕のために最後の晩餐をセットしてくれ、おいしい料理においしいワインにおいしいデザートと、心ゆくまでフランス生活最後の夜を満喫することができた。全ての時間が本当に楽しかったし、いろいろな思い出を作ることができたと思う。僕がここトゥールーズで得たものは、MBAという学位以上のものであることは間違いない。改めて僕のフランス留学を支えてくれたあらゆる人に感謝したいと思う。Merci beaucoup!

正確に計算してみると、昨年の7月にトゥールーズにやってきてから既に465日が経過している。この間、きっと日本でもいろいろな変化が起こっていると思う。友人からのメールでいろんな話を聞く限りでは、僕が相当なレベルで浦島太郎になっていることは間違いないようだ。最初の数日間はどうか暖かい目で見守ってほしい。

僕としても最近は注意して日本のメディアにも目を通し、最新の情報をキャッチアップするように心がけていた。日本帰国後に所属する部署での仕事に関しても、後輩から資料を送ってもらうなどして出来る限りの準備はしてある。465日という長~い間ずっと職場を離れていたため、同僚達に少なからず負担をかけているのは事実だ。今後少しずつになるかもしれないけれど、必ずその恩返しをしていきたいと思っている。もちろん、スピード感をもってAerospace MBAのクオリティでだ。

新たな目標もいくつか見つかった。以前にこのブログで書いた日本における航空宇宙マネジメント学の体系的な確立はその一つだ。技術で勝ってもビジネスでなかなか勝てない日本の航空宇宙分野に大きな変化を起こしたい。そのためには、僕がヨーロッパで得た新しい知識や経験も必要かもしれないけれど、それ以上に多くの仲間の賛同と協力を得ることがまず一番に重要だ。僕一人でそんな大きな変化を実現できるほど世の中は甘くない。僕にない知識と才能、そして日本の航空宇宙を変えていこうという情熱を持った仲間を探し出し、進むべき方向を共有して協力し合い、僕はその目標に一歩一歩近づいていくつもりだ。

宇宙航空の新しい使い方を考え出し、それを実行可能なビジネスプランに落とし込む作業もどんどん進めていきたいと思っている。アイデアだけで勝負できるほどこの世界は甘くない。いいアイデアが思い浮かんだら、僕はそのビジネスとしての成立可能性の検討を全力でサポートするつもりだ。僕がAerospace MBAで得た知識と経験がきっと役に立ってくれるはずだ。

100の良いアイデアがあるとするならば、その中で本当にビジネスとして実現可能なアイデアはおそらく10個くらいで、さらに、ビジネスプランとして投資家にアピールできるレベルにまで完成度が高められるのは、多くても1つか2つくらいだろう。自分とは異質なものと積極的に出会い、新しい考え方に触れ、これからもどんどんクリエイティブな仕事をしていきたいと思っている。

MBAを無事終えて、僕個人としての人生の目標も新たに一つ加わった。僕はいつの日か必ずビジネススクールで教壇に立ちたい。ここトゥールーズ・ビジネススクールで僕がSveinn教授から受けた以上の講義を、僕は将来の宇宙航空の担い手のために提供していきたい。まだまだ僕自身が未完成なのでいつの日になるかは分からないが、必ず将来はそうなっていたいと僕は自分自身の心に誓った。Aerospace MBAの授業を受ければ受けるほど、この気持ちはどんどん大きくなっていった。意志あるところに道はできる。どんな形でもいいから将来は必ずビジネススクールでStrategy(経営戦略)の講義をしたい。それが僕の新たな目標の一つだ。

他にもまだまだやりたいことはたくさんある。担当業務だって僕が今想像する以上のボリュームで待ち受けているだろうし、僕に課せられる新たなミッションだってあるだろう。多忙になるのは覚悟しているし、そんなことを言い訳にはしたくない。とにかく前を向いて、多くの仲間の協力を得て、そして、僕はやるべきことを着実にやって結果を出していこうと思っている。僕にできることはそれだけだ。

