(2000/ラッセ・ハルストレム監督/ジョリエット・ビノシュ、ヴィクトワール・ティヴィソル、ジョニー・デップ、アルフレッド・モリナ、レナ・オリン、ジュディ・デンチ、キャリー=アン・モス、レスリー・キャロン)
レンタルビデオにて鑑賞。別のビデオの予告編で、「サイダーハウス・ルール」のハルストレム監督作品ということで気になっていた作品。
スウェーデン人の監督で、主演がフランス人とアメリカ人、せりふは英語。内容は大人のおとぎ話の様でありました。
ヨーロッパ(フランス?)のとある田舎の村。時代はよく分からない。セリフの中で『終戦後15年』というのが出てきたから1960年頃だろう。北風が吹く寒々とした村の、どこか「ハリー・ポッター」か「ロード・オブ・ザ・リング」を思わせるような佇まいを俯瞰で捉えながら話が始まる。
敬虔なキリスト教徒の伯爵が村長を務めているこの村は、キリスト原理主義者のような禁欲的な村長が教会も取り仕切っていて、若い司祭の日曜の説教までも、この村長が事前に検閲まがいのようなことまでしている。立派な書斎の机の上には奥さんの写真が飾られているが、どうやら奥さんはイタリアに旅している様だ。
この村が宗教上の断食の期間に入る頃、赤いマントをきた旅の母娘がやってくる。北風と共にやってきたこの親子は、村の住居付きの空き店舗を借りて店を開く。売るのはチョコレート。店の名は“マヤ”。
(ビデオでは映画が始まる前に、明治チョコレートのコマーシャルが、映画のいくつかのシーンをバックに流れていた。)
J・ピノシュの雰囲気でも感じられるが、この女性店主は村長の嫌いな無神論者で、村長のミサへの誘いも断る。この辺から、この寓話の流れは察しがついてきますな。堅物の村長と人間性を謳歌しようという女性店長との戦いであります。ハッピーエンドなら女性の勝ちで、暗い結末なら彼女が村を去っていく。そんな風になるだろうとの予測はつくが・・・はて、ジョニー・デップはどこで出て来るんだろう。
村には、乱暴者の酒屋の夫に気を使ってビクビク暮らしている女性や子持ちの娘と上手くいっていないおばあちゃんなど色々と出てくる。この子持ちの女性は村長の秘書で、亭主は亡くなっている。そして、おばあちゃんはチョコレート店の貸し主である。
村長秘書を演じているのは、どこかで見た顔だなあと思っていたら「マトリックス」の黒づくめのあの娘(モス)でありました。一人息子を過保護に育てている娘とソリが合わなくなっているおばあちゃんを演じているのは、「恋におちたシェイクスピア(1998)」で助演女優賞を受賞したJ・デンチ。一見気難しそうであるが、実は人間性を大事にしようと思っている女性。たった一人の孫とのふれあいもこの物語の重要な部分である。
ピノシュはまるで魔法使いのようにチョコレートに色々な香辛料などを混ぜて、個々のお客にあった“ショコラ”を提供し、村人達を開放的な気分にしていく。ピノシュの娘が寝る前に母親から聞かせてもらうおじいちゃんの話で、おばあちゃんも“ショコラ”を扱う旅の人だったことがわかる。アラビアン・ナイトに出てくる魔法使いの様な感じがしましたな。
さて、J・デップは、村に流れ込んでいる川を船で渡ってきた集団の一人(代表者?)として、中盤から出てくる。彼等は、いわゆるジプシーですな。当然のように村長は、自由気儘に生活している彼等が村に入るのを嫌って、村中の店にジプシーをボイコットするように指示を出す。ただ一人彼等を受け入れるのはピノシュで、しかし、これは村長の神経を逆なでするだけの事だった・・・。【続きはビデオで】
▼(ネタバレ注意)
ハルストレムらしい作品といっていいのでしょう。最後はハッピーエンドです。それも、ほとんど出来過ぎのラスト。ただ、過保護ママのモスの変心のきっかけが、ちょっと説得力がないようですが・・・。
村長の変心ぶりを白々しくみせないために、おとぎ話ムードで始めたんでしょうな。
▲(解除)
見終わっても、やはり不思議なムードの映画だったなあという印象です。ビノシュ親子は中途半端な魔法使いのようだし、デップがギターを弾いている河はミシシッピみたいだし・・・。
