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宇宙航空MBAブログ

Aerospace MBA(フランス・トゥールーズ)が考える宇宙航空マネジメントの進化系ブログ

宇宙航空MBA説明会

2008年01月18日 | MBA
 
ついに、『宇宙航空MBA説明会』の開催日が決定しました。第1回目となる今回は、以下の日程で開催します!

 日時:平成20年1月30日(水) 19:00~21:00+懇親会(希望者のみ)
 場所:宇宙航空研究開発機構 東京事務所 2階会議室
     〒100-8260 東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビルディング
 地図:こちらをクリック
 費用:参加費は無料(ただし、懇親会まで参加される方は飲食費実費)
 内容:以下のとおり(ただし、当日までに変わる可能性あり)

 ■自己紹介(ブログ執筆のAerospace MBAに加え、なんと先輩Aerospace MBAも参加予定!)
 ■Aerospace MBAプログラムの紹介(ビジネススクール紹介を含む)
  1.授業(科目、プロジェクト等を含む)
  2.教授(専門、心に残った一言などを含む)
  3.学生(バックグラウンド、国籍、言語、レベルの話を含む)
  4.学費・生活費(奨学金の話を含む)
  5.出願(TOEFL、GMATの話を含む)
  6.未来(就職先、インターンシップの話を含む)
 ■滞在先としてのフランス、トゥールーズ市の紹介
 ■質疑応答

ということで、第1回Aerospace MBA説明会への参加を希望する方は、以下の必要事項を記入した【参加申込メール】を送ってきてください。

 <必要事項> ※個人情報の取扱いには十分注意するのでご安心を!
  1.氏名(ふりがな)
  2.メールアドレス
  3.職業(所属先)※学生の方も大歓迎です!
  4.懇親会への参加の有無

 <申込先メールアドレス>
  aerospacemba@mail.goo.ne.jp

なお、Aerospace MBAの説明会終了後、軽めの懇親会を開催する予定なので、時間に余裕のある方、もっとフランクな雰囲気の中で話を聞きたいという方は、ぜひ参加してください。

未来のAerospace MBAを目指す皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

(写真はAerospace MBAで使う教科書の一冊、Maraval教授の『Aerospace Marketing Management』)
 

フランス留学総まとめ

2008年01月15日 | MBA
 
今、フランスMBA留学の総まとめレポートを書いている。日本での所属組織に対して提出しなければならないためだ。既に10ページ程度の簡易報告書は提出してあるのだけど、今度は50ページにもわたる完全版の報告書を提出しなければならない。

僕の場合、何かテーマを持って研究を行い、研究成果を論文としてまとめることを目的としてフランスに留学したわけではない。なので、成果報告書という形にまとめるのは実は大変な作業だということに気づいた。成果はこのブログや僕の体の中に染み付いているものであって、50ページもの研究論文のような格式ばった形式はそぐわないのだ。

さらに不幸なことに、ATR社でのインターンシップ経験をベースに書いた修士論文は、ATR社側の要望によりConfidential(極秘)扱いにしなければならず、所属組織へのレポートといえどもその内容に触れることはできない。これはATR社と僕との男と男の約束でもある。つまり、今僕は一番心に残っていて、かつ、一番貴重な学びを得たATR社でのインターン以外のことだけをベースにして「総まとめレポート」を執筆しなければならないのだ。

別に書く内容がないわけじゃない。むしろ、書きたい内容が多すぎて困るくらい、僕のフランスMBA生活は充実していたと思う。オフィシャルにはまだ言えない貴重な経験や感動してしまった尊敬すべき人との出会いなど、時間さえあれば今すぐにでも書きたいネタは山ほどある。でも、それはいつか時期が来たらまとめて本にしたいと思っていて、今オフィシャルなレポートとして提出するようなものじゃない。

このブログには、MBAの知識やツール、宇宙航空系企業の情報のみならず、僕の個人的な日常生活やフランスに対する見方、発見、感動みたいなものが数多く含まれている。その中で今読み返してみても僕の心にグッとくるのは、やはりフランス生活を送る中で聞いたMBAの教授陣や宇宙航空企業の経営者達の言葉だ。その当時の、その場面の、その瞬間を思い出しながら、僕は彼らから「君たちの本当の戦いはこれからだ、頑張りたまえ!」と励ましてもらっているような気分になる。

MBA卒業式の日にGE Aviation社のCEOから言われた言葉もその一つだ。

「キミ達が本物のMBAかどうかは、業績の良い時にではなく、最も困難な状況に陥っている時にこそ分かる」

まさに今がその時だ。前を向いて頑張っていこう。

(写真は僕が授業の中で行ったあるサービスのマーケティング分析。価格をどう設定すれば収益がどう変化していくか、ネットワーク効果という概念を使ってモデル化するというアイデア。)
 

あけましておめでとう!