ヨーロッパ宇宙航空産業の中心地、フランスのトゥールーズで学んだAerospace MBA。僕は、やりたいことも、できることも、やるべきことも、全てに全力を出してこの465日を走ってきたつもりだ。今の僕の胸の中には、一片の後悔のカケラもない。本当に全てが楽しかったし、今この場所にこんなにも充実した気持ちで立っていられることが何よりも幸せだ。

まもなくあと数分でIASキャンパスを出発してトゥールーズ空港へと向かう。最後に、僕のフランスMBA留学を支えてくださった皆様、そして、辛抱強く『宇宙航空MBAブログ』を読み続けてくださった皆様、本当にどうもありがとうございました。今、心の底から感謝の気持ちでいっぱいです。

そして最後に、大学時代のアメリカ留学に始まって今回のフランスMBA留学まで、僕の無謀ともいえる海外進出をずっと暖かく見守り続けてくれた広島の両親に、このブログの場を借りて感謝!ありがとう!

皆さん、本当にどうもありがとうございました。次は元気な姿を日本で見せたいと思います。

2007年11月1日 フランス、トゥールーズの自宅にて
Aerospace MBA

(写真はトゥールーズのブラニャック空港。さよなら、トゥールーズ!Au revoir France!)
 
 

MBA卒業式(その後)

2007年10月31日 | MBA
 
今回卒業するフルタイムMBAとパートタイムMBAの全学生に学位が授与された後、僕達は全員でステージに上がった。どこが本家本元かは知らないが、かぶっていた帽子を上に向けて高く放り投げる恒例のセレモニーをするためだ。ステージの上はMBAの学生で隙間もないほど埋め尽くされている。僕は皆に押されてステージの中央に立つことになった。

いよいよ卒業式もフィナーレだ。MBAに入学してから、僕たちフルタイムの学生は1年間、そして、パートタイムの学生は2年以上の月日をトゥールーズ・ビジネススクールで過ごしている。変わったもの、そして、変わらずに持ち続けているもの、様々な変化がこの長い時間の間に僕達の中に起こったはずだ。今はまだ漠然としているけれど、「MBAは後から効いてくる」という言葉を信じて、僕達は前へと進んで行くのだ。

ワン・ツー・スリーの掛け声を合図に、僕達は被っていた帽子を会場の天井まで届くくらいの勢いで力強く放り投げた。天井をバックに紺碧の帽子がいくつも宙を舞っているのが僕の目に映った。これでMBAとしてのミッションは全て達成だ。僕達は晴れてMBA同窓生の仲間入りをすることができる。

僕はステージ上でクラスメートと抱き合いながら喜びを分かち合った。人生の中で最高の瞬間を僕は今まさに体験しているのだ。長く険しい道のりだったけれど、クラスメートと協力し、時には競い合い、共にいくつもの困難な障害を乗り越えてきた。その汗と努力の結晶がまさにこの瞬間なのだ。今この場所にいる全てのAerospace MBAの学生に対して、僕は声を大にしてこう言いたい。

“Your are the best of the best!”(キミたちは最高の中の最高だ!)

ステージ上では、まだ興奮冷めやらぬ学生達がMBAの思い出を懐かしく語り合ったりしている。僕は何名かのクラスメートと抱き合った後で、素早くステージを降りてある人物を探した。もちろん、わざわざ僕の卒業式に駆けつけてくれたATR社のGianni Tritto副社長だ。まさか卒業式にまで来てくれるとは思ってもみなかったので、スピーチの時にGianni副社長の顔が目に入ったときは本当にびっくりした。リスクを承知で日本人の僕を採用し、様々な面でビジネスの手ほどきをしてくださったことに、僕は心から感謝しなければならない。Formica副社長と並び、彼は僕にとって将来のお手本とすべき企業エグゼクティブだ。

Ginani副社長も僕を見つけるやいなや、大きく両手を広げ「Congratulation!」と言って握手を求めてきてくれた。僕は心の底からお礼を言うつもりで「Grazie Mille!」(イタリア語)と言い、深々と頭を下げた。どんなに感謝しても感謝しきれないくらい、今の僕はATR社と2人の副社長に感謝している。もしMBA最後の5ヶ月弱のインターン勤務がなかったならば、僕のMBA留学はこれほどまで充実したものにはならなかったと断言できる。それくらい多くのことを、僕はこの短期間に凝縮して学ぶことができた。Grazie ATR!