原作本があるらしいが、ま、言いたいことはよ~くわかりますけどね。時々見せるビノシュの激情は、おとぎ話を超えてるところもありましたな。
デンチおばあちゃんは、もうけ役というのでしょうか。最初に店に来た時のビノシュとのやりとり、美味しいショコラに驚く表情の演技なんか、上手かったですなあ。
ギターのBGMは♪“コーヒー・ルンバ”モドキの音楽に聞こえました。
ところで、ネットで調べるとレスリー・キャロンが出ているようなので、再見、確認しました。多分、三人組で出てくる喪服のおばあちゃんの一人、犬を連れたおじいちゃんに思いを寄せられる人でしょう。「巴里のアメリカ人(1951)」でデビューした、あの可愛かったミュージカル女優ですが、もうそんな年なんですねえ。
2000年のアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞で、それぞれ作品賞、主演女優賞(ビノシュ)、助演女優賞(デンチ)などにノミネートされたが、受賞は出来なかったらしい。
レンタルビデオにて鑑賞。別のビデオの予告編で、「サイダーハウス・ルール」のハルストレム監督作品ということで気になっていた作品。
スウェーデン人の監督で、主演がフランス人とアメリカ人、せりふは英語。内容は大人のおとぎ話の様でありました。
ヨーロッパ(フランス?)のとある田舎の村。時代はよく分からない。セリフの中で『終戦後15年』というのが出てきたから1960年頃だろう。北風が吹く寒々とした村の、どこか「ハリー・ポッター」か「ロード・オブ・ザ・リング」を思わせるような佇まいを俯瞰で捉えながら話が始まる。
敬虔なキリスト教徒の伯爵が村長を務めているこの村は、キリスト原理主義者のような禁欲的な村長が教会も取り仕切っていて、若い司祭の日曜の説教までも、この村長が事前に検閲まがいのようなことまでしている。立派な書斎の机の上には奥さんの写真が飾られているが、どうやら奥さんはイタリアに旅している様だ。
この村が宗教上の断食の期間に入る頃、赤いマントをきた旅の母娘がやってくる。北風と共にやってきたこの親子は、村の住居付きの空き店舗を借りて店を開く。売るのはチョコレート。店の名は“マヤ”。
(ビデオでは映画が始まる前に、明治チョコレートのコマーシャルが、映画のいくつかのシーンをバックに流れていた。)
J・ピノシュの雰囲気でも感じられるが、この女性店主は村長の嫌いな無神論者で、村長のミサへの誘いも断る。この辺から、この寓話の流れは察しがついてきますな。堅物の村長と人間性を謳歌しようという女性店長との戦いであります。ハッピーエンドなら女性の勝ちで、暗い結末なら彼女が村を去っていく。そんな風になるだろうとの予測はつくが・・・はて、ジョニー・デップはどこで出て来るんだろう。
村には、乱暴者の酒屋の夫に気を使ってビクビク暮らしている女性や子持ちの娘と上手くいっていないおばあちゃんなど色々と出てくる。この子持ちの女性は村長の秘書で、亭主は亡くなっている。そして、おばあちゃんはチョコレート店の貸し主である。
村長秘書を演じているのは、どこかで見た顔だなあと思っていたら「マトリックス」の黒づくめのあの娘(モス)でありました。一人息子を過保護に育てている娘とソリが合わなくなっているおばあちゃんを演じているのは、「恋におちたシェイクスピア(1998)」で助演女優賞を受賞したJ・デンチ。一見気難しそうであるが、実は人間性を大事にしようと思っている女性。たった一人の孫とのふれあいもこの物語の重要な部分である。
ピノシュはまるで魔法使いのようにチョコレートに色々な香辛料などを混ぜて、個々のお客にあった“ショコラ”を提供し、村人達を開放的な気分にしていく。ピノシュの娘が寝る前に母親から聞かせてもらうおじいちゃんの話で、おばあちゃんも“ショコラ”を扱う旅の人だったことがわかる。アラビアン・ナイトに出てくる魔法使いの様な感じがしましたな。
