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アリイ 1/144 Mig-25“フォックスバット”(製作代行) #製作後記

2006年02月02日 | 模型製作代行


今回のMig-25製作時には、
いろいろと知りたい事があって、
資料を読みながら作業しました。
画像に写った本がそれです。

しかし資料を探していて、
30年前の出来事とはいえあまりにも出版物が少ないことには驚かされました。
戦後日本が一番戦争に近づいた日であることなど
多くの人はもう忘れ去ってしまったのでしょうか。
そういう私は当時8歳だったので、
その頃本放送されていた「タイムボカン」とか「母を訪ねて三千里」とか
「コンバトラーV」とか「マシンハヤブサ」とかを見ていたんだと思います(笑)
ちなみに、バンダイが初めてガチャガチャ(ガシャポン)を市場に投入したのも
事件のあった1976年だそうです。

さておき、、、

画像にある「ミグ25亡命事件の真相」の筆者は
当時の陸自11師団(函館)の法務官を務めていた方。
その為、事件に関して陸自がどう対応したのかについては
詳しく知ることができるのですが、
残念ながら当時の空自、海自の対応は少ししか垣間見ることが出来ません。

冒頭の数ページは事件の進行状況を追う
リアルタイム感溢れる描写に引き込まれるのですが、
事件が進むにつれ各関係機関の連携が悪く、
縦割り行政の弊害を感じさせる文章に変わっていくあたりは、
なんとも言えない虚しさがあります。
有事下日本を想像するのが恐くなるんです。
この国は大丈夫なのか?と...。

事件から30年経った今、兵器自体や情報機関の進化は著しく、
様々な改善は確かに見られるのですが、
それを扱う日本人的思考や未整備な法体系を眺めていると、
やはり、、この国は大丈夫なのか?と...思ってしまうのです。

最近そういったテーマを含んだ「亡国のイージス」や
「男たちの大和」がかなり脚光をあびていることに、
何らかの関係があるように見えるのを
一概に「穿った見方だ」と言えないとも思えるのです。

グラスノスチでロシアが公開した情報によれば
30年前、ソ連軍は武力によりミグ25を奪還・破壊する作戦を検討したのだとか。
(ソ連軍特殊部隊スペツナズの使用も検討されたとか、されなかったとか)

しかしそれを止めたのは横須賀に在泊していた米太平洋艦隊の存在だったそうです。
無論、津軽海峡の東西を常時警戒した海自の艦艇や潜水艦
(フネの数が足りなくて困ったとか、)、
日本各地から集められて臨戦態勢を取っていた多数の空自機。
(これまた数が足りなかったとか、、)
そして函館空港に完全装備で防衛出動しようとしたり、
あわや空自機を味方撃ちしようとしてしまったL-90高射砲部隊の所属する陸自。
ミグ25を空輸したC-5ギャラクシーを撃ち落とすかもしれなかった
スティンガーミサイルの狙撃から守った本気モードの各自衛隊の存在も
無視しえなかったとのこと。

しかし、決定打は米太平洋艦隊との衝突による米ソ全面戦争への奇遇が
ソ連軍の行動にブレーキを掛けさせたのはほぼ間違いないのでしょう。

昨今では、「米軍イラネ!出てけ!」という声を多く聞きますが、
そういう人達は、30年前に日本は米国の傘に守られたという厳然とした事実、
現在もあまり変わっていないその状況をどう理解するのでしょうか?


一方の「世界の傑作機」はもうそれはそれは機体に焦点を絞った内容。
超模型作り的資料です。
掲載されている写真はまぁまぁ○
戦闘機型ばかりではなく偵察型・複座練習型、云々
はてはMig-31まで掲載されているので、
戦闘機型の資料だけ欲しいという欲求で購入すると
少々歯がゆさがあります。

しかし、記事の内容はとても面白く、
ベッドに寝そべりながら読んでいると
気づくと起き上がって熱中しているくらいの内容です。

掲載されている図面は公表されている写真などから読み取った
一般的なものではなく、
ミコヤン設計局から得られた試作機や各型(Mig-31含む)
のオリジナル図面なので、とても価値があると思います。
記事中の透視図なんかもそうかな。

そういう意味で「世界の傑作機」は
ハードウェァに焦点を絞ったとても濃い内容の逸冊です。
Mig-25に興味のある人なら買っておいて損がない内容とお値段です。

ともあれ期間はかかってしまったのですが、
私的には相当楽しめたモデリングでありました。
こういう経験をすると模型を作りながら現実世界を知る面白さに
さらに拍車が掛かって、
時間がいくらあっても足りない気分になります。


さて、お次は続けてソ連機のこいつを製作します。

Su-7ベースの輸出型仕様、Su-22“Fitter”ですね。
様々なエピソードを持つ機体ですので、
これまた楽しいモデリングになりそうです。



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