卒業式を無事終えた僕達は、トゥールーズ・ビジネススクールが用意してくれたカクテル・パーティーへと移動した。やっとシャンパンでクラスメートと乾杯ができる。この後にはレストランを借り切っての盛大な卒業パーティーが予定されているのだけど、明日の早朝フライトでもう祖国に帰国してしまうクラスメートもいるので、今この瞬間を大切に語り合いたいことはすべて語っておかねばならない。

僕はクラスメートと一緒にMBAの思い出話に花を咲かせながら、もう一人のお礼を言うべき人物を探していた。僕の修士論文に関してスーパーバイザーを務めてくれた経営戦略のSveinn教授だ。アイスランド出身の彼は背がとても高いので、すぐに見つかった。僕はシャンパンを持って彼の元へと歩いていった。

Sveinn教授も僕を見つけるなり、「Congratulation, Nobu! I am so proud of you!」と言って握手を求めてきてくれた。経営戦略の著名な研究者でもある彼から誉められるのは、正直に言って僕にとっては何よりも嬉しい。Sveinn教授からは、いかにして競争に勝ち、そして、勝ち続けるための本質を教わった気がする。もちろん、勝つことだけが全てではないと理解した上で、どうすれば「競争」と「協力」とのベストな関係を構築できるのか、そんな僕が追及する経営哲学に大きな影響を与えてくれた。彼にも感謝しきれないくらい感謝している。Merci beaucoup!

全てを終えた後、僕達は自ら主催する謝恩会のようなパーティーへとなだれ込んだ。その様子は、、、ブログでは表現できないので、皆さんの想像にお任せしたいと思います。

いよいよ明日はフランスMBA留学の最終日。最後の最後までヨーロッパを思い切り満喫したい。
 

MBA卒業式

2007年10月30日 | MBA
 
ついにAerospace MBAの卒業式当日の朝がやってきた。最近サマータイムが終わってまた冬時間に戻ったのだけど、それでも外はまだ暗い。僕はいつもと同じように起き、いつもと同じようにシャワーを浴び、いつもと同じように服を着替えた。特別な日だからといって、何か特別なことをするわけではない。今日は僕がプレゼンをするわけではないし、その意味ではMBAやATRでの最終プレゼン当日の朝のほうがずっと緊張感があった気がする。

僕は午前中に郵便局で日本へと送る荷物の手続きをした後、今年度のMBA学生との昼食会へと向かった。IASキャンパスに住む今年の奨学生達には何度も会ったことはあるが、ヨーロッパやアメリカから直接MBAに参加している学生に会うのは今日が初めてだ。

昼食会はほぼ質問会だった。どうすればMBAでうまく泳ぎきれるか、テスト対策はどのようにするのか、リーディングの量はどのくらいか、クラスでの発言はどの程度評価されるのか、などなど。とにかく、僕達が一年前に感じていたのと全く同じような不安を彼らも今感じているのだ。この傾向はおそらく普遍的なものなのだろう。僕は自分に答えられる限りの情報を彼らに提供したつもりだ。

昼食会の後は一旦自宅のあるIASキャンパスへと戻り、時間になるまで部屋の片付けと掃除をしていた。荷物がまだ全然片付いていない。このままでは日本に帰れなくなるし、明日の朝にはIASキャンパスの管理人さんが部屋のチェックにくることになっている。明日の朝までにはなんとかせねばならない。

僕は時間ギリギリまで部屋で作業した後、スーツに着替えて卒業式の会場へと向かった。会場は僕の自宅から車で15分の距離にあるEntiorという場所だ。まだまだ実感は沸かないのだけど、僕のMBAプログラムがいよいよフィナーレを迎えつつあることだけは確かだ。