さて、J・デップは、村に流れ込んでいる川を船で渡ってきた集団の一人(代表者?)として、中盤から出てくる。彼等は、いわゆるジプシーですな。当然のように村長は、自由気儘に生活している彼等が村に入るのを嫌って、村中の店にジプシーをボイコットするように指示を出す。ただ一人彼等を受け入れるのはピノシュで、しかし、これは村長の神経を逆なでするだけの事だった・・・。【続きはビデオで】
▼(ネタバレ注意)
ハルストレムらしい作品といっていいのでしょう。最後はハッピーエンドです。それも、ほとんど出来過ぎのラスト。ただ、過保護ママのモスの変心のきっかけが、ちょっと説得力がないようですが・・・。
村長の変心ぶりを白々しくみせないために、おとぎ話ムードで始めたんでしょうな。
▲(解除)
見終わっても、やはり不思議なムードの映画だったなあという印象です。ビノシュ親子は中途半端な魔法使いのようだし、デップがギターを弾いている河はミシシッピみたいだし・・・。
原作本があるらしいが、ま、言いたいことはよ~くわかりますけどね。時々見せるビノシュの激情は、おとぎ話を超えてるところもありましたな。
デンチおばあちゃんは、もうけ役というのでしょうか。最初に店に来た時のビノシュとのやりとり、美味しいショコラに驚く表情の演技なんか、上手かったですなあ。
ギターのBGMは♪“コーヒー・ルンバ”モドキの音楽に聞こえました。
ところで、ネットで調べるとレスリー・キャロンが出ているようなので、再見、確認しました。多分、三人組で出てくる喪服のおばあちゃんの一人、犬を連れたおじいちゃんに思いを寄せられる人でしょう。「巴里のアメリカ人(1951)」でデビューした、あの可愛かったミュージカル女優ですが、もうそんな年なんですねえ。
2000年のアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞で、それぞれ作品賞、主演女優賞(ビノシュ)、助演女優賞(デンチ)などにノミネートされたが、受賞は出来なかったらしい。
・お薦め度【★★★★=友達にも薦めて】
最後に出てくるカンガルー(?)とか、もう一度よ~く考えてみよう的なシーンが幾つかありますよね。
ハッピーエンドだから、そのままにしちゃってるけど・・・。
私も娘のアン=モスの変心が?でした。ただ未使用シーンの中にアルマンドがヴィアンヌに宛てた手紙を読むシーンがあるんだけど、その後ろに息子と二人でアン=モスが楽しそうにしてるシーンがありました。なんとなくですが、ヴィアンヌに感謝してたんだろうなあ、なんて思いました。
やっぱり、ハッピーエンドっていいですね。
結構、旧いのが多いんですが、楽しんじゃって下さい。
ここがと~っても気に入ったので、いろんなところをキョロキョロして勉強させてもらっていました。 グラディエーターに引き続き『ショコラ』もTBさせてください。
>ギターのBGMは♪“コーヒー・ルンバ”モドキの音楽に聞こえました。
ここが同じ意見だったので噴出しちゃいました(・-・)ぱーこ
ということで先のコメントは削除してください(._.)
どうぞ宜しくお願い致します。
この作品は、色々な観点を持ってみることができることと、又、逆にどんな境遇の人にも参考になり、且つ活力を与えてたり、考えさせられたりするという点では、現代の御伽噺だと思います。
ひとつ理解ができない部分としては、ジョニー・ディップの好みだけどうして当てられなかったか?
色々な解釈はできますが、決定打は下せません。
TB有難うございました。
それと、誠に勝手ながら、当方の拙いブログにリンクを貼らせて頂きたく存じますので、よろしくお願いします。
備忘録みたいなもんですから、ストーリーだけじゃなくて、キャストも気になりますね。
昔、ジョシュア・ローガンの「ファニー(1961)」という映画をNHKで観たことがあるんですが、レスリー・キャロンはアレのイメージが私には一番強いみたいです。
TBありがとうございました。
やはり、脇役の俳優たちについてコメントされてるなあ・・・と思っておりました。
レスリー・キャロンって、やはりチョコレートをプレゼントされるおばあさん役の人なんですね^^
デンチさんはいい役どころでしたね。それとモスさんも衣装がスカートだと印象が違いますね。