2008年01月04日 | MBA
 
ついに2008年がやってきた。昨年の11月に帰国してから2ヶ月間はバタバタしてしまったのだけど、いよいよAeropsaceMBAとしての真価を発揮しなければならない時がやってきた。やるべきことは見えているので、あとはそれを実行可能なプランに落とし込み、同じ志の仲間を見つけて一歩ずつ力を合わせて前に進んでいきたいと思う。

まずは、1月中に開催するAerospaceMBA説明会だ。このお正月休み中にプレゼン資料は完成させたし、他の大手MBA受験予備校のMBA進学説明会のカリキュラムを参考にしながら、どんな内容にすれば顧客満足度を最大化できるかを考えてきた。その結果、受験者にとって一番気になるのは以下の3点だろうという結論になった。

まず第1点目は、MBAの授業のレベル。本当に大事なのは内容のほうなのだけど、受験生にとってはレベルのほうが気になるようだ。財務や会計について学んだことがないけれど大丈夫か、自分の英語力で果たして授業についていけるか、そういった不安からきていると思う。これについては、事実をベースに僕の体験に基づいた話をするのが一番だと思っている。苦労したことも、楽しかったことも、ケンカ寸前までいきながらなんとかプロジェクトを成功に導いたことも、全てを正直に語りたいと思う。経験者の生の言葉は、どんな文章よりも強い力を持つ。

第2点目は、資金だ。MBAの進学には多額の投資を必要とする。授業料も1年間で4~5百万円と安くはない。加えて、生活費や住居費などもかかるし、現地で車を購入すれば当然さらにお金が必要だ。日本から進学するためには、往復の航空券も買わなければならないし、せっかくヨーロッパに留学するのだから休みの日には隣国を旅行だってしたいだろう。トゥールーズからは、スペインやイタリア、ドイツ、スイスなど、全て車で行くことができる。とにかく、僕のケースを参考にしながら、AerospaceMBA留学に最低限必要なコストを算出し、皆さんに公開したいと思っている。もちろん、多額の投資に見合うだけの価値あったと僕は確信している。

最後は、就職だ。僕は日本の組織に属しながらMBAに進学したのだけど、今フランスで学んでいる二代目AerospaceMBAのBrianは、勤めていた会社をキッパリ辞めて、全く別の分野から宇宙航空にチャレンジしている。言い換えれば、キャリアチェンジを図るためにAerospaceMBAにチャレンジしているのだ。やはり宇宙航空を仕事にしたい!と願う日本人にとっては最高のチャンスだと僕は思っている。彼に続く日本人にぜひ出てきてほしいし、現地でのインターンシップの探し方や就職機会の見つけ方なども含めて、僕にできる限りのアドバイスをしたいと思う。僕の経験を踏まえれば、このAerospaceMBAプログラムを修了すれば、ほぼ間違いなく宇宙航空の仕事に就くことができる。(もちろん、本人の努力は必要だけど)

そんな感じで2008年1月中に第1回のAerospaceMBA進学説明会を東京で開催したいと思っている。日程と場所については、決まり次第このブログ上で発表するので、興味のある方はチェックしていてください。

それでは、本年もどうぞよろしくお願いします。

(写真はベルリンで泊まったホテルの前にいた熊)
 

世界で戦う自信

2007年12月31日 | MBA
 
フランス・トゥールーズで幕を開けた僕の2007年が終わった。MBAの授業に、ATR社でのインターン勤務、修士論文の執筆と発表、MBAの卒業式、そして、日本への帰国、新しい仕事に新しい仲間、ドイツへの出張。本当に盛りだくさんな一年だったと思う。

今年の初めに僕が設定したテーマは、”Entrepreneurship”(起業家精神)だった。一年間いかにしてこの精神を身に付けるか、僕はそれを一番に考えて自分のすべきことを選んできた。その結果が僕の2007年だ。知識、哲学、経験、精神、いろんなものが僕の中で変化したと思う。

経営学修士の学位とか、一生の宝物であるMBAのクラスメート、ヨーロッパ宇宙航空業界における人脈など、目に見える形で僕がこの1年間に手にしたものは多い。しかし、帰国してから2ヶ月間ほど日本で仕事をしてみて、僕がヨーロッパで得た最大の成果は、もっと精神的な強さのようなものであるということに気づいた。