会場に到着した僕は、さっそくMBA学生の控え室に入り、紺色のガウンと帽子を試着した。MBA卒業生がこの日だけ着ることを許される特別な衣装だ。皆でこの衣装に身を包むと、やはり気分も高まってくる。僕達はいよいよ卒業するのだ。

卒業式は約15分遅れて5時45分に始まった。既に会場には来賓ゲストや卒業生の家族、トゥールーズ・ビジネススクールの教授陣、ヨーロッパ宇宙航空企業の方々などで席は埋めつくされている。その中を僕達Aerospace MBA卒業生達が1列になって入場していく。

まず最初のプログラムは、来賓によるスピーチ。トゥールーズ・ビジネススクールのDean(校長)の挨拶に引き続き、トゥールーズ商工会議所会頭による祝辞、僕が奨学金を貰いお世話になったIASディレクターの祝辞、そして最後に今日の特別ゲストであるGE Aviation社のCEOによるスピーチと続いた。GE Aviation社のCEOによるスピーチについては、機会があればまたブログに詳しく書きたいと思う。

いよいよ次はMBA授与式だ。一人一人が名前を呼ばれて壇上に上がり、来賓からMBA証書を受け取る。しかし、その前に一つだけ行われる恒例行事がある。今年度のMBAで最も高いパフォーマンスを発揮した学生、すなわち、首席卒業生の発表とスピーチが行われるのだ。

Aerospace MBAディレクターのJacquesが、会場正面の大画面にパワーポイントを使ってその首席卒業生の写真を映し出した。と、同時に僕の目に飛び込んできたのは、なんと僕の写真だった。僕の名前を読みあげるJacquesの声を聞き、僕はようやく自分が首席になったという事実に気付いた。信じられないがどうやら本当のようだ。僕の顔写真と名前がしっかりとスクリーンに映し出されている。

僕は席から立ち上がると、それまで照明が落とされて暗くなっていた客席の中で僕だけにスポットライトが当たっているのを感じた。そして、会場の中から溢れんばかりの拍手と僕の名前を叫ぶ声が所々から聞こえた。なんともいえない嬉しさが、体の奥のほうからじわじわとこみ上げてきた。僕は本当にMBAをトップの成績で修了したようだ。無事MBAを取得できるだけでも嬉しいのに、これ以上の喜びはない。

壇上に上がった僕は、GE Aviation社のDonnelly CEOからMBA証書と首席卒業の記念品を受け取り、続いてトゥールーズ・ビジネススクールのPasseron校長からメダルを受け取った。「Congratulation!」という言葉が、何よりも僕の胸に響いた。心の中が達成感に似た心地よさでどんどん満ちていくのを感じた。そして、司会を務めていたJacquesから促され、僕は壇上でスピーチをすることになった。

僕はまず、このAerospace MBAという貴重な機会を与えてくれたヨーロッパ航空宇宙産業会とフランスの航空宇宙工業会GIFAS、そして、奨学金を与えてくれたFASIAプログラムとIASにお礼を述べた。世界トップレベルのマネージメント教育を提供してくれたトゥールーズ・ビジネススクールへの感謝も忘れずに述べた。特に、僕の修士論文の指導をしてくれたStrategy(経営戦略)のSveinn教授には、壇上から直接お礼を述べた。Sveinn教授は手を振って僕の感謝の言葉に応えてくれた。

さらに驚いたのは、僕がインターンとして勤務させてもらったATR社に対するお礼を述べていた時だ。会場の中に親指を立てたまま両手を突き上げた人がいたのでよく見てみると、あのGianni Tritto副社長だった。会社帰りの忙しい時間を割いて、わざわざ僕の卒業式に駆けつけてくれていたのだ。僕は思わず涙が出そうになってしまった。もちろん、Gianni副社長にも壇上から直接お礼の言葉を述べた。僕は家族も親戚も誰も卒業式に参加していなかったので、本当に心の底から嬉しかった。Merci, Gianni副社長!

