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アカデミー 1/144 Su-22“フィッター”(製作代行) #1

2006年02月03日 | 模型製作代行
さて、Su-22の製作開始です。

しかしまぁ実に悩ましいのであります
このアカデミーのキット、プラの質は私好みの硬さ。
成型色は目に優しく、モールドの細かさは平均点以上なのですが、
フォルムの再現が決定的にorzなのです


上の画像はキットを仮組みしたもので、
これだけ見ていればさほど違和感を感じないんですね。
しかし、Su-22の特徴を知っていたり、
仔細に図面や実機写真と比べると、、、orz
なのです。


口うるさい舅のようになれば上面形もあーだこーだあるのですが、
とても気になるのは主翼端・尾翼端の形状です。
キットはココが直線的すぎるのです。
画像にある赤線部分が実機のラインです。実物の翼端は丸っこいんですね。


そして側面。
なんと言いましょうか、、もうここまで違うとコメントに困ります
赤いラインが実機のラインです。

Su-22は機首が主翼前縁から約6°の角度で垂れ下がっているのが
一番の特徴なのですが、
キットではその表現がいまひとつ。
コクピット後方から尾翼に繋がるドーサルフェアリングのラインも
全然実機と違います。
垂直尾翼にいたっては、Su-17の形状を模型化しているようで、
面積や形状がまったく異なります。
垂直尾翼前縁からドーサルフェアリングに繋がるラインも
Su-22は直線的に処理されているのですが、
キットはSu-17のような曲線的ラインです

キットの模型的価値は人それぞれですが、
私の持つ模型という定義で鑑みると、
ちょっと酷すぎるキットかと思います。
まぁこの辺の価値観は実機に対して愛があるかないかで
相当変わってくるんでしょうけどね。

しかし、、
ここでの製作はあくまでも製作代行なので、
特に要望が無い限り素組みで完成させる方向で
作業を進める予定です。


散々キットについてボヤキましたが、
暫し実機のお話もしておきましょう。
長文になりますので、
実機に興味の無い方はスルーしてくださいな

Su-22は簡単に言えば、
1955年に原型機が初飛行したSu-7の主翼を可変翼に改修した
Su-17の輸出型仕様となります。

しかーし、Su-7からSu-22に至る間に、
それはもう様々な改良が行われ、
旧東側欧州や中東、はては南米といった国々の事情にあわせた
様々な派生形があり、
形式の分類が非常に困難な機体なのであります。

本国、旧ソ連で開発された最初のSu-17(無印あるいはM1)の外形は
ドーサルフェアリングが一直線なもの。
(Su-20として分類している場合もある)

次の型Su-17M2はM1の機首下面にドップラー航法装置の出っ張りがある機体。

その次のSu-17M3はM2で出っ張っていたドップラー航法装置を
機首フェアリング内に収め、電子機器の搭載量増加と
副座可に対応させるために
ドーサルフェアリングをキットのように改修。
視界不良を補うために機首を6度垂れ下がらせ、
エンジン換装に合わせて胴体後部下面にベントラルフィンを増設しています。

その輸出型仕様がSu-22M(今回製作するキット)なわけです。
しかし事はそう単純ではありません。

このSu-22MはSu-17M3の電子機器とエンジンをダウングレードしているため、
機体尾部がSu-17M3より若干長くて太く、
前述したように、垂直尾翼や機体上面ラインの形状が
Su-17M3とは相当異なる訳です。

細かいことを言えば、冷却空気取入口の位置と数も違い、
ベントラルフィンの位置も違い、
フィンのない機体も存在します。

さらには、Su-17M3は兵装ハードポイントが8箇所
Su-22Mは兵装ハードポイントが6箇所という違いもあります。

とまぁコレがSu-22Mな訳ですが、
実はこれは前期型でして、
後期型になるとSu-17M3とまったく同じ仕様の
Su-22M3という型になるのです。

で、その間を繋いでいるであろうSu-22M後期型やM2型が
どうなっているかというと、
これがいまひとつ良く分からないのです。

なにせ輸出されている国数が多いので、
前述したように各国によって様々なバリエーションが
あるからですかね。
もぅこうなってくると私のようなレベルではSu-22は
キチンと分類できない訳ですな

で、、もっと悩ましいのは
Web上なんかでは圧倒的にSu-22M4の画像が多く、
MやM2の画像は非常~に少ないのです。
M4の垂直尾翼取付部はM3とは全然形が違います。

簡単に考えればキットを作る上で
22M前期型にするか、
22M3にするか、
適当に作るかという選択肢があるのですが、
キットに付属しているデカールはハンガリー空軍のもの。

となると、ハンガリー空軍の使用機材を調べればいいのですが、
それによるとSu-22の仕様はM3となっいます。
しかし写真を見るとどう見てもソ連本国仕様のM3とは
形状が違います
ドーサルフェアリング~垂直尾翼へのラインはどう見てもM前期型仕様。
兵装パイロンの数は機体毎に違う。
搭載エンジンも機体毎に違うようなのです。
困ったもんです

もぅどーしてくれんだよ~と小一時間
アカデミーの設計者を問い詰めたい


しかしまぁ、書いてる方も整理しながら
書いている訳ですが、
読んでる方はもっと大変なんだろうなぁと...。

ともかく真相は実機写真を見て個人個人で判断してもらうしかないって
感じでしょうか


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