一言で言い表すならば、『世界で戦う自信』といった類のものだ。以前の僕であれば敬遠していたであろう言語の違いや文化の壁を、今の僕ならば「新しい何かに触れられる機会」として捉え、むしろ、そんな機会を積極的に求めていくようになったと思う。「違い」とは「壁」ではなく「機会」なのだ。少なくとも僕がヨーロッパで出会ったフランス人やイタリア人はそう僕に教えてくれた。

今までの自分とは違う新しい何かにどんどん触れ、今までにないクリエイティブなものをどんどん世の中に提供していこうと思う。MBAで学んだことも、ATR社で教わったことも、目に見える形で結果を出していこう。それが僕の2008年の目標だ。

でも、その前に少しだけゆっくりしよう。僕がフランスにいる間に亡くなってしまった愛犬の「なみ」のお墓参りもしたい。そう思って僕は実家のある広島に帰ってきた。明日一日だけゆっくり休んで、明後日からはまたすぐに個人プロジェクトの準備に取り掛かろうと思う。仕事も忙しいが、僕が人生で目指すべき目標はもっと大事なのだ。

それでは皆さん、今年もお世話になりました。来年も引き続きAerospaceMBAブログをよろしくお願いします。

(写真はアムステルダムのスキポール空港で見かけた立ち食いSushi-Bar。空港の中で立ったままスシを食べる、その発想力がすごい!)
 

ドイツから帰国

2007年12月18日 | MBA
 
寒い冬のベルリンから日本へと戻ってきた。ドイツの冬は僕が想像していた以上に厳しく、吐く息も口を1mmでも離れた瞬間にすぐに真っ白になってしまう。とにかく、全身で震えるほど寒かった。

今回の出張では、ある会議の場でドイツの宇宙航空企業の皆さんを前にプレゼンをし、フランクに意見交換をすることが主な目的だった。そのため、会場には僕の到着を待つドイツ宇宙航空企業の皆さんが待機してくれていた。前の会議が30分ほど延びてしまったので、結局皆さんをお待たせすることになってしまった。スケジュール通りの進行にこだわるドイツ国民を前に、僕は最初から生理的に受け入れ難いミスをしてしまったのだ。

話に聞いていたとおり、ドイツの皆さんは会議のアジェンダ(議事進行)をとても大切にする。Respect(リスペクト)いう言葉が一番ピッタリくるかもしれない。とにかく、会議の冒頭に話し合う内容をしっかり合意した後は、ひたすらスケジュール通りにそのアクション・アイテムを一つずつ、順番に、しかも、可能なかぎり割り振られた時間どおりに、正確に遂行していくのだ。

これは僕がMBAを取得し、インターン勤務を経験したフランス・イタリアの仕事文化とは全くの正反対だ。彼らは、何も決めずにいきなり作業をスタートすることが多い。アクション・アイテムもスケジュールについてもアジェンダの存在にはそれほどこだわらないし、会議の最後に出てきたものが当初の成果でした、と最後に言い切ってしまうだけの“強さ”と“要領の良さ”を持っていた。僕はこれをラテン系プロジェクト・マネジメントと呼んで尊敬している。

想定以上のレベルでCreativeなものを生み出すには、このラテン系プロジェクト・マネジメントが必要だと思う。何かを決めて動こうとする限り、当初想定した以上の成果は出ないし、今はない何か新しいものを生み出そうとするのであれば、最初からターゲットを決めてかかってはダメなのだ。

ドイツが工業製品の分野で世界トップレベルの実力を有し、一方で、フランスとイタリアがアートやデザインの分野で世界トップの実力を有するのも、何かこのあたりの仕事のスタイルの違いが影響しているような気がする。

同じヨーロッパでもここまで違う。本当にヨーロッパは面白いと思う。

(写真は仕事を終えて飲んだドイツビール。やはり輝きが違うっ!)
 

再びヨーロッパへ

2007年12月15日 | MBA
 
11月の始めに長~いヨーロッパMBA留学を終えて日本に帰ってきたばかりなのだけど、今またヨーロッパに来ている。といっても、今回は慣れ親しんだフランスではなくドイツにいる。僕は今、ドイツの首都ベルリンに来ているのだ。

今回の出張の目的は、ある会議の場において、日本とドイツ両国の宇宙産業界が今後どうすれば互いにWin-Winな協力関係を構築できるかを議論することだ。そのために、民間企業も含めた日独の宇宙関係者が集まって、まずはお互いに今考えていることや問題点をテーブルの上に乗せることになっている。