今日だけは素直に自分の努力を誉めてあげようと思う。我ながら良く頑張った!と思う。

(写真は既にワインで酔っ払ったクラスメートに撮ってもらった一枚。ブレてる。。。)
 

卒業式の招待状

2007年10月24日 | MBA

今日、僕の手元にトゥールーズ・ビジネススクールから一通の招待状が届いた。10月30日の夜に予定されているAerospace MBAの卒業式への招待状だ。前から日程については知らされていたものの、こうしてオフィシャルに卒業式への出席を認められたことをまずは素直に喜びたいと思う。少なくとも、MBAに落第するという最悪の事態は避けられたようだ。

僕の聞いていた話では、毎年1名~2名の学生がMBAの学位を取得できないのが普通らしい。今年どうなったかはまだ知らないのだけど、もし僕がMBAの学位を授与されなかった場合、代わりにCBAという証書が授与されるのだそうだ。Certificate of Business Administrationの略で、経営管理学修了証書とでも訳すのだろうか。これをもっていると学部卒や修士卒より扱いは上になるが、MBAよりははるかに劣るらしい。

今年の卒業式には、来賓としてGE Aviation社のCEOが出席し、僕達にMBA証書を授与してくださるらしい。GE Aviationといえば、ロールスロイス社などと並び世界を代表する航空機エンジンメーカーだ。エアバス社やボーイング社を初めとして、世界中の航空機メーカーにエンジンを納入している。昨年はエアバス・フランスのCEOが出席してくださったのだけど、今年はより世界規模でのプレゼンスを意識したのかもしれない。

卒業式当日は、お昼の12時にビジネススクール集合ということになっている。まず、今年のMBAの生徒達と一緒にランチを食べながら彼らにMBAを生き抜く上でのアドバイスを送るのだ。これが僕達のMBA学生としての最後の勤めになる。学び得たものは次の世代に伝えていかなければならない。それが先へ進む者の義務だと僕も思う。

午後3時半からは、Aerospace MBAの同窓会とのミーティングがセットされている。MBAの学位を授与されれば、晴れて僕達も彼らの仲間入りが許されるのだ。どんなミーティングになるのかは分からないけど、少し楽しみだ。

そして、いよいよ午後5時30分からMBAの卒業式がスタートする。来賓のスピーチに引き続き、僕達一人一人が壇上に上がってMBA証書を受け取ることになる。思えば、昨年も同じこの場所で、1学年上のMBAの卒業式に出席した。達成感に満ちた最高の笑顔をした卒業生達を見て、僕も一年後にはああなっていたいなあ~と強く心に思ったのを覚えている。その場所に今自分が立とうとしているのだ。とても不思議な感じだ。

卒業式が終わると、その後は夜9時までずっとカクテルパーティーが続く。フランス流なのでかなり長い。僕の経験ではなかなか終わらないのが普通だ。中締めなんて気の効いたシステムは存在しないのだ。そんなに立って飲み続けるなんて、日本の立ち飲み居酒屋でもやらないぞと思いつつも、この日だけは気持ちよくシャンパンを飲みたいと思っている。

オフィシャルなパーティーが終わっても、僕達MBA学生達の祝いの宴は終わらない。夜明けまでオールナイトパーティーが予定されている。フランス人のChristosは子供達をどうするかまで計画していて、ベビーシッターを雇うか何かすると言っていた。そこまで気合を入れて楽しもうとしているあたりがスゴイ。

ちゃんと覚えていたら、卒業式の様子をブログに書こうと思います。

トゥールーズ弾丸ツアー(最終章)

2007年10月23日 | MBA
 
Aerospace MBA Tours社(仮称)が主催するトゥールーズ弾丸ツアーも、当初目標のツアー客10人まであと2人のところまで来ていた。そこへ今日は2人のお客さんが日本からやって来たので、これを半強制的にカウントして目標の10人達成ということにする。今日トゥールーズを案内したお二人は気付いていなかったかもしれないが、僕の中では完全にトゥールーズ弾丸ツアー(最終章)が遂行されていたのだ。

