資産家一家に起こる連続殺人事件という、
まさに典型的本格ミステリな設定で始まります。
クイーン張りの論理で犯人を指摘するラストは圧巻。
ジグソーの使い方がいわゆるチェスタトン的。
贅沢な文句ですが、前半のアリバイ説明がやや退屈ですかね。
著者はミステリプロパーではない(本職は英文学の教授)ので、
なんとなくミステリ業界からは黙殺されてませんかねえ。
【笑ってジグソー、殺してパズル 創元推理文庫 . . . 本文を読む
知人からDVDをもらって観ました。
実相寺昭雄の遺作なんですが、実相寺昭雄ワールド炸裂!ですね。
明石元二郎大将の部下に甘粕正彦、その二人に命令されて浅草の芝居小屋を探るのが本郷義昭、
で、その本郷の友人が平井太郎…
敵は魔人カリガリ博士、手下はチェーザレこと蜘蛛男。
森鴎外とエリスの間にうまれた娘がシルバー假面で、
世界を支配することのできる指輪をめぐって
芝居小屋で戦う…
頭がクラクラす . . . 本文を読む
昨年(2008年)に亡くなった野田昌宏宇宙大元帥秘蔵のパルプSFのカバーを、
テーマ別に編集した3部作の1冊目。
テーマはロボット。ほかに「異星人」「ロケット」があり。
時間があればとめどなく眺めていたいですね。
河出書房新社 ふくろうの本 . . . 本文を読む
これ意外にイイですよ。
銭形平次全作品の中から、怪奇・ミステリー色の濃い作品を集めたものです。
じつは野村胡堂にはこういった伝奇・怪奇ものが多いそうで、
人情捕物帳の著者とは別の顔も知ってほしい、と解説にありました。
たしかに、どれも横溝正史が書いていてもおかしくないようなものばかりです。
そういえば東京の若旦那に頼んで入手してもらった野村胡堂作「三万両五十三次」をこの機会に最後まで読むー、読め . . . 本文を読む
うちのほうのシネコンではもうすぐ終わりそうなので、
あわてて観に行ってきました、「K-20」。
「カリオストロの城」+「ロケッティア」(÷4?)
でしたが、それなりに楽しかったです。
BDバッジをつけた少年探偵団も登場します。
原作を解体して、
「太平洋戦争を回避できた日本の1949年」という舞台に使える素材を再構築、
ジュブナイルな冒険モノを見せてくれました。
あくまで北村想の「伝・怪人二 . . . 本文を読む
表題作のクレイトン・ロースン「天外消失」を読むためにだけに買ったのですが、この「天外消失」がイマイチなんだよなあ。トリック云々よりミステリ小説的に「その粋に達してない」感があって、同じネタでクイーンが書いたら「神の灯火」とまではいかないにしろ、面白い作品になったのでは、と思います。
あとはギルフォード「探偵作家は天国へ行ける」がクイーン好みで楽しいですね。
天外消失 世界短編傑作集 ハヤカワポケ . . . 本文を読む
翻訳がもうちょっと良ければ、もっと高い評価があるのでは。
乱歩の「三角館の恐怖」の元ネタで、「三角館~」も面白かったですが、
こちらも面白いです。
密室トリックが話題に出やすいですが、
動機を隠すミスディレクションがうまい。
「ローリング邸の殺人」でも、
フェアぎりぎりのトリックが不発だったのが惜しいですね。
ロジャー・スカーレット著 創元推理文庫 . . . 本文を読む
同じような作風なのにディクスン・カーに比べると、
小説の出来がアレ?、な感じがします。
ミスディレクションがどれだか分からないくらいに
素材が盛り沢山というのは、奇術師ならいざ知らず、
小説家としてはちょっと素人ぽいのではないでしょうか。
トリックは素晴らしいのにもかかわらず。
これと対になるのはディクスンの「爬虫類館の殺人」ですね。
惜しい、というか。
「天井の足跡」「棺のない死体」も
これに . . . 本文を読む