テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

サイダーハウス・ルール

2002-11-29 | ドラマ
(1999/ラッセ・ハルストレム監督/トビー・マグワイア、シャーリーズ・セロン、マイケル・ケイン、ジェーン・アレクサンダー)


 原作は、「ガープの世界」「ホテル・ニューハンプシャー」などで有名なジョン・アーヴィングの同名の小説。今、私はこの本を探して読もうと思っています。
 「サイダーハウス」とは、リンゴ園でリンゴ取りやリンゴ酢、リンゴジュースなどを作る季節労働者の作業場兼宿舎のこと。

 物語は、アメリカ北東部、ニューイングランド地方メイン州の孤児院からスタートする。この孤児院には、望まれずにこの世に生を受けた子供たちが、医者で院長であるラーチ先生(マイケル・ケイン)、二人の看護婦と共同生活をしている。時々、子供のいない夫婦が里親として子供を引き取ろうと訪れるが、自らの意志とは反対に妊娠してしまって堕胎にくる女性もいる。

 主人公のホーマー・ウェルズもそんな孤児の一人だが、何回か里親に出ていっても、運悪くというか、巡り合わせが悪く院に返される。ラーチ先生は、そんな彼にある思いを抱くようになる。ホーマーに病院や孤児院の仕事を手伝わせて、ゆくゆくは後を継いでもらおうということだ。
 青年になったホーマーは、いかなる事があろうと堕胎に反対だったが、ラーチ先生は堕胎もやむ無しという場合があると思っている。

 そんなある日、この病院に結婚前であるのに妊娠してしまった若いカップルが堕胎に訪れて、ホーマーと同年代の軍人である男と話をするうちに、院を出て自立しようと思うようになる。手術とアフターケアは数時間で終わるのだが、ホーマーはカップルと一緒の車に乗って旅に出ると先生達に伝える。愛情深いラーチ先生と看護婦達は、暖かくホーマーを見送ることとなるが、ここから先のホーマーの色々な経験がストーリーの中心となる。
 軍人の実家がリンゴ園を経営していて、そこで黒人達と働くようになるので「サイダーハウス・ルール」というタイトルになっているのだが、この「ルール」にまつわるエピソードが孤児院にもあって、含蓄のあるものとなっている。
 ホーマーがリンゴ園で働く頃は、第二次世界大戦のまっただ中の時代で(ホーマーは心臓に障害があるために徴兵されない)、古き良き時代を思わせる美しい風景のシーンが多い。

 現在の画面に次のシーンの音を重ねる手法で流れるようなリズムを作っているが、リンゴ園に行ってからは一年以上の時が流れているのに、スムーズに流れていくためにそんな時間の長さが感じられない。詳しくは言えませんが、人間関係の変化を共感させるには時間の経過を感じさせる、フェイド・アウトやフェイド・インのような手法も取り入れた方が良かったのではないかと思います。

 監督はスウェーデンの人で、「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」が有名ですが、「やかまし村の子供たち」の映画化もしているとのことで、是非このリンドグレーン作品の映画も観たいです。

 マイケル・ケインの名演が一番光っていますが、なんとホーマー役のマグワイアは「スパイダーマン」なんですね。美人で、セクシーで、可愛らしいシャーリーズ・セロンのファンになってしまいました。

 尚、看護婦の一人に、70年代の名作「ボクサー」のジェーン・アレクサンダーが出ています。

・お薦め度【★★★★=友達にも薦めて】 テアトル十瑠

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1 コメント

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TBありがとうございました (D)
2005-03-24 21:42:39
はじめまして。

TBありがとうございました。

これからもよろしくお願いします。
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