今回のお客さんは、なんと新婚旅行中のカップルのお二人だ。ハネムーンでフランス語圏のある国を巡った後、最後の訪問地としてトゥールーズを選び、その最後のイベントとしてAerospace MBAを訪問してみたいということだった。数日前にE-mailで訪問希望のメールが届いたときは、正直びっくりした。一生に一度しかないハネムーンの大切な時間、果たして僕なんかがお邪魔虫となってよいものだろうか。しかし、顧客の要望には最大限の努力で対応するのがAerospace MBA Tours社のモットー。あまり難しいことを考えず快く引き受けることにした。

まず、ご本人達の希望によりトゥールーズ・ビジネススクールのAerospace MBAを見学。今回もプログラムマネージャーのAudeにお願いして、カリキュラムなどの説明をしてもらった。もちろん、僕も参加して適宜実体験に基づいたコメントをする。二人とも、キャンパス内に設置されているベンチが気に入ったようだ。航空機のファーストクラスとビジネスクラスの座席をそのまま取り外してきて、ビジネススクールの中に設置してあるのだ。

今日はラッキーなことに、僕のMBAクラスメートもたくさんキャンパスに来ていた。ロシアのYuri、コロンビア空軍のAlvaro中佐など、実際にAerospace MBAの授業を経験した第三者と会話できたことで、より客観的なビジネススクールの雰囲気を掴んでもらえたのではないかと思う。少しでも将来のビジネススクール選びの参考になったのであれば、僕はそれだけで嬉しい。

ビジネススクール訪問を終えた後、僕達はエアバス社の工場へと向かった。残念ながら予約をしていなかったので工場の中は見学できなかったのだけど、併設されたショップでAirbus(エアバス)グッズを購入。センスの良い航空機のイラストパネルを購入されたようだ。航空機の全体像やコックピットなどの、いわゆる人気のある図柄には目もくれず、あえて航空機の後姿のイラストを購入されていたあたりにセンスの良さを感じてしまう。こう人達を僕は「通」(つう)と呼びたい。

エアバス社の次は、そろそろお昼ごはんの時間ということでランチを食べることに。航空機大好きというリクエストに応えて、トゥールーズ空港内にある展望レストランへ行くことにした。優雅に離着陸する航空機をガラス越しに眺めながら、ゆっくりと3人で食事をしながらいろんな話をした。僕にとっても本当に楽しい時間だった。お二人に会うのは本当にこれが初めてなのだけど、よくよく話を聞くと共通の知り合いもたくさんいた。世界とは、本当に狭い。懐かしい名前がどんどん出てくる。

楽しいランチタイムを終えた後、僕はお二人をトゥールーズ市内のキャピトル広場まで送迎し、トゥールーズ弾丸ツアー(最終章)は無事終了となった。これで、僕の中で目標としていた10人の顧客獲得が見事に達成されたことになる!Viva Aerospace MBA Tours社!いい仕事ができ、顧客の皆様にご満足していただけたことを、心の底から願っている。

なお、本日開催のツアーを持ちまして、Aerospace MBA Tours社のトゥールーズ弾丸ツアーは営業終了とさせていただきます。長い間ご愛顧いただき、本当にどうもありがとうございました。

またいつの日か皆様にお会いできる日を楽しみにしています。

Aerospace MBA Tours社 CEO兼ツアーコンダクター NOBU

(写真は真正面から見たエアバスA380)
 
 

マルシェ

2007年10月21日 | MBA
 
Marché(マルシェ)とは、フランスの食文化を語る上で欠かせない食料品市場のこと。毎週決まった曜日の決まった時間に、市内の決まった場所で開かれるのが普通だ。僕の住むトゥールーズでは、毎週土曜日の午前中に市内の目抜き通りでよく開かれている。確か平日も開かれていた思うのだけど、平日には行ったことがないのでよく分からない。とにかく、野菜でもパンでもチーズでも肉でも魚でも果物でも、マルシェでは何でも新鮮なものがスーパーよりも安く手に入る。なのでマルシェはいつも大勢の買い物客で賑わっている。

今日は朝早起きしてそのマルシェに行ってきた。もう10月下旬になるので、朝は吐く息も白いほどトゥールーズは寒くなってきている。冬は間違いなく一歩づつ近づいているようだ。MBAの最終プレゼンにあらゆるエネルギーと集中力を注いでいるうちに、夏はもうとっくの昔にどこかへ行ってしまっていたようだ。

僕は昨年の7月にフランスにやってきたので、最初のトゥールーズは真夏の印象だ。南仏の照りつける太陽の下、案内された部屋にエアコンが付いてないのを見てびっくりしたのを覚えている。そして、その後秋を迎え、MBAが始まり、冬を越して春がやってきた。そして、夏が来て、秋が来て、また今回冬がやって来ようとしている。僕の感覚ではもう2年間くらいフランスに住んでいる、そんな感覚だ。本当にたくさんの季節をここトゥールーズで過ごしたと思う。

僕は特に何も買うわけでもなく、ただぶらぶらとマルシェで食料品を買う人々の行動を観察していた。売り手はたくさん、買い手もたくさん、かつ、扱っている商品は差別化されていない一般的な生鮮食料品たちだ。野菜も果物も肉も魚も、どのお店で買っても大して違いはなさそうだ。

であるならば、このマルシェで繁盛するお店と繁盛しないお店を分けるのは、一体どういうファクターなのだろうか。実際、お客さんでごったがえしているお店と誰もお客さんがいなくて閑古鳥が鳴いているお店の両方が存在している。それぞれのお店で扱っている商品はほぼ同じだと思われる。価格も、品質も、見た目的には大した違いはない。

僕は一番繁盛しているお店を探し、そのお店をじっくり観察してみることにした。マルシェの中を一巡し、ここが最も賑わっているというお店を一つ発見した。このお店は、どう見ても姉妹にしか見えないくらい互いに良く似た3姉妹によって運営されていた。そして、よくよく観察すると、他のお店とは違って3姉妹のそれぞれにしっかりとした役割分担があるように見えた。

一番上のお姉さんらしき人は、レジと商品の袋詰めを担当している。仕事をテキパキとこなし、動きにムダがない。次から次へとお客さんを効率よくさばいている。真ん中のお姉さんらしき人は、お客さんからの特別な注文に応じ、お店の奥のほうで包丁を片手に腕を振るっている。きっと3人の中で一番料理上手なのだろう。包丁さばきも鮮やかだ。そして、一番下の妹らしき人は、お客さんの相手を一手に引き受けている。客の要望を聞き、何がよいかを薦め、意思決定を後押しし、購入が決定したらその内容を上のお姉さん達に伝えている。一番上のお姉さんは妹からの情報を基に会計処理をし、もう一人の真ん中のお姉さんはお客さんを待たせないようにすばやく包丁で商品を希望どおりにカットしていく。この3人の連携プレー、実に見事だった。

この3人が運営するお店は、最短の時間で最大数の顧客を最も効率よく処理するシステムを確立していた。3人の役割分担と情報交換、そして、個人としてムダのない動きに3人の連携プレー。役割の交代こそ途中で一度もなかったものの、個人が一つの役割に徹することで、最大の経験効果を発揮しているのかもしれない。

見たところ、この3姉妹がMBAで学び、オペレーション戦略の理論とスキルを身に付けた上でこうなったとは思えない。おそらく、長い経験の中で少しづつ改良を重ね、その中で自分たちが考える最良のポジショニングとオペレーションにたどり着いたのだろう。それでも、やるべきことをやるべき場所で見事に実現した結果、他のお店とは比較にならないほどのお客さんを彼女達は獲得した。

MBAって何だろう、とふと考えてしまった。朝一番のマルシェでの出来事だった。

(写真はマルシェの風景)