僕は会議の中で日本の宇宙産業についてプレゼンをすることになっている。ドイツ人を前にしてプレゼンをするのは僕の人生の中でも初めての経験だ。僕のこれまでの印象では、ドイツ人は日本人と気質が近いだけに、ラテン系(フランス人やイタリア人)に対するプレゼンよりはるかに自然体で臨める気がする。ATR社でのプレゼンの時とはまた違った経験ができるはずだ。それに、ドイツを代表する宇宙企業が集まるとあって、僕の中での期待も高まっている。よい成果を日本に持って帰りたい。

しかし、ドイツは寒い。こんなに寒いとは思ってもみなかった。
 

宇宙が航空を超える日

2007年12月10日 | MBA
 
日本に帰ってきてからというもの、毎日のように「宇宙」と向き合う日々が続いている。フランスのMBAで学んでいた頃は、トゥールーズという町がエアバス社の城下町であり、また、僕がインターン先としてターボプロップ機メーカーのATR社を選んだこともあって、どちらかというと僕にとっては「航空」と向き合う日々のほうが多かった気がする。それは僕があえて選んだ道でもある。

「宇宙」と「航空」とを比べると、やはりビジネスとしては「航空」のほうが「宇宙」よりも格段に先輩だ。歴史、規模、産業人口、多様性など、どれをとっても宇宙は航空の足元にも及ばない。それはどちらがレベルが高いとか、技術的に難しいかという議論ではなくて、ビジネスとしての成熟度の違いという意味での話だ。

インターン先としてあえて「航空」を選んだのも、このビジネスとしての成熟度の違いを、僕自身が肌身で感じてみたかったということろが大きい。「宇宙」はまだまだヨチヨチ歩きの赤ちゃんで、誰か進むべき道を決めてあげなければならない。言わば、親の支えなくしては生きていくことができない分野だ。

それに対して「航空」は、既に自分で立って歩いており、進むべき方向を自らの力で見定めて生きていくことができる。何か新しいことをスタートするときは親の支えが必要だが、それも最初のうちだけだ。軌道に乗った後は親の支えがなくても一人で前に進んでいける。この違いはとても大きい。いつか「宇宙」もそうならなくてはいけない。いや、そうしなくてはいけないと僕は思っている。

物理的な領域だけを考えれば、地球上の空よりも、宇宙のほうがはるかに広く、そして、大きい。ビジネスとしての可能性もまた同じだと、僕は考えたい。そのために僕は今、ATR社で学んだことの全てを宇宙のために活かそうとしている。

正直、とても難しい。難しいが、困難だからこそあえて挑戦する価値がある。

いつの日か「宇宙」が「航空」を超える日を見てみたいと思う。
 
(写真はヨーロッパのガリレオ衛星)
 

ヨーロッパビジネス協議会

2007年12月06日 | MBA
 
European Business Council(ヨーロッパビジネス協議会)という名の団体がある。日本に進出したヨーロッパ企業同士の親睦団体であり、同時に、ヨーロッパ企業が日本でビジネスをしやすいように政府や議員にロビー活動を展開する圧力団体でもある。そのヨーロッパビジネス協議会のレセプションが、先日東京都内の某ホテルで開催された。

ヨーロッパビジネス協議会のHPはこちら

今回はヨーロッパビジネス協議会の会員企業のうち、航空・宇宙・防衛に特化した企業の集まりということで僕も招待されたようだ。参加しているのは、Airbus(エアバス)社をはじめ、Thales(タレス)社、Eurocopter(ユーロコプター)社、Safran(サフラン)社、Astrium(アストリウム)社など、まさにヨーロッパを代表する航空宇宙系の企業ばかりだ。こんなにヨーロッパ企業に囲まれていると、なにかトゥールーズに戻ったような気分になる。

日本側から招待されている企業や団体もまた、日本の航空宇宙のオールスターといった感じだ。各航空会社に加え、三菱電機、NEC、三菱重工、川崎重工、IHIエアロスペース、宇宙通信、JSAT、総合商社、そして、関係政府機関。とにかく、見る人がみれば「あ、宇宙航空村だ!」と思わず言ってしまいそうなメンバーだった。

ヨーロッパのMBAで学んでいた頃、僕はイヤというほどネットワークの大切さを思い知らされた。特にフランスという国は完全な階級社会であり、ほんの一握りのトップエリート達によって社会も企業も動かされている。そして、その一握りのトップエリート集団は皆お友達であり、そのお友達同士で相互に連絡をとりあって重要な意思決定をしている、そんな印象を受けた。

僕の個人的な考えでは、これはある意味でとても効率の良い意思決定システムだと思う。トップダウン企業の取締役会が国を動かしているようなものだ。スピードという面において、少数の閉じられた集団による意思決定ほど迅速なものはない。意思決定のための会議であるにもかかわらず、複数の利害関係者への事前の「根回し」が必要な日本とは大違いだ。この国は、本当にあきれるほど意思決定が遅いと思う。

ヨーロッパのトップビジネスパーソンと話をしていると、いつも日本文化に対する深い造旨に驚かされる。他の国でビジネスを行うにあたって、まずその国の文化を理解することからスタートしている証拠だと思う。フランスでビジネスを展開する日本人駐在員の中で、一体どれほどの人がフランス史やフランス文学についてフランス人よりも深く、そして、熱く語れるだろうか。

『春はあけぼのようよう白くなりゆく山際うち明かりて紫立ちたる雲の細くたなびきたる』

数年ぶりにこのフレーズを聞いた。しかも、フランス人から聞いてしまった。
 

マーケティング調査

2007年12月02日 | MBA
 
フランスから帰国して早1ヶ月が過ぎた。この間、カウンターカルチャーショックを感じなかった日はないというくらい、毎日のように何かに驚かされている。大きなこともあれば、取るにたらない小さなこともある。つくづく日本という国は特殊な国だと思う。

こういうショックは、宇宙から帰ったきた宇宙飛行士にもよく起こるらしい。スペースシャトルに乗って宇宙から帰ってきた向井千秋さんは、なんと地上に降りてきて『紙の重さ』にまず驚いたのそうだ。普段我々はコピー用紙一枚の重さなど気にもせず使っているのだけど、まったく重さを感じない宇宙から帰ってきたばかりの宇宙飛行士にとっては、紙一枚でさえその「重さ」を感じてしまうのだ。

フランスであろうと日本であろうと、Aerospace MBAのスピードとクオリティで仕事を進めていく。これは僕がフランスを去る際にコミットメント(誓い)として自分自身に課したことだ。ブログの最後のほうでそう宣言したような気がする。有言実行ということで、早速ある宇宙関連商品のマーケティング調査を実行に移してみた。

今回の顧客は、僕が勤務する組織において人工衛星の画像を扱う部門だ。この部門から、人工衛星の画像を使ったある商品についてのプロモーション戦略に関する相談を受けた。そこで早速マーケティング調査を開始することにした。MBAで習ったことを日本でフィードバックする最初のチャンスだ。

僕は、時間もあまりかけられないので、今回は最低限の質問事項を書いた簡単な調査票を作り、あるイベントの機会を利用してアンケート調査を実施することにした。結果的に80名弱の方から回答を得ることができた。これは、簡易なマーケティング調査であれば、統計的に処理するには十分な数字だ。

僕が今回のマーケティング調査で一番の鍵になると思っていたのは、この商品のPrice Sensitivity(価格弾力性)だ。以前のブログでは、僕はこの「価格弾力性」という概念について、以下のように説明している。

価格弾力性とは、価格を少し上げたり下げたりした場合に、その反動として商品やサービスに対する需要がどの程度上下するかという指標のひとつだ。値段を少し上げたら需要がかなり減ってしまうような商品については価格弾力性が高いといい、逆に値段をかなり上げても需要がほとんど変わらないような商品を価格弾力性が低いという。

一般的には、エンターティンメントや嗜好品の価格弾力性は高く、素材原料や日常必需品の価格弾力性は低いと言われている。なぜなら、素材原料や日常必需品というのは、どんな価格であろうとある一定量が世の中で必要とされる性質のものだからだ。逆に、エンターティンメントや嗜好品というのは、生活を営んでいくためにそれが絶対に必要というわけではなく、個人の好みの変化や流行、あるいは、景気の変動といった外部要因に大きく影響を受ける。


そして、今回の商品は日常必需品ではなく、まさにエンターティンメント性の高い商品であったので、この価格弾力性がどの程度のものなのかをしっかりと把握しておく必要があると僕は考えた。今回の結果を受けていかに価格を設定するかが、今後のビジネスとしての成否に大きく影響する。

分析結果については、既に顧客である社内の他部門にインプットしてある。その結果を受けてどう判断するかは、残念ながら僕が意思決定できることではない。マーケティングの限界、というやつかもしれない。

いずれにせよ、今回はスピード重視で、今までにはない視点から仕事のクオリティを高めることに貢献できたのではないかと思っている。今後はこういう手法をモデルとして確立した上で、「宇宙航空マネジメント学」の一分野として世の中に出していきたいと思っている。

なお、トゥールーズ・ビジネススクールのAerospace MBAコース進学説明会は、場所の確保ができ次第12月中に一度開催する予定です。興味のある方はぜひご参加ください。

(写真は分析結果の一サンプル。価格をいくらに設定すれば収入が最大化するかをシミュレーションしたもの。)