はる日記

「人間万事塞翁が馬」

日々の出来事を綴ってます。

『龍神の雨』

2014-07-07 19:59:36 | テレビ・映画・本
道尾秀介 著

あらすじ。

添木田蓮と楓は継父と三人で暮らしている。溝田辰也と圭介は継母と三人で暮らしている。二家族とも上手くいっていない。蓮は継父を殺す計画を立て、それを実行に移した。成功するか失敗するかは運しだいの計画だった。辰也は継母を困らせるために万引き等を繰り返していた。圭介は兄の行動に振り回されていた。そんなある日、辰也と圭介はある現場を目撃してしまう。
降り続く雨が四人を翻弄する。雨が降らなければ…。雨が止んだとき、四人の運命はどうなっているのか?


面白かったです。

(* ̄∇ ̄*)

釦の掛け違いで…って話が好きなんです。

添木田家と溝田家の人たち各々が思いを抱え込みすぎて、相手のことや物事を冷静に見ることができず暴走。晴れていれば見えるものが雨だから見えない。物語中ずっと雨が降っていて、その重苦しい空気が二つの家族の状況と似ていて、そのリンクしている感じが良いです。

(*´ω`*)

この本は、あとがきも面白いです。(私が読んだのは文庫版)。あとがきを読むと、無関係だと思っていた場面が重要だということに気付かされます。そして、とても大きな話だったんだなと。物語を読み終わったときは、今はまだ空は雲で覆われているが、きっと晴れるだろうって感じでした。でも、あとがきを読み終わったら、雲の切れ間から光が差し込んだって感じです。

うーん、分かりにくいですね。上手く表現できなくてすみません。

(。>д<)

名前も面白いです。蓮は、泥水が濃ければ濃いほど(=苦しければ苦しいほど)大輪の花が咲く。困難を乗り越え、様々なことに気付いてくれるだろう。という思いを込めて、蓮という名前を付けたのかなと思い…ならば、他の三人もと少し調べてみました。

楓。風という字には龍が隠されているんですね。ほー。あとは風を媒介にして種子を飛ばす。へー。でも、この物語で一番関係があると思ったのは花言葉。大切な思い出。なんだか切ないですね。

ρ(・・、)

辰也は、そのまま龍でしょうか。では、次は圭介。う~ん、普通の名前という印象ですね。と思っていたら奥が深い。圭は玉。あー、言われてみれば龍は玉を持ってますね。絶対ではないけど。玉は、幸運を引き寄せると言われているそうです。なるほど。辰也にとって圭介が如何に大事な存在か分かりますね。

(  ̄▽ ̄)

添木田とか溝田も調べると面白いのかもしれないけど…古事記を読まないとですよね。古事記、かなり前に処分してしまいました。う~ん、気が向いたら調べることにしましょう。

ある出来事が起きて、その出来事の一部分だけを見て答えを出すのではなく、良い部分も悪い部分も見て答えを出さないと、人生がガラリと変わってしまう。ということを改めて教えてくれた本でした。

(* ̄∇